有期雇用労働者の「雇用契約締結・更新」にまつわる手続きの注意事項


こんにちは、社会保険労務士表参道HRオフィスの山本純次です。

雇用形態の中で、アルバイトやパートなど、期間を定めて雇用契約を結ぶ場合があります。

こういった契約の総称を「有期雇用契約」「有期労働契約」と言いますが、雇用期間の定めのない一般的な正社員の契約と比べて注意すべき点がいくつかあります。

人事労務担当者においては、入社時だけでなく入社後に注意すべき点もしっかりと押さえておく必要があります。以下、時系列的に解説していきたいと思います。

有期雇用労働者の「雇用契約締結時」の注意点

労働者を雇用する場合、形態に関わらず労働条件の内容を明示しなければならず、使用者側から通知する「労働条件通知書の提示」が最低限必要で、争いを防ぐために使用者と労働者間で雇用契約書を締結することが求められます。

労働条件の明示については、以下の項目が、絶対的記載事項として書面で交付することが義務付けられています。

  1. 労働契約の期間
  2. 就業の場所及び従事すべき業務
  3. 労働時間、休憩、休日、時間外労働の有無
  4. 賃金の計算及び支払方法、締め支払の時期
  5. 退職に関する事項

この中で、「1. 労働契約の期間」について、正社員の場合、通常「雇用期間の定めなし」という記載があり、有期雇用契約の場合、契約期間が定められます。

しかし、この期間を明示せず雇用した場合、「雇用期間の定めなし」ととられるため、一定の期間が過ぎたあとに「会社都合により雇用終了」とはできず、解雇の手続きを踏まなければなりません。

また、有期雇用契約の場合、契約を更新する可能性の有無、また更新する場合の条件などを明記する必要があります。

更新する条件が揃っているにもかかわらず更新しないとなると、不法な契約打ち切りとして訴訟になるケースもあり、明確な基準を明示しておく必要があります。

有期雇用労働者の「雇用契約更新時」の注意点

有期雇用契約において、雇用契約時よりも「契約更新の手続き」に重要なポイントが多く挙げられます。

というのは、雇用期間の定めのない正社員であれば入社時に雇用契約を結べば、その後はよほどの雇用形態の変更がない限り雇用契約を更新することはないのですが、有期雇用契約の場合、当初締結した雇用期間が終了する場合、再契約をするのかどうかという判断をしなければなりません。

その判断によって、下記のように対応が異なります。

なお、実務上で一番注意すべきは、上記のいずれでもなく、当初の雇用期間が終了しても、更新等の手続きをすることなく、そのまま雇用が継続されている場合です。

この場合、「以前と同じ労働条件にて、期間の定めのない雇用契約が締結された」と判断されるため、前回の契約が●ヶ月だったからといって、「契約更新とみなした日から●ヶ月後に契約終了」とは、できなくなってしまいます。

そのため、有期雇用契約労働者の雇用契約期間がいつからいつまでなのかを社内でしっかり把握し、上記の手順を状況に応じて実施する必要があります。

雇用契約締結・更新作業の効率化方法

このように雇用契約等の締結に関して、飲食業や小売業などのアルバイト・パートをはじめとした有期雇用の従業員が多い会社だと、締結・更新以外にも、契約管理だけでも大きな労力と細心の注意を要します。

そこで、最近活用されているのが電子契約によるサービスです。

たとえば「クラウドサイン」は、弁護士事務所が母体となる弁護士ドットコム株式会社が提供する、オンライン上で各種契約を締結できるクラウドサービスです。

また、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」では、「オンライン雇用契約機能」をリリースしています。同サービスで今後実装予定の機能で、特に便利になりそうなのが、「有期雇用契約の更新期間が近づいたら自動通知してくれる」機能です。この機能によって、契約締結の効率化ができるだけでなく、契約更新のタイミングを忘れていて、意図せず無期雇用になってしまう……という事態も未然に防げるでしょう。

このように、人事労務を効率化する便利なサービスを活用するなどして、契約に関するトラブルが起きぬよう、丁寧に管理していくことが重要です。

特定社会保険労務士 山本 純次

渋谷・表参道に事務所を構える人事労務の専門家、株式会社表参道HRオフィス。代表取締役CEO。社労士として社会保険・労働保険の手続き代行から就業規則の策定、労務相談までなんでも対応いたします。事務手続き代行、給与計算、就業規則作成まで幅広い人事労務業務を対応いたします。また、ベンチャーとシステムに強い社労士としてIPO支援に関する業務まで対応しております。社会保険労務士 表参道HRオフィス
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