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    <title>SmartHR Mag.</title>
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    <description>働く明日が、もっとよくなる</description>
    <lastBuildDate>Thu, 30 Jul 2026 01:32:32 GMT</lastBuildDate>
    <language>ja</language>
  
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        <title><![CDATA[「越境」と「自己開示」で組織を動かす。AI時代こそ、信頼で変化を起こす人事へ]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/hr-management/od/executive-premier-talks-nishida-02/</link>
        <pubDate>Thu, 23 Jul 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[経営・組織]]></category>
        <category><![CDATA[組織開発]]></category>
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        <dc:creator><![CDATA[佐々木 四史]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[AI時代に人事担当者が果たすべき役割を、YKK AP株式会社CHRO西田政之さんとSmartHR加藤さんの対話から探ります。「自己開示」と「越境」で信頼を築き、組織の変化を設計するこれからの人事像とは？]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/3Tkwl7X3k9HCGSc1RkKIpB/6f2ba5858fa43410c5c572ce8a6b1be9/896ba4f6-59af-4ee7-a181-d4292a465be0.png" alt=""></div><p>SmartHRでは人事リーダーの皆さまを対象とした少人数制の交流会「Executive Premier Talks」を定期開催しています。今回はライフネット生命やカインズなど多くの企業でCHROを歴任し、現在はYKK AP株式会社でCHROを務める西田政之さんをお招きし、議論を交わしました。</p><p>前編では、西田さんによる基調講演「AI時代における『7つの転換』」をお届けしました。後編となる本記事では、LINEヤフー株式会社で人材戦略の立案・実行などを担ってきたSmartHR 人事統括本部の加藤さんとのパネルディスカッションの様子をご紹介します。</p><p>AI時代、人事の役割はどう変わるのか。組織を動かすために、人事担当者に求められる資質は何か。これからの人事に欠かせない視点を探ります。</p><ul><li><p><b>西田 政之</b></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/43qZ4n7q6gQTinRkuWGpM3/0bc5698b118ef3c0d7d90d71db0b202e/20260525_SmartHR_YKK_AP_%E8%A5%BF%E7%94%B0%E6%B0%8F_115__1_.JPG" alt="" /></figure><p>YKK AP株式会社 専務執行役員CHRO（最高人事責任者）兼 人事戦略本部長</p><p>1987年金融分野からキャリアをスタート。国内外の投資会社でファンドマネージャー等を経験。2004年にマーサーへ入社し人事・経営分野へ転換。2013年に同社取締役COOに就任。2015年ライフネット生命保険株式会社に入社し、取締役副社長兼CHROとして組織戦略を牽引。2021年株式会社カインズの執行役員CHRO兼CAINZアカデミア学長、2023年株式会社ブレインパッドの常務執行役員CHROを歴任し、組織開発や人事強化を手掛ける。2025年6月より現職。</p></li><li><p><b>加藤 昌文 </b></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/4S675h9w7F7YoTw37YZP0q/5f1e08ce6cf37b72979c31880ff7586b/image7.jpg" alt="" /></figure><p>株式会社SmartHR 人事統括本部 HRBP本部 Director</p><p>人材系コンサルティング会社を経て、2016年ヤフー株式会社（現LINEヤフー株式会社）入社。幹部育成やカンパニー長秘書を経て、HRBPとしてコマース領域をはじめとした複数事業の組織設計と課題解決をリード。直近は人材戦略室長として全社人員ポートフォリオや採用戦略の策定、タレントマネジメントを推進し、子会社取締役として新規事業の立ち上げを担うなど、戦略の具体化から現場への落とし込みまで、フェーズに応じた体制づくりを牽引。2026年3月よりHRBP本部 DirectorとしてSmartHRに参画。</p></li></ul><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr-management/od/executive-premier-talks-nishida-01/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2L6640yr8372gIqgCAns1j/6dd75f2b66949bbb117d45e114b1a812/e7ddd43c-eed4-4482-9065-62fe28c15a20.png" alt="" /><p><b>組織が自走し、従業員が成長する。AI時代の人事に求められる「7つの転換」とは？</b></p><p><time dateTime="2026-07-22">2026.07.22</time></p></a></div></div></figure><h2>「自分をさらけ出す人事」が組織を強くする理由</h2><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/1au0dHErps8Yh90DtQoLVy/2b46ef33eeb200eb02a640c85b117ff7/image5.jpg" alt="マイクを持ちながら笑顔で話す西田さんの写真" /><figcaption><p>西田さん</p></figcaption></figure><p><b>加藤さん</b></p><p>人事という立場で組織を動かそうとすると、方向性には賛成でも具体策になると反対が出る、いわゆる「総論賛成・各論反対」で議論が進まない、現場の理解を得るのが難しいと感じることがよくあります。組織は、論理だけでは動かないものだと実感しています。西田さんはこのような課題をどのように乗り越えてこられましたか？</p><p><b>西田さん</b></p><p>組織は本当に、論理では動かないですよね。これは<strong>組織というものが「感情」と「関係性」でできているから</strong>だと思うんです。</p><p>私は、新しい会社に参画し、組織変革に取り組む際には、まず「自己開示ブログ」を書くことにしています。その名のとおり、自分自身をさらけ出すためのブログです。</p><p>そこには、今となっては恥ずかしく思う失敗や、未熟だった頃の経験なども包み隠さず書いています。普通なら人には見せたくないような話もあえて公開しています。</p><p>もちろん、たいていは広報の事前チェックで「それはちょっと、まずいと思います」と指摘され、黒塗りになることもあります（笑）。それでもできる限り公開するようにしています。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/4S675h9w7F7YoTw37YZP0q/5f1e08ce6cf37b72979c31880ff7586b/image7.jpg" alt="マイクを持ちながら笑顔で話す加藤さんの写真" /><figcaption><p>加藤さん</p></figcaption></figure><p><b>加藤さん</b></p><p>「自己開示ブログ」、おもしろそうですね。でもリスクを冒してまで、どうして恥ずかしい話を公開するのでしょうか？</p><p><b>西田さん</b></p><p><strong>「こんな危ないことを書くなんて、コイツは本気だな、覚悟があるな」</strong>って思ってもらえるからです。それが呼び水となって、相手にも本音を話してもらう。そのほうが効果的なんです。コンプライアンスが叫ばれる昨今、余計なことは言わないほうが無難です。その分、<strong>リスクを背負ってでも本音で話す人は目立ちますし、そういう人への信頼感は高まる</strong>んですよね。</p><h2>「従業員との信頼関係」が組織を動かせる人事の条件</h2><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/408ZLfGLpV93XXH3QllAbp/c20f097b3c278c3e90bced57933ba6fa/image6.jpg" alt="お互いに視線を合わせながらマイクを持って話す加藤さんを黙って聞いている西田さんの写真" /></figure><p><b>加藤さん</b></p><p>組織は「関係性」でできているともおっしゃいましたが、「関係性」を強くするためにどのような工夫をしていますか？</p><p><b>西田さん</b></p><p><strong>対面による1on1の場を数多くつくること</strong>を重視してきました。実際に1週間で3,440km移動し、工場や支社を回って30分おきに1on1を繰り返したこともあります。</p><p><b>加藤さん</b></p><p>1週間で3,440kmですか！組織のなかで、誰の声が影響力を持ち、どこで意思決定が動いているのか——そうした社内の「力の流れ」を見極めるためには、やはりそれだけ現場に足を運び、従業員と対面で話すリアルな熱量が重要なんですね。</p><p><b>西田さん</b></p><p>まさにそうなんです。対面による1on1は「1回きりで終わらないこと」も大切です。<strong>2回、3回と繰り返すことで、はじめて従業員から本音が出てくる</strong>からです。従業員の本音を引き出せなければ、社内の「力の流れ」を正確に読み取れませんからね。</p><p>「感情」も「関係性」も強くする手段は同じで、<strong>従業員との本当の信頼関係を築くこと</strong>に尽きます。たとえば、LinkedInなどのSNSでまったく信頼関係のない人から突然「ミーティングしてください」と連絡がきても、貴重な時間を取ってまで応えようとは思わないですよね。従業員も同じで、いくら上司や経営陣であっても、信頼関係のない人に協力しようとは思いません。</p><p><mark><strong>従業員の協力を得て組織を動かしたいと思うなら、対等な目線で「自分は何者なのか」を示し、信頼関係を築くこと。</strong></mark>その土台があってはじめて、従業員は動いてくれますし、人事としての価値も生きてくるのだと思います。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/yMfKIddoRVicCmowHRLOy/dcf05086452493b11316866cb47fca37/image9.png" alt="満面の笑顔でマイクを持ちながら話す西田さんの写真" /><figcaption><p><br></p></figcaption></figure><h2>デジタル化か人間の感性か。AI時代の人事業務の最適解は？<br></h2><p><b>加藤さん</b></p><p>従業員との信頼関係は、数値に表れないものです。人事担当者として、自分が従業員と信頼関係を築けているかを確認する方法はありますか？</p><p><b>西田さん</b></p><p>YKK APでは、一般的なKPI（重要業績評価指標）に加えて<strong>「KHI（Key Human Indicators）」</strong>という指標を設定しました。組織は今、どのような温度感で動いているのか。従業員は自由に発言できているのか。心理的安全性はどのくらい担保されているのか。<strong>KHIは、そうした数値に表れない「肌感覚」を人事担当者が捉えて、推移を追っていくための指標</strong>です。</p><p>このKHIをはじめとする指標から組織の変化の兆しをいち早く捉え、その方向性に合う仕掛けづくりをすること。これが、人事担当者のこれからの大きな役割になっていくはずです。既存の人事業務は、今後AIに置き換わっていくでしょう。<mark><strong>これからの人事に求められるのは、「制度をつくる人」ではなく、</strong></mark><mark><strong>「組織の変化が自然に生まれる環境を設計する人」</strong></mark><mark><strong>。「正解を示す人」ではなく、「</strong></mark><mark><strong>より良い</strong></mark><mark><strong>問いを立てる人」としての役割</strong></mark><strong>です。</strong></p><p>これまで人事は、組織の空気を読んで行動することが多かったのではないでしょうか。しかしこれからは、その空気そのものを変える役割が求められると考えています。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6soNPfuFYHozsFX65ZWzE1/8417f2a5adb3298ccbcc24d9345aac61/image8.jpg" alt="椅子に座りながらマイクを持って話す西田さんとその隣で椅子に座りながら笑顔で聞いている加藤さんの写真" /></figure><p><b>加藤さん</b></p><p>AIの流れや業務効率を考えると、従業員のスキルやパフォーマンスをすべてデータ化し、デジタルだけで管理したいと考える人もいるかもしれません。一方で、KHIはそうしたデジタル一辺倒のアプローチとは一線を画しています。実際に組織設計をする際には、KHIをどのように活用しているのでしょうか。</p><p><b>西田さん</b></p><p><strong>KHIを活用した組織設計は、役割も進め方も曖昧なところが重要なポイント</strong>なんですよ。人間は、なんでも白黒はっきりさせたがりますよね。それが現在のデジタル化につながっています。もちろん、デジタル化や業務効率化は、組織を運営するうえで非常に重要です。でも、これからの人事業務はそれだけではいけないと思います。</p><p>他人の感情や心の機微に関心を持てるかどうかは、人事という仕事において、とても大切な資質だと私は思っています。同じ空間で同じ空気を吸い、言葉を交わすことで感じるものを、目に見える形で表現する。そのための指標がKHIなんです。明確な数値を出すというよりも、ヒートマップのように「大きな方向性としてこちらへ向かっている」という感覚を共有する手段になればと思っています。</p><p>さまざまな業務をデジタル化していくことは、今後も必要でしょう。ただし、<mark><strong>デジタルで管理すべき業務と人間の感性を生かすべき業務とをしっかり区別し、両方を共存させることが重要</strong></mark>です。</p><h2>「越境」で組織の新陳代謝をつくる</h2><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/75qD4pHkSoyUGmqIMbALk9/affb9c4dc49eace6e27b055696783e46/image2.jpg" alt="マイクを持ちながら話す西田さんの写真" /><figcaption><p>西田さん</p></figcaption></figure><p><b>西田さん</b></p><p></p><p>デジタルで管理すべき業務、人間の感性を生かすべき業務という視点で業務を仕分けていくと、人間がやるべき仕事がこれまでとは変わってきていることを実感できるはずです。<strong>「これからの時代、自分の働き方をどう変えていくか」</strong>というのは、人事担当者に限らず、働くすべての人が考えるべきことだと思います。</p><p><b>加藤さん</b></p><p>AIの進化によって、仕事の価値が急速に変化しています。これまで高いとされていた仕事の価値が目減りする一方で、これまでは価値が低く見積もられすぎていたものが見直されはじめています。今はまさに転換期といえますね。そのなかで、組織の新陳代謝を設計する人事担当者には、何が求められるのでしょうか？</p><p><b>西田さん</b></p><p>YKK APでは定年制を廃止しており、シニア活用や若手の頭打ち感の解消は重要な課題です。これからの時代に大事なのは、<strong>単なる最適配置ではなく「メタモルフォーゼ（変態・変容）」</strong>だと考えています。