働き方改革法施行で見直すべき「労使協定」の要注意ポイント


こんにちは、アクシス社会保険労務士事務所の大山です。

いよいよ2019年4月から「働き方改革」関連法が順次施行されます。これら改正法は、正社員、非正規社員を問わず、労働者にとって働きやすい労働環境をもたらすことを目的にしています。

今回は、差し迫った改正法施行に伴う労使協定で見直すべき要注意ポイントについて解説します。

年次有給休暇の計画的付与

企業(使用者)は、正社員、非正規社員を問わず、付与された有給休暇の日数が6日以上である労働者には、年次有給休暇の日数のうち5日を超えた日数について、基準日から1年以内の期間に、有給休暇を計画的に付与できます。たとえば、有給休暇日数が6日なら1日、10日なら5日について計画的付与が可能になります。

ただし、労働者の自発的取得のほかに有給休暇の時季と日数を計画的に付与するのであれば、従業員の過半数で組織する労働組合または、社員代表との労使協定でその詳細を決めておかなければなりません。

労使協定の見直しポイント

  • 計画的付与対象者の範囲規定
  • 計画的付与日規定
  • 一斉付与日と個別付与日規定
  • 対象者への通知規定
  • 計画的付与日の変更規定

※ なおこの労使協定は、労働基準監督署に届け出る必要はありません。

管理上のポイント

  • 自発的に取得する計画的有給休暇日の申告
    (年次有給休暇計画表)
  • 基準日における対象者への通知と通知方法
  • 自発的に取得した有給休暇日数と計画的付与日数との合計が有給休暇日数を超えないよう管理
    (年次有給休暇管理簿)
  • 計画的付与日の変更通知

フレックスタイム制の拡充

従来の労働基準法32条の3で規定されたフレックスタイム制度が一部改正され、これまでの清算期間「1ヶ月以内」が、「3ヶ月以内」になりました。

フレックスタイム制の時間外労働の考え方は、清算期間内の法定労働時間の総枠を超える場合であり、1日や1週間単位での判断は行いません。

この度の法改正で清算期間を3ヶ月以内としたことで、1ヶ月を超える清算期間を規定したときは、1ヶ月ごとに区切った期間の中で、労働時間が平均で週50時間を超えている場合も、その時点で時間外手当の対象になります(清算期間が1ヶ月以内のときは、清算期間内で週平均40時間を超えるとその時点で時間外手当の対象です)。

なお、清算期間が1ヶ月以内のフレックスタイム制は、労使協定を労働基準監督署に届け出る必要はありませんが、1ヶ月を超える清算期間を設定する際は、労働基準監督署に届け出なければなりません。

労使協定の見直しポイント

  • 適用対象部署/対象者規定
  • 1ヶ月超3ヶ月以下の清算期間規定
  • 総労働時間規定
  • 必要ならコアタイム/フレキシブルタイム規定
  • 労働時間の清算規定

管理上のポイント

  • 清算期間開始から1ヶ月間の週平均労働時間の管理
  • 清算期間内の週平均時間外労働時間の管理
  • 清算期間内の総労働時間の管理
  • 労働基準監督署への労使協定の届け出

時間外労働の上限規制

時間外労働時間の規制については、これまでの告示レベルから、労働基準法36条の改正による規定に変わりました。時間外労働を可能にするために労使間でいわゆる「36協定」を結びます。

36協定(および特別条項)の内容は、以下の通りです。

<1> 原則として「1ヶ月45時間」、「1年360時間」を上限とするの時間外労働

<2> 臨時的な特別事情がある場合は「特別条項」で協定し、

  1. 1年720時間を上限とする時間外労働
  2. 休日労働を含み、1ヶ月100時間を上限とする時間外労働
  3. 2~6ヶ月の期間いずれも、休日労働を含んで月平均80時間以内の時間外労働
  4. 対象期間の1年間に法定労働時間を超える時間外労働時間数が、原則として1ヶ月45時間を超えることができる月数は6回以内

この改正労働基準法では、罰則規定が加わったことで、昨今の過労死等の社会問題もふまえ、労働基準監督署による監督が厳しくなることが予想されます

改正労働基準法36条に従った「36協定」の労働基準監督署への届け出が遅れないよう特に注意が必要です。

なお、建設事業、自動車運転業務、医師については、2024年4月1日まで適用を猶予され、新技術・新商品等の研究開発業務については、適用が除外されます。

また、その他の注意点として「高度プロフェッショナル制度」の対象になる労働者は、「36協定」から除外しなければなりません。

労使協定の見直しポイント

  • 労働時間の延長や休日労働をさせることができる労働者の範囲
  • 対象期間(1年間とする。以降1年単位で延長)
  • 労働時間の延長や休日労働をさせることができる事情
  • 対象期間における1ヶ月、1年についての時間外労働時間の上限、休日労働の日数
  • 必要なら特別条項の作成
  • 対象期間に適用できる回数(6回まで)

管理上のポイント

  • 業務に効率性、生産性の向上、労働環境の改善
  • 残業、休日出勤時間管理
    【月45時間】
    健康確保措置の実施、実施記録の保管、月45時間超えをカウント(6回まで)
    【月60時間】
    以後50%以上の割増賃金(中小企業は、2023年4月施行)
    【月80時間】
    時間外・休日労働合わせて2~6ヶ月の平均が80時間にならないよう管理、80時間超えを該当者に通知、産業医等に情報提供
    【月100時間】
    月100時間にならないよう徹底管理
    【年720時間】
    年720時間にならないよう徹底管理
  • 上限時間を超えない管理監督(振替休日の取得推進等)の徹底
  • 労働基準監督署への36協定、特別条項の届け出

おわりに

いよいよ施行が迫った働き方改革法。

いまいちど各社の状況を見直しつつ今回紹介したようなポイントをおさえ、必要な対策を施してください。
(了)

【編集部より】働き方改革関連法 必見コラム特集

働き方改革関連法 必見コラム特集
働き方改革関連法

【こんなことがわかります】ついに施行された「働き方改革関連法」。“70年ぶりの大改革”とも言われるこの改正法について、人事労務担当者が知るべき、必見コラム集をお届けします。

  • 働き方改革関連法の優先対応事項
  • 「時間外労働の罰則付き上限規制」の注意事項
  • 36協定や特別条項は見直すべきか
  • 「年次有給休暇管理簿」の作成・保存義務とは?
社会保険労務士 大山 敏和

神奈川県央、厚木市に事務所を構えるアクシス社会保険労務士事務所代表。東名厚木インター至近につき他都県にも対応可能。中小および創業間もない企業の人事労務、労働・社会保険のみならず、人材育成コンサルティングに至るまでカバーし企業の成長をサポートします。助成金受給は人事面での優良企業の証として積極的に提案し、長期間にわたる社内環境の整備と受給手続きに対応します。
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