労務工数を1/3にした業務効率化秘話。「人事システム」をフル活用した新時代の労務とは?【元マテリアルグループ 杉原 紗矢さん】

2019.03.28 ライター:藤田隼

2019年2月21日に、「SmartHR UserMeetup vol.3 〜SmartHRで始める労務改革〜」を開催しました。

本稿では、同イベントにおける、元マテリアルグループの杉原 紗矢さんのライトニングトーク内容を全文書き起こしでお届けします。
合同会社DMM.com 篠﨑 孝太さんのライトニングトーク内容はこちら

以下本編です。


こんばんは。元マテリアルグループの杉原と申します。皆さま、よろしくお願いいたします。

「SmartHRで始める労務改革」と題しまして、“労務未経験だったからこそできた労務業務の改善”と、“SmartHRを活用した業務標準化”についてお話しできればと思っております。

まず、簡単に自己紹介です。マテリアルグループ全体の規模は約120名の会社でして、労務業務は在籍当時1人で行っておりました。私は、10名以下の規模ぐらいのタイミングで入社して、その後、広報支援を行った後、2015年から経営企画室に異動して、人事や労務を担当しました。

2018年の11月末で退職しまして、現在はフリーランスとして、企業の人事労務のサポートをしているほか、今後は働き方と向き合う企業のサポートにも関わっていきたく、大学と共同研究などを行っております。

元マテリアルグループ株式会社 経営企画室 HRグループ 杉原 紗矢さん。10名以下の規模から株式会社マテリアルにジョインし、営業・プロモーターを経て、2015年に経営企画室HRグループに異動。主に新規事業のサポート・人事に従事し、2017年2月からは労務も兼務。勤怠・給与計算・経費精算・ワークフロー・採用管理システムの見直し及び導入のほか、顧問社労士と連携し労務監査の実施と規定整備や改善への対応、フレックスタイム制への移行などを手がけた。現在はフリーランスとして、企業の人事労務サポートや大学との共同研究などに取り組む。

「突然の引き継ぎ」を乗り越えた3つの取り組み

まず、私が労務を担当するようになったきっかけをお話しすると、前任者の退職時に後任がいなかったため、それまでの仕事に加えて2017年2月から労務業務を担当することになりました。

それまで、私は労務に携わったことも知識も全くない状況でした。

引き継ぎをとおして、社会保険等の手続きや社員情報管理、給与計算など、労務の業務が多岐に渡ることを、ここで初めて知ります。

会社の労務環境がどうなっていれば理想的なのかもわからなかったので、まずは全体像を知るために、逆算して考えてみることからスタートしました。

そして、主に3つの軸を中心に、労務業務に着手しました。

1つ目は「労務監査」、2つ目は「社員のデータベースの作成」、3つ目は「業務の再整理」です。

(1)労務監査

まず「労務監査」です。

独学で学ぶ道もあったのですが、毎月行われる労務業務をスムーズにこなさなければいけないため、まずは自社の状況を把握しました。労務環境の理想的な状態を、社労士さんと連携して「会社として何が足りないか、どういうことを行っていけばいいか」を把握しつつ進めていきました。

ここで得た学びとして、業務スピードを落とさずに対応するには、自力で何とかするよりも、社外の人との連携も視野に入れたほうが良いと気づきました。

また、労務の全体像を理解しつつ実務をとおして学ぶことで、独学よりも早く労務業務を理解できました。

(2)社員データベースの作成

続いて、「社員データベースの作成」です。

マテリアル社でSmartHRを導入したのは、2016年度の年末調整のタイミングからですが、その時点では社員情報を紙やスプレッドシートで管理していたり、一部SmartHRに移行していたりという状況でしたので、社員情報をSmartHRで一元管理するようにしました

SmartHRで管理するメリットとしては、常に最新の情報として個人情報を管理できることと、入社手続きや年末調整などの年間で発生する労務業務をスムーズに行えることがあります。

ここでの学びとしては、最初に社員のデータベースをしっかり整備しておくと、後々の業務改善もすごくスムーズに進んでいくことがわかりました。

(3)業務の再整理

次に「業務の再整理」です。

前任者が退職したので、労務担当を採用するのか、それともシステムで対応するのかを改めて考えました。

労務監査を通じて色々なことができていない状態だとわかった中で、いきなり人を採用するのではなく、業務の棚卸しと仕組み化をしたあとに、必要に応じて採用に着手するのが良いんじゃないかと結論を出しました。

そして、業務の仕組み化として、システム化を進めました。マテリアルグループではSmartHRで社員情報を一元管理しているので、このデータベースを中心に「どの勤怠システムが最適なのか」、「どういう給与計算システムと組み合わせるとよいか」などを考えました。

人事データベースとなる「SmartHR」を中心に据えたシステム選定

実際に、私がシステム選定を行った際のポイントを紹介します。

まず先ほど言ったように、データベースとなるSmartHRを使っているので、「SmartHRの連携先」を確認しました。

今は多くのシステムに無料トライアル期間がありますので、自社の課題解決に適しているかどうかを一通り試しつつ比較検討しました。

この際、システムのUIやUX(※)が、自分たちにとっても社員にとっても使いやすいか、使っていてテンションが上がるどうかも考える必要もあります。
※ UI:ユーザーインターフェイス。サービス上でユーザーの目に触れる情報。 / UX:ユーザーエクスペリエンス。サービス上で得られるユーザー体験。