つまり、その人を固定的に捉えるのではなく、新しい姿へと脱皮する機会をつくることです。</p><p>知識そのものの価値が下がり続けるAI時代だからこそ、正解を出すことの価値は相対的に低下していきます。今後求められるのは、<strong>知っていることをもとに問いを立て、異なる世界同士、人同士をつなげて新たな意味を生み出せる人材</strong>です。</p><p>そのために、YKK APで現在取り組んでいるのが<strong>「越境プログラム」</strong>です。これまで同じ会社一筋だった社員の背中を押す仕組みをつくり、スタートアップ企業やNPOなどへ越境させる機会を設ける予定です。<strong>今までとは違う風景や感情に触れ、人と出会うことで、人間としての輪郭が広がり、自己成長につながる</strong>と考えています。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/1mn7edmD8pgEu98kkZ8Sjc/a3d546c551aa83ee7f09844909cf3a0d/image1.jpg" alt="「S」ロゴと「SmartHR」の文字がある青緑色の壁を背景に、マイクを握って話す西田さんと隣の笑顔の加藤さん。" /></figure><h2>「発想の転換」と「信頼関係」で、新時代の大転換に備えよう<br></h2><p><b>加藤さん</b></p><p>新しい時代の基準に沿って、人事担当者の役割や人事業務の仕分けを進めていくには、今後の時代の流れを予測しつつ、根本的な発想の転換が必要になりそうですね。</p><p><b>西田さん</b></p><p>おっしゃるとおりだと思います。今後の時代の流れについては、私は<strong>「平日はフィジカルな仕事に携わり、週末に自由な知的活動をする」というライフスタイルが主流になる</strong>可能性があると考えています。AIの進化とともにフィジカルの需要が上がり、ブルーカラーの賃金が高まれば、現在の労働構造が逆転するかもしれません。</p><p>人事という領域でもまた、これに匹敵するほどの大転換が今まさに起きています。「データを管理する仕事」から、「人と人との関係性を育み、組織の変化を設計する仕事」へのシフトです。</p><p>これまでの常識にとらわれず、ゼロベースで発想を転換すること。そして、新しい発想を実践につなげられるよう、従業員をはじめとする周囲の人たちと信頼関係を築いておくこと。その土台があってはじめて、人も組織も自ら成長し始めます。</p><p>この考え方が、YKK APの人事戦略ストーリー「Architect HR」です。Architect HRとは、制度を設計することではなく、人と組織が自ら成長し続ける環境（生態系）を設計することです。AI時代の人事に求められるのは、まさにその役割だと考えています。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/1Em2BICAqas9qeUejmecGg/c9e368ec83824af3e30dec0c162bd4f3/image3.jpg" alt="Sの形を両手で作るSmartHRの加藤さん、西田さん、SmartHRの六原さん" /><figcaption><p>左からSmartHR加藤さん、西田さん、SmartHR六原さん</p></figcaption></figure>]]></content:encoded>
      </item>
    
      <item>
        <title><![CDATA[組織が自走し、従業員が成長する。AI時代の人事に求められる「7つの転換」とは？]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/hr-management/od/executive-premier-talks-nishida-01/</link>
        <pubDate>Wed, 22 Jul 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[経営・組織]]></category>
        <category><![CDATA[組織開発]]></category>
        <guid isPermaLink="true">https://mag.smarthr.jp/hr-management/od/executive-premier-talks-nishida-01/</guid>
        <dc:creator><![CDATA[佐々木 四史]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[AIの進化で人事の役割はどう変わるのか。YKK AP株式会社CHRO西田政之さんが、人間・組織・評価の前提を問い直す「7つの転換」を解説。組織が自走し、従業員が成長する仕組みづくりのヒントを紹介します。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/5tBqXqiwUrd78hfTrj2GRB/7f24abb5871f2bcb38ed8e49d859e468/9fe7f5db-0c7a-44b4-a254-6dd917e06d8d.png" alt=""></div><p>AIの進化に伴い、人事担当者の役割は大きく変化しています。日々の業務から評価制度のつくり方、組織設計の考え方まで、「何をどう変えればいいかわからない」と悩む方も多いのではないでしょうか。</p><p>SmartHRでは人事リーダーの皆さまを対象とした少人数制の交流会「Executive Premier Talks」を定期開催しています。今回登壇されたのは、ライフネット生命やカインズなど多くの企業でCHROを歴任し、現在はYKK AP株式会社でCHROを務める西田政之さんです。<strong>数々の組織変革を先導し、ご自身も豊富な経営経験をもつ西田さんに、AI時代に求められる人事のあり方を伺いました。</strong>以下、西田さんの講演内容をお届けします。&nbsp;</p><div><div><p><b>西田 政之</b></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2aD9CA4ZqFr5oK56qHUEt7/ebc31f5753ec2f5ea7fb8b476fbc58c0/nishida_face.jpg" alt="" /></figure><p>YKK AP株式会社 専務執行役員CHRO（最高人事責任者）兼人事戦略本部長</p><p>1987年金融分野からキャリアをスタート。国内外の投資会社でファンドマネージャー等を経験。2004年にマーサーへ入社し人事・経営分野へ転換。2013年に同社取締役COOに就任。2015年ライフネット生命保険株式会社に入社し、取締役副社長兼CHROとして組織戦略を牽引。2021年株式会社カインズの執行役員CHRO兼CAINZアカデミア学長、2023年株式会社ブレインパッドの常務執行役員CHROを歴任し、組織開発や人事強化を手掛ける。2025年6月より現職。&nbsp;</p></div></div><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr-management/od/executive-premier-talks-nishida-02/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2SC9ZrlfikdCzg5RFGbYuj/d1c25d2c484ad8b38a3a02f50b8d73e5/ba40e17e-e895-49ba-a873-b652fdbb0f9a.png" alt="" /><p><b>「越境」と「自己開示」で組織を動かす。AI時代こそ、信頼で変化を起こす人事へ</b></p><p><time dateTime="2026-07-23">2026.07.23</time></p></a></div></div></figure><h2>AI時代、人事は組織変革を先導する存在へ</h2><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/5Cz7h9vTzJQ0V5gby4EqyW/97374da0893cf782fabc2795a44ff455/20260525_SmartHR_YKK_AP_%E8%A5%BF%E7%94%B0%E6%B0%8F_016.JPG" alt="null" /></figure><p>人事担当者の役割は、ビジネス戦略から独立した「オペレーションオーナー」から、ビジネス戦略と結合した「ビジネスパートナー」へと変化してきました。AIが進化する今後の社会において、人事はさらに<strong>組織変革を先導する「リーディングパーソン」へと変化していく</strong>でしょう。</p><p>「AIによってホワイトカラーが消滅する」と危惧する声もありますが、私はそうは思いません。AIは人間の知的活動の多くを支援・代替できるようになるでしょう。しかし、人間そのものを置き換えることはできません。外界と共鳴する認知、世界の複雑性を感じ取る感性、他者と関係性をつくり出す力。こうした人間にしかできない力が、これからの時代に価値をもつと考えています。</p><p>このような前提に立ち、<strong>企業と人事には、人材・組織・評価の前提を改めて見つめ直すことが求められています。</strong>私は、ここに「7つの転換」があると考えています。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/233WqiPHtI9wEvk7JTd1Nk/204574c6b4ae83b75cdb0ab25063a17a/%E7%94%BB%E5%83%8F2.001.png" alt="AI時代に求められる7つの転換として、理念、制度、人材観、学習・キャリア、組織、成果観、評価の各項目における変化の方向性を示した図。" /></figure><h3>7つの転換（1）理念：欠乏から意味へ</h3><p>人事施策を発表する際、みなさんの多くはマズローの欲求階層説を使い、「環境や条件をよくすれば（不足や欠乏を埋めれば）、誰もが自己実現に向かう」と説明してきたのではないでしょうか。しかし、マズローの理論が示されてから、すでに長い年月が経ちます。<mark><strong>現代のエンゲージメントは「満たされれば稼ぐ・動く」というところから、「意味があるから働く」へと重心を移しつつある</strong></mark><strong>と私は感じています。</strong>これはまさに、ヴィクトール・E・フランクルが示した「意味への意志」という考え方です。</p><p><strong>これからの人事戦略は、制度や処遇だけでなく、</strong><mark><strong>物語やパーパス、共感を社員と共有することが鍵になります。</strong></mark>人を動かす前に意味を問うこと、その人がどんな情熱を抱いているかを理解し合うことが、真の納得を生むのです。&nbsp;</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/61Ia8zoCaUsBjagKgowPBi/fc52041e44abbf628f94425fa0067ae6/image8.jpg" alt="セミナーや研修の会場で、マイクを持ちながら前方に立って話す西田さんの様子。" /></figure><h3>7つの転換（2）制度：管理から鏡へ</h3><p>人事制度はこれまで人を測定し、管理する道具として使われていましたが、これからは<strong>「その組織が何を本当に大切にしているか」を如実に映し出す鏡</strong>として機能するでしょう。制度は鏡であると同時に、組織文化を育む処方箋としても機能します。</p><p>制度が道具ではなく鏡となる時代には、人事が唯一の正解を示す必要はありません。むしろ、組織が自ら答えを見いだせる問いを立てることが重要になります。<mark><strong>従業員と問いを共有し、お互いモヤモヤしながら一緒に向き合っていく。</strong></mark>それもひとつのあり方だと私は思います。その過程を通じて双方が成長していくような関係性が、今後の主流になるのではないでしょうか。</p><p>制度の位置付けもこれまでのような「完成品」ではなく、<strong>「土壌の整備」</strong>や<strong>「発酵の仕掛け」</strong>になっていくはずです。たとえば評価制度は、能力や成果を測るツールにとどまらず、<strong>組織と個人が関係性と揺れ動きを点検する手段</strong>にもなっていくでしょう。 こうした制度によって運営される組織は、構造が整った集団というよりも、<strong>ズレと余白を共有するしなやかな集団</strong>へと変わっていくでしょう。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/3ybdhCthzJqASR1NrzMuqC/7725413cb49e1d13e4fc9582b95ec93b/%E8%A5%BF%E7%94%B0%E3%81%95%E3%82%93%E8%AC%9B%E6%BC%94%E8%A8%98%E4%BA%8B_%E7%94%BB%E5%83%8F1.001.png" alt="「古い人事観」と「西田流人事観」の違いを、制度、評価制度、組織像の3つの視点から比較した表。" /></figure><p>揺れ動きやズレ、余白といった不確定な要素が増えるこれからの組織では、<strong>組織と従業員との対話がますます重要になります。</strong>1on1などの施策においても、対話の質を上げることが有効だと考えています。</p><p>対話の質の向上は、従業員との関係の質を高め、強い信頼関係を築くことにもつながります。<strong>どんなに優れた施策をつくっても、その土台に信頼関係がなければ従業員はなかなか動いてくれません。</strong>見せかけではなく、従業員のことを心から信じてキャリア支援に向き合えるか。その姿勢が、制度の効力を左右する時代になっていくでしょう。</p><h2>これからの組織は「物語が交差し、新たな価値が創発する場」に</h2><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7pMsG9qAZgchfN4nb3bTZA/46483dad9a4831e71665a2290cc616c9/20260525_SmartHR_YKK_AP_%E8%A5%BF%E7%94%B0%E6%B0%8F_046.JPG" alt="マイクを左手に、右手にレーザーポインタを持ち話をしている西田さん" /></figure><h3>7つの転換（3）人材観：資源から物語へ</h3><p>これまでの人事は、スキルや能力といった資源をいかに最適配置するかに気を配ってきました。しかしこれからの時代、<strong>人間の価値は「何ができるか」から「どんな意味と経験の連続として生きているか」に移行していきます。</strong>人間は、自らの経験や価値観を物語として共有することで、大きな仕事を成し遂げてきました。今後の組織は、人を配置する場所ではなく、<strong>多様な物語が交差し、新たな価値が創発する場</strong>として設計しなければならないと考えています。</p><p></p><h3>7つの転換（4）学習・キャリア：知識・昇進から問い・編集へ</h3><p>従来のキャリアは、決められた階段を登るようなものでした。しかしAI時代には、知識の量がもつ価値が相対的に低下し、代わりに「何を問うか」という力が重要になってきます。キャリアも、多様な経験を編集して意味付けるプロセスへと変化するでしょう。<strong>計画された経験だけでなく、予期せぬ偶然の出会いがキャリアに新たな意味を加えるのです。</strong></p><h3>7つの転換（5）組織：構造から関係性へ</h3><p>組織はこれまで、階層や役割によって定義される構造でした。これから組織においては、<strong>人と人との関係性のなかでイノベーションなどの価値が生まれる</strong>でしょう。関係の質がその企業のパフォーマンスを左右する時代になると思います。</p><h3>7つの転換（6）成果観：数値から循環へ</h3><p>これまでの組織では、主に売上や利益といった数値によって成果を測ってきました。しかしAI時代には、<strong>価値が連鎖して再生産される構造そのもの、いわゆるサステナビリティが成果になる時代</strong>です。YKK APは以前から「善の巡環」を提唱してきましたが、これを経営構造として具現化することが求められるフェーズに入っていると考えています。</p><h3>7つの転換（7）評価：KPIからKHIへ</h3><p>結果を数値として捉えるKPI（重要業績評価指標）などの指標では、過去の結果は捉えられても、その背後にある人の変化や組織の質まではなかなか捉えられませんでした。</p><p>YKK APは今、<strong>「KHI（Key Human Indicators）</strong>※1<strong>」という独自の指標を設定し、</strong>挑戦や学習、信頼といった変化を人間ならではの観察力や感性によって感知し、可視化する試みを進めています。