社労士が解説! HRニュース 2022年2月振り返りと2022年3月のポイント(雇用調整助成金の動向や4月の法改正対応など)


3月は、新入社員の受け入れ準備や人事異動の発令など、人事労務担当者にとって忙しい時期です。

また、行政上の「年度」の節目となるので、4月1日付で法改正があることが多く、今年度についても、育児介護休業法とパワハラ防止法に関し対応が必要となります。

2022年2月のトピックの振り返り

(1)雇用調整助成金の動向

雇用調整助成金のコロナ特例は、3月末までは段階的に縮小されながら存続が決定されていたものの、4月以降については未定でした。

オミクロン株の感染拡大を受け、政府は雇用調整助成金を5月末まで延長する方向で調整を始めたようです。具体的にどのような金額や支給基準で延長されるのかの続報が待たれます。

(参考)コロナ下の雇用調整助成金引き上げ、5月末まで延長へ 政府調整(毎日新聞 2022/2/21)

(2)確定申告

前月のHRニュースでもお伝えしたよう、2月16日~3月15日は確定申告の期間です。対象となる方は、期限内に忘れずに申告しましょう。勤務先の会社で年末調整を行っていたとしても、主に次のような場合は、確定申告の実施が必要となります。

・副業からの収入がある場合
・医療費控除を受ける場合
・住宅ローン控除を受ける場合(初年度に限る)
・給与収入が2,000万円以上(そもそも年末調整の対象外)

確定申告は、マイナンバーカードを持っていれば、スマートフォンやパソコンで実施できます。

(参考)国税庁からのお知らせ<パソコンとスマホでe-Tax!マイナンバーカードをスマホで読み取り>

(3)雇用保険料率の引き上げ

雇用調整助成金は雇用保険料が財源となっていますが、長引くコロナ禍により雇用保険の財源が厳しくなっています。

そのため、政府は雇用保険料率を引き上げる方針を固めました。現在、労使合わせて賃金の0.9%が雇用保険料率となっています。これが、4~9月は0.95%、10月~2023年3月は1.35%に引き上げられる見通しです。

(参考)雇用保険料率、2段階で引き上げ 法案閣議決定(日本経済新聞2022/2/1)

2022年3月のトピック

(1)新入社員の受け入れや人事異動の準備

冒頭でも触れたように、4月1日付で新入社員を採用したり、人事異動を発令する企業は多いと思います。

新入社員の受け入れに関しては、オミクロン株の感染拡大を受け、入社前研修や入社式をどのような形態で行うかを判断しなければなりません。また、入社後の研修や配属についても、必要に応じ見直しすることもあると思います。

新入社員の方が不安にならないよう、自社の対応方針を定め、情報共有することが大切です。

同様に、人事異動についても、必要に応じて見直すなど、社内からの問合せにも対応できるよう準備しましょう。

(2)健康保険料率の見直し

2022年3月分より、全国健康保険協会の健康保険料率が見直されます。

47都道府県それぞれ保険料率は異なります。傾向としては、首都圏等はダウン、地方はアップというイメージです。具体的な保険料率の数字については、下記をご参照ください。

(参考)令和4年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます – 全国健康保険協会

なお、関東ITソフトウェア健康保険組合など、健康保険組合に加入している企業については、各健康保険組合が独自に保険料率を定めるため、今回の保険料率の見直しの対象外です。

また、給与計算上で保険料率を変更するタイミングは、4月に支給日のある給与分からです。健康保険料は、「3月分の保険料を4月支給分給与から控除」というように、「当月分の保険料を翌月に控除」となっているためです。

間違えて3月に支給日がある給与分から保険料率を変更しないよう、お気を付けください。

(3)4月1日からの法改正対応

2022年4月から、育児介護休業法と、パワハラ防止法(中小企業に限る)の法改正が行われますので、3月中に法改正対応の準備をしておかなければなりません。

育児介護休業法の改正に関しては、「育児休業を取得しやすい雇用環境の整備」が義務化されます。

具体的には、育児休業等に関する「1. 研修の実施」「2. 相談窓口の設置」「3. 自社の取得事例の提供」「4. 自社の取得促進方針の周知」、いずれか1つ以上の実施が必要です。

また、本人または配偶者の妊娠・出産を申し出た従業員に対し、育児休業等の制度説明や取得意向の個別確認を行うことが義務化されます。個別確認は、面談や書面交付等の方法により行うこととされています。

(参考)【2022年4月〜段階的に施行】育児・介護休業法の改正ポイントを社労士が解説

パワハラ防止法に関しては、大企業は2020年6月1日から先行で適用されていて、2022年4月からのタイミングで中小企業も対象となります。

具体的な対応としては、就業規則等でパワハラ防止に関する指針等を示すこと、パワハラに関する相談窓口を設置すること、パワハラが起こってしまった場合に適正な対応(被害者のケアや加害者の処分等)、パワハラ相談者のプライバシー保護等が挙げられています。

育児介護休業法も、パワハラ防止法も、しっかりとした社内体制の整備を求めていますので、自社にあった体制を構築して4月を迎えてください。

人事・労務ホットな小話

オミクロン株による第6波は、かつてない規模で感染拡大しています。これまでは従業員に感染者や濃厚接触者が発生していなかった企業でもついに感染者が発生したり、子どもの通う学校が休校したりと、出勤がままならない従業員も増えてきています。

目下、改めて人事労務部門の力量が問われる場面ではないでしょうか。

コロナに感染した従業員に対して傷病手当金や、業務上の感染の疑いがある場合は労災保険の申請を迅速に行い、従業員が安心して、少しでも早く給付金を受け取れるようにしたいものです。

また、子どもの学校の休校により出勤できない従業員に対しては、有給消化や無給欠勤で身を削らせるのは望ましい対応とはいえません。例えば、国が用意した「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」を利用して、特別有給休暇を付与することが望ましい対応です。

このように、既存の法制度や、コロナ対応の助成金・補助金等を活用し、従業員が少しでも安心して働ける職場環境づくりに是非取り組みたいものです。

(参考)新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金について – 厚生労働省

まとめ

コロナ対応を行いながら、並行して新入社員の受入準備や法改正対応など、3月は人事労務担当者にとって大変な月になりそうです。忙しくなると思いますが、無理をせず、頑張っていただきたいと思います。

東京都立大学法学部卒業後、上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。独立後、ポライト社会保険労務士法人を設立し、マネージング・パートナーに就任。「社員から信頼される会社作りをサポートする」を経営理念として、顧問先の支援に当たっている。執筆活動にも力を入れており、WEBメディアへの掲載多数。
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