海外ユニコーン企業並みの成長曲線を描くスタートアップの組織作り

2018.08.02 ライター: 藤田 隼

自律駆動型組織をつくる要素 その1「情報をオープンに保つ」

まずは「オープン」について。

前提として、経営陣とメンバー間で持っている情報が違うと、意思決定がずれてくると思っています。たとえばマーケのメンバーが、「うちの会社、資金が潤沢にあるぞ」と思ったら、恐らくどんどんアクセルを踏んでいろいろな施策を試し、大胆に予算を使うでしょう。

一方、会社のCFOが「ちょっと残高がギリギリになってきたな。予算を絞りたい」と考えたとします。

そうすると、やっぱりこの2人の意思決定っていうのは、なかなか話が噛み合わなくなります。

開発側でも同様で、社長が開発が順調だと思っていて「どんどん、どんどん新しいプロダクトを作っていきましょう、新規案を出していきましょう」と言う一方で、エンジニアたちは「このままお客さんが増えたらデータベースがやばい」と感じている。

このように、お互いに情報を共有できてないと、認識がずれて意思決定や行動が変わってしまいます

そこで、自律駆動型組織をつくる1つのポイントとして、社長が持っている情報と、メンバーが持っている情報を同等にする。SmartHRでは、こちらにすごくこだわっています。

持っている情報が同等なら、意思決定がすごく似てくると思っているからです。

先ほどのマーケティングの例で、たとえば会社の残高が残り4,000万円しかありませんと。その状況下でマーケティング予算にどれぐらい充てられるのか、何を実施するのかといった意思決定を、CFOやマーケチームが一緒にやっていく。

また、開発チームの例では、「データベースがやばいです」ってなると、社長もちゃんと把握して、じゃあどういう手を打つべきなのかをちゃんと議論していく。

持っている情報が同じであれば、メンバーと社長の意思決定は似てくると思っています。

SmartHRがオープンにしている情報

それでは、SmartHRではどういう情報をオープンにしているか?

まず、全てのKPIを全従業員が見られるようになっています。

そのほか、ベンチャーキャピタルや銀行の方との資金調達関係などの重要な議事録も従業員に公開しています。

あとは評価制度をつくるプロセス。この評価制度をどのようにつくっていくか、改善していくかもオープンな場所で議論しております。

会社の銀行口座の残高も、従業員向けにオープンに公開しています。

こちらは、毎週実施している経営会議の議事録です、オープンな場所で誰でも閲覧できるようになっています。

その中で、「今週の残高」というコーナーがありまして、何にいくら使って、いくら入ってきて、これぐらい残高がありますよと公開しています。

また、新入社員が、過去の意思決定経緯を確認するために、過去の議事録も見られるようになっています。現時点(※)で133件、経営会議の議事録があったんですが、133件の経営会議が全部オープンな場所で共有されています。
(※ 2018年6月22日時点)

そのほか、SmartHRでは「Slack」というチャットツールで社内のコミュニケーションをとっていますが、Slackも非常にオープンにやってます。

こちらのグラフは何かといいますと、Slackの管理画面から確認できる「みんなのチャットがどこでされているのか」というものです。

青い線がパブリックチャンネル、つまりオープンな場所で議論されているものです。赤い線がダイレクトメッセージ。あと、黒いのが、プライベートチャンネルという鍵がかかったチャンネルです。

SmartHRでは、パブリックチャンネルでの比率が92%と非常に高い数値になっています。この92%も実はちょっと控えめな日の値で、高い日だと97%を超える日もあります。重要な話もこのオープンな場で共有されております。

ということで、我々の会社は社員がほとんどの情報を能動的に取りにいける状態になっています。

KPIも、サービスの継続率も、マーケティング予算も、全てオープンな場所で確認できます。

しかしながら、能動的に情報を取りにいくだけだと、メンバーの主体性に任せてしまうので、これだけでは足りないなというのを思っております。

そこで我々がどのようなことに取り組んでいるか?

まず、毎週経営会議終わった後に、すぐ従業員を集めて、経営会議の内容はもちろん、どういうプロセスを経て意思決定に至ったのかを、会社側が能動的に共有しています。

その経営会議の状況を伝える場で、リアルタイムにQ&Aをできるシステムを取り入れています。リアルタイムにみんなから質問や意見、要望を上げてもらって、まとめてその場で回答しています。

このように情報を公開し、伝えて、みんなで議論していく。そんな時間を毎週設けております。

あと、これは我々のオフィスの会議室で、奥側が会議室です。

すべてガラス張りで、基本的に開けっ放しで閉めないという運用をしています。評価制度をつくるときや経営会議、あとは株主とのミーティング時も開けっ放しでやっています。

たまに閉めたい気持ちになることはありますが、一度そういうルールにしちゃうとどんどん情報を閉じる方向にいっちゃうと思っています。そのため、強い気持ちで開けっ放しの運用にしています。

SmartHRがオープンにしていない情報

一方で、オープンにしていない情報もあります。

具体的にいうと2つ。

まず、メンバーの具体的な給与です。

おおよその給与レンジは “等級” という形で公開されていて、「あの人、このレンジのどこかにいるんだな」というのは見えるようになっていますが、それはメリットがあると思っています。たとえば「あの人ぐらい頑張れば、自分もあれぐらいもらえる」といったモチベーションに繋がるメリットがあると思っており、等級ごとの給与レンジを公開しています。

一方で、具体的にメンバー間での「どっちが1万円高い」みたいな比較は、ギスギスの温床になって、公開するデメリットのほうが多いと思っているため、具体的な給与は非公開にしています。

もう1つが「1on1」の内容です。1on1とはいわゆる個人面談で、私や各チームのリーダーがメンバーと1on1をする機会がありますが、その話した内容はどこにも公開されません。

これにも理由がありまして、やはりクローズドな状況でしか言えないこともあると思います。これを他の人に共有されるとなると、本当に言いたいことを言えなくなってしまいますので、これはクローズにしています。

とにかく情報をオープンに保つ

繰り返しになりますが、基本的にほとんどの情報はオープンにしたほうがメリットがあると思っています。そして、持っている情報が同等だと、従業員と社長の意思決定も似てきます。

我々としても、とにかく情報をオープンに保つ、これを心掛けています。

それが、まず第1の要素「オープン」でした。

次ページその2「強い価値観」

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藤田 隼

SmartHR Mag. 2代目編集長。ソーシャル系スタートアップでSNSマーケティングや自社メディア運営に携わり、2015年よりメディアに特化した事業会社で複数サイトのディレクターを経験した後、SmartHRにジョイン。ウェブ解析士。
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