社会保険労務士表参道HRオフィスの山本純次です。
労務関係に関する法定帳簿の一つに「労働者名簿」があります。企業は日々雇い入れられる者を除き、雇用する従業員ごとに労働者名簿を作成しなければならない法的な義務があります。
「労働者名簿(従業員名簿)」に記載が必要な項目
この労働者名簿ですが、以下記載しなければならない項目が定められています。
- 氏名
- 生年月日
- 履歴
- 性別
- 住所
- 従事する業務の種類
- 雇入の年月日
- 退職の年月日及びその原因
(死亡退職の場合は死亡年月日)
※従業員が常時30人以下の企業は6はなくても大丈夫です
「労働者名簿(従業員名簿)」の管理方法
様式は自由で、上記項目の記載があれば企業独自の管理方法で作成できます。
一般的な管理としては、入社時の履歴書や職務経歴書、雇用契約書などと退職時の退職届などを一つのファイルなどにまとめる方法が主流で、そのほかにも、評価履歴や昇降格履歴、賞罰の記録など従業員個人にかかる情報を一つにまとめておくと何かあった際に確認がしやすくなります。
企業によっては個人ごとの個人情報シートを入社時に作成のうえ、そちらを個別に管理するというケースも多いです。
この労働者名簿は、企業で勤務する従業員の個人情報をまとめて管理することが主目的ですが、退職後に該当社員の勤務履歴を確認したり、万が一退職後に労災などが発覚した際の勤務期間の証明にもなります。
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企業としては、極力一人一人しっかりと情報をまとめ管理することが求められます。
人員が増えると「労働者名簿(従業員名簿)」の管理は大変。効率化手段はクラウド人事労務
ただ、この労働者名簿ですが、紙のファイルで管理し、常に個人ごとにファイリングをするというのはなかなか大変です。10名程度でしたら労力はあまりかからないかもしれませんが、50名、100名と人員が増えていくと管理も大変になります。
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情報に更新があった場合は変更内容等を管理しないとならないことも手間となります。また個人情報の塊でもありますので、管理場所にも困ることにもなります。
こういった際に、上記情報を一つにまとめ、いつでも情報を引き出せるのがクラウドシステムの利点です。クラウド人事労務の主なツールとしては、SmartHRがあります。
例えばSmartHRでは、労働者情報を入力すれば労働者名簿が自動的に作成できる機能もついています。また、管理する情報の項目を企業ごとにカスタマイズできますので、評価履歴や営業成績など、企業独自に管理したい情報を増やしていくことも可能です。
昨今はマイナンバー管理もあり、労働者名簿に証明書類などと一緒に保管するというケースも多いですが、紛失のリスクがあったり、逆に退職した社員のマイナンバーは一定期間後破棄しなければならないルールもあるので、紙ベースでの管理は非常に煩雑です。
そういったこともあり、必要要件を満たすクラウド人事労務などのシステムを活用した管理は、非常にメリットが多いと言えるでしょう。
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SmartHR を使えば労務手続きにかける時間は1/3に。 従業員からの情報収集にはじまり、面倒な手続き書類の自動作成、役所へのWeb申請も可能です。大量の手書き作業や、転記ミスのチェック、役所へ出向くことも、窓口で並ぶことも、もう必要ありません。 人事マスター(従業員データベース)や、Web給与明細、マイナンバーの収集・管理、源泉徴収票・支払調書の配布、スマホからできる年末調整など、労務領域を幅広くカバーしています。