Q:入社してくれた人が定着せずに辞めてしまう……。どう対処するべき?


少子高齢化が進む現在では、優秀な人材を採用・確保・育成するために、人材マネジメントの重要性はますます高まっています。この企画では人事担当者が見えにくい「マネジメントの悩み」を人材マネジメントのプロが解説。ビジネスの現場でマネージャーが抱える課題に効果的なヒントをご紹介します。

A:オンボーディングを見直してみては?

せっかく入社した社員が定着せずに数か月~1年程度で辞めてしまう……という悩みは多くの経営者が抱えているかもしれません。

新しく組織にジョインした人は「求められる役割」「組織のルール」「組織の価値観」の理解が追いついていません。求人票や説明会、面接を経て入社しますが、「どんな役割を期待されているのか」がすべて明文化されて伝えられているわけではありません。

「組織内には隠れたルール」があったりするものですし、「組織の価値観」は実際に入社してみないと分からないものです。たとえば、営業の数字が未達の月末を迎えたとき、何とかして数字を達成することを重視するか、たとえ達成できなくても「お客さまのため」を思って販売し続けるべきかは、組織の価値観によって変わります。実際に働いてみないと価値観は分かりません。

しかし、こうした役割・ルール・価値観が入社前の期待と違っていると、新人はギャップに衝撃を受け、退職につながりやすくなります。

準備するべき「3段階の受け入れ体制」

では、どのようにすれば新しく入った人が定着するのでしょうか。「仲良くなって周囲と関係性を作ってもらう」「仕事のやり方に慣れてもらう」「会社の価値観を内面化してもらう」という順番で受け入れを進めると良いでしょう。

まずは、周囲の人と仲良くなり、関係性をしっかりと構築すること。仲良くなって話ができる関係性がない状態では、「ちょっといいですか? これが分からないのですが……」とすぐ聞けば解決できる課題も解決できません。すでに組織内に馴染んでいる人からすれば「そんなことはすぐ聞いてくれればいいのに」と思うかも知れませんが、「誰に」聞いたらいいかすら分からないのが新人なのです。

OJTで価値観の理解を進める

関係性ができたら、「仕事のやり方に慣れる」こと。新人には先輩社員がついてOJTで手取り足取り細かな疑問に至るまで、丁寧に接するのが理想です。そうして仕事を進めていくなかで、自然と会社の価値観が内面化され、「会社が何を大事にしているのか」が分かってきます。

2020年春からのコロナ禍でリモートワークが主体になり、社員同士の関係性が希薄になってしまった企業も多いのではないでしょうか。ゆえに、仲良くなるための施策を意識的に行うべきです。

「計画立案・メンター・ポジティブフィードバック」でPDCAを回す

また、新人の定着率を上げるには3つの施策があります。1つに「受け入れの計画を立てる」こと。2つに「メンターをつける」こと。3に「ポジティブなフィードバックを行う」ことです。オンボーディングの計画を立てたうえで、新人が相談しやすいメンターを付けて、ダメ出しではなく「この行動が良かった」とフィードバックを行う。この3点が回っていくと、定着率は改善するはずです。

逆にいえば、定着率が悪い会社は逆のことをやっている可能性があります。すなわち、場当たり的に指導し、新人を放置してダメな点を指摘するという方法です。まずは、自社のオンボーディング施策を見直すことから始めてみましょう。

神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。2009年にLLPビジネスリサーチラボ、2011年に株式会社ビジネスリサーチラボを創業。以降、組織・人事領域を中心に、民間企業を対象にした調査・コンサルティング事業を展開。研究知と実践知の両方を活用した「アカデミックリサーチ」をコンセプトに、組織サーベイや人事データ分析のサービスを提供している。
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