「サーベイを取って終わり」ではない。NOLTYプランナーズ式 エンゲージメント改善のKUFU

2022.03.29 ライター:大久保志朗

SmartHRではユーザー同士で交流し、共に人事・労務やSmartHRの活用方法について学びあうコミュニティ「PARK」を運営しています。

 本稿では、2021年11月26日におこなわれたコミュニティイベント「PARK mini〜コロナ禍のエンゲージメント改善を語る会〜」の中から、ユーザー登壇パートのレポートをお届けします。 

今回の登壇者は、企業向けのビジネスツール事業や学生向けの人材育成支援事業を展開する株式会社NOLTYプランナーズにて総務人事を務める、山﨑 健太郎さん。 

NOLTYプランナーズ山﨑さん式の、SmartHRでエンゲージメントを改善する上での「KUFU(工夫)」、ぜひ参考にしてください。

「KUFU」とは株式会社SmartHRの創業時の社名である「株式会社KUFU」に由来しています。 

株式会社NOLTYプランナーズ 山﨑 健太郎さん プロフィール

新卒で入社した企業で人事・総務分野を幅広く経験したのち、2017年4月に株式会社NOLTYプランナーズに中途入社。勤怠管理のシステム化や中途採用の採用単価削減に取り組む。その後、2020年夏のSmartHR導入をきっかけに同年12月から従業員エンゲージメントサーベイとアクションプランの実施に従事。現在は管理部に所属し、「会社をよりよく!」を信念に、会社と従業員がWin-Winの関係になるような人事業務に取り組んでいる。

 

山﨑さんのPARK miniでの発表動画はこちら!

従業員エンゲージメント改善に取り組む背景

エンゲージメントに取り組む背景

従業員エンゲージメント改善を始めた背景は3つあります。

NOLTYプランナーズでは手帳やカレンダーの開発・制作・販売を手がけているのですが、手帳業界は正直、右肩下がりで業績が上がっていないのが現状です。

営業に関しては、売れる・売れないは仕方がない部分があるものの、失注することでモチベーションが下がってしまうので、それ以外の部分でモチベーションを上げたいというのがまず1つ目にあります。

2つ目は、従業員の状態を把握するためです。出社している時であれば「ちょっと暗い顔をしているな」というメンバーがいたら声をかけられたのですが、コロナ禍によるリモートワーク導入によって、以前より顔が見えにくくなりました。

そして個人的な部分になりますが、私は主観で動くところがあるので、「この会社を自慢したいな」「こんないい会社なんだよ!」ということを世の中に広めたいというのが3つ目の理由です。

従業員エンゲージメント改善の流れ

従業員エンゲージメントを改善するにあたって、以下の流れで取り組みました。 

  1. 目的を明確にする
  2. 現状調査(サーベイ)
  3. 分析・課題の特定
  4. 打ち手を決める
  5. アクション・効果測定

1.目的を明確にする

目的を明確にする

サーベイを取っただけで満足してしまう」というのはいろいろなセミナーで「失敗あるある」としてよく出てくると思います。サーベイを取ること自体が目的ではなく、「なぜやるのか?」「どういう状態にしたいのか?」がやっぱり大事です。そして、施策を打つ際にも目的が明確でないと、必要のない施策を打ってしまう可能性があります。 

なので、目的を明確にした上で経営陣とのコンセンサスをとりました。そして、コンセンサスをとった後、実施の目的を従業員のにも伝えるのが意外と重要です。ここでしっかりと目的を共有することで、従業員の人たちも本音で答えてくれたり、サーベイ以外の部分でも声をもらえたりするためです。

また、従業員や経営陣にサーベイ実施についての情報共有をすることで自分の退路が断たれ、忙しくても施策をやるしかなくなります(笑)。人事として、自分自身の逃げ道をなくすことも私はひとつの目的としていました。

2.現状調査(サーベイ)

