評価が変わると、職場が変わる。現場発の人事評価制度改定【PARK事例勉強会レポート】
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目次
「一生懸命やっているのに、どうしてこの評価なんだろう?」
「人事評価制度が曖昧で、努力が報われている気がしない……」
職場でそんな声を耳にしたことはありませんか?人事評価制度は、社員一人ひとりの努力を正当に評価し、成長をサポートする重要な仕組みです。しかし、運用次第では、評価が従業員のモチベーションを低下させてしまうことも。
そんな課題を共有し、共に考えるために、SmartHRユーザーコミュニティ「PARK」の参加者でもある渡辺 歩さん(以下、歩さん)が、PARK参加者に向けた勉強会を自主的に開催。2024年12月18日、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社(以下、ケンブリッジ)で取り組んだ、人事評価制度の改定事例を共有してくださいました。
歩さんの「同じような悩みを抱えている方に少しでも役立つヒントを届けたい」という想いから生まれたこの勉強会。その内容を詳しくお伝えします。

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社
新卒でJR東日本に入社し、電車の運転士や人事業務を経験。2012年にケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズにコンサルタントとして入社。2018年からはバックオフィスに異動し、経理・人事としてSmartHR活用を推進している。
現場が抱えていた「人事評価の難しさ」
冒頭、歩さんはこう語りました。
「人事評価制度は、社員の成長を支え、会社全体の力を底上げするものです。当社も運用には課題が多く、改善の余地がありました。今回の事例が、皆さんの会社でも何かのヒントになれば嬉しいです」
ケンブリッジは、ITとファシリテーションを活用し、クライアント企業の課題解決を支援するコンサルティング会社。社員の多くがプロジェクト単位で動く働き方をしており、その柔軟性はクライアントに価値を提供する大きな強みです。しかし、この特性が評価運用の難しさを引き起こす要因にもなっていました。

評価制度が直面していた課題
歩さんは、同社の評価制度が抱えていた課題を次の3つに整理しました。
1. 人事評価のフィードバックが遅れる
歩さん
常態当社では「人事評価は評価対象者のキャリアに影響を及ぼす大事なもの。だから腰を据えてしっかり時間をとって作成したい」と多くの社員が考えています。しかし、目の前のプロジェクトワークは常に忙しい。その結果、つい人事評価のフィードバックが後回しになってしまい、期限を守れないことが常態化していました。
2.人事評価作成の負担が大きい
歩さん
「評価対象者が納得して受け入れられる評価を届けたい」という評価者の想いから、評価者が詳細なフィードバックを書く傾向が強く、作成の負担が増していました。過去の評価データを分析すると、評価者が記入する定性コメントの量が増加する傾向が明らかになりました。
3. 統一的な評価基準が難しい
歩さん
プロジェクトごとに背景・難易度・取組むテーマが異なるため、基準の統一が難しく、評価の納得感が得られにくい状況がありました。
動き出した人事評価制度の改定
歩さん
課題を解決するため、現場のコンサルタント3名と人事担当2名が集まり、「人事評価制度改善チーム」を結成。
同チームは、現場社員へのヒアリングを徹底し、課題を洗い出しました。そのうえで、半年をかけて改善策を検討。現場の声をもとに経営陣とも連携し、納得感のある制度設計を目指しました。

どう変えたのか?改定のポイント
歩さんたちが取り組んだ改定のなかから、とくに注目すべき4つのポイントをご紹介します。
1. 評価サイクルを見直し中間面談を導入
歩さん
四半期ごとの評価は頻度が高すぎたため、評価サイクルを半年に変更。そして「中間面談」を設けました。この面談では、進捗確認やフィードバックをライトに実施し、負担を軽減するとともに、タイムリーな対話を実現しました。加えて、評価期限を遵守できたかどうかを報酬制度にも連動させています。
2. 納得できない場合のプロセスを明確化
歩さん
仮に人事評価に納得できない場合、第三者を交えて議論するプロセスを定義しました。「評価対象者が納得するまでフィードバックしなければならない」という、評価者の過度なプレッシャーを抑制することがねらいです。
3. 納得度を数値で可視化
歩さん
人事評価を受領する際に、評価対象者が評価に対する納得度を4段階で記入する仕組みを導入しました。この評価納得度の分布を定期的に集計して推移を可視化することで、人事評価制度の健全性を数値ベースで把握できるようにしています。
4. 社内勉強会を実施
歩さん
人事評価制度の改定に加え、社員全体で制度を深く理解し、運用を円滑にするために、社内勉強会も実施しました。この勉強会では、まず人事評価制度の文書を全員で10分間読み込むことからスタート。その後、簡単な小テストをして、社員同士で採点をする形式を採用しました。最後には、グループディスカッションで気になる点を話し合う場を設けています。この勉強会によって、社員間の理解が深まっただけでなく、人事評価制度の運用に対するポジティブな意識も社内に浸透できました。

人事評価制度が変わると、職場が変わる
歩さん:1年運用してみて感じるのは、少なくとも「人事評価制度を元に戻そう」という声が、社内からはまったく出ていないことです。中間面談の導入はとくに効果が大きかったと実感しています。また、レビュー完了率も向上し、全体の運用スピードが改善されました。一方で、昇降格の判断基準、成果と能力の切り分けなど、新たな論点も浮き彫りになっているため、継続的に議論が必要だとも感じています。
また、今回の取り組みには、「スタートアップのための人事制度のつくり方」(金田宏之著)という書籍が大きなヒントになりました。

SmartHRが支えた柔軟な運用
歩さん:人事評価制度改定で、SmartHRの人事評価機能には本当に助けられました。人事評価システムを社内で開発していた時代と比べて、システム設定の自由度が高いこと。そのおかげで、人事評価制度設計に専念できました。「これ、システムで実装できるかな?」という心配がほとんどなかったのが大きなポイントです。
今回の取り組みを振り返ると、「人事評価制度を見直すなら、現場の声を聞くことが何よりも大事」というのが一番の学びでした。この勉強会が、皆さんの会社での制度改定のヒントになれば嬉しいです。

PARKで次のステップを踏み出そう
今回の勉強会は、歩さんがPARK参加者のために開催し、現場の声を反映した人事評価制度改定のプロセスを具体的に共有してくださいました。この事例には、多くの企業が参考にできるヒントが詰まっています。「自社の評価制度を見直したい」「現場の課題を解決したい」とお考えの方は、ぜひ『PARK』にご参加ください。新たな視点と具体的なアイデアが、きっと見つかるはずです!


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