HRテクノロジー導入におすすめのタイミングとは?【はじめてのHRテクノロジー #2】

2020.08.19 ライター: 山岸 慎治

こんにちは。認定NPO法人カタリバの山岸慎治です。

「はじめてのHRテクノロジー」をテーマに、これからHRテクノロジー導入を考えている方に向けてHRテクノロジーがもたらす効果や、サービスを選ぶ上でのポイントをお届けする本連載。

前回、「HRテクノロジーは従業員体験をどう変えるのか?【はじめてのHRテクノロジー #1】」では、HRテクノロジーと従業員体験や会社文化の関わり、HRテクノロジーを導入する上でのポイントを解説いたしました。

第2回となる今回は、より具体的なHRテクノロジー導入におすすめのタイミングについて、過去にスタートアップや2,000名規模の大企業で導入を担当した経験をもとに解説いたします。

HRテクノロジーにできないことを抑えておこう

この記事を読まれている方は、HRテクノロジーの新規導入やサービス乗り換えを検討されているのではないかと思います。
HRテクノロジー導入にあたり一番大事な心構えは、HRテクノロジーは全ての課題を解決できる魔法の杖ではないということです。この点を抑えた上で、導入検討を進めるようにしましょう。

データを分析・活用するためには運用担当者のスキルが必要となる

まず第一にデータの活用方法が挙げられます。HRテクノロジー導入の大きなメリットとして、紙でのアナログ運用時と比較してデータ取得の容易性がある点が挙げられます。どのサービスもCSV等によるデータ出力をサポートしていることがほとんどです。

しかし、データ分析の観点から考えると、2020年8月現在、各サービスのデータ分析ツールは不十分であることが多く、簡単な属性情報や時系列情報を取得できても、フィルタリング機能や過去と今後の傾向の分析に関してはまだまだ痒いところに手が届かないのが現状です。また、分析はできても、それをどのように活用するかの指示まではしてくれません。

一方で、経営者や管理職からはHRテクノロジー導入によってデータを分析し、経営に活用することを期待されます。そのためこれからの人事担当者はサービス機能に頼るだけでなく、自身のデータ分析・活用能力を高めることが求められます。将来的には、ExcelやPython、Kaggle等を活用したデータサイエンス領域の習得が必須となる時代が来るかもしれません。

従業員の理解と協力なしでは成果は出ない

次に、どんなに優れたサービスを導入しても、従業員が利用してくれなくては意味がありません

社内のステークホルダーの巻き込み方は、次回の記事にて詳細に触れますが、サービスを導入しただけで従業員が自ら進んでサービスを利用してくれることはないので、社内への事前周知やマニュアル配布、サポートデスクの設置、利用しない従業員への地道な声掛けなどが必要となります。

このように、HRテクノロジーは「運用」の観点が欠かせないと覚えておきましょう。

HRテクノロジー導入を検討した方がいいタイミングとは

HRテクノロジーの新規導入や既存サービスとの乗り換えにおいて一番難しいのは、サービスの導入タイミングではないでしょうか? もちろん、導入タイミングは各社固別の状況によって変わるのですが、導入におすすめのタイミングについて、よくある一般事例をいくつか挙げて解説します。

既存サービスの契約期間が切れるタイミング

非常に単純な理由ではありますが、パッケージ型やオンプレミス型からクラウド型に乗り換える一番の理由はこちらなのではないでしょうか。。
契約サービスの更新タイミングは新しいサービス導入の意思決定がしやすいです。

ちなみに、給与計算や勤怠管理のように、法律や料率の変化に合わせないといけない業務の場合、パッケージ型やオンプレミス型では毎年のように新しいバージョンのソフトを購入する必要があります。しかし、クラウド型は契約を切り替えることなく、常に最新の法律や料率に適応できるため、クラウド型を導入するだけで定期的な切り替え業務が減るコストメリットがあります。

会社のフェーズ変化に合わせたタイミング

会社フェーズの変化には大きく2つのタイミングがあります。

1.従業員が増えるタイミング
2.人事担当スタッフ/拠点が増えるタイミング

1.従業員が増えるタイミング

一般的に、HRテクノロジーは、各サービスごとに最適な利用人数が想定されています。従業員が増え、この水準を上回るタイミングはサービス変更を検討するのにおすすめです。もし水準を上回る従業員データを入力すると、勤怠や給与の締め処理などの速度が非常に遅くなってしまい、僅かな修正をする度に処理の待ち時間が発生するなど、締め作業に大幅な時間がかかってしまいます。

また、中小企業やスタートアップ企業など、そもそも今までは従業員数が少なくHRテクノロジーを導入しなくても手作業で事足りていたという場合もこちらに当てはまります。基本的には社員数に関わらず、できる限り早くサービス導入をした方が、データ管理や蓄積、分析といった面で考えると良いでしょう。

個人的な感覚としては、社会保険手続きは外部委託、それ以外は内製している場合、遅くとも社員数が20名を超えてきたら勤怠・給与・採用管理はサービスを導入した方が良いと考えます。

2.人事担当スタッフ/拠点が増えるタイミング

人事担当スタッフ/拠点が増えるタイミングも新サービス導入のタイミングとしておすすめです。なぜなら、パッケージ型やオンプレミス型の中には同一拠点内や担当者1人での利用に最適化されているサービスが多いためです。

そのため、拠点が増えて各拠点に人事担当が配属される場合や、人事は同一拠点内であっても従業員が複数拠点に分かれていて各拠点に担当が付く場合に、「ある拠点の処理が終わるまで別の拠点は作業ができずに待たされる」といった事態が発生しかねません。

上記は運用でカバーできる部分もあるのですが、日々の業務のストレスや緊急で対応しないといけなくなる事態を想定すると、より大人数・多数拠点利用に適しているサービスへの乗り換えを検討した方が良いでしょう

会社の事業年度や36協定開始日

こちらは既にHRテクノロジー導入が決定していて、いつから導入するかという話に近いですが、会社の事業年度や36協定の開始日に合わせるのはおすすめです。理由としては、勤怠や給与といった労務関係の業務に関して、期の途中でフォーマットが変わってしまうと、期間中の集計業務に影響が発生する可能性があるためです。採用管理や入社手続きなどはそれほど神経質になる必要はありませんが、労務関連の業務は気をつけなくてはなりません。

しかし、事業年度などに合わせると、時期を逃すと1年待たないといけなくなってしまう可能性もあります。ですから、少なくとも事業年度や36協定有効期間の開始日から導入日までの期間中のデータを取り込み・確認するのに十分な期間を年度末・36協定終了日から逆算して、余裕を持って導入するようにしましょう。

おわりに

今回はHRテクノロジーを導入するにあたり、「前提として知っておきたいHRテクノロジーにできないこと」と「おすすめの導入タイミング」の2点について解説いたしました。

第3回となる次回の記事では、より具体的な、自社にマッチするHRテクノロジーの選び方についてを解説するので、そちらもあわせてチェックしてください。

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山岸 慎治

認定NPO法人カタリバ 教育コーディネーター。映画祭イベント運営や人材派遣会社管理部門を経て、合同会社DMM.comにて人事労務、株式会社POLにて人事全般を担当。現在は東京を離れて、福島県の「福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校」にて外部教育コーディネーターとしてキャリア教育等に従事。
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