現状調査

弊社では、SmartHRの従業員サーベイ機能を使ってサーベイを実施しています。サーベイを取ること自体が目的ではないので、「定期的にやらなくちゃ!という強迫観念に駆られることはないのかなと、個人的には思っています。「やれる時に時間をかけてやりたい」という思いもあり、定点観測以外に1on1面談なども取り入れています

設問は45問くらいあるのですが、繁忙期と閑散期、取る時期によっても社員の状況が違うので、毎回全問回答してもらっています。

3.分析・課題の特定

分析・課題の特定 

どの部門の人なのか、そして、勤務時間や残業時間、有休をどのくらい取れているかを見ています。繁忙期と閑散期の差が大きい会社なので、時期によって回答に差が出やすいこともあり、同じ部署で1人に偏ってスコアが悪く出ていないかを見るためにも組織と時間を見ます。

60人くらいの会社なので、一人ひとりの性格や状況が分かりやすく、「この人の(モチベーションが)下がっているのはこういう事情かな」という仮説が立てやすいんです。

それを上長や本人、仲の良い人に聞いたりしながら、その人の精神状態などを立証していく。メンバーの状況が仮説と合っていれば施策に落とし込み、違えば別の方法を考えていきます。 

4.打ち手を決める

打ち手を決める

打ち手を考える際に私が大事にしていることは3つです。

まずは経営陣の声。経営陣に関しては、最終的な決裁権を持っていますから「いいよ」と言ってもらわないと実行できないので、ある程度沿っていく必要があるのかなと思います。 

そして、従業員の声。会社をよりよくするためには、やはり従業員の声がは欠かせません。従業員に居心地が良いと思ってもらうために、「私はこう考えているんだけど」と、同じ部内の人や個人的に仲の良い人などいろいろな人に壁打ちをしています。そうすると、みなさん「それだったらこれがいい」とか反応してくれます。試したことがない方は、一度やってみてもいいかもしれません。

そして、自分の声。正直、私はこれを一番大事にしています。なぜなら、サーベイを始めたのも私の提案からでしたし、みなさんもそうだと思いますが、人事担当は「会社をよくしたい」と一番思っているはずなので、自分の声は大事にした方がいいと思います。

これらを元に、実際におこなった施策を4つご紹介します。

◆社員による表彰制度

従来の表彰制度と別に新たに表彰制度を作りました。というのも、承認欲求のスコアが少し低かったり、経営陣や上司との信頼関係のスコアが少し低く出ていたりしたんですね。

そこで社員の声を聞いたところ「日頃のありがとうをもっと認めてほしい」「こんなことをやっているんだよ」って。それは上司ではなく、一緒に働いている社員に見えている部分なんですよね。

そこで社員が「この人、こんなすごいことをしているんですよ」と推薦して、それに対して「それはいい取り組みだね」「いい心がけだね」と評価して、投票して、表彰する仕組みを作りました。

◆全社オンライン飲み

同じ地域や同じ事務所にいる人でもなかなか一緒に働けなかったり、コロナ禍で新しく入社した人に関しては名前しか知らなかったりすることもあるので、業務外でオンライン飲み会をやりました。

私には娘がいるのですが、娘に適当に絵を描いてもらって、飲み会の際に同僚に「何の絵でしょう?」と聞いてみたこともあります。うちの娘はなかなかの画伯なので(笑)、それだけで1時間くらいは楽しんでもらえたかなと思っています。 

◆管理職向け研修

「もっとコミュニケーションを取った方がいいのではないですか?」という課題から、管理職向けに研修をさせてもらいました。

◆意見を言える「場」づくり

アンケートを作成してオンライン上で意見を言える場を設けました。SmartHRの掲示板に貼って、いつでも誰でもリンクで飛べるようにしています。投稿する・しないに関わらず、意見を言える場があるという安心感が大きかったかなと思います。投稿に関しては大体フィードバックしています。