組織において何が変わりつつあるのかという予兆を捉えるうえで、非常に有効な指標になると考えています。</p><p>（※1）組織の健全性や従業員の意識・行動変容といった、数値化しにくい「人と組織の状態」を測るための指標</p><p>KPIが成果という結果を捉える指標だとすれば、KHIはその結果が生まれる前提条件を整える「先行指標」です。両者を統合してはじめて、経営は過去と未来の両面を捉える立体的なものになると考えています。</p><p>これまでの評価制度は、主に人を測る道具として使われてきました。しかしこれからは、組織の自己理解を深める「対話装置」へと進化させていくとよいでしょう。AI時代における評価は、過去の成績のみで判断するものではなくなります。成績よりも、<mark><strong>その人がどんな情熱を抱いているかという物語を理解し、それに沿った未来に対して何を期待しているのかを伝えることがメインになる</strong></mark>でしょう。KHIはこうした評価を実践するうえで必要不可欠な指標になると思います。</p><p><strong>KHIの例</strong></p><table><thead><tr><th><div><strong>KHIの項目</strong></div></th><th><div><strong>観察ポイント</strong></div></th><th><div><strong>捉えたい兆候</strong></div></th></tr></thead><tbody><tr><td><p><strong>組織の温度感</strong></p></td><td><p>現場の空気や熱量の変化</p></td><td><p>活性度・停滞の予兆</p></td></tr><tr><td><p><strong>発言量</strong></p></td><td><p>会議や対話での発言の多寡</p></td><td><p>心理的安全性の度合い</p></td></tr><tr><td><p><strong>心理的安全性</strong></p></td><td><p>安心して発言・挑戦できているか</p></td><td><p>信頼関係の成熟度</p></td></tr></tbody></table><h2>7つの転換がつながり、「自走する組織」が生まれる</h2><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6Pttw9UqOp53Bbzqn21xYW/cac1316895733a1381422235eac8ef33/20260525_SmartHR_YKK_AP_%E8%A5%BF%E7%94%B0%E6%B0%8F_028.JPG" alt="null" /></figure><p>「7つの転換」はそれぞれ独立した要素ではなく、すべてが因果関係でつながっています。</p><p>（1）人はなぜ動くのか（理念）<br>（2）組織はどのような状態か（制度）<br>（3）人をどのように見るのか（人材観）<br>（4）人はどう育つのか（学習・キャリア）<br>（5）企業は人にどう関わるのか（組織）<br>（6）何を成果とするのか（成果観）<br>（7）成果をどのように捉えるのか（評価）</p><p>この一連の循環を貫くのが、<strong>外発的な管理から内発的な意味への転換</strong>です。管理から意味へ、構造から関係、数値から循環へ。こうした大きな転換のなかで、<mark><strong>人事の役割は「制度をつくること」から、「意味と変化を設計すること」に進化していく</strong></mark>でしょう。</p><h3>建築思想で組織を再設計する「Architect HR」</h3><p>こうした変化を人事戦略に落とし込むために策定したのが、YKK APの人事戦略ストーリー「<a href="https://www.ykkapglobal.com/ja/newsroom/releases/20251030_2" target="_blank">Architect HR</a>」です。 建築思想を応用し、<strong>「基盤」「構造」「素材」「接続」「透明性」という5つの柱で組織を再設計すること</strong>を提案しています。</p><p>まず1on1による意味付け支援で「善の巡環」をベースとする基盤をつくり、制度という構造（骨組み）や「人」という素材を加え、部門横断や越境の実現を通して接続（関係性）を設計する。最後にKHIによる組織の可視化や、意思決定・評価・配置プロセスの開示によって透明性という光を差し込ませる。この5つの柱を通じて、個人の自律的な学びやキャリア形成が自己成長、ひいては社会貢献につながる。そんなストーリーを描いています。&nbsp;&nbsp;</p><h3>組織を「森」にたとえる</h3><p>「Architect HR」では、組織のエコシステムを生態系になぞらえて捉える取り組みも進めています。 組織を「森」にたとえると、一本一本の木（個人）は自立しています。しかし、土の中では「菌根菌ネットワーク（地下のつながり）」が張り巡らされ、水や養分だけでなく情報も循環し、互いに支え合いながら成長しています。&nbsp; <br><br>こうした関係性を前提とすると、人事の役割は、単に制度や仕組みを最適化することではありません。変化に適応しながら進化する生態系のようなエコシステムを設計し、人や組織が自ら成長するための条件を整えることにあります。その土壌があってはじめて、組織は自律的に学び、育ち続けることができるのです。</p><h2>信頼と余白を組織づくりの起点に</h2><p>AIが多くの業務を代替するなか、「なぜ働くのか」「なぜこの組織で挑戦するのか」といった意味付けは、これまで以上に重要になります。<mark><strong>「意味があるから人が動く」というAI時代だからこそ、</strong></mark><mark><strong>人事の本質的な役割は、物語やパーパスを通じて、一人ひとりが意味を見いだせるよう支援することにあります。</strong></mark>評価制度や各種施策も、すべてはそのための手段です。</p><h3>主体性の土台となるのは、対等な目線で築く「信頼」</h3><p>ただし、意味を示すだけで従業員が動くわけではありません。その土台として欠かせないのが、<strong>組織のなかに「信頼の文化」を構築すること</strong>です。管理する側とされる側ではなく、対等な目線で信頼関係を築けたとき、従業員は主体的に動きはじめるのだと思います。</p><p><strong>そもそも人事制度とは、従業員の生き方に寄り添い、その人らしい成功を後押しするためのもの</strong>だと私は考えています。一人ひとりのキャリアに、どれだけ誠実に寄り添えるか。そこに、これからの人事の真価があらわれるのだと思います。</p><h3>成長を生むのは、管理しきらない「余白」</h3><p>もうひとつが「余白」です。そのためには、あえて管理しきらない領域を残し、すぐに成果や効率を求めすぎないことが大切です。その<strong>「余白」が従業員の成長や新しい可能性を生み出します。</strong>信頼を土台にした余白のある組織では、従業員は自分とは異なる価値観や予期せぬ経験に触れやすくなります。そうした出会いを通じて、従業員は自分自身を問い直し、更新していくのです。</p><p>これからの人事に求められるのは、従業員を信じることと、そして従業員の可能性を広げられる余白をつくることです。この「信頼」と「余白」が、人と組織の自律的な成長を支える土壌になります。私は、この考え方を「Architect HR」と呼んでいます。Architect HRとは、制度を設計することではなく、人と組織が自ら成長し続ける「生態系」を設計することです。だからこそ、これからの人事に求められるのは、「制度をつくる人」ではなく、「組織の変化を設計する人」です。人と組織が自ら進化し続ける環境を設計すること。それが、AI時代における人事の役割だと私は考えています。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/43qZ4n7q6gQTinRkuWGpM3/0bc5698b118ef3c0d7d90d71db0b202e/20260525_SmartHR_YKK_AP_%E8%A5%BF%E7%94%B0%E6%B0%8F_115__1_.JPG" alt="null" /></figure><p>では、この「信頼」と「余白」を組織のなかで実際にどう育てていけばよいのでしょうか。西田さんとYKK AP株式会社の取り組みを、続く対談記事で詳しく伺いました。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr-management/od/executive-premier-talks-nishida-02/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2SC9ZrlfikdCzg5RFGbYuj/d1c25d2c484ad8b38a3a02f50b8d73e5/ba40e17e-e895-49ba-a873-b652fdbb0f9a.png" alt="" /><p><b>「越境」と「自己開示」で組織を動かす。AI時代こそ、信頼で変化を起こす人事へ</b></p><p><time dateTime="2026-07-23">2026.07.23</time></p></a></div></div></figure>]]></content:encoded>
      </item>
    
      <item>
        <title><![CDATA[指導をためらう原因は“能力不足”だけではない｜部下をもつ管理職に対する調査レポート ]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/hr-management/hr-development/chosa-report-kanrishoku-shido/</link>
        <pubDate>Thu, 09 Jul 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[経営・組織]]></category>
        <category><![CDATA[人材開発]]></category>
        <guid isPermaLink="true">https://mag.smarthr.jp/hr-management/hr-development/chosa-report-kanrishoku-shido/</guid>
        <dc:creator><![CDATA[SmartHR Mag. 編集部]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[「厳しく伝えたいけれど、関係がこじれたら怖い」。部下へのフィードバックを前に、言葉選びに迷った管理職の方もいるのではないでしょうか。チャットの文面を打っては消し、結局「引き続きよろしくお願いします」と無難な言葉に書き換えてしまう。そんな場面は、いまや多くの管理職に共通する悩みです。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2zVFAfsnzmBuxrsLRhmR8J/03ac7e2b13f5785990a73ecafa677076/report_1.png" alt=""></div><p>「厳しく伝えたいけれど、関係がこじれたら怖い」。部下へのフィードバックを前に、言葉選びに迷った管理職の方もいるのではないでしょうか。チャットの文面を打っては消し、結局「引き続きよろしくお願いします」と無難な言葉に書き換えてしまう。そんな場面は、いまや多くの管理職に共通する悩みです。</p><p>SmartHRが2026年6月に部下をもつ管理職548名に実施した調査では、<strong>70.8%が厳しい指導を見送ったり、表現を極端に和らげたりした経験をもつことがわかりました</strong>。これらは、管理職のスキル・経験不足によるものなのでしょうか。ためらいを越えるにはどういった支援が必要なのでしょうか。</p><p>本記事では、必要な指導が静かに滞っていく実態と、組織として支える糸口を、調査データにもとづいて解説します。</p><p>※出典：部下を持つ管理職に対する調査（SmartHR調べ／インターネット調査／調査期間：2026年6月2日〜6月4日／有効回答：部下をもつ管理職層 548名）。以下、本記事の数値はすべて同調査によります。</p><h2>指導をためらう管理職が増えている背景</h2><p>ハラスメント研修やコンプライアンス教育は、多くの企業に定着しました。一方で現場には、リスクを恐れるあまり必要な指導まで控えてしまう、という新しい葛藤が生まれています。</p><p>必要な指導の停滞は、部下の成長機会を奪うだけではありません。チームが目指す水準を少しずつ下げ、組織の成果や能力を静かに弱らせていくと言われています。そこで本調査は、明確な基準がないまま個人の判断に任されがちな指導の実態を明らかにするために実施しました。</p><h2>見送られる指導と、成長が止まる組織</h2><p>ここでは、指導をためらう実態について、ブレーキとなる要因とチームに生じる変化の両面からみていきます。</p><h3>（1）回答者の70.8%が必要な場面で指導を見送った経験をもつ</h3><p>直近1年で厳しい指導が必要な場面において、「あえて指導を見送ったり、表現を極端に和らげたりした経験があるか」とたずねたところ、<strong>70.8%が「ある」と答えました。</strong></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/5f8TM906ks8Yfv59Pq4snb/b272396c49463cc736537432ab815175/_%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%82%92%E6%8C%81%E3%81%A4%E7%AE%A1%E7%90%86%E8%81%B7%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88_%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95_Mag.1.png" alt="上記の段落に記載のデータをまとめた図" /><figcaption><p>※図中の数値は四捨五入の関係上、本文の記述（70.8%）と一部表記が異なります。<br>（出典）部下を持つ管理職に対する調査 - SmartHR</p></figcaption></figure><p>指導のブレーキになっている要因は、「部下のモチベーションを下げてしまう懸念」が62.1%で最も多く、「パワハラと指摘され、自身の評価や立場が悪くなるリスク」が21.6%で続きます。多くの管理職が、適切な指導と過度な指導の境目に迷いながら判断している様子がうかがえます。</p><h3>（2）指導が滞ると、組織に何が起きるのか</h3><p>指導をためらった経験がある人（n=388）に、「必要な指導を曖昧にした結果としてチーム内に起きている変化」を複数回答でたずねました。最も多い回答は「特に変化は起きていない」（35.8%）でした。一方で変化が生じている項目のなかでは、「大きなトラブルはないが、新しい挑戦や成長が止まっている」が34.5%、「部下のミスが再発し、改善が見られない」が17.0%と続きます。</p><p>表立ったトラブルがなくても、現状維持にとどまり、成長が止まりつつあると感じている管理職が、一定数いることがわかります。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/58o3JNhg4a2mkrLY5FyvEY/4503f824682d8947442623b2a041ec39/_%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%82%92%E6%8C%81%E3%81%A4%E7%AE%A1%E7%90%86%E8%81%B7%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88_%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95_Mag.2.png" alt="null" /><figcaption><p>※図中の数値は四捨五入の関係上、本文の記述と一部表記が異なります。<br>（出典）部下を持つ管理職に対する調査 - SmartHR</p></figcaption></figure><h3>（3）指導のためらいが強まる「部下5人の壁」</h3><p>この課題を部下の人数別にみると、抱える人数が多い管理職ほど、より強いジレンマを抱えている傾向がみえてきました。</p><p><strong>指導を見送った経験は、部下が「4人以下」の層で63.8%だったのに対し、「5人以上」の層では75.9%に達します</strong>。部下から「納得がいかない」と反論された経験も、「4人以下」の14.7%に対し「5人以上」では29.4%と、およそ2倍にのぼります。</p><p>管理する人数が増えるほど、一人ひとりと向き合う時間は削られ、対話の手がかりも不足しがちです。