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電子的控除証明書を活用して保険料控除申告書の提出確認をスムーズに

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目次

こんにちは。SmartHRカスタマーサクセスマネージャーの得能です。
年末調整は取り扱う書類が非常に多く、とくに保険会社などが交付する控除証明書を書面で収集するのは手間も時間もかかり、大変ですよね。

控除証明書は、電子的に提出・送信できるように

国が推進する年末調整の電子化に伴い、平成31年から保険会社などが書面で交付していた控除証明書は、電子データ(以下「電子的控除証明書」)で交付できるようになりました。

これまでは、手入力された申告内容と紙の控除証明書との内容確認に大変な手間がかかっていたかと思います。電子的控除証明書を利用した申告を受け付けることで、申告内容の確認は「電子的控除証明書で申告された」ことだけを確認すればOKとなります。

SmartHRでも2022年版の年末調整機能から、電子的控除証明書を用いた保険料控除申告に対応しています。
今回は電子的控除証明書での申告受け付けをスムーズに開始するためのポイントについて、事例を交えながらご紹介します。

SmartHRで電子的控除証明書を利用して申告する方法

SmartHR管理者側の対応

SmartHR管理者がすべき対応は2点。SmartHR上で必要な設定は1箇所のみです。とても簡単に電子的控除証明書を用いた申告の受け付けを始められます。

1. 電子的控除証明書の申告を受け付ける設定を行います。

SmartHR年末調整機能にて、[依頼グループ設定▼]>[書類・原本設定]の[生命保険および地震保険の電子的控除証明書の申告受け付け設定]で[申告を受け付ける]を選択。

※デフォルトの設定では「申告を受け付けない」が選択されています。必要に応じて、ON/OFFを[書類・原本設定]画面で切り替えてください。

(参考)電子的控除証明書を受け付けるかどうかを設定する−SmartHRヘルプセンター

2. 電子的控除証明書の受け付けを開始したことを従業員へ案内します。

SmartHR年末調整機能の設定画面において、電子的控除証明書の申告を受け付けるか、受け付けないかを、選択できる様子。

従業員側の対応

従来の紙の控除証明書を用いた申告では「紙の控除証明書(原本)を保管→手入力→写真撮影→会社へ郵送」といった手間がありました。しかし、電子的控除証明書を使えばデータをアップロードするだけで保険料控除を申告できます。手入力や原本の郵送も必要ありません。

1. 【一覧】主要保険会社の電子的控除証明書のダウンロード先などから自分の加入している保険会社が電子的控除証明書の交付に対応しているか確認します。

2. 該当のWEBページから電子的控除証明書をダウンロードします。
※該当年度の電子的控除証明書のダウンロード開始期間は、各保険会社HPにてご確認ください。

3. 年末調整申告の際に、電子的控除証明書のデータをSmartHR上にアップロードすれば完了です。

SmartHR年末調整機能の従業員申告画面において、電子的控除証明書アップロードボタンが表示されている。

従業員に電子的控除証明書を利用してもらうための工夫

電子的控除証明書の受け付けを開始することで、管理者と従業員、どちらの手間も減らせることがわかりました。

では、どうすればより多くの従業員に電子的控除証明書を利用して申告してもらえるのか?気になる担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。

2022年版の年末調整機能をご利用頂いた企業の中で、電子的控除証明書での提出率が高い12社にヒアリングした内容を4つのポイントにまとめてお伝えします。

(1)しっかり事前アナウンスする

従業員に電子的控除証明書で申告してもらうためには、まずその存在を知ってもらう必要があります。年末調整アンケート配信の約1〜2か月前を目安に複数回アナウンスしましょう。

また、どのような場所、手段でアナウンスするかも重要なポイントです。どうすれば、全従業員に目を通してもらえるかを考えながら事前アナウンスの方法を検討してみてください。

