SmartHR CTOが語る中長期戦略。徹底的なアプリ開発とAPI対応で「プラットフォーム化」促進へ

2019.03.01 ライター:藤田隼

2019年1月11日に、株式会社SmartHR 2019年全社キックオフを開催しました。

同キックオフにて、SmartHR CTOの芹澤 雅人が「プロダクト開発方針 〜中長期戦略編〜」と題し、発表しました。

その内容を全文書き起こしにてお届けします。

(以下本編)

SmartHR一本で「T2D3」を達成できるか?

先ほど副島さんから、これまでのSmartHRの変遷についてお話がありましたが、僕からは、今後SmartHRを中長期的にどう開発していくかのお話ができればと思います。

突然ですが、問題です。

「SmartHR」というプロダクト一本で、「T2D3」(*)を達成できるでしょうか?
*T2D3:ARR(サブスクリプションの年間売上)が1億円を突破してから、3倍(Triple)×2年、2倍(Double)×3年で売上が伸長するのが理想という、SaaS業界理想の成長スピード

答えは……、

できません。「SmartHR」単体では限界があります。

なので、「SmartHR」だけでなく、更なるプロダクトを開発してアップセルしていく必要がある……ということが、我らがCOO 倉橋さんの長年の研究で明らかになっています。

 

「SmartHR Plus」アプリを量産しアップセルを加速

で、今後の新規プロダクトの開発について、どんな方針を取ったら良いのか?

1つが、ブルーオーシャンを狙って「SmartHR Plus」のアプリ(以下プラスアプリ)を量産しましょうという方針。もう1つが、SmartHRレベルの新サービスを作る方針。

非常に難しい選択なんですが、これをずっと去年(2018年)の下期に話していて、ひとつの答えに辿り着きました。

それは、ブルーオーシャンを狙った「プラスアプリの量産」です。

SmartHRレベルの新サービスをつくるのは、最近爆誕した新規事業チームにお任せできることがわかったので、我々としては、プラスアプリを量産して戦うことに集中し、T2D3に向かって貢献していこうと決めました。

というわけで、2018年は先ほどもあったとおり、ついにプラスアプリが始動した黎明期といえる1年でした。課金基盤改修やAPI改修、フロントエンド技術選定なども進んでいます。

で、2019年どうしたいかというと、Plusアプリの発展期にしていく所存です。

基盤ができたので、たくさんプラスアプリを作って、アップセルをしていきましょう。

 

そもそも「プラットフォームな世界観」とは何か?

というわけで、「プラスアプリ」について、ちょっとその先の話をしたいと思います。

去年開催した「SmartHR Next 2018」で、宮田さんのほうから「SmartHRはプラットフォーム化します」という発表がありました。

そもそもプラットフォームってどんな世界観なのか?

有名なところでいうと「Salesforce」ですね。

SmartHRでも活用していますが、Salesforceにはたくさんのアプリがあります。

これらはSalesforce上で動作していて、単体では使えません。「Evernote」とかはあるんですけど、実は「Evernote For Salesforce」というもので、一般的な完全なるC向けのアプリとはちょっと異なり、別のアプリが動いているイメージですね。

データはSalesforce上に蓄積され、それらが共有されていく流れです。

 

なぜSmartHRはプラットフォーム化に取り組むのか?

じゃあ、SmartHRが今できているのはどういうことかというと、こんな感じですね。

「雇用契約」や「年末調整」などの機能や、「KING OF TIME」「人事労務freee」など各サービスとの連携アプリがSmartHR上に存在していまして、SmartHRのデータを使って動作をしており、各アプリへのログインもSmartHRを経由するという世界観です。

おおよそSalesforceと同じようなつくりになっていて、これはもうプラットフォームですよねと。

何でプラットフォームでやりたいのかなんですけど、3つ理由があります。

(1)既存資産の有効活用

1つは「既存資産の有効活用」。

SmartHR上でプラスアプリをどんどん追加していくことで、既存ユーザーに対して利用促進できるんですね。

また、SmartHR上に溜まっている従業員データをそのまま使えます。例えば、どこかの会社が1から勤怠アプリを作るっていったら、じゃあ従業員データを登録しましょうというとこから始まります。一方プラスアプリであればSmartHR上で作った従業員データが既にあるので、これを使って、すぐに勤怠管理を始められるようになっております。

(2)スケーラビリティの向上

2つ目は「スケーラビリティの向上」ですね。

1つのアプリでどんどん機能を追加していくと、どうしても保守運用性が低下していくという、スタートアップが陥りがちな罠があるんですが、それを回避できます。

あと、いろんなアプリをすばやく作って効果測定をする、トライアンドエラーの速度も向上できます。

(3)機能の多様化

最後3つ目、「機能の多様化」です。

やっぱり1個のプロダクトだと個別カスタマイズができないという足枷があるんですが、プラットフォームとしてアプリを作っていくことで、1つのプロダクトには盛り込めないような機能が実装可能になります。

サードパーティーの参入もできるので、「餅は餅屋」というように、専門家による多様な機能拡充が行えるようになります。

 

で、プラットフォーム戦略を取るとどうなるのか?