その結果、指導を見送る状態に陥りやすくなる実態が読み取れます。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7Cut14kgglfDrGGUjMj2UM/5f1c9a09aa357dc1040824849d633dd6/_%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%82%92%E6%8C%81%E3%81%A4%E7%AE%A1%E7%90%86%E8%81%B7%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88_%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95_Mag.3.png" alt="上記の段落に記載のデータをまとめた図" /><figcaption><p>※図中の数値は四捨五入の関係上、本文の記述と一部表記が異なります。<br>（出典）部下を持つ管理職に対する調査 - SmartHR</p></figcaption></figure><h2>個人の裁量に頼らず、組織で指導の不安を乗り越える</h2><p>指導のためらいは管理職個人の問題なのでしょうか。ここでは、評価の実態と管理職が求める支援から、組織として何を整えればよいのかを読み解きます。</p><h3>管理職の3人に1人は「印象や記憶」で評価している</h3><p>評価やフィードバックの際に最も重視する情報は、「システム等に蓄積された日々の行動記録や進捗データ」が40.1%で最も多い結果でした。一方で、「直近の印象や記憶」が30.7%、「手元の個人メモ」が23.0%と続きます。<strong>3人に1人近くが、事実よりも記憶や印象を頼りに評価している</strong>ことになります。</p><p>この結果は、指導をためらう原因が管理職個人のスキル・経験不足だけではないことを示しています。<mark><strong>判断の支えとなる事実や、「ここまでは正当」といえる基準が手元にないことが、指導の迷いを生んでいる</strong></mark>と考えられます。</p><p>実際、指導とハラスメントの境界について会社の支援をたずねると、「現場の指導に直結する基準はない」が29.4%、「管理職個人の裁量・判断に委ねられている」が28.8%を占めました。管理職が孤立しやすい状況が、数字にもあらわれています。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6l2QOkDjOwTQZjqI6sJ9qT/fc61ffe2e4331e0c80658ae683d80b35/_%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%82%92%E6%8C%81%E3%81%A4%E7%AE%A1%E7%90%86%E8%81%B7%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88_%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95_Mag.4.png" alt="上記の段落に記載のデータをまとめた図" /><figcaption><p>※図中の数値は四捨五入の関係上、本文の記述と一部表記が異なります。<br>（出典）部下を持つ管理職に対する調査 - SmartHR</p></figcaption></figure><h3>必要なのは「正当性の基準」と「共有された事実」</h3><p>では、何があれば管理職は安心して指導に向き合えるのでしょうか。求める支援をたずねると、「『ここまでは正当な指導である』という基準やガイドラインの明確化」が33.0%で最も多く、「上司と部下間で、目標や期待値が常に同期・共有されている状態」が30.1%、「指導の根拠となる日々の行動や成果が可視化・蓄積される仕組み」が25.0%と続きました。</p><p>一方で「客観的な対話ができるフィードバックツールの導入」は19.5%にとどまります。求められているのは、ツールそのものよりも、「正当性の基準」と「共有された事実」といえます。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6TWKrnjw9NaiGQ6d4mOEMt/0f03f66e71635d06845968cf5feb2664/_%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%82%92%E6%8C%81%E3%81%A4%E7%AE%A1%E7%90%86%E8%81%B7%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88_%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95_Mag.5.png" alt="上記の段落に記載のデータをまとめた図" /><figcaption><p>※図中の数値は四捨五入の関係上、本文の記述と一部表記が異なります。<br>（出典）部下を持つ管理職に対する調査 - SmartHR</p></figcaption></figure><h2>仕組みで支えることが、納得感のある対話を生む</h2><p>部下からみた評価の納得感は、上司の話し方だけでは決まりません。「評価の根拠が継続的に共有されているか」が、大きな分かれ目になります。<mark><strong>日々の行動や成果を、上司と部下が同じ事実としてみながら対話できる環境を整えること。</strong></mark>それが、リスクへの不安から管理職を解放し、健全なフィードバック文化を育てます。</p><p>調査が示すように、指導をためらう管理職を支えるのは、「ここまでは正当」といえる基準と、上司と部下が同じ事実をみながら対話できる状態です。評価や1on1の記録を客観的なデータとして蓄積し共有できれば、感覚や記憶だけに頼らない、納得感のある対話に近づきます。組織が「事実の土台」を整えることは、管理職に迷いではなく判断の手がかりをもたらし、部下にとっても納得感のある評価につながるはずです。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2gyDGyXobeL3SpUIv0cKZn/a36f5919ca9ed9f40a8e7aca96ca4f18/7_3___________________SmartHR_______________.jpg" alt="" /><p><b>3分でわかる！SmartHRの人事評価</b></p><p>SmartHRの「人事評価」機能なら、評価シートの作成・配布・回収・集計までシステムで一括管理が可能。現在の評価制度に沿った形で評価シートやワークフローを設定できます。<br>従業員もパソコンやスマホから簡単に操作ができるため、ストレスなく移行することが可能です。</p><p>【こんなことがわかります】</p><ul><li>人事担当者が評価業務で感じている問題点</li><li>人事評価業務を改善するための課題</li><li>SmartHRの「人事評価」の特徴・できること</li><li>SmartHRの「人事評価」の実際の画面</li></ul><p><a href="https://smarthr.jp/resources/ebook_41" target="_blank" rel="noopener">いますぐダウンロード</a></p></figure>]]></content:encoded>
      </item>
    
      <item>
        <title><![CDATA[「使いやすい」より「使われる」。 人事システム選定の4鉄則]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/hr-management/od/worker-friendly-01/</link>
        <pubDate>Wed, 08 Jul 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[経営・組織]]></category>
        <category><![CDATA[組織開発]]></category>
        <guid isPermaLink="true">https://mag.smarthr.jp/hr-management/od/worker-friendly-01/</guid>
        <dc:creator><![CDATA[廣嶋 祐治]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[効率化を期待して人事システムを導入したものの、現場は結局大変なまま変わらず、「使われずにデータが入らない」「1〜2年でシステムを再選定」といったケースも珍しくありません。 人事・組織コンサルタントとして、延べ120社以上を支援してきたLuvir Consulting株式会社の岡田さんは、その原因を答えを外に探しすぎているためだと指摘します。 SmartHRがサービスビジョンに掲げるworker-friendlyとも通じる、システム選定の4つの鉄則について、岡田さんにお話を伺いました。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/U6lq3JknahYry0TYfeZ4B/d9ace16055a62b5974ca7056a9ce427b/Mag_okada_san.jpg" alt=""></div><p>効率化を期待して人事システムを導入したものの、現場は結局大変なまま変わらず、「使われずにデータが入らない」「1〜2年でシステムを再選定」といったケースも珍しくありません。</p><p>人事・組織コンサルタントとして、延べ120社以上を支援してきたLuvir Consulting株式会社の岡田さんは、その原因を<strong>答えを外に探しすぎているため</strong>だと指摘します。</p><p>SmartHRがサービスビジョンに掲げる<a href="https://smarthr.jp/about/service-vision/" target="_blank"><strong>worker-friendly</strong></a>（みんなが使える・みんなに価値がある・みんなのために進化する）とも通じる、<strong>システム選定の4つの鉄則</strong>について、岡田さんにお話を伺いました。</p><div><div><p><b>岡田 幸士さん</b></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/1pKFGOxaOB2xJdgMDL6V63/5a6f2d5268c662d61da608e1939802c9/EDqb0MAQNvWYucn1782687117_1782687130.jpg" alt="" /></figure><p>Luvir Consulting株式会社 共同経営者/COO</p><p>日本マクドナルドで16万人規模の人材マネジメントに携わったのち、デロイトの組織・人事コンサルティング部門を経て独立。これまで120社超の人事業務改善・システム改革を支援。著書に『<a href="https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-3007-4" target="_blank">図解 人的資本経営</a>』など。</p></div></div><h2>システムが「使われない」理由は、答えを外に探しすぎているから</h2><p><b>――岡田さんが多くの企業から相談を受けるなかで、人事システムの導入に失敗している事例に「共通点」はあると感じますか。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>人事システム選定においても、人事制度改革においても、「今は何がトレンドか」「他社はどうしているか」という視点で始めてしまうと、あまりうまくいきません。</p><p><strong>共通しているのは、システムを選び、導入して現場に定着させるまでの全体設計が十分でない点です。</strong>システム導入失敗の原因を見ると、一番多いのは「不十分なチェンジマネジメント（※）」で42%、次いでデータ移行など、システム導入後の対応で失敗しています。一方で、経営陣の巻き込みや、ベンダ選定ミスなど、システム導入前の準備が原因になっているケースも見受けられます。</p><p>つまり、導入したシステムの機能そのものよりも、事前・事後の準備に原因があるのです。</p><p>（※）組織がシステムなどを導入・定着させる際に、現場の混乱や抵抗を最小限に抑え、従業員が新しい状態に適応して成果を出せるように支援するマネジメント手法</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/4qr1wolk6z3XiigAo4s3J5/804e43730c7081415102352de91475c7/SmartHR%E6%A7%98%E4%B8%BB%E5%82%AC%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC%E8%B3%87%E6%96%99_v1.1__1_-08.png" alt="null" /><figcaption><p>出典：労務管理の効率化とシステム選定を成功に導く「4つの鉄則」 - Luvir Consulting株式会社</p></figcaption></figure><p><b>――「事前の準備」とは具体的に何が必要ですか。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>大きく2つあります。</p><p>1つは、<strong>システム選定の「軸」をもつ</strong>ことです。機能や価格を比較する前に、自社が何を重視して選ぶのかという判断基準を明確にする必要があります。</p><p>もう1つは、<strong>自社として答えるべき「問いを立てる」。</strong>ここでいう問いとは、「どの人事システムを入れるのか」ではなく、「なぜ自分たちは人事システムを入れたいのか」です。</p><p>自社の経営戦略を実現するためにどのような人事戦略が必要なのか。その戦略を実行するために、どのような人事システムが必要なのか。上流から下流までを、自分たちの言葉で語れる状態にすることが大切です。</p><p>当社では、この「軸」と「問い」を整理する観点として、人事システム選定の4つの鉄則をまとめています。</p><p><b>――一方で、その「問い」を立てられていない企業も多いのでしょうか。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>当社へご相談いただく案件のうち、およそ7割はこの問いを十分に立てられていないと感じます。</p><p>背景には、人事を取り巻く環境の変化があります。かつて人事部門は、企業ごとの文化や経営者の思想など、自社の「内」に意識を向けて仕事をする場面が多かったと思います。</p><p>一方で、現在は人的資本経営や情報開示への関心が高まり、外部トレンドや他社事例にも目を向ける必要があります。この変化自体は悪いことではありません。</p><p>ただ、その反動で、<strong>意識の振り子が「外」へ振れすぎている</strong>ようにも感じます。人事システム選定においても、「今は何がトレンドか」「他社はどうしているか」から始めてしまうと、自社にとって本当に必要なシステムを選びにくくなります。</p><p>だからこそ、外部の情報を参照しながらも、<strong>最後は自社の経営戦略や人事戦略に立ち返る</strong>必要があります。自分たちは何を実現したいのか。そのために、どのようなシステムが必要なのか。そこを<mark><strong>自分たちの言葉で語れることが重要</strong></mark>です。</p><p><b>――問いを立てられていない企業が多い背景には、何があるのでしょうか。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>背景にあるのは、人事を取り巻く環境の変化ではないでしょうか。</p><p>人事部門は、かつては企業ごとの文化、経営者の思想や志向といった自社の「内」に意識を向けて仕事をしていました。一方、現代は人的資本経営がトレンドとなり、その開示も進んでいるため、<strong>自社の「外」へと意識を向ける必要性が高まっています。</strong></p><p>人事は外部のトレンドや他社事例を参照しながらも、<mark><strong>最後は自社の経営戦略や人事戦略に立ち返る必要があります。</strong></mark>自分たちは何を実現したいのか。そのために、どのような人事システムが必要なのか。そこを自分たちの言葉で語れる状態にすることが大切だと考えています。</p><h2>鉄則（1）「標準化」の覚悟をもつ</h2><p><b>――では、1つ目の鉄則「自社の制度・ルールを変える『標準化の覚悟』をもつ」から伺います。「標準化」とは、具体的にどういうことでしょうか。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>業務システムは、できるだけ多くの企業で使えるように、各領域の標準的な業務モデルをもとに機能が設計されています。