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人員拡大中の企業が「ヒトのトラブル」を避けるために必要なコト

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こんにちは。社会保険労務士の大山 敏和です。

いわゆるベンチャーやスタートアップ企業が世の中のニーズに応え発展していくことは社会的にみても大変喜ばしいことで、将来的に世界をけん引する第2、第3のグーグルのような世界的企業に化ける可能性もそこにはあるかもしれません。このような時流に乗った企業は、タイミングを逃さずにひたすら前に向かって企業規模の拡大を図ることは当然の戦略といえるでしょう。

今回は、このような企業が成長していく過程での人員拡大に焦点を当て、ヒトに関するトラブルを回避するために行うべき「企業ルールの確立」とそれを維持管理し社員に浸透させる「管理職の評価スキル」について考察してみたいと思います。

「企業理念」が盛り込まれた就業規則が必要

企業規模を拡大する際、経営者の決意表明であると同時に、企業の社会的規範・法的規範として労働トラブルを防止し、秩序ある職場環境を維持するための「就業規則」の作成・拡充は、避けては通れないものです。

就業規則には絶対的記載事項、相対的記載事項というものがあるために、これに縛られて無味乾燥なルールブックを想像しがちですが、これら以外の規定にこそ経営者の理念を盛り込み、その企業独自の 目標と方向性を示すことができれば、社員の座右の書ともなり得るものです。

それこそ、社員手帳に「鬼十則」などを載せるより、企業理念が盛り込まれた就業規則を載せる方が、社員への周知の目的も達成でき、理にかなったものとなるでしょう。

就業規則内の法的規範にも企業理念を盛り込もう

企業規模を拡大する重要な要素である「従業員の拡大」は急務であるものの、採用の際どれだけその人物を見通して採用に踏み切るかの判断は、どこまでできているでしょうか。特に専門職の中途採用の際には、どうしても即戦力を期待するあまりスキル重視になってしまいます。

波に乗っている企業にとって、製品等の投入タイミングが最重要である以上、スキル重視の採用を否定するものではありません。

そこで、採用時より採用後の職場トラブル防止と企業秩序維持のために、就業規則内の法的規範たる「服務規律」や「解雇規定」等にも企業理念を具体的に盛り込みましょう。

「職務上の責任を自覚し、誠実に職務を遂行しましょう。」というありがちな服務規律では、例えばコミュニケーションをとらず他の社員とのトラブルのもとになっている自己中心的な従業員も、当人にしてみれば、「責任を自覚し黙々と職務を遂行」していると思っているかもしれないので、これでは企業が目指す目標を達成するための服務規律になっていないということになります。

社内のエバンジェリストたる「管理職の評価スキル」も重要

一方で経営理念のもと、一般従業員を評価する「管理職の評価スキル」も伸び盛りの企業にとって重要な要素です。

管理職の評価スキルの重要性はなにもベンチャー企業だけのことではありませんが、成長著しい企業にとって、管理職に登用される人物もどれだけの実績と素養の上に位置付けられたのかを思うと、この層にこそ、その企業の理念や価値観の共有、共感の浸透が重要になります。

評価される側にとって、自分に対する上層部の評価が、人によってまちまちなことがエンゲージメントを損なう最大の原因です。

経営者は、企業の成長をけん引する管理職の人事評価スキルにこそ 「カネ」と「ジョウホウ」 をつぎ込み、会社の理念を一般従業員に浸透させるエバンジェリストとして育成する必要があるでしょう。

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