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Q:1on1で何を話すべき? 部下が本音を言ってくれているかわからない【人材マネジメントQ&A】

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少子高齢化が進む現在では、優秀な人材を採用・確保・育成するために、人材マネジメントの重要性はますます高まっています。この企画では人事担当者が見えにくい「マネジメントの悩み」を人材マネジメントのプロが解説。ビジネスの現場でマネージャーが抱える課題に効果的なヒントをご紹介します。

今回はZホールディングス株式会社 Zアカデミア 学長の伊藤羊一さんに、1on1ミーティングの秘訣についてご回答いただきました。

A:メンバー自身の言葉でコミットしてもらうために、まずは「大丈夫!」と伝えてみては?

メンバーは常にもやもやを抱えている状態です。「今やっている仕事はこれでいいのか」、「自分はどうやって成長するのか」、「これで成果が出るのか」、「ビッグプロジェクトが成功するのか」などと、ひたすらもやもやしています。

だから私は「大丈夫!」と伝えることを重要視しているんです。大丈夫か大丈夫じゃないかは、やってみないとわからないわけです。「そのときに問題が起きたらどうしよう」ともやもやしているわけですね。「それは、起きたら考えればいいんじゃないの?」と考えています。しかし「それは起きたら考えなよ」というのは語弊があるので、極めてロジカルに「今のところは大丈夫」と伝えています。

メンバー:「大丈夫かは、わからないじゃないですか」

伊藤:「大丈夫かわからないけれど、大丈夫かもしれないじゃん。やってみないとわからないでしょう?」

メンバー:「そうですね。やってみます」

このような流れで話しています。

 

この話をすると、「根拠がないのに大丈夫と言われて、余計に不安になるのでは」という意見もあります。しかしメンバーも、もやもやの根拠なんてないことが多いのです。そのときには、このように伝えています。

 

伊藤:「やらないとわからないから、やってみようよ」

メンバー:「やってダメだったらどうするんですか」

伊藤:「やってみてうまくいかなかったら、うまくいかなかった部分を検証して改善しようよ」

 

そこからは「どこがうまくいかなかったの? それはどうしたらいいと思う?」とコーチングする。みんなはやる前にうまくいくか不安になるのですが、「大丈夫」というのは、「うまくいく」という意味ではありません。とくに新しいことへの挑戦は、うまくいかないケースも少なくありません。「大丈夫」というのは、「大丈夫、うまくいかないよ」という話でもあるのです。

「大丈夫」の裏側もメンバーに伝えてサポートする

大切なのはポジティブに話していくことです。

伊藤:「大丈夫、うまくいかないよ」

メンバー:「そんなの嫌じゃないですか」

伊藤:「嫌だけど、やらないと何がダメなのかわからないから、やるよね」

メンバー:「うまくいかなかったらどうするんですか」

伊藤:「それ、最高じゃん。うまくいかなかったら、そこを変えればうまくいくとわかるわけだから最高だよね」

 

うまくいかない理由がわからないと、改善方法は見つけられません。簡単にいかないのはわかっているのですが、挑戦をメンバーのモチベーションとするのが、マネージャーの重要な役割です。やらないでドキドキするのではなく、やってから「どうしよう」と考えるべきだと思います。それを総称して「大丈夫」と伝えているんです。

もちろん「最後はうまくいように進めて、そのサポートもする」と、常にすべての流れを説明しなければいけません。

ポイントは「メンバー自身の言葉でコミットしてもらう」こと

重要なのは「メンバーがたくさん話をして、思考を整理できる環境・関係をつくれているか」。頭の中に思考のアメーバみたいなものが回っているなかで、「これとこれを組み合わせると、こういうことだよね」と出しているのが言葉なのです。

そのために重要なのが、「メンバー自身が言葉にすること」と、「自分でコミットすること」の2つです。

言葉にすることとは、「自分はこう考えているんだな」「自分はこれがやりたいんだな」と、メンバーが頭のなかで整理して、言葉にしてもらうこと。その次の段階で、メンバーにコミットしてもらう必要があるのです。「正解はこうだ」「あなたはこれをやるべきなんだ」と言われて、「わかりました」というのもコミットと言えます。しかしこれでは、うまくいかなかったときに、言い訳できる状態になってしまうため、本当のコミットになりません。

正解が見えてきても、マネージャーは言わずに「どうしたらいいと思う?」と聞く。自分が言いたいのをこらえて、質問してメンバーに答えてもらう。マネージャーは意地でも言わないことが大事です。

メンバーに「わかりません」と言われ、マネージャーからの答えをずっと待っているとしても、意地でも答えは言わないで、相手に言ってもらう。「この形でやってみようと思います」とメンバーが言ったらOKを出す。

このように自分の言葉で話すことで、メンバーはコミットするようになるのです。

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