そのため、システム導入を成功させるには、まず自社の業務や制度、ルール、役割分担をシステムの標準機能に寄せられないかを検討する必要があります。これが、ここでいう「標準化」です。</p><p>制度や業務の標準化は確かに大変ですが、システム導入を成功させようとするならば、ある程度の覚悟が必要だと考えています。</p><p><b>――システム側を自社の業務に寄せてカスタマイズする、というやり方では難しいのでしょうか。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>もちろん、標準化できない部分にカスタマイズが必要になるケースはあります。ただし、最初から自社の現行業務にシステムを合わせようとすると、カスタマイズが膨らみ、ブラックボックス化や将来的な非効率につながりやすくなります。実際に、<strong>失敗事例の23％は「過剰なカスタマイズ」が原因</strong>となっています。</p><p>とくに人事は、カスタマイズが過剰化しやすい傾向があります。評価にせよ勤怠にせよ、人事の業務は従業員の「給与」へ直結するため、ミスは許されません。そのため、システムに対しても精度を過剰に求めて、無理やりにでも要件を満たそうとしてしまうのです。</p><p><b>――人事領域では制度や運用が複雑なため、標準化に踏み切りづらい企業も多そうです。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>しかし実際に見直してみると、想像以上に標準化できるケースもあります。たとえば、ある企業では「勤務時間」のパターンがグループ全体で300種類ほど存在していました。「こういうケースにも備えて」と徐々にパターンが増えていったのですが、実際に使われていたのは30種類程度。つまり、約9割はなくても運用できるものだったのです。</p><p>今まで当たり前だと思っていた制度やルール、業務の役割分担などを、<mark><strong>バイアスをかけずに「本当に標準化できないのか？」という視点で一度眺めてみてほしい</strong></mark>と思います。</p><p><b>――「変えると不利益を受ける従業員がいる」など、既存の枠組みを変えることに反対意見は生じるのではないでしょうか。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>人事は「人」と向き合う仕事だからこそ、その議論はよく生じます。しかし、組織運営上では、冷静な視点である程度ドライに判断しなければならない瞬間があると思います。</p><p>もちろん、実際に不利益を受ける方に対する配慮は不可欠です。ただその場合も、多くは移行措置や代替措置を講じれば対応が可能です。</p><p><strong>まずは「理」を優先し、その後で「情」を添えるという順番が大切</strong>だと考えています。</p><p><b>――標準化の「覚悟」を自社で点検する方法はありますか。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>当社では8つの項目からなるチェックリストを用意しています。このリストを通じて「現行の制度・運用を、どこまで変えられそうか」を問いかけます。</p><p>現状ですべてにチェックが付く必要はありませんが、これらの整理を通じて「自分たちはこれから何を変えていく必要があるのか」という覚悟を醸成していくのです。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6oDHsggdN5qJKnMhuVReWy/c8937a546477d5da8110a555d044b7a1/SmartHR%E6%A7%98%E4%B8%BB%E5%82%AC%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC%E8%B3%87%E6%96%99_v1.1__1_-14.png" alt="null" /><figcaption><p>出典：労務管理の効率化とシステム選定を成功に導く「4つの鉄則」 - Luvir Consulting株式会社</p></figcaption></figure><h2>鉄則（2）「課題解決の先」を見据える</h2><p><b>――なぜ、目の前の課題解決よりも、その「先」を見据えるべきなのでしょうか。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>たとえば、「評価制度を表計算ソフトで運用していて、手間がかかるので、評価システムを入れたい」という相談があったとします。</p><p>仮にシステムを導入して目の前の評価業務が効率化できたとしても、もし経営側から「システム導入が経営課題の解決にどう寄与したのか」「費用対効果は出たのか」と問われたら、回答に窮してしまうのではないでしょうか。</p><p><strong>ここで必要になるのが、企業の経営理念から現場のオペレーションまでを縦に貫いた「1本のストーリー」です。</strong></p><p>まず、最上位には経営理念にもとづいた経営・事業戦略がある。それらを実現するために必要な人材と、組織構造をもとにした人事戦略があるはずです。実現に向けて、どのようなマネジメント手法が必要で、どのような管理手法が必要か方針が決まる。人事システムは、この方針と整合していなければなりません。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/19dhCH4mIyx3culAUWY7LC/dd86a274894e432f60b1ef5083ce5a17/SmartHR%E6%A7%98%E4%B8%BB%E5%82%AC%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC%E8%B3%87%E6%96%99_v1.1__1_-19.png" alt="null" /><figcaption><p>出典：労務管理の効率化とシステム選定を成功に導く「4つの鉄則」 - Luvir Consulting株式会社</p></figcaption></figure><p>また、人事戦略の解像度を上げていくことも大切です。たとえば「どのような人材が必要か」という問いに対して、「情熱をもっている人」「挑戦できる人」といった解像度では不十分です。スキルや行動特性、望ましい経験や職歴などへと具体的に落とし込んだうえで、「育成」や「配置」など現場の施策へとつなげます。</p><p>まずは<strong>人事が中長期の視点に立ち、自分の言葉で経営戦略や事業戦略を語れること</strong>が大切だと感じています。</p><h3>ベンダー選定で問うべきは、自社の“ありたい姿”</h3><p><b>――中長期の視点に立ったときに、ベンダーの選定においては何がポイントとなりますか。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>ここでも、まず自社の「内」に目を向けることが大切です。</p><p>3〜5年先に自社がどのような状態か。従業員の規模、成長のスピード、M&amp;Aや再編の可能性、バックオフィスのシェアードサービス化やBPO活用の想定。自社の将来像をどう描くかによって、戦略が変わり、システムの選び方も変わります。</p><p>何よりも重要なのは、自社の将来像を描いたうえで、機能や価格を比較検討することです。甲乙付けがたい場合には、<strong>ベンダーの「思想」が自社の方向性に合うか、という点で比べてみるのも1つの方法</strong>です。</p><p>なぜなら、システム会社が中長期的に開発投資していくのは、その会社の思想やビジョンに合った機能であることが多いからです。現時点では機能が似たり寄ったりであっても、3年、5年たったときには、投資の方向性によってまったく違うプロダクトに変化しているかもしれません。</p><p>だからこそ、自社が目指す人材マネジメントの方向性と、ベンダーがプロダクトを通じて実現しようとしている世界観が合っているかを確認することが大切です。</p><p><b>――逆に言えば、ベンダーと話す前に、自社で答えを出しておくべきことがある、と。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>そうです。「将来どのような人材マネジメントを実施したいか」「データをどう活用したいか」。この2つに自社なりの答えをもっておく。そこさえ定まっていれば、<mark><strong>目の前のHow（機能比較）に振り回されず、3〜5年先のWhyから逆算して、システムを選定できるはず</strong></mark>です。</p><p><b>――目の前の機能比較ではなく、将来の人材マネジメントやデータ活用を見据えた逆算が大切なのですね。人事システムを、経営層、人事、現場の従業員それぞれに価値を返すための基盤として捉える点は、<a href="https://smarthr.jp/about/service-vision/#:~:text=%E5%93%A1%E3%81%8C%E4%BD%BF%E3%81%88%E3%82%8B-,%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%AB%E4%BE%A1%E5%80%A4%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B,-%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%82%B9%E5%8C%96">worker-friendlyの「みんなに価値がある」</a>にもつながると感じました。</b></p><h2>鉄則（3）「使われる導線」を考える</h2><p><b>――事前準備を経てシステム導入へとこぎ着けたのち、実際に現場で使ってもらうためのポイントは、何が挙げられるでしょうか。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>重要なのは <strong>「どうすれば現場にデータを入れてもらえるか」という視点からスタートした導線設計</strong>です。</p><p><strong>システムとは、そこにたまったデータが活用されてこそ本領を発揮します。</strong> そして、もっとも新鮮でもっとも正しいデータは、業務が発生する現場にこそあります。</p><p>現場の業務のなかで、いかにデータを入れてもらえるか。<strong>いかに自然にシステムを使ってもらえるか</strong>という視点が重要になります。</p><p><b>――使い方の詳細なマニュアルを整備するのはどうでしょうか。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>マニュアルを渡されただけだと、システムを使うことに面倒くささを感じる従業員も少なくありません。人は誰しも面倒なことは嫌いです。ましてや日常業務で忙しいなか、新しいシステムを学習するのはコストが高く感じられてしまいます。</p><p><strong>システム導入の失敗要因のうち29％は「エンドユーザーのトレーニング不足」</strong>です。下手をすれば、マニュアルそれ自体がトレーニング不足の原因にもなりかねません。</p><p>必要なのは、業務フローにシステムを“関門”のように置くのではなく、<strong>業務の流れに乗っているだけで自然とデータがたまる仕組みを作ること</strong>です。</p><p><mark><strong>日常の業務や届出を行っていれば自然とデータがたまっていき、それが各所から集まり、最終的に「離職の予兆検知」や「人員配置の最適化」などに活用できるのが理想</strong></mark>です。</p><p><b>――入力してもらうために、人事側ができる工夫はありますか。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>インセンティブを設計すること。すなわち、<strong>データを入力してくれた本人に、データを入力したメリットが還元される仕組みを作る</strong>ことです。</p><p>還元の形は、“北風と太陽”の寓話的に考えられます。</p><p>たとえば1on1の記録をシステムに入力してほしいのなら、北風的アプローチは「入力しているかどうかが、あなたの評価に関わります」と伝えること。一方で、太陽的アプローチは「データがたまれば、どのように部下を育成すればよいのかをシステムがレコメンドしてくれる」と伝えること。</p><p>北風と太陽をうまく組み合わせて、いかに「ついやる状態」を作れるか。ここが人事の腕の見せ所です。</p><p>ある大手自動車メーカーの事例では、人事部門のなかに“社内スカウトマン”のチームがあって、社内の人事データベースから有望な人材を掘り起こしていました。</p><p>従業員にとっては、日々データを入力しておくことで、社内スカウトマンから「こんなポジションはどうですか」「次世代リーダーの育成プログラムに参加しませんか」と声が掛かり、キャリアアップのチャンスを得られるかもしれない。これがデータを入力するインセンティブになっています。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/zDdZGWJ2zJk37vTescVbA/70017e366ba332714f4eab7acd95116c/SmartHR%E6%A7%98%E4%B8%BB%E5%82%AC%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC%E8%B3%87%E6%96%99_v1.1__1_-24.png" alt="null" /><figcaption><p>出典：労務管理の効率化とシステム選定を成功に導く「4つの鉄則」 - Luvir Consulting株式会社</p></figcaption></figure><p><b>――データの流れを意識した設計が重要だと改めてわかりました。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>マーケティングでは、システムを使い顧客のデータを集め、活用することは当たり前のはずです。人事で言えば、顧客は従業員と捉えられます。人事システムがこれだけ発展してきた現代だからこそ、従業員のデータを活用しない手はないと思います。</p><p><b>――システムが「使われる」ためにも、まずは自分たちに「問う」ことが大切ですね。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>わかりやすいUI・UXのシステムを選ぶことは、もはや前提条件です。そこからもう一歩踏み込んで、<mark><strong>「現場での活用・浸透施策を考えられているか」と問うことが大切です。そこが「使われる」と「使われない」の分水嶺ではないか</strong></mark>と思います。</p><p><b>――「わかりやすい」だけではなく、現場で自然に使われるところまで含めて設計する必要がある。ここは、<a href="https://smarthr.jp/about/service-vision/#:~:text=%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F-,%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%8C%E4%BD%BF%E3%81%88%E3%82%8B,-%E7%AE%A1%E7%90%86%E9%83%A8%E9%96%80%E3%81%AF">worker-friendlyの「みんなが使える」</a>に直結するポイントですね。</b></p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://smarthr.jp/column/other/2026-worker-friendly-1/"><img src="" alt="" /><p>「使いにくいシステム」を許容するリスクとは？worker-friendlyが必要な本当の理由｜SmartHR（スマートHR）｜労務管理クラウド7年連続シェアNo.1</p><p>https://smarthr.jp/column/other/2026-worker-friendly-1/</p></a></div></div></figure><h2>鉄則（4）システムを面で考える</h2><p><b>――人事システムの構成を考える際に、注意すべき点はありますか。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>個々の機能を点で選ぶのではなく、<strong>全体をどう組み合わせ、データをどう流すかという“面”で考えることが重要</strong>だと考えています。　</p><p>人事システムとひと言でいっても、勤怠、給与、人事評価、研修管理と、さまざまな機能があります。近年はSaaSの普及により、機能ごとに「勤怠でもっともよいものはこれ、給与ではこれ」と“点”でシステムを選ぶケースが増えています。</p><p>しかし、<mark><strong>各機能の全体を通してスムーズにデータを流せるか、という“面”の視点が、人事システムの選定において重要になります。