事前のアナウンスを心がけた事例

  • 年末調整アンケート上のヒントメッセージだけでは見てもらえるか不安だったため、保険料の申告方法に関して独自のリーフレットを作成し、文書配付機能を使って、そのPDFを事前に配布しました。(I社 / 試験・検査・研究調査事業 / 890名)
  • 年末調整アンケート配付の1か月前に「控除証明書が手元にあるか確認してください&今年から電子的控除証明書での申告を受け付けます」というアナウンスをしました。(A社 / 情報通信業 / 1,390名)
  • 年末調整が開始するよ、とアナウンスするためのポスターを作成し、主要保険会社の電子的控除証明書のダウンロード先が記載されたSmartHRヘルプページのリンクを記載しました。(S社 / 業界非公開 / 人数非公開)
  • 従業員向け説明会の資料の内、スライド1枚分を使って電子的控除証明書について説明しました。その際、主要保険会社の電子的控除証明書のダウンロード先一覧を記載しました。その後、追って全従業員が使用しているチャットツールで再び同じ内容をアナウンスしました。(M社 / インターネット附随サービス業 / 1,920名)

(2)電子的控除証明書での申告を“強く”推奨する

「電子的控除証明書で申告して欲しい」という会社の方針や労務担当者の想いが伝わる表現を心がけましょう。アナウンスだけでは不十分だと感じる場合は、電子的控除証明書で申告したくなる、しなくてはならない仕組みづくりも有効的です。

電子的控除証明書の申告を推奨した事例

  • 紙面送付を許可するのは、電子的控除証​​明書の交付に対応していない保険会社などに加入している従業員のみにしました。(G社 / アパレル業 / 600名)
  • 「できる方はぜひ活用してください」という半強制的なトーンでアナウンスしました。(Y社 / コンテンツの企画・制作業 / SmartHR利用人数680名)
  • 「今年から年末調整がSmartHRになります。電子的控除の交付に対応している保険会社に加入の方は電子での申告になります(対応していない・取得していない場合は従来どおり紙でも問題ありません)」とアナウンスしたところ、文脈的に必須と受け取った従業員が多かったようです。(S社 / 業界非公開 / 人数非公開)
  • 電子的控除証明書での申告者数を更に増やしていくため、来年は電子的控除証明書で提出される方のみ提出期限に余裕を持たせる運用にすることを検討しています。書類チェックの工数が減るので、その分を従業員のメリットとして還元するようなイメージです。(R社 / 人事・採用コンサルティング業 / 200名)

(3)メリットを伝える

電子的控除証明書を各自で保険会社からダウンロードする必要があるという情報だけでは、一見、従業員の負担が増えたような印象を持たれる可能性もあります。
電子的控除証明書で申告をしたいと思ってもらえるようなポイントもアナウンスしていきましょう。

  • 年末調整アンケート項目への手入力が不要になる
  • 控除証明書の原本提出が不要になる
  • その他各社の運用による従業員側のメリット など

(参考)年末調整手続の電子化について ~従業員準備編~ - 国税庁

(4)具体的な手順を案内する

従業員が迷わずに電子的控除証明書で申告できるよう、以下を参考に手順をご案内してください。

※上記は2022年版のSmartHR年末調整機能に関する情報であり、2023年版以降の機能では変更する内容が含まれる可能性があります。

【事例】従業員向けアナウンス文面

2022年の年末調整にて実際に使用された従業員向けアナウンス文面を、クラスメソッド株式会社(技術コンサルティング業 / 520名)よりご提供頂きました。

2022年における年末調整業務の概要・スケジュール

年末調整アンケート配信時期:10月末
アナウンス時期:8月(プレ案内)、10月中旬(利用案内)
アナウンス方法:チャットツール、クラウドメモツールを使用し、全従業員向けにアナウンス

従業員向けアナウンス文面

​【8月末(プレ案内)】

令和4年分の年末調整より、控除証明書の電子データの利用が一部可能となりました。

  • 対象は、生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書です
  • 電子データを使用することで、申告書の入力や証明書原本の提出を省略できます
  • 電子データの受領可否/方法については、保険会社ごとに異なるため、各自で保険会社への事前確認が必要です
  • マイナポータルとの連携はありません。

