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「IT土方」はもう古い! 元エンジニアの社労士が語る「IT技術者の未来」が明るいワケ

2017.07.13 ライター: 社会保険労務士 吉田 崇

一昔前まで、時代の最先端を行く職業として多くの理系学生の憧れだった、SE(システムエンジニア)をはじめとした「IT技術者」。

しかしここ数年、IT技術者の人材難が叫ばれ、採用で苦戦を強いられる企業が増えているようです。その原因としては、市場の拡大に人材供給が追いつかなくなってきているという側面がある一方、「IT土方」という言葉に代表されるように、「IT業界にブラックなイメージがつきまとっている」ということがあげられるかもしれません。

深夜まで続く残業、納期が近づくと会社への泊まり込みもザラ、恵まれた賃金を貰える企業は限られる……、そのようなイメージをお持ちの方もいらっしゃることでしょう(もちろん、そういう環境の企業だけではなく、恵まれた素晴らしい環境の企業もたくさん存在します)。

ではなぜ、IT技術者が置かれる環境には、前述のような「ブラックなイメージ」がつきまとうのでしょうか?

エンジニア IT技術者

IT技術者が激務に陥り「IT土方」になってしまうワケ

元エンジニアの社会保険労務士である私が、構造的な課題をもとに「IT技術者が激務に陥りやすいワケ」を探ってみます。

まず、大手の元請けが下請け企業を支配し、下請けに仕事を丸投げすることで、末端のメンバーは「単なる作業要員」として扱われるといったIT業界の産業構造があります。

構造が似た建築土木業界と重ね合わせ、「デジタル土方」「IT土方」などと揶揄されたりもします。

カーストの下端では納期が厳しく残業が嵩む一方、支給額も厳しい

このITカースト制度の下端に近づくほど、納期は厳しくなります。

人的リソースもギリギリの状況の中で、厳しい納期に間に合わせるためには、日々深夜まで残業することを余儀なくされます。

しかし、下請けの零細IT企業では、従業員の残業代を支払う余裕がなく、低賃金で働かせたり、サービス残業を強要したりといった劣悪な環境に陥りやすい状態が続きがちです。まさに「IT蟹工船」……!

会社としての人事労務面の問題は当然ありますが、それは会社だけでなく「産業構造の課題」として、社会全体で改善を図っていく必要がありそうです。

「IT技術者」の未来が明るいワケ

このように、IT技術者の環境はネガティブに見られがちですし、解決すべき課題はたくさんありますが、なにも暗い話ばかりではありません。

IT技術者といっても、多岐にわたるので、一概には語れないのですが、産業としてみても多くの機運があります。

今後も盛り上がりを見せるスマホシフト

ここ数年スマートフォンの普及に伴い、スマートフォンアプリ市場などは今も急速な成長を続けています。

また、2016年には日本のインターネット広告媒体費は1兆円を突破し、中でもスマートフォン広告は前年比130%と成長目覚しく(*1)、ユーザーのメインデバイスがPCからスマートフォンへと移行する「スマホシフト」は、今後も続くと良いでしょう。

「求められる職業」になったばかりか、第4次産業革命の機運も

2017年4月の有効求人倍率がバブル期の水準を超え1.48倍を記録し(*2)、リクルートキャリアによれば転職求人倍率も上昇傾向にあると言われています。

特に「IT系エンジニア」の転職求人倍率3.70倍(2017年5月時点)と、前年同月と比較し+1.00倍と大幅に伸長し、「消費される職業」から「求められる職業」へと変わっているとみて良いでしょう(*3)。

また今後、「第4次産業革命」の目玉となる「人工知能」・「RPA(Robotic Process Automations、ロボットによる業務自動化)」・「IoT(Internet of Things、モノのインターネット)」などの分野が進歩する時代において、SEをはじめとしたIT技術者の需要がますます高まるのは間違いないでしょう。

男子中高生のなりたい職業1位は「ITエンジニア・プログラマー」

更にもう一つ、IT業界にとって光明となる調査結果があります。

ソニー生命保険がネットで独自に行った調査で、2017年3月21日~27日にかけ、中学生200人、高校生800人に将来なりたい職業を聞いたところ、男子中高生のなりたい職業として、プロスポーツ選手や公務員などを抑えて「ITエンジニア・プログラマー」が第1位に輝いたとのことです(*4)。人気職業の数々を差し置いて憧れの職業となっているのです。

これからの未来を作る子供達が、IT技術者という職業に、希望を持ってくれている今だからこそ、「ブラックな業界」などという不名誉なイメージをぬぐい、悪循環を断ち切る覚悟が、IT業界をはじめとしたこれからの産業に求められているのではないでしょうか?

ちなみにこちらのメディア「SmartHR mag.」を運営するSmartHRでは、多くのエンジニアが活躍し、多岐にわたるポジションで募集もしているようですよ。

気になった方はご覧になってみてはいかがでしょうか。

【参照】
*1:2016年 インターネット広告市場規模推計調査 – 株式会社サイバー・コミュニケーションズ
*2:有効求人倍率、バブル期超え 4月1.48倍 – 日本経済新聞
*3:2017年5月の転職求人倍率を発表。5月は1.85倍(前年同月差 +0.15) – 株式会社リクルートキャリア
*4:中高生が思い描く将来についての意識調査2017 – ソニー生命保険株式会社

社会保険労務士 吉田 崇

よしだ経営労務管理事務所代表。関西を中心に、社長と従業員が安心して働ける職場環境作りをモットーに多くの事業所と顧問契約し、 労務管理で成果を上げる。通常の社労士業務の他に、集客、ブランディングコンサルタントとしての実績も多数。一級カラーコーディネータの資格を有し、ポスターやロゴ等のデザイン業務やWeb制作も行う個性派社労士。よしだ経営労務管理事務所 公式サイト
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