</strong></mark></p><p><b>――“面”で考えるならば、1つの統合的なシステムを導入すべきでしょうか。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>どちらもメリット、デメリットがあります。</p><p>先ほど述べたように、領域ごとに最適なシステムを組み合わせる方法は、<strong>ベストオブブリード</strong>と呼ばれます。徐々にシステム化を進めたり、必要な部分だけシステムを入れ替えたりできる柔軟性がありますが、ここまで述べてきたように、全体としてデータをどう連携させるかの設計が欠かせません。</p><p>それに対し、1つの統合型システムにまとめるのは、<strong>オールインワン</strong>と呼ばれます。データが1つのシステム内に収まり構造が一貫するため、連携の問題は起きにくいメリットがあります。</p><p>しかし「オールインワン」と謳われていても、1つで自社の要件をすべてカバーできるとは限りません。たとえば、「労務領域に強く自社の要件を満たせているが、最近リリースされたタレントマネジメント領域は要件に満たない」といったケースもありえます。その場合は、部分的に他のシステムを組み合わせる必要が生じます。</p><p>ベストオブブリード、オールインワンのいずれにせよ、<strong>人事システムの全体として何を組み合わせ、どうデータを流すかという設計は欠かせません。</strong></p><p><b>――システム全体を“面”でつなぐと、どのようなことが可能になりますか。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>人事システムの“中”だけでも、先ほどご紹介したような「離職の予兆検知」や「人員配置の最適化」などが可能になります。</p><p>さらに重要なのは、人事システムの“外”まで視野を広げてみることです。たとえば、財務システムと人事システムのデータをかけ合わせることで、「部門ごとに従業員エンゲージメントと収益の関係性を分析する」といったことができるかもしれません。</p><p>経営戦略、事業戦略の実現にとって必要な分析とは何か。<mark><strong>人事データを“何”とかけ合わせれば分析できるのか。その視点をもつことが、これからの人事には求められるようになる</strong></mark>のではないでしょうか。</p><p><b>――最初の一歩として、何から始めればよいですか。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>データの“正本”であり、すべての基準となる「マスターデータ」をどこに置くかを決めます。マスターデータを持つシステムを中心に置き、そこから各システムへデータを配っていく形が理想です。</p><p>システムにより、連携方法（API、CSV、手動）、項目、タイミング（リアルタイム、バッチ、手動）などに違いがあります。パンフレットの「連携できます」という言葉を鵜呑みにせず、何を、どうやって、どのタイミングでつなげるのかを設計することが大切です。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/3BWrAW4v4ql33WY4XVrOA1/4068f9efc54e0a82578db13ec888d492/SmartHR%E6%A7%98%E4%B8%BB%E5%82%AC%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC%E8%B3%87%E6%96%99_v1.1__1_-30.png" alt="null" /><figcaption><p>出典：労務管理の効率化とシステム選定を成功に導く「4つの鉄則」 - Luvir Consulting株式会社</p></figcaption></figure><p><b>――人事部門だけで設計しきれない可能性もありそうです。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>そのとおりです。そのため、情報システム部門の巻き込みは必須です。必要であれば、経営戦略部門なども巻き込み、プロジェクトチームを組成して取り組むべきでしょう。</p><p><strong>その際に注意したいのは、「システムのことはシステム部門が専門家だから」と丸投げしないことです。</strong></p><p>ここまで述べてきたように、まず必要なのは「なぜ自分たちは人事システムを入れたいのか」という“問い”を立てることであり、人事が自分の言葉で経営戦略や事業戦略を語れるようになることです。</p><p>専門知識に関してはシステム部門を頼りながら、要件定義は自分たちで実行するくらいの気概が必要ではないかと思っています。</p><p><b>――ここでも、自分たちに“問う”ことが出発点になるのですね。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>そうですね。「オールインワンとベストオブブリードのどちらを重視するか？」「システム構成は明確か？」を曖昧にしないことが肝要です。</p><p>そして<strong>忘れてはならないのは、「システムは導入したら終わりではない」という点です。</strong><strong>本当のゴールは、システム導入により経営戦略や事業戦略上のKPIがどう変わったか</strong>に設定するべきでしょう。</p><p>そのゴールから逆算し、データの流れの全体像を描くことが、人事システム設計の最重要ポイントといえるでしょう。</p><h2>「自分の言葉で語れるか」。自社に問うべき4つの問い</h2><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/UjRitbLAnyf4Nzd5oB4k0/bfe71722b0ceba9554b3c7593e73dd42/SmartHR%E6%A7%98%E4%B8%BB%E5%82%AC%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC%E8%B3%87%E6%96%99_v1.1__1_-31.png" alt="null" /><figcaption><p>出典：労務管理の効率化とシステム選定を成功に導く「4つの鉄則」 - Luvir Consulting株式会社</p></figcaption></figure><p><b>――4つの鉄則、それぞれの“問い”に対して答えを出すのは一筋縄ではいかないですね。</b></p><p><b>岡田さん</b></p><p>現時点ですべての“問い”に答えられなくても大丈夫です。あまり難しく考えすぎず、まずは<strong>さまざまなステークホルダーの話を聞くこと</strong>がスタートだと思います。</p><p>経営陣、事業責任者、システム部門や財務部門。社内の多様な意見に耳を傾け、どんな施策が必要なのかを考える。</p><p>そのようにして、社内のさまざまな部門や立場の人の間に立ち、橋渡しできることこそが、人事の存在価値であり、やりがいでもあると、私は思っています。</p><h2>編集後記</h2><p>「使われる」システムとは、業務の流れのなかで自然に入力でき、わかりやすく使えること（みんなが使える）、入力したデータが本人に返ってくること（みんなに価値がある）、そしてデータがたまり、改善し続けること（みんなのために進化する）——。</p><p>冒頭で触れたworker-friendlyの3つの視点は、岡田さんの語る4つの鉄則の延長線上にあります。よいシステムを“外”に探す前に、“内”なる自社に問う。 その問いを携えて社内の声を聞くことが、「使われる」システム選びの第一歩になるはずです。</p><p>「みんなが使える」状態を、プロダクトづくりのなかでどう実現するのか。SmartHRが大切にしている使いやすさの考え方については、SmartHRのCPO（Chief Product Officer・最高製品責任者）・安達さんへのインタビューでも紹介しています。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://smarthr.jp/column/other/2026-worker-friendly-2/"><img src="" alt="" /><p>機能が増えても、使いやすさは譲らない。ユーザー起点のSmartHRのプロダクト原則｜SmartHR（スマートHR）｜労務管理クラウド7年連続シェアNo.1</p><p>https://smarthr.jp/column/other/2026-worker-friendly-2/</p></a></div></div></figure>]]></content:encoded>
      </item>
    
      <item>
        <title><![CDATA[2026年7月の人事労務タスク｜障害者雇用率引き上げ対応や夏季賞与にかかる人事評価を社労士が解説]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/hr/labor/hrnews_202607/</link>
        <pubDate>Wed, 01 Jul 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[人事・労務]]></category>
        <category><![CDATA[労務管理]]></category>
        <guid isPermaLink="true">https://mag.smarthr.jp/hr/labor/hrnews_202607/</guid>
        <dc:creator><![CDATA[社会保険労務士法人 名南経営 代表社員 社会保険労務士  大津 章敬]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[こんにちは。社会保険労務士法人名南経営の大津です。サッカーワールドカップが開幕し、寝不足の方も多いのではないでしょうか。私は今回の大会を見ていて、あらためてタレントマネジメントの重要性を感じました。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/77MnexrIKUuLShVFSA2F7D/1ba625610bcab8c832066b2ab0743da2/1e89b5de-bfdd-464e-8b4d-a5c56f69701a.png" alt=""></div><p>こんにちは。社会保険労務士法人名南経営の大津です。サッカーワールドカップが開幕し、寝不足の方も多いのではないでしょうか。私は今回の大会を見ていて、あらためてタレントマネジメントの重要性を感じました。</p><p>日本代表が近年躍進しているのは、（1）データにもとづく個人能力の的確な把握・分析、（2）上位に進出するために必要なタレント・戦術の明確化、（3）求められるタレントの開発・活用を継続的に積み重ねてきた結果といえるでしょう。ノックアウトステージに入ると、さらに早朝の試合が増えます。寝不足で体調を崩さないよう注意しながら、4年に1回のお祭りを楽しんでいきましょう。</p><h2>7月のHRチェックリスト</h2><p>そんな寝不足の日々でも、実務は着実に進めていく必要があります。ここではまず、今月対応すべきタスクを確認していきましょう。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2nOUtfkfI1T5gaXQizMD3H/27a55007330c6e610e5102e7a553d6b3/image5.png" alt="2026年7月のHRチェックリストの図" /></figure><h3>（1）労働保険年度更新の申告と社会保険算定基礎届の提出</h3><p>労働保険年度更新と社会保険算定基礎については、いずれも7月10日までに完了させておく必要があります。両手続きの準備は、先月の本記事で詳しく解説しています。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><ul><li><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/labor/hrnews_202606/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/1YBjikBMxyhCdt4ZuuyrmN/e6474b127701ec70b7a6c0064f32bb06/hrnews-2026-6.png" alt="" /><p><b>2026年6月の人事労務タスク｜労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎届の準備を社労士が解説</b></p><p><time dateTime="2026-05-29">2026.05.29</time></p></a></li><li><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/procedure/syakaihoken-toha/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2oQbZEPvkQAxGexNbH1rnQ/c464fc5c6b19d86baa46950a83aa929c/syakaihokentoha.png" alt="" /><p><b>社会保険とは？加入条件や手続きの基本から、扶養判定や任意継続の仕組みまで解説 </b></p><p><time dateTime="2026-04-27">2026.04.27</time></p></a></li></ul></figure><h3>（2）職場における熱中症の対策を進める</h3><p>ここ数年の猛暑を背景に、職場での熱中症トラブルは深刻化しています。厚生労働省の調査によると、その死傷者数（死亡・休業4日以上）は2021年を底に年々増加し、2025年は<strong>1,803人と、統計開始以来最多</strong>となりました。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/1GM81Qu9DodQnQehlYbeR1/4189aaa1a3ccfa2617e290f345514891/image4.png" alt="職場における熱中症による死傷者数の推移" /><figcaption><p>（出典）<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001705024.pdf" target="_blank">令和7年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況（確定値） - 厚生労働省</a></p></figcaption></figure><p>一方で、死亡者数は、2025年6月に施行された改正労働安全衛生規則などにより重篤化を防ぐ取り組みが進んだことで、19人と前年から<strong>約4割減少</strong>しています。職場での熱中症対策の重要性は、年々高まっています。</p><p>また、東京の2025年の月別平均最高気温を見ると、6月の29.3度に対し、7月は33.2度、8月は34.4度と、<strong>7月に入って急激に上昇</strong>しています。今年も熱中症のリスクが高まる夏本番を迎えます。次のような対策を早めに進めましょう。</p><p>（出典）<a href="https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php" target="_blank">過去の気象データ検索 - 気象庁</a></p><p>熱中症対策を進めるにあたっては、<mark><strong>気温だけでなく湿度や放射熱も考慮したWBGT値を基準に、現場を管理することが基本です。</strong></mark>WBGT値が基準を超えた場合は、作業を中断し、休憩や水分・塩分の補給を徹底します。こうした対応はその場の判断に任せず、あらかじめ社内ルールとして定めておくことが求められます。</p><p>労働環境は、ハード・ソフトの両面から改善を進めることが重要です。</p><ul><li>ハード面<ul><li>遮熱シートの設置、エアコンやスポットクーラーの点検、空調服や冷却グッズの支給</li></ul></li><li>ソフト面<ul><li>暑さに体を慣らす「暑熱順化」の期間（約1〜2週間）を考慮し、7月上旬は業務負荷を一時的に軽減</li></ul></li></ul><p>熱中症は初期対応が遅れると重篤化します。<mark><strong>「体調が悪い」と言い出せる組織風土づくりや、お互いの体調を気遣う「声かけ」の徹底</strong></mark>が有効です。また、万が一搬送が必要になった場合に備え、緊急連絡体制を全社で再確認しておきましょう。</p><p>対策を効果的に進めるには、「従業員の健康こそが最大の資産」というメッセージを経営トップ自ら発信し、現場で安全第一を徹底することが欠かせません。それが結果として、企業の社会的信用と持続的な成長を守ることにつながります。今のうちに、対策を見直しアップデートしていきましょう。