年末調整における「年調年税額と過不足額」の計算フロー

2018.11.20 ライター: SmartHR Mag. 編集部

年末調整は従業員の毎月の給料から源泉徴収されている所得税を精算する仕組みで、雇用主にとって重要な作業です。会社で年末調整をしてもらうことで、雇用されている多くの労働者の納税は完了します。

年末調整を正確に行うためには、従業員から個別に必要な書類を提出してもらい、順番とおりに計算式に金額を当てはめて算出するという手間と時間が必要です。

今回は、年末調整における年調年税額や不足額の計算方法について、源泉徴収簿での計算や具体例をもとに解説していきます。

年末調整を行うために準備するべき書類

源泉徴収票をはじめ、年末調整に必要な書類は、全部で9種類ありますが、そのうち従業員が提出する書類は、

  1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  2. 給与所得者の保険料控除申告書
  3. 給与所得者の配偶者控除申告書

の3つです。

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「年調年税額」と「過不足額」を計算する基本的なフロー

必要な書類が出揃い、12月分の給与額が確定したら、まず賞与額も含めた「年間収入額」と「源泉徴収した年間の税金額」を集計しましょう。

次に、年間収入額から「給与所得控除の額」を差引きます。給与所得控除の金額は、スーツや靴・カバンなどの購入しなければならない給与所得者の必要経費とされている金額です。所得税法で計算式が決められています。

年間収入額から給与所得控除額を差引いた金額から、さらに「扶養控除額」「保険料控除額」「基礎控除」などを差引くことで、その人の「年間所得額」が計算できます。

計算できた年間所得額に金額によって異なる税率をかけて、所得額ごとの控除額を差引いた額が年間の正しい所得税額、いわゆる「年調年税額」です。住宅ローン控除が適用される場合は、その金額から税額控除できます。

最後に「年調年税額」と「源泉徴収した年間の税金額」を比較して、源泉徴収した金額のほうが多ければ還付され、少なければ徴収されて年末調整完了です。

「年調年税額」と「過不足額」の具体的な計算例

上記で解説した年調年税額計算の基本的な流れを、具体的な事例をもとに、計算しながら把握していきましょう。

事例の前提

年末調整の計算方法を、国税庁発表のパンフレットに記載されている具体例を例題として解説していきます。

事例は、所得のない妻と16歳の子ども1人を扶養している男性で、東京都区内にある会社の経理課勤務です。

出典:国税庁「平成30年分 年末調整のしかた – 4 過不足額の精算・設例1から3」より抜粋

「年調年税額」と「過不足額」の計算事例

それでは実際に、具体的な過不足額の計算について源泉徴収簿での記載例をベースにみていきましょう。

出典:国税庁「平成30年分 年末調整のしかた – 4 過不足額の精算・設例1から3」より抜粋

【源泉徴収簿内⑦・⑧】
毎月の給料の合計438万円+夏季・冬季ボーナス合計149万円=年収587万円(⑦)、源泉徴収済みの所得税額は14万523円(⑧)となっています。

【源泉徴収簿内⑨】
給与所得控除後の金額の算出表」を使って、年収587万円に対応する、この男性の給与所得控除後の金額415万4,400円(給与所得控除額は171万5,600円)を確認します。

【源泉徴収簿内⑩〜⑰】
次は所得控除額の計算です。1年間の厚生年金・健康保険料などの社会保険料の全額83万6,874円(⑩)、生命保険料控除7万1,550円(⑬)、地震保険料控除4万5,000円(⑭)を所得控除できます。

配偶者控除38万円(⑮)、16歳の子どもの扶養控除38万円(⑯)、本人の基礎控除38万円もあり(⑯)、⑩〜⑯のすべてを合計した209万3,424円が男性の所得控除額です(⑰)。

【源泉徴収簿内⑱】
さらに、給与所得控除後の金額415万4,400円-所得控除の金額209万3,424円≒206万円(1,000円未満切捨て)が課税所得金額です。

【源泉徴収簿内⑲】
課税所得金額206万円に対する所得税は、206万円×税率10%-控除額9万7,500円=10万8,500円です。

【源泉徴収簿内㉒】
10万8,500円×102.1%=11万700円が年調年税額になります。

【源泉徴収簿内㉓】
年末調整をしたことで、源泉徴収済みの所得税14万523円-年調年税額11万700円=2万9,823円が超過額であることが分かりました。

この2万9,823円が年末調整によって還付されるのです。

年調年税額を計算した結果、過不足が生じたら

年調年税額を計算した結果、毎月の給与や賞与から源泉徴収していた金額に過不足が生じた場合は精算が必要です。

前段の具体例のように年調年税額のほうが源泉徴収額より少ない場合は、払い過ぎた所得税を従業員に還付します。年税額のほうが多い場合は、不足する所得税を徴収する決まりです。

保険料控除など各種の控除を適用することによって、納め過ぎの所得税が還付される給与所得者のほうが多くなっています。反対に不足分を徴収されるのは、大学生の子どもが卒業・就職して扶養控除対象者でなくなった場合などです。

まとめ

税務署から送られてくる申告書を従業員に配布・回収した後に計算して精算という手順を踏むのが年末調整の基本です。

しかし、従業員の人数によっては「どの従業員が申告書を提出済みであるのか」「提出の催促が必要なのか」など、確認することに時間がかかってしまうこともあります。

従来型の年末調整が繁雑だと感じているのであれば、クラウドサービス等の業務効率化ツール導入を検討するのも良いでしょう。

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