また、人事労務の関連領域では、法律や料率などが細かく改定されることがありますので、自動更新に対応しているかは重要です。

それ以外にも、特化型のサービスが良いか、一気通貫型サービスが良いかも自社の課題とあわせて考えると良さそうです。

このような選定ポイントのもと、2017年3月に、社員情報や雇用手続き、勤怠管理、給与計算、経費精算などのシステム連携を進めました。

具体的な流れとしては、SmartHRで入社手続きを行い、社員情報のデータベースを蓄積します。このデータベースを中心に、勤怠管理のAKASHIやMFクラウド給与と連携させ、最終的に給与計算結果をまとめ、SmartHR上でWeb給与明細を配布しています。

その結果、人事労務の効率化が大幅に進み、労務に割く時間が従来の1/3になりましたし、新たな人員を追加することなく業務を遂行できるようになったため、コスト削減効果としても年間数百万円を実現できました。

このあたりのストーリーは、SmartHRさんに掲載いただいた導入事例にまとまっていますので、ご興味ある方はご覧いただければと思います。

ちなみに右のスクリーンショットなんですけれども、記事が出た後に、SmartHR社長の宮田さんがTwitterで「めちゃくちゃ良記事だった」と言ってくださって、すごくうれしかったので、貼らせていただきました(笑)。

ここまでのまとめです。

労務未経験だったからこそ実践できた労務改善は、自分1人の力ではなく、社労士の先生と連携したり、固定観念にとらわれることなく時代に応じた便利なツールを組み合わせたりしながら取り組むことで、大きな業務効率化を図れたんだなと思っております。

引き継ぎがわずか数日で完了。業務標準化の秘訣とは?

冒頭にお伝えしたとおり、私はマテリアルグループを退職して現在はフリーランスとして働いていますが、退職時に実際に引き継ぎを経験しました。

私が労務担当になった際の引き継ぎと大きく違う点としては、SmartHRをはじめ、人事労務に関する各業務がシステム化されていることです。

このおかげで引き継ぎもスムーズにできて、なんと2日ほどで完了しました。

折角なので、システム化による業務標準化のポイントをいくつかご紹介させていただければと思います。

(1)「やり方」でなく「データベース」を軸にする

今までの業務を通して、労務として何を引き継ぐべきか、レクチャーすべきかを考えたときに、「これまでの自分たちのやり方」より「データベースの引き継ぎ」が重要です。

「過去データ」として、「いつ/何を/どのように処理したか」という情報と「そのデータベース自体を引き継ぐこと」がすごく大切なんだと気づきました。

システム化のメリットとしては、過去にどういうことを行ったのか、さかのぼって調べるためのデータへのアクセスが早いことです。

また、システムを使っているため、後任と共通認識・共通言語で進行できるためスピード感も早いですし、システムを通したタスクを実行するので、業務クオリティも一定以上担保できます。

システムの使い方で引き継ぎしきれなかった部分があっても、カスタマーサポートさんがしっかりとチャットサポートしてくださるので、滞りなく業務ができるのも大きなメリットだと思っています。

(2)レクチャーだけでなく実践を

実際の引き継ぎは、後任者に労務経験がある、社員数120名規模という条件下なので、他社さんにおいて必ずしも当てはまるわけではないのですが、2日間のレクチャーとプラスアルファの実践のみで引き継ぎが終了しております。

引き継ぎにあたっては、1日目のレクチャーとして「システムの全体像」と「ログイン情報」。また、2日目には「システムの使い方やデモンストレーション」と「会社独自の運用ルール」を共有しました。

最後は、やはり実践をしてもらうほうが理解しやすいので、入退社手続きや勤怠の締め、給与計算などのタイミングに、横で実際に後任者が実践しているのを見届けました。

そして問題なくうまく実践できていたので、この時点で引き継ぎ完了となりました。

(3)再現性の確認/後任インタビューの実施

とは言っても、自己満の引き継ぎで終わっては意味がないので、「しっかりと標準化されているか、再現性はあるか」を確認するため、引き継ぎ後に後任インタビューしました。

その際、特に困っていることはなかっただけでなく、さらには「SmartHRが使いやすいため、前職の後輩にもお薦めしました」という声もありました。「システムをうまく共用することで、リモートワークなど新しい働き方のスタイルができるんじゃないか」というイメージも持ったようです。

今回は引き継ぎ時の例でしたが、新しくメンバーがチームに加わった際などに、業務標準化のヒントとして、お役立ていただけるのではないかと思います。

SmartHRで始める労務改革

まとめです。「SmartHRで始める労務改革」と題してご紹介させていただきましたが、時代にあわせて労務業務をアップデートすることが特に大事だと感じました。

今の時代、多くの業務効率化ツールがあり、労務をはじめ様々な業務の常識が変わっています。業務の中で、効率化できる部分は効率化し、標準化していく。そして、効率化できたその先で「人」だからこそやるべき仕事に注力することが大切なのではないでしょうか。

これにより、本来取り組みたい労務環境の改善や、ひいては会社全体のパフォーマンス、つまり生産性向上に繋がるという、好循環を生み出せるんじゃないかと思っています。

そのためにもまず、これまでの常識にとらわれることなく業務フロー自体を根本的に見直してみるのが良いのではないかと感じています。

以上でございます。ご清聴ありがとうございました!
(了)

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藤田隼

SmartHR ガイド編集長。ソーシャル系スタートアップでSNSマーケティングや自社メディア運営に携わり、2015年よりメディアに特化した事業会社で複数サイトの制作ディレクターを経験した後、SmartHRにジョイン。
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