こんにちは。特定社会保険労務士の山本 純次です。
今年も年末が近づいてきました。人事労務の担当者にとって年末の一大イベントといえばやはり「年末調整」であり、毎年最大の繁忙期を迎えます。
従業員の方は、難しいながらもどうにかこうにか各種申告書を書き上げ提出し、税金が戻ってくるという楽しみを心待ちにされていることかと思います。
この年末調整時に発生する「還付金」は、どういった仕組みで、どのような人が受け取ることができるのでしょうか?
年末調整の「還付金」とは?
年末調整とは、その年の1年の給与収入(転職があった場合、前職の収入を合算、賞与などの臨時の支給も含める)とそれまでに支払った所得税を集計し、年末時点での扶養状況に応じて、扶養控除を再計算します。
加えて、生命保険料控除や地震保険料控除、住宅ローン控除など、法定で定められている控除を計算し、当年度の所得税を確定させます。
年末調整前までに支払った所得税が、調整後の金額より多かった場合、税金が戻ってくることとなり、これを「還付金」と呼んでいます。
なので、還付金を受け取ること自体は嬉しいですし、人によってはちょっとしたお得感を覚えるかもしれませんが、実際に得をしているワケではないのでご注意ください。
「還付金」が発生するのはどういう人?
毎月の給与から控除される所得税は、概ね12ヶ月分の税金を11ヶ月分で控除できるように設計されています。
そのため、年末調整では多くの方が還付金が出るよう設定されています。
その中で、年末調整で控除として申請できる「生命保険料控除」や「住宅ローン控除」は毎月の給与での所得税計算では想定されていないので、申告をすると還付金が戻るケースが多いです。
また、年度途中に扶養対象者が増えた方について、年末調整では年末での扶養の基準で1年分の税金を計算しますので、還付が出るケースが多いです。
「還付金」はいつ貰えるの?
一般的には、年内最後の給与である12月の給与支払い時に、還付が実施されます。
また会社によっては、年内の収入が確定したうえで年末調整を実施し、その場合は1月に還付を実施されるケースもあります。
還付金とは逆に、追加で税金を支払うケースも
還付金があると思っていても、反対に追加で税金を支払わなければならないケースもあります。
そのケースとしては、年度途中に扶養者が外れたケースや、月額の給与額に比べて賞与の支給額が大きかった場合、賞与の税率が低く抑えられ年末時に不足が発生するケースもあります。また、年度途中の転職で大きく収入が変動した場合に、追徴となるケースもあります。
ただし、「還付金」が得をしているわけでなければ、こちらの追徴も損をしているわけでもありませんのでご安心ください。
「年末調整」というのは言葉の通り、年末に当年度の所得税額を再計算し、調整する作業なのです。