▼SmartHR案内ページ

【年末調整機能】電子的控除証明書に対応!保険料控除証明書のペーパーレス化を実現

詳細については、令和4年分の年末調整の案内時(10月中旬ごろ)に改めてお知らせします。

【10月中旬(利用案内)】

令和4年分 年末調整のお知らせ

10月下旬頃からSmartHRシステムで令和4年分の年末調整を実施いたします。

詳細について後日お知らせしますが、今年度は一部控除証明書(保険料控除証明書、地震保険控除証明書)の電子データの利用が可能となります。

電子データの取得方法は保険会社により異なりますので、各自でご確認いただき事前準備をお願いいたします。

このように、丁寧なアナウンス文面を作成することで、従業員の電子的控除証明書に対する理解を深められます。

電子的控除証明書での申告を受付した労務担当者の声

実際に、SmartHRにて電子的控除証明書の申告を受け付けたお客様の声を紹介します。自社で導入検討する際の参考にしてみてください。

  • 書類チェック時、「電子的控除証明書による提出だ」ということを確認するだけで済んだ点がよかったです。​(I社 / 試験・検査・研究調査事業 / 890名)
  • チェック業務の負担が減り、大変助かっております。実施してみての課題として、事前にもっとアナウンスすればよかったという大きな反省があります。年調申告受付開始の2日前に上述の全社アナウンスを出したのですが、保険会社のマイページ登録等々を行う社員が少なかった/間に合わなかったのかなと推察しております。(M社 / インターネット附随サービス業 / 1,920名)
  • 電子的控除証明書で提出された分はチェック業務を軽減できました。数字や内容が確認不要となり、証明書の原本回収も不要、原本の提出有無の確認も不要だからです。一方で、控除証明書のPDFデータを提出すればそれが電子的控除証明書になると誤解している従業員もいたため、今後も丁寧な説明が必要であると感じています。(C社 / 技術コンサルティング業 / 520名)
  • 電子的控除証明書の取得方法についての問い合わせが多かった印象です。来年は、各保険会社の電子的控除証明書の提供方法をよく確認してもらえるようにアナウンスを強めたいと思います。(T社 / コンテンツの企画・制作業 / 220名)
  • SmartHRを利用した年末調整が初めてだったこともあり、従業員が「今年から全部電子になるんだ」と捉えてくれた部分も大きいと思っています。強制はできないので、とにかく声掛けをしていくことが大事な気がしています。​(S社 / 業界非公開 / 人数非公開)

電子的控除証明書で申告した従業員の声

SmartHRの年末調整アンケートで電子的控除証明書による申告をした従業員の声も紹介します。ペーパーレスで効果を感じている方が多い反面、電子的控除証明書で申告できることに気づかず悔しい思いをした方もいるようです。従業員にもよい効果を感じてもらえるよう、ぜひ導入を検討してみてください。

電子的控除控除証明書で申告した方の声

  • 申告はすごく楽でした!ただ、ファイルのダウンロード方法が保険会社によってさまざまだったので、各社よりスムーズなダウンロード方法で案内してもらえるとよりよくなると思いました。
  • 入力箇所が減って、楽になりました。
  • (加入していた保険会社がすべて電子的控除証明書に対応していたため)ペーパーレスで年調できました。電子ファイルを入手して申請できたので、オフィスに送るものがなかったです!

電子的控除控除証明書で申告できることを見逃していた方の声

  • 紙で申告後に気づきました。「電子証明書で提出すれば原本提出は要らなかったのか…。 来年からそうしよう…」と思いました。
  • 生命保険を紙ベースで登録した後にふと保険会社のサイトを見に行ったら電子でダウンロードできたようです。最初から電子でやればよかった…。

電子的控除証明書を利用して管理者と従業員の負担を削減

今回は、「電子的控除証明書」を利用した年末調整申告の受付方法、及び提出方法をご紹介しました。

電子的控除証明書を利用することで、年末調整申告をする従業員も、申告内容を確認する管理者(労務担当者)も負担を削減でき、ペーパーレスによる業務効率化に直結します。

ご紹介した事例を、運用方法や従業員への周知方法の検討に活かしていただけたら幸いです。

お役立ち資料

3分でわかる!ペーパーレス年末調整

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