追加された「配偶者控除申告書」の書き方を解説。今のうちに知るべき年末調整効率化のポイントは?

2018.08.08 ライター: 副島 智子

こんにちは。SmartHRの副島(そえじま)です。8月に入り、今年もすっかり後半戦となってきました。

少し気の早い話ではあるのですが、そろそろ人事労務担当者さまは「今年の年末調整、どうする?」を考え始めていらっしゃる頃なのではないでしょうか。

今年は「配偶者控除」が改正されたことで、いろいろと変わることがあります。今回はどのように変わるのかを解説いたします。

「配偶者控除の改正」で変わる、年末調整の対応

この「改正配偶者控除」の影響で、年末調整の対応が変わります。そのポイントは次の3つです。

(1)紙が増える!

なんとペーパーレスが叫ばれるこのご時世に、紙が1枚増えます。

昨年までは「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」となっていた書類が、下記2つの別々の書類となります。

  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 給与所得者の配偶者控除等申告書

紙が1枚増えるのって、非常に大きなインパクト。

従業員が5,000人いらっしゃる企業さまは、配布する紙が5,000枚増えるということになります。5,000枚って、A4のコピー用紙1箱分です。それが一気に消費されるなんて。。

(2)「従業員の給与所得額」を本人が算出する必要あり!

今年の「配偶者控除等申告書」、ご覧になりましたでしょうか?

改正された配偶者控除は、「配偶者の収入要件」に加え、「給与所得者(以下、従業員本人)の収入要件」も加わり、非常に複雑な計算の上で「配偶者控除の額(または配偶者特別控除の額)」を算出します。

これだけ聞いても「うわ!」となるんですが、その前段階で大変なことがあります。それは、従業員本人の「所得額」を自分で算出しないとまったく記入が進められないということ。所得額というのは、給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額のことなんですが、これを従業員本人が計算をしなさい、というものになっています。

どんな計算が必要なのか。それはこちらの表をご覧ください。この表にあてはめて、必要な計算を行わないといけないんです。

例えば、年収500万円の方の場合はこんな計算になります(上記画像で赤枠で囲っている箇所が500万円の対象となります)。

(A)÷ 4(千円未満切捨て)= (B) ⇒ ②:(B)× 3.2 - 540,000円 = (C)

これに当てはめると、

5,000,000 ÷ 4 = 1,250,000
1,250,000 × 3.2 – 540,000 = 3,460,000

つまり、346万円が従業員本人の給与所得額となります。

(3)配偶者控除(または特別控除)の額を算出するまでの道のりが長い!

■ 従業員本人の区分

上記で計算した従業員本人の給与所得額を、「配偶者控除等申告書」の「*1」に記入します。そうすると、右に記されている判定は「900万円以下(A)」となるため、「区分Ⅰ」に「A」と記載します。

 

■ 配偶者の区分

次に配偶者の所得額を計算します。配偶者の給与収入額が128万円だったとします。先ほど従業員本人の所得額を計算した表にあてはめてみます。

(A) - 650,000円 = (C)
1,280,000 – 650,000 = 630,000

計算後、63万円を「*2」に記載します。下の欄に記載されている判定を行うと、③に該当するため、「区分Ⅱ」に「③」と記載します。

 

■ 配偶者控除(または特別控除)の額の算出

「控除額の計算」枠内の表において、区分Ⅰと区分Ⅱの交差するところが控除額となりますが、配偶者の所得額が85万超えの場合は、所得額に合う場所を選択します。

今回の例の場合は、85万円以下のため、区分Ⅰ「A」と区分Ⅱ「③」 が交差する380,000を「配偶者特別控除の額」の方に記載します。38万円ですが、「配偶者控除の額」は0円となります。どちらに記入するかは、「摘要」行をご覧ください。

 

・・・いや、むずかしいでしょ!!

 

給与計算や年末調整に慣れている私ですら、「えっと、えっと……」と思いながら計算機を叩いたり、書類に転記したりしているぐらいなのに、これを一般の従業員さんに「計算して!」なんてお願いするの、ものすごく気が引けます……。従業員さまからのお問い合わせが増加するのではないでしょうか。。

やっておくべき「年末調整の効率化」対策

このように、とても複雑になった年末調整。どうするのが効率的かといいますと、「クラウドの年末調整機能」を利用するのが一番だと思います。

私は3年前からクラウドの年末調整機能の開発に携わっており、今年はこの複雑な配偶者控除の改正に伴って、従業員本人と配偶者の収入額を入力すれば、自動で上記の計算、判定を行って、配偶者控除(または特別控除)の額を書類に表示するものを開発しております。

煩雑でメンドウな計算を行う必要なく、誰でも正しく申告を行えて、所得税の精算を受けられる世の中にしたいという想いで取り組んでおります。

たくさんの方に使っていただき、システムでできることはシステムが行い、人は人がやるべきことに集中できる環境を作ることで、生産性の向上に貢献したいと思っています。

まだ紙を配布している方、手書きをしている方はこれを機にぜひご検討ください。

副島 智子

20人未満のIT系ベンチャーや数千人規模の製薬会社、外食企業など、さまざまな規模・業種の会社で人事労務の経験を持つ。前職のEC系スタートアップでは経営管理の役員を歴任し、2016年にSmartHRにジョインしプロダクトマネージャーに就任。従業員、労務担当者、経営者の3つの視点を持ち、年末調整機能の企画、電子証明書取得方法の解説など、メンドウで難しいものをわかりやすくカンタンにしてユーザーに届けることを得意とし、2017年カスタマー・エクスペリエンスチームを発足。
他の執筆記事はこちら

人事労務の関連記事

人事労務の新着記事

飲食・小売業の人事労務特集

人事労務用語を詳しく調べる

人事の最先端イベント開催!