ただ、これは結構、覚悟が必要です。場合によっては伝え方が厳しすぎる人がいたり、「それはただの不満でしょ」という内容もあるので、伝え方と聞き方には気をつけた方がいいと思います。

5.アクション・効果測定

そして最後にアクションと効果測定。いろいろな人が良いことも悪いこともフィードバックをくれます。だいたい愛あるダメ出しが多いですが(笑)、意見を言ってもらえるってことは関心を持ってもらえていることの裏返し。何でも気軽に言える環境を作っていくことが、従業員エンゲージメントを改善していく上で一番大事かなと思います。 

エンゲージメント改善に取り組んでよかった!と思ったこと

エンゲージメントに取り組んでよかったと思うこと

個人的なところで言うと、人事はオペレーション業務が中心になりますが、「会社をもっとよくしてやろう!」とか「働きやすさランキングに乗れる会社にしてやろう!」とか、夢を持つことで、業務改善を考えることにつながりました。これが1つ目です。

経営陣と従業員、それぞれの思いはありますが、エンゲージメントという言葉が広まって、経営層・従業員共に「会社をより居心地の良い場所にしていこう」という考え方が生まれてきたのが2つ目です。今では「より居心地の良い会社にするためにはどうしましょうか」という建設的に考える方向に少しずつ意識が変わってきています。

3つ目は客観的に自社課題を可視化できるようになったこと。これが一番良かったかなと思います。サーベイを取る前は、直接耳にするものとして給料や評価に対する不満が多いように感じていたのですが、実際にサーベイを取ってみたら全然違いました。それは一部の人の声で、全社的な課題ではなかったとことがわかり、施策の優先順位を変えて取り組めるようになりました

正直、エンゲージメント改善の取り組みをする上で悩んでいること

エンゲージメントに取り組む上での悩み

エンゲージメント改善活動を進める上での悩みですが、まずはシンプルにマンパワーが足りないということが挙げられます。いろいろな業務を並行しているので、サーベイに注力しきれない時期があったり、止まってしまったりすることもあるので、会社としてもったいないなと思っています。

そして、課題解決のための王道パターンがないこと。「従業員エンゲージメント」という考え方の歴史がまだ浅いことと、各社ごとに業界も風土も全然違うと思うので、それぞれの会社ごとに合ったものを探していく必要があると思います。

経営陣からは「これだけやっていたら、もっとスコア上がらないの?」、従業員は「こんなにいろいろアンケートに答えたりしているのに、思ったことやってくれないじゃん」みたいな話がちょいちょい出てきます(笑)。

従業員エンゲージメントは息の長い施策で、「いやいや、そんなにすぐ変われるものではないですよ」と思いながらも、やっぱりわかりやすい結果として見せてあげたい気持ちもあります。エンゲージメント改善の取り組みに対して、全社の視座を上げるのは簡単ではないですが、コツコツと取り組んでいけたらと思います。もしかしたら、私と同じ悩みを抱えている方もいらっしゃるかもしれませんね(笑)。 

山﨑さんからのメッセージ

山﨑さんのメッセージ

エンゲージメント」という考え方自体、まだ日本国内・企業で共通認識を持てていないと思います。メディアで取り上げられることも少ないですし、結果として今日ご参加のみなさんの中にも、壁にぶち当たったり、孤独を感じている方もいらっしゃるのかなと思います。

PARKに参加しているみなさんと一緒に、スクラムを組んで人事業界を盛り上げていきたいと思っていますので、引き続きよろしくお願いします。今日の時間が少しでもお役に立てれば幸いです。 

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大久保志朗

SmartHRガイドの兄弟メディア「SmartHR Mag.」の編集長。リラクゼーションサロン運営会社、デジタルマーケティング支援会社、フリーランスの編集者・ライターを経て2019年SmartHRにジョイン。最近はSmartHRユーザーコミュニティ「PARK」の企画・運営も担当しています。
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