「勤務間インターバル制度」のねらいと導入にあたっての注意点


長時間労働が問題化されて、36協定の上限時間見直し等の検討が行われたり、専門家の労働時間規制除外を行う制度の検討がされたりと、労働時間のあり方や、働き方に対する制度の見直しが行われています。

そんな中「勤務間インターバル制度」についても検討されています。

この制度はいったいどんな内容の取り組みなのか? またどのような狙いがあるのか、などについて考えていきます。

「勤務間インターバル規制」とは?

残業やシフト勤務によって、終業時間は様々です。

18時が終業時間であっても、繁忙期やトラブル時では、21時や23時などのように深夜にまで労働時間が及ぶ場合があります。慢性的にブラックな環境に陥っている企業では、それが常態化してしまっているケースもあります。

また、日によってのシフト制をとられている職場では、遅番で出社し、23時退勤で翌日は通常シフトで8時出社になるようなケースも、時折見受けられたりします。

退勤後が夕食・風呂・就寝だけで、翌朝も早朝から出勤する生活は、ワークライフバランスや健康的な生活面からも望ましくない環境と言えます。また、退勤後にしっかりと体調を整えることは、業務時間に集中できるかに影響し効率性を左右する一面もあります。

そこで現在推進されているのが「勤務間インターバル」です。

厚生労働省は、その目的を下記のようなメッセージや解説をもって、啓蒙しています(*1)。

働く方々の健康確保とワーク・ライフ・バランスの推進のために「勤務間インターバル」を導入しましょう!

「勤務間インターバル」は、勤務終了後、一定時間以上の「休息期間」を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保するものです。

法制化されていませんが、既に長い拘束時間の傾向があるトラック運転者等に対しては、8時間以上の休息時間を設けなければならない改善基準告示があり、監督署の指導要綱となっています(*2)。

出典:厚生労働省「勤務間インターバル」導入した場合の働き方例

「勤務間インターバル制度」の導入にあたって注意すべき懸念点

実際私もサラリーマン時代にそういったシフトでの勤務や、遅くまで残業した翌日に早朝出勤した経験は何度もあります。

このような働き方は、正直しんどいです。コンディション面で考えると、「勤務間インターバル」により、かなり働きやすくなると言えるでしょう。

しかし、考慮すべきポイントは「コンディション」だけではありません。

そう考えると、勤務間インターバルの導入は、

  • 通常始業時間に出勤しない場合の代替要員がいない
  • 現場の中間管理職不在が運営上の問題になる場合がある
  • 交代勤務が時々起こる場合には、シフトが組めない場合がある

といった懸念があり、特に少人数の職場においては、まだまだハードルが高い部分もあるでしょう。導入を急いだ結果、芳しくないアクシデントによって、かえって従業員に負担がかかってしまうことも、考えられなくはありません。

そのほか、先述した改善基準告示がある運送業であっても、対応できていない企業があるという話も耳にします。

「勤務間インターバル規制」法制化に向けた動き

働き方改革の中で、現在は法制化されていませんが、助成金という形で制度推進が行われています。

具体的には、「職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」というもので、9時間以上の休息時間を確保する制度を導入して、周知させることで、導入にかかった経費(就業規則作成料、研修費、管理ソフトウェアの経費 等の一部)を補助してくれるものです(休息時間や内容によって支給上限が異なります)。

労働法制については、

自主的推進 → 一部義務化(大企業限定や業種限定等) → 義務化

といったパターンで、自主的推進を達成した企業の現実を、実際の導入に反映させる場合が度々見受けられます。

今回も、恐らくこうした流れの中で、現実的に導入できる現実性や、企業にかかる費用、導入による労働時間の実態の変化等の状況を見ながら、法制化の内容を検討していくものと考えられます。

人材不足の時代に人材をケアできなければ行き詰まる?

深刻な人材不足が発生している昨今。

健全に働ける労働環境を整えて、離職者を減らし、広く求人を行えるような成長戦略を描けなければ、人材不足によって行き詰まる可能性も懸念されています。

臭いものにフタをして、上手くやり過ごそうとした挙句、離職を招き事業停滞を招いてしまっては、目も当てられません。

自社の課題と向き合い、必要に応じて自動化・効率化・能率向上を図り、人的負担を減らしていきたいものです。

負担が減り、リフレッシュもできれば、結果的にパフォーマンスの向上や人材の定着にも繋がり、様々な面で企業価値の向上につながっていくことも期待できるのではないでしょうか。

【参照】
*1:勤務間インターバル – 厚生労働省
*2:トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント – 厚生労働省労働基準局

社会保険労務士 原田 雄一朗

鹿児島県鹿児島市出身、法政大学工学部電気工学科卒業。東証一部上場食品メーカで生産管理、退職し債務超過の食品メーカ及び食品問屋の専務、代表取締役として大規模改革を行うも倒産、業務用食品問屋での営業職を経て、社会保険労務士に合格し開業。助成金・就業規則・事業再生・事業継承・社員研修を中心に多方面で活躍中。鹿児島青年社労士クラブ会長・鹿児島県社労士会鹿児島支部長・鹿児島県社会保険労務士会理事 歴任、JCシニアクラブ所属。
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