簡単にいうと、ユーザーの企業規模が、これからどんどん大きくなっていっても、スタートアップ精神を保ったまま、リーンかつ爆速な開発ができるようになり、まさに弊社にうってつけのスタイルかなと考えています。

 

世はまさに大プラットフォーム時代

ちなみに、今、世はまさに大プラットフォーム時代と言われていまして、私、検証してきました。

これはもう、非常に言われているんですけど、我々SmartHRを含め「バックオフィスSaaS、プラットフォーム目指しがち説」。

ちょっと具体的にどういうことか見ていきましょう。

はい、まずはfreeeさん。freeeさんはAPIエコノミー形成に向けて、オープンプラットフォーム戦略を発表しています。

出典:freeeがAPIエコノミー形成に向け「オープンプラットフォーム戦略」発表、バックオフィス効率化から全社最適化へ – TechCrunch

続いて、カオナビさんも人材データプラットフォーム戦略を発表しています。

出典:人材管理システム市場・3年連続シェアNo.1のカオナビが社員の人事情報を“使える化”する「JOBXフォーマット」を開発「人材データプラットフォーム構想」発表 – カオナビ

ネオキャリアさんもですね。

出典:人事向けクラウドサービスjinjer(ジンジャー)

あと奉行クラウドさんは、直接プラットフォームとは言っていないんですけど、プラットフォームを示唆する事例ですね。

出典:奉行クラウド API連携「API version」

このように、皆さん発表しています。

 

じゃあ、大プラットフォーム時代で、我々は成功できるのか?

もう一個、ぜひ知っていただきたいことがありまして、これはTechCrunchからの引用です。

ちょっと読み上げると、

Slackは、これまで多くの人が失敗したエンタープライズコラボレーションで成功し、その成功の鍵は、オープンなコミュニケーションプラットホームであり、またデベロッパーにとってもフレンドリーだったことにある。
(引用元:Slackの単純な線形のメッセージ集合に文脈性と構造性を与えるSlackボットPingpad – TechCrunch

と書いています。

要は、「デベロッパーにフレンドリーなインターフェイスが提供されていること」と、それが「オープンに提供されていること」がキーになってくるんですね。

このデベロッパーフレンドリーさとオープンさは、私たちSmartHRのAPI品質が保証します。

圧倒的品質と開発スピードで、人事労務プラットフォームのデファクトスタンダードを実現します。

 

「SmartHR」本体はどうなる?

ちょっと「SmartHR Plus」の話ばっかりになったので、「SmartHR」本体のお話を。

こちらの写真は、プロダクトサイトに記載されている機能一覧ですね。

現状は盛り盛りになっています。

で、プラットフォーム化を進めるにあたって理想形があります。これはどうなるのか?

要は、労務系の機能をちょっと削っていったんですね。

というのも、「SmartHR」の“人事情報データベース”としての側面を強めていき、それ以外の機能をプラスアプリ側に移管していきたいという考えがあります。

これは、別に労務領域の開発をやめるとかではなく、プラスアプリとして引き続き強化していくイメージですのでご安心ください。

 

人事情報データベースとしての強化施策

人事情報データベースとしての具体的な強化施策を2点紹介します。

(1)履歴機能

まず1つが「履歴機能」ですね。明日リリースなんですけど(笑)。
履歴機能リリース! 従業員情報の過去情報が確認できるようになります!(1月14日より)

過去から未来の情報を、SmartHRで一元管理できるというのは、プラットフォームとしての魅力になるんですね。それをAPIで履歴データを使えるようにすることで、各プラスアプリにも活用もしていきたいと。

ちなみに、過去から未来の情報を使える労務ソフトは他社にもあるんですけど、やっぱり非常に難しい概念で、ユーザーが使いこなしている例というのはそう多くありません。

これに対し、SmartHRが得意とするUI・UXの部分で使いやすいインターフェイスを提供できれば、かなりの武器になるのではないかと思っています。

(2)申請・承認機能

もう1つが「申請・承認機能」です。

この機能により管理者による従業員情報収集の徹底的な効率化を後押しします。

大手企業さんを中心に、「情報が勝手に書き換えられてしまうのが困る」という意見をいただくことが多いのですが、そのような課題に対して安心してご利用いただける状態にしていこうというのが、「申請・承認機能」です。

こちらも徹底的にAPI対応をすることで、将来的には、各プラスアプリからこの仕組みに乗った依頼を出せるようになります。

両機能とも難易度が高く、当面の間は、この2つの開発にフォーカスしていくことになりますが、どちらもフェーズを切って、少しずつ進めていこうと考えています。

 

おわりに

最後にまとめです。

「SmartHR」の人事データベースとしての側面を強めていき、周辺領域をプラスアプリでどんどん、どんどん強化していく。

このようなプラットフォーム化が進むことで、サードパーティーも参入していただけるといいなと。

Salesforceアプリを提供するチームスピリットさんという会社があるんですけど、上場しているんですよね。「SmartHR Plus」のアプリを作って上場する会社がでてくるといいかなって、裏目標として密かに思っています。

それでは皆さん、2019年も頑張りましょう!

以上です。ありがとうございました。
(了)

■ SmartHR API 活用事例
SmartHRのAPI活用で「人事システム内製化」を実現。コスト削減効果 年間約960万円 ― ラクスル株式会社
分散した社員情報をSmartHRで一元管理。さらに電子申請の活用で業務時間が1/3に。 ― ALH株式会社

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藤田隼

SmartHR ガイド編集長。ソーシャル系スタートアップでSNSマーケティングや自社メディア運営に携わり、2015年よりメディアに特化した事業会社で複数サイトの制作ディレクターを経験した後、SmartHRにジョイン。
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