</p><p>（参考）<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001705024.pdf" target="_blank">令和7年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況（確定値） - 厚生労働省</a></p><h3>（3）改正外国人雇用管理指針への対応を進める</h3><p>厚生労働省の『<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68794.html" target="_blank">外国人雇用状況の届出状況まとめ</a>』によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は<strong>2,571,037人</strong>、外国人を雇用する事業所数は<strong>371,215所</strong>でした。いずれも届出が義務化された2007年（平成19年）以降、過去最多です。対前年増加率も外国人労働者数で11.7％、事業所数で8.5％と高く、外国人の雇用は年々拡大しています。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2TrBgbVDISRWz2PJUOmYeW/23dd7fa10911f04e48fb82e844e26e49/image7.png" alt="外国人雇用状況のまとめ" /><figcaption><p>（出典）<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68794.html" target="_blank">「外国人雇用状況」の届出状況まとめ（令和7年10月末時点） - 厚生労働省</a></p></figcaption></figure><ol><li><strong>同一労働同一賃金ガイドラインの適用</strong><ul><li>短時間・有期雇用や派遣で外国人を雇用する場合も、<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190591.html" target="_blank">同一労働同一賃金ガイドライン</a>が適用される点に留意が必要です。</li></ul></li><li><strong>外国人労働者の日本語学習支援等</strong><ul><li>事業主は、「<a href="https://laws.e-gov.go.jp/law/501AC1000000048" target="_blank">日本語教育の推進に関する法律</a>」にもとづき、国や地方公共団体の施策に協力するとともに、雇用する外国人労働者やその家族に日本語学習の機会を提供するなどの支援に努めることとされています。</li></ul></li><li><strong>外国人雇用状況届出の際に「読取アプリ」の活用</strong><ul><li>不法就労を防ぐため、外国人雇用状況の届出にあたっては、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等読取アプリ」などを使い、在留資格や就労資格を適切に確認することが求められます。</li></ul></li></ol><p>（参考）<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190591.html" target="_blank">同一労働同一賃金ガイドライン - 厚生労働省</a></p><p>（参考）<a href="https://laws.e-gov.go.jp/law/501AC1000000048" target="_blank">日本語教育の推進に関する法律（令和元年法律第48号） - e-Gov法令検索</a></p><ol><li><strong>有期雇用労働者の雇入れ時の労働条件明示の追加</strong><ul><li>パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れる際の労働条件の明示事項に、「通常の労働者との待遇差の内容や理由などについて説明を求めることができる」旨が新たに加わる予定です。</li></ul></li></ol><ol><li><strong>育成就労制度の施行に伴う対応</strong><br>2027年4月1日に施行される予定の育成就労制度に向けて、基本方針などに沿った雇用管理が求められます。特に次の4点に留意しましょう。<br><ul><li>技能・日本語能力の修得支援：育成就労外国人が、目標とする技能や日本語能力を修得できるよう取り組む。</li><li>送出機関の確認：送出機関（現地で人材を送り出す機関）が、二国間取決めを結んだ国・地域の公的機関から推薦を受けた機関に限られている点などに留意する。</li><li>不当な手数料の防止：育成就労外国人が送出機関に支払う手数料が、不当に高額とならないようにする。</li><li>転籍制限の説明：育成就労外国人に対して、転籍にあたっての制限事項を説明する。</li></ul></li></ol><p>外国人に「選ばれる企業」になるには、<mark><strong>これらを単なる「義務」と捉えず、職場環境を整える好機とする視点が欠かせません。</strong></mark>厚生労働省は、対応状況を確認できる自主点検表も用意しています。こうした資料を活用しながら、外国人雇用の適正化を進めましょう。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2MVEjC6m8JB4lHtUOV9ZeS/f80c877da97a2a0a5581971cccaa12b6/image6.png" alt="null" /><figcaption><p>（出典）<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page11.html" target="_blank">外国人の雇用 - 厚生労働省</a></p></figcaption></figure><p>（参考）<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/001707303.pdf" target="_blank">外国人雇用管理指針改正の主なポイント（リーフレット） - 厚生労働省</a></p><p>（参考）<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/001261965.pdf" target="_blank">外国人雇用はルールを守って適正に（令和8年6月版） - 厚生労働省</a></p><h2>7月の重要トピック</h2><p>2026年7月から、障害者の法定雇用率が引き上げられます。まずはこの対応が必要です。あわせて、夏季賞与の時期に見直したい人事評価のフィードバックについても、ポイントを取り上げます。</p><h3>トピック1　障害者法定雇用率引き上げへの対応（重要度：★★★★★）</h3><p>障害者の雇用については、<strong>障害者雇用率制度</strong>という仕組みがあります。これは、障害者雇用促進法にもとづき、一定規模以上の企業に、定められた割合（法定雇用率）以上の障害者を雇用するよう義務づける制度です。障害の有無にかかわらず、誰もが能力を発揮して働ける社会（ノーマライゼーション）の実現をめざした制度です。</p><p>民間企業の法定雇用率は、2026年6月まで2.5％です。<mark><strong>これが2026年7月から2.7％に引き上げられ、対象となる企業の規模も、常時雇用する労働者が37.5人以上へと広がります。</strong></mark>これまで雇用義務のなかった企業に新たに義務が生じたり、すでに雇用している企業でも追加の採用が必要になったりするため、注意が必要です。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/5HiBzBoEr2zfWlBgEsbhHz/06bd1cbdb180f89be7d53c1067250ac0/image2.png" alt="null" /><figcaption><p>（出典）<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/000767582.pdf" target="_blank">障害者雇用のご案内 - 厚生労働省</a></p></figcaption></figure><p>まずは、自社が何人の障害者を雇用する必要があるかを把握し、不足する場合は新規採用などの対策を進めましょう。採用から定着までの具体的な進め方は、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr-management/employment/shougaisha-koyou-saiyou-teichaku/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/4MPO8KIxXD2LjwaNpJu5zY/fafc18af80e34dabe120e4a8009aa315/shougaisha-koyou-saiyou-teichaku_eyecatch.png" alt="" /><p><b>障害者法定雇用率2.7％へ｜採用・定着の運用設計を社労士が解説</b></p><p><time dateTime="2026-06-15">2026.06.15</time></p></a></div></div></figure><p>（参考）<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/000767582.pdf" target="_blank">障害者雇用のご案内 - 厚生労働省</a></p><h3>トピック2　夏季賞与にかかる人事評価結果のフィードバック（重要度：★★★★☆）<br></h3><p>夏季賞与の支給準備を終えた企業も多いのではないでしょうか。みなさんの会社では、人事評価の結果についてフィードバックをしていますか？　人事評価制度の納得感をどう高めるかは経営の難しい課題ですが、その鍵はフィードバックにあるといわれます。</p><p>株式会社マイナビが実施した「<a href="https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260526_110900/" target="_blank">【正社員1.8万人に聞いた】六月病と評価フィードバックに関する調査</a>」の結果を見ると、自身の評価に「納得感がある（「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」の合計）と答えた人は48.4％と、全体の約半分にとどまっています。</p><ul><li>直近の評価に納得感があると思うか<ul><li>そう思う　11.9％　</li><li>どちらかといえばそう思う　36.5％　</li><li>あまりそう思わない　31.6％　</li><li>そう思わない　20.0％　</li></ul></li></ul><p>注目したいのは、この納得感がフィードバックと強く連動している点です。<strong>評価に納得している層では39.5％が「丁寧なフィードバックがある」と答えた一方、納得していない層では68.4％が「フィードバックも結果の共有もない」状態でした。</strong></p><p>ただし、多くの経営者が見落としがちな落とし穴もあります。同じ調査では、企業の73.6％がフィードバックを「重要視している」と答えた一方、社内でルール化できている企業は49.6％と半数に届きません。14.0％は重要視もルール化もせず、現場の管理職の裁量に任せています。「重要だとは思っているが、現場では実施されていない」という状況が起きているのです。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/14vRTdNKFZKK4xrQjChc44/430aaaacbc8d3ee751e353b1d08ae97c/image1.png" alt="null" /><figcaption><p>（出典）<a href="https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260526_110900/" target="_blank">【正社員1.8万人に聞いた】六月病と評価フィードバックに関する調査2026年 - マイナビキャリアリサーチLab</a></p></figcaption></figure><p>人事評価への納得感は、単に従業員の機嫌を取るためのものではありません。企業の期待と本人の認識のずれを埋め、次の成長への意欲を引き出し、ひいては事業計画の達成にもつながる重要な取り組みです。</p><p><mark><strong>いますぐ取り組むべきは、評価のフィードバックを管理職個人の裁量に任せず、組織の仕組みとしてルール化することです。</strong></mark>評価の結果にかかわらず、「なぜその評価になったのか」という根拠を伝え、今後の期待を話し合う時間を、15分でもよいので設けましょう。経営陣の意思と丁寧な対話の積み重ねが、従業員の安心感を高め、業績を支える強い組織をつくります。</p><p>（参考）<a href="https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260526_110900/" target="_blank">【正社員1.8万人に聞いた】六月病と評価フィードバックに関する調査2026年 - マイナビキャリアリサーチLab</a></p><h2>法改正対応と暑さ対策で、従業員が安心して働ける環境を整えよう<br></h2><p>7月は、労働保険の年度更新や算定基礎届、賞与の支給など、さまざまな手続きがひと段落する月です。とはいえ、本格的な夏を迎え、体調を崩しやすい時期でもあります。熱中症対策にも取り組みながら、猛暑を元気に乗り切っていきましょう。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7xPAyMNc4M0R7XH8Bow5Di/57187738f5170cc6205e17e9af932ae0/main_mag_ebook_426-30.jpeg" alt="" /><p><b>法改正まるごと把握3点セット</b></p><p><a href="https://smarthr.jp/know-how/ebook/ebook_426-30/?utm_source=mag&utm_medium=link" target="_blank" rel="noopener">いますぐダウンロード</a></p></figure>]]></content:encoded>
      </item>
    
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        <title><![CDATA[期待が部下の主体性を奪う？教育者・鳥羽和久と考える「人が育つ職場」]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/hr-management/hr-development/toba-kazuhisa-talent-development/</link>
        <pubDate>Tue, 30 Jun 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[経営・組織]]></category>
        <category><![CDATA[人材開発]]></category>
        <guid isPermaLink="true">https://mag.smarthr.jp/hr-management/hr-development/toba-kazuhisa-talent-development/</guid>
