「接待ゴルフ」が休日出勤に該当しない理由。ただし例外もアリ!

2017.06.21 ライター: 弁護士 浅野 英之

こんにちは。浅野総合法律事務所 代表弁護士浅野英之です。

先日女子ゴルファーの宮里藍さんが引退を表明し、話題となりました。この10年女子ゴルフの人気を牽引した人気ゴルファーだけにショックを受けている方もいらっしゃるかもしれません。

ところでゴルフといえば、営業が主軸の会社にとって、いわゆる「接待ゴルフ」が重要な営業手段のひとつとなっていることを強く感じている方も多いのではないでしょうか。

そんな「接待ゴルフ」ですが、従業員がこの「接待ゴルフ」に参加した場合、会社の営業のためだったとして、休日出勤手当を支払う必要はあるのでしょうか?

「接待ゴルフ」はご存知の通り、多くの経費がかかる一方で、レジャーの要素も少なくなく、意見が分かれるところでしょう。

そこで今回は、お得意先との接待ゴルフを「休日出勤扱いとし、休日出勤手当を支払うべきか?」について解説していきます。

接待ゴルフは「労働時間」に含まれない

接待ゴルフは、原則として「労働時間」に含まれません。

つまり、従業員がわざわざ休日を返上して接待ゴルフに行った場合であっても、休日出勤扱いにはならないのです。

たとえ、重要な取引先と「接待ゴルフ」をした結果、大きな契約に結び付いた場合であっても、「労働時間」と扱われないことに変わりはありません。

「労働時間」に含まれる接待ゴルフも存在する

たしかに、「接待ゴルフは労働時間ではない」ので、ゴルフに行った従業員に対し、休日手当を支払う必要はない、というのが原則です。

しかし、実は、下記のような例外があります。

この例外にあたる場合には、休日出勤扱いとして休日出勤手当を支給しなければなりません。

(1)会社の業務命令で「接待ゴルフ」をした場合

会社の業務命令に基づいて「接待ゴルフ」を行う場合には、その「接待ゴルフ」は「労働時間」にあたります。

この際、接待ゴルフにかかる経費も会社負担となります。また、ハッキリと「会社の業務命令である。」と命令した場合だけに限りません。

従業員が「接待ゴルフ」を拒否したことにより、昇進させなかったり、「接待ゴルフ」をせざるを得ない状況に追い込んだ場合には、黙示の命令があったとして「労働時間」にあたる可能性があります。

(2)「準備進行役」をするよう命令をした場合

「接待ゴルフ」というのは、ゴルフのプレーをするだけでありません。

会社主催のコンペなど、従業員に対して、「接待ゴルフ」の準備進行役の命令をした場合にも、「労働時間」にあたります。

「接待ゴルフ」が労働時間になる場合の対応

では、「接待ゴルフ」が労働時間にあたる場合、会社としては、一体どのように対応すればよいのでしょうか。

(1)休日出勤手当を支払う

まず、「接待ゴルフ」の時間が休日出勤となる場合に、はじめに考えられる対応方法は、「休日出勤手当を支払う」という方法です。

なお、休日出勤手当の額は、通常の賃金よりも割増した賃金額となります。

(2)振替休日もしくは代休を与える

他に考えられる対応方法が「振替休日もしくは代休を与える」という方法です。

「接待ゴルフ」が予め決まっており、業務に差し支えなく同じ週内で振替可能であれば、「振替休日」を与えるのが良いでしょう。

また、週内での「振替休日」が難しい場合は、「代休」を与えることで、休日出勤手当の全額を支払う必要がなくなります。

ただし、休日割増分の賃金を支払う必要がありますので注意して下さい。

(「振替休日」と「代休」の違いについては、こちらの記事に詳しく記載されていますので、是非ご参考ください)

従業員に分かりやすいルールの定めを

接待ゴルフが「労働時間」にあたる場合と、あたらない場合を従業員に対して明確にしておくことが、労働環境を整えるためには重要です。

どのようなケースで「接待ゴルフ」を行った場合に、手当を支払うのか、就業規則や賃金規程などで事前にルールを定め、従業員の不平不満を生まない工夫しましょう。

弁護士 浅野 英之

弁護士法人浅野総合法律事務所、代表弁護士。企業側労働問題を得意とする石嵜・山中総合法律事務所にて、労働問題に関する数多くの相談対応、顧問先企業の労務管理を行ってきた経験を活かし、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立。以降、「労働問題に強い弁護士」として、企業側はもちろん、労働者側の相談にも対応し、労働問題のスペシャリスト弁護士として活動中。特に成長中のベンチャー企業、中小企業の人事労務のコンサルティングに定評がある。 【企業向けメディア】ビズベン!
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