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長時間労働の対策における管理職の心構えとは?

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こんにちは、社会保険労務士の大山敏和です。

今回は社会問題化している長時間労働について、管理職としてどのように考えるべきなのかを紹介したいと思います。

上司として部下の状況を観察していると、社員の状況は大きく2パターンに別れる場合があります。

1つは、学校を卒業して希望に胸膨らませて入社してきた新人が、配属された部署の仕事を先輩に教わり、先輩の仕事を見て成長をしてゆく段階。

もう1つは、仕事を十分にこなせるようになり、管理職ではないにしても、自らの仕事の目標決定にかかわり、自らの責任に「やりがい」を感じながらゴールに向かってゆく段階です。この場合の社員を、狭義には「ホワイトカラー」とみなすケースもあります。

この2つの状況ですと、前者と後者の間で、おのずと「長時間労働」に関する精神的、肉体的な受け止め方が違ってくるため、管理職となる上司は接し方に細心の注意を払わねばなりません。

管理職の役割と、求められる心構え

新人については、まだ自分に与えられたタスクが、全体の一部に過ぎず、やっていることの真の意味も分からない状況の中での長時間労働は、精神的・肉体的疲労感の蓄積になりがちです。

その際、管理職はケアしなければ重大な状況に陥りかねないという責任を自覚し、労働基準法で定められた残業時間の上限を超えさせないことを「管理」することが求められます。

一方、「ホワイトカラー」の場合はどうでしょうか。人は、自ら決めた目標については、それを達成するため、時間を忘れて必死になり、気がつけば窓の外が朝日で明るくなっているなどということもあるでしょう。

長時間労働を美化するつもりはありませんが、「やりがい」は疲労感につながりにくいことは確かです。

政府や社会の動きにも注視すること

管理職としては「やりがい」を感じる社員を増やすことで生産性が向上し、後に続く社員が増えることを願ってるはずです。その際、法制度の変更や、政府の働きかけなどといった情勢をチェックすることも欠かせません。

例を挙げると、近年アメリカのホワイトカラー・エグゼンプションにならって、政府は同様の制度を確立し、残業時間という概念から解き放たれる可能性を模索しています。

ただし、諸外国のホワイトカラー・エグゼンプションは現状の日本の制度とは相容れない内容であるため、一律にひと月45時間までの残業時間(あるいは36協定)に拘束される可能性があります。

また、すべての社員へ対して残業時間の上限で管理する、または曖昧な残業時間管理を設定することが想定されます。こうした場合、残業時間に歯止めがなくならないよう、管理職がしっかりとチェックする必要が生じるでしょう。

「一億総活躍社会」に向けた方策である「日本再興戦略改訂版」の実現に向けて、安倍内閣は法改正へ着実に前進しています。企業内においても「社員総活躍」に向けて幹部・管理職は「社員のために何をすべきか」を改めて考える時ではないでしょうか。

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