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【社労士解説つき】2021年人事労務向け法改正&実務対応カレンダー

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目次

こんにちは。社会保険労務士の山口です。

コロナ禍を受けて激動の1年となった2020年。2021年もテレワークなど、新しい生活様式のもと、人事労務業務を進めていく必要があるでしょう。本稿では、主に人事労務担当者向けに、各月の対応が必要な実務や法改正情報をカレンダーのようにまとめました。税務や経理に関連しそうな項目も盛り込んでおります。

各月のポイントを解説していますので、1年間のスケジュールとやるべきことを計画する際にお役立てください。

※本稿は2021年1月21日時点での情報をもとに作成しております。

1月のトピック

法改正

  • 育児・介護休業法施行規則の改正に伴う子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得義務化(1/1施行)

労務

  • 労働保険料(第3期分)の納付(延納申請をした場合)(~1/31)

税務

  • 納期の特例による源泉徴収税額の納付(~1/20)
  • 従業員への源泉徴収票の交付(~1/31)
  • 給与支払報告書の提出(~1/31)
  • 法定調書の提出(~1/31)
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を従業員から回収(1月給与支払日の前日まで)

ポイント解説

1月は税務に関する提出物が多くあります。また、2021年1月1日から施行される子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得義務化に伴う対応が必要です。就業規則・労使協定の改正をしていない場合は至急対応しましょう。

2月のトピック

労務

  • じん肺健康管理実施状況報告(~2/28)

税務・経理

  • 決算準備(3月決算法人)

簡単ポイント解説

3月決算の法人において、2月は仮決算のための準備期間となります。仮決算のときに必要となる書類を先んじてまとめておきましょう。また、新年度に向けた業務や組織形態の見直しや新入社員受け入れのための準備も大切です。

3月のトピック

  • 障害者法定雇用率の引き上げ 2.2%→2.3%(3/1施行)

労務

  • 36協定の更新、届出
  • 次年度、介護保険の該当者(非該当者)の確認(40歳/65歳)
  • 有害物ばく露作業報告(~3/31)

税務・経理

  • 決算準備(3月決算法人)
  • 退職金の支払いと各種控除(所得税・住民税)
  • 退職所得の源泉徴収票提出(本人退職後1ヶ月以内)

簡単ポイント解説

3月は通常業務に加えて決算業務をしていかなくてはならない大変な時期です。また、新年度に向けて、36協定の更新が必要な会社は早めに準備しておきましょう。

4月のトピック

  • 70歳までの就業機会の確保措置(努力義務)(4/1施行)
  • 脱退一時金の支給上限年数の引き上げ(4/1施行)
  • 中小企業の同一労働・同一賃金の義務化(4/1施行)
  • 中途採用比率公表の義務化 (労働者301人以上の大企業)(4/1施行)

労務

  • 新入社員の受入れ事務(入社手続き等)
  • 健康保険料率、介護保険料率の変更確認

税務・経理

  • 決算業務(3月決算法人)
  • 「給与支払報告に係る給与所得者異動届出書」の提出

簡単ポイント解説

4月に新入社員を迎える企業は新入社員の受入れ事務を段取りよく進めましょう。また、事務手続きだけでなく新入社員へのケアも重要です。相談しやすい雰囲気づくりなど必要に応じてフォローしていきましょう。新年度に合わせて制度の変更等があった場合は就業規則等の変更もお忘れなく。

5月のトピック

労務

  • 障害者雇用納付金の申告納付、障害者雇用調整金の申請(~5/15)

簡単ポイント解説

5月は障害者雇用納付金の申告、障害者雇用調整金の申請の提出期限です。遅延のないように進めましょう。また、そろそろ労働保険年度更新の準備も始めておくとよいでしょう。

6月のトピック

労務

  • 労働保険の年度更新手続き(6/1~7/10)
  • 賞与支払届の提出
  • 高年齢者雇用状況報告書・障害者雇用状況報告書の提出(6/1~7/15)

税務

  • 新年度・個人住民税の特別徴収の開始

簡単ポイント解説

6月は住民税の特別徴収税額を新年度に変更するための作業があります。また、労働保険の年度更新手続き、高年齢者、障害者雇用状況報告書の提出が6/1から受付が始まります。7月は算定作業でバタバタする時期ですので、早めに準備しておくとよいでしょう。

7月のトピック

労務

  • 健康保険・厚生年金の「算定基礎届」の提出(7/1~7/10まで)
  • 労働保険の年度更新手続き(6/1~7/10)
  • 高年齢者雇用状況報告書・障害者雇用状況報告書の提出(6/1~7/15)

簡単ポイント解説

7月は様々な手続業務の締め切りが重なる月です。労働保険料の年度更新手続き、健康保険・厚生年金の「算定基礎届」の提出は7/10まで。高年齢者、障害者雇用状況報告書の提出は7/15までです。手続きの遅れや漏れの無いよう気を付けましょう。

8月のトピック

簡単ポイント解説

8月は比較的手続きの少ない月です。7月の繁忙期に漏れてしまった手続きなどがないか確認し、後回しにしてしまっている業務に着手しましょう。

9月のトピック

労務

  • 新標準報酬月額の確認と通知

簡単ポイント解説

9月は7月におこなった算定の標準報酬月額決定通知書が届く時期です。社員それぞれに新しい標準報酬月額を通知するとともに、賃金台帳等も更新しておきましょう。

10月のトピック

労務

  • 延納を申請した場合の労働保険料第2期分の納付(10/31まで)

簡単ポイント解説

10月は、厚生労働省が提唱する「全国労働衛生週間」が実施されます。この「全国労働衛生週間」では、近年増加傾向にある従業員の精神面ケアについても改善が求められます。この機会に快適な職場環境づくりに努め、自社の安全衛生活動を見直しましょう。

11月のトピック

簡単ポイント解説

11月は「労働時間適正化キャンペーン」期間です。過重労働による健康障害の発生や時間外手当の未払い問題等が無いか、労務管理状況を再確認しておくことが大切です。

12月のトピック

労務

  • 賞与支払届の提出

税務

  • 年末調整
  • 退職金の支払いと各種控除(所得税・住民税)
  • 退職所得の源泉徴収票提出(本人退職後1か月以内)

簡単ポイント解説

12月中におこなわなくてはならない業務として、最も大きなものは年末調整です。直前でバタバタしないよう、9月〜10月ごろから計画して準備を進めましょう。また、12月は3月に次いで社員の退職が多くなる時期です。退職手続き等に遅れがないようしっかりと準備しておきましょう。

おわりに

以上が2021年の人事労務関連のカレンダーとなります。最新情報のキャッチアップをおこたることなく、計画的に業務に取り組んでください。ただでさえやるべき業務多い上に、法改正やコロナ関連の対応などもあり、大変な時期かと思いますが、一つずつコツコツ乗りこえていきましょう。

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