        <dc:creator><![CDATA[佐々木 四史]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[「もっと丁寧に教えなければ」という熱心な関わりが、かえって部下の主体性を奪っているかもしれません。教育者・鳥羽和久さんと、褒めるより驚く関わり方、先回りしない育成、余白とノイズの効用から「人が育つ職場」を考えます。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/44b147XkXFTnwIZP63u9iY/5a522abf6b0fcd578af0a967ecc74553/296789a5-3e12-4a30-b3ec-c07683a85e19.jpg" alt=""></div><p>人材育成の現場では、「もっと丁寧に教えなければ」「先回りしてサポートしなければ」と、関わりを増やすことを正解だと考えてしまいがちです。しかし、熱心に手をかけるほど相手は受け身になり、「やってみたい」という気持ちがしぼんでいくことも。よかれと思った関わりが、かえって主体性を奪っているのかもしれません。</p><p>今回お話を伺うのは、教育者・作家の鳥羽和久さんです。20年以上にわたり、子供や若者が「育つ」現場に立ち会ってきた実践者です。教育の現場で培った視点から、「人が育つ職場」とは何かを考えます。</p><p>※SmartHRでは、「“働く”を語る水曜日の夜」をコンセプトに、ポッドキャスト番組『WEDNESDAY HOLIDAY（ウェンズデイ・ホリデイ）』を配信しています。本記事は鳥羽さんがご出演された回をもとに制作しています。質問も含め、内容を再編集しています。</p><div><div><p><b>鳥羽 和久（とば・かずひさ）</b></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/4k6VXErmBJQ06hJVKXbhgg/f797c7715579337a9d0741d7b77a6645/BfuoR52yjABgg0Z1782452956_1782452973.jpg" alt="" /></figure><p>教育者・作家</p><p>大学院在学中に福岡市で学習塾を開業。現在は株式会社寺子屋ネット福岡で代表取締役を務め、学習塾や単位制高校の経営を通じて150人を超える小中高生の学習指導に携わる。2018年に『親子の手帳』を刊行して以降、教育の現場から広く発信を続けている。著書に『君は君の人生の主役になれ』『それがやさしさじゃ困る』ほか。</p></div></div><h2>「人が育つ」とは、自分の問いで動けること</h2><p><b>――そもそも鳥羽さんは、「人が育つ」とはどういうことだと考えていらっしゃいますか？</b></p><p><b>鳥羽さん</b></p><p>ひとつ浮かぶのは、自分なりの問いを立てられること、でしょうか。</p><p>子供というのは、もともと親の言語圏のなかで言葉を覚え、話しています。そこから自分なりの問いを立てていくのは、決して簡単なことではありません。</p><p>勉強もそのためにあると思っています。勉強とは、親の言語圏になかった言葉を新たに手に入れて、自分で語る練習なのです。世間や他人に合わせてしか喋れない状態から、<strong>「これはもう自分固有の問いだ」という形で立てられるようになっていく</strong>。それが育つということだと思います。</p><p><b>――職場でも、近いことが起きるのかもしれません。上司や会社の評価軸を素早く飲み込める人ほど「優秀」とされますが、鳥羽さんはこの状態をどうみますか。</b></p><p><b>鳥羽さん</b></p><p>そこは、立ち止まって考えたいところです。教育の現場から考えると、ヒントがあるように思います。子供は、親から愛されたいものです。ですから、愛されるために親の期待に応えるというサイクルに、自分から身を投じやすい。それを無批判に続けていると、何かを判断するときに、いつも親の顔が浮かぶようになる。</p><p>そして、これは子供だけの話ではありません。こうした「内面化」に気づかないまま大人になっている人も少なくないんです。<strong>職場で上司の期待に応え続けるうちに、いつしか自分が本当は何を望んでいるのか、わからなくなってしまう。</strong>自分の問いで立てられているかという視点は、だからこそ大切なのだと思います。</p><h2>部下を伸ばすなら、「褒める」より「驚く」？</h2><p><b>――人が育つ瞬間に立ち会ってきたなかで、「この子は育ったな」と感じるのは、どんなときですか？</b></p><p><b>鳥羽さん</b></p><p>子供がいつもと違うことをした瞬間ですね。「以前できなかったことができた」でもいいし、単純に「いつもよりずっと大きな字を書いた」というだけでもいい。</p><p>そういう変化があったとき、まず「わっ、すごいね、面白いね」と驚くんです。<strong>その場で起きた変化に驚く。</strong>これを繰り返していると、その子はいつの間にか育っていきます。</p><p><b>――「褒める」ではなく、「驚く」なのですね。</b></p><p><b>鳥羽さん</b></p><p>そうなんです。<strong>褒めるという行為には、どうしてもコントロールや期待が入りやすい。</strong>「褒めることで、次もこうしてほしい」という期待が、無意識に混じってしまうんですよね。</p><p>驚くのは、本当にただ驚くだけ。すると相手には「自分の変化に気づいてもらえた」という感触が残ります。その手応えがあって初めて、「次は何をしようかな」と、次の気持ちが芽生える。<mark><strong>その連鎖が続いていくことが、育つということ</strong></mark>なのだと思います。</p><p><b>――「驚く」がうまく働くと、相手のなかで何が変わるのでしょう。</b></p><p><b>鳥羽さん</b></p><p>やはり、目の前の現実に自分が直接関わっている、という手応えが生まれるんです。仕事でいえば、自分は目の前の現実ときちんと関わりを結べている、という実感ですね。</p><p>その手応えこそが、仕事の喜びになる。<strong>自分自身の欲望と結びついた仕事でなければ、いい仕事は長続きしない</strong>と私は思っています。だからこそ、相手の変化に驚いて、その人の欲望が動き出す瞬間を見てあげることが大事なのだと思います。</p><p><b>――では反対に、避けるべき関わり方はありますか。</b></p><p><b>鳥羽さん</b></p><p>「あなたはあのときもこうだったよね」と、過去を持ち出して注意したり叱責したりするのを繰り返す。これは本当に逆効果です。</p><p>そう言われ続けると、その子は「自分はこういう人間だ」と、かえって自分を固定化して見るようになり、そこから抜け出せなくなってしまうんです。育てる側が、むしろ固定化に加担してしまうことになる。<strong>人を変えたいなら、過去ではなく、いま起きた変化のほうに驚くこと</strong>だと思います。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/41TMpahTFROfNhPIrMvpqg/ae94d6530ce790c8153c583881d9a570/unnamed.jpg" alt="null" /></figure><h2>先回りのサポートが、成長の芽を摘んでいないか</h2><p><b>――「育てよう」と思うほど、つい細かく口を出したり、先回りして手を貸したくなります。こうした関わりを、鳥羽さんはどう見ていますか。</b></p><p><b>鳥羽さん</b></p><p>気持ちはよくわかります。ただ、<mark><strong>細かく先回りすればするほど、相手が自分で試行錯誤した末に出会えたはずの未来の可能性まで奪ってしまう</strong></mark>んですよね。</p><p>なぜ細かく管理したくなるのか。根っこにあるのは、管理する側の不安です。子供の宿題を細部まで監視してしまう親と同じで、自分の不安を回避したい、有能感を確かめたい、と責任を過剰に背負い込んでいる。これは職場のマイクロマネジメントとまったく同じ構造なんですよね。</p><p><b>――でも、先回りして失敗を防ぐのは、本人のためにもよいことのように思えます。</b></p><p><b>鳥羽さん</b></p><p>それが、そうとも言えないんです。<strong>先回りして摩擦を消してしまうと、人の成長は「想像の範囲内」にとどまってしまいます。</strong>イノベーションは「思っていたのと違う」というところで生まれると思うんです。</p><p>一見、物事はスムーズに進みますが、本人は守りに入って、求められたものを完璧にこなすだけになってしまう。それが大事な場面はもちろんあります。ただ、育つという観点で言うなら、それだけでは育っていかないんですよね。</p><h2>「できないなりにできる」を待てる職場か</h2><p><b>――新人や若手は、最初はできないことのほうが多いと思います。その時期を、どう見てあげればいいのでしょう。</b></p><p><b>鳥羽さん</b></p><p>「できる」になるまでには、必ず<strong>「できないなりに、やってみている」時期</strong>があるんです。そこを待てないと、「できる」にはならないんですよ。</p><p>当たり前なのに、それを待てない場面が多いのではないでしょうか。親もそうだし、企業の人もそうかもしれません。</p><p>できないなりにやっている。その揺らぎのなかにこそ、人間らしさが出る。だからそこを観察して、面白がってほしいんです。</p><p><b>――待っているあいだは、つい「まだできていない」と減点で見てしまいがちです。</b></p><p><b>鳥羽さん</b></p><p>そこも疑ったほうがいいですね。「できない」と見ている人の、その見立て自体を疑ったほうがいい。<strong>「できる・できない」を判断している物差しは、正しいのか。</strong>問い直したほうがいいと思います。</p><p><b>――とはいえ、組織は効率を求めます。「待つ」とどう両立させればいいのでしょうか。</b></p><p><b>鳥羽さん</b></p><p>効率を求めること自体は大切です。問題は、急ぎすぎることでしょう。</p><p>スピードを落とすと、ある意味での「適当さ」や「余白」が生まれる。<strong>その適当さや余白こそが、クリエイティブの真ん中にある</strong>。そのメリットを丁寧に共有していけば、お互いに適切なスピード感がわかってくる。仕事で対立したり、うまくいかなかったりするときは、たいてい、そのスピード感の違いが大きいんですよね。</p><h2>「言葉にできない」を、「できない」と決めつけない</h2><p><b>――ほかに、組織で人を育てるうえで心得ておきたいことはありますか。</b></p><p><b>鳥羽さん</b></p><p>育成では、目標やプランを早く言葉にさせようとしがちですよね。ただ、私が現場で見ていると、それがかえって本人を縛ってしまうことが多いと思っています。</p><p>新人にいきなり目標を書かせ、計画を立てさせる。すると、その時点でうまく言葉にできないと「できない」と判断されてしまう。でも、<strong>言葉にできないことと、仕事ができないことは、まったく別の話</strong>です。</p><p><mark><strong>仕事はむしろ、「言葉にはできないけれど、</strong></mark><mark><strong>でき</strong></mark><mark><strong>てい</strong></mark><mark><strong>る</strong></mark><mark><strong>」ということのほうがずっと多い</strong></mark>ですよね。最初から明確に言語化できていることばかりを評価してしまうと、そうした伸びしろや可能性を見落としてしまう。</p><p>だから、最初にうまく言葉にできた人を高く買いすぎるのは、少し危ういと思うんです。面接や最初のプレゼンでは頼もしく見えても、実際に仕事をしてみると「あれ？」となる人も、よくいますからね。大事なのは、言葉の完成度よりも、実際にやってみるなかで何をつかみ、どう育っていくかを見ることだと思います。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7nL4JjmfeTyd9tBFttn5Es/42ad983681cc18aa9f05628d0cef6a1a/%E9%B3%A5%E7%BE%BD%E3%81%95%E3%82%93%E8%A8%98%E4%BA%8B%E5%86%85%E7%94%BB%E5%83%8F_SEO%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AC.001.png" alt="null" /></figure><h2>基本は、勝手に育つ。SOSが出たら、受け止める</h2><p><b>――最後に、人を育てる立場の人へ、伝えたいことはありますか。</b></p><p><b>鳥羽さん</b></p><p>人を育てるのは、本当に難しいことです。正直に言えば、僕自身もまだまだ成長の途中で、まったくの未完成形ですからね（笑）。</p><p><strong>育てる側も</strong><strong>完成</strong><strong>しない</strong><strong>まま</strong><strong>、相手と一緒に育っていく。</strong>そう思えると、相手に任せようとも思えるはずです。手をかけることを愛情だと思い込んでいると、かえって相手の育つ力を奪ってしまいますから。だから私は、「基本、人は勝手に育つ」という構えでいます。</p><p>ただ、<strong>信頼して任せることと放っておくことは違います。</strong>踏み込むべきときには勇気を持って踏み込む。</p><p>踏み込むべき場面では、どう関わるかも大切です。普段は「上司スイッチ」が入っていますが、ときにそれをいったん外して、一人の人間として声をかけないと届かない瞬間があるんです。役割のままだと、「立ち入るべきではない」と踏みとどまってしまいますから。</p><p>基本は任せて、SOSが出たら受け止める。そのフォローする勇気と覚悟だけは、絶対に手放さないことが大切です。</p><h2>音声版『WEDNESDAY HOLIDAY』全編の再生はこちらから</h2><p>音声版では、今回の記事で取り上げた内容以外にも「人材育成」をめぐるさまざまな話を展開しています。お時間のあるときに、こちらもぜひお聴きください。</p><p><a href="https://open.spotify.com/episode/0FKDtP1dvITPs3X3XQxibo?si=3EkA5N8MSzKkC4AdG2eu9w" target="_blank">Spotify<br></a><a href="https://podcasts.apple.com/jp/podcast/161-%E6%9C%9F%E5%BE%85%E3%81%8C%E4%B8%BB%E4%BD%93%E6%80%A7%E3%82%92%E5%A5%AA%E3%81%86-%E7%AE%A1%E7%90%86%E3%81%A8%E4%BF%A1%E9%A0%BC%E3%81%AE%E3%81%82%E3%81%84%E3%81%A0%E3%81%A7%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B%E4%BA%BA%E6%9D%90%E8%82%B2%E6%88%90-%E3%82%B2%E3%82%B9%E3%83%88-%E6%95%99%E8%82%B2%E8%80%85-%E9%B3%A5%E7%BE%BD%E5%92%8C%E4%B9%85/id1627403145?i=1000768706756" target="_blank">Apple Podcast<br></a><a href="https://www.youtube.com/playlist?list=PLf0QC5Rq6my2TeX57_UNwPTzx5_qZo9Eh" target="_blank">YouTube</a></p><p>フリーアナウンサーの堀井美香さんをパーソナリティに迎え、ビジネス・アカデミック・文化芸能などさまざまな世界で活躍するゲストとともに、個人の働き方や、組織やチームのあり方、仕事を通じた社会との関わり方などをゆるやかに語るトークプログラム。毎週水曜日の夕方5時頃に、最新エピソードを配信しています。配信中のエピソードは、各種音声プラットフォームにて、無料でお聴きいただけます。</p>]]></content:encoded>
      </item>
    
      <item>
        <title><![CDATA[公表して終わりにしない。男女間賃金格差の解消を「人材活躍」の前提に]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/work/environment/gender-wage-gap-2/</link>
        <pubDate>Tue, 30 Jun 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[働き方]]></category>
        <category><![CDATA[環境づくり]]></category>
        <guid isPermaLink="true">https://mag.smarthr.jp/work/environment/gender-wage-gap-2/</guid>
        <dc:creator><![CDATA[宅美 浩太郎]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[男女間賃金差異の公表義務化が、2026年4月から101人以上の企業へ拡大。数字を公表して終わりにせず、「女性活躍」から「人材活躍」へと視点を広げ、賃金格差の解消を経営の前提に。日本総合研究所の小方尚子さんと、いま人事に求められる視点を考えます。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/60twt8bjQKXkT8PI1czrdz/b3b4f647dbfd12537c1f728dead87798/gender-wage-gap-2_eyecatch.jpg" alt=""></div><p>男女間賃金差異の公表義務化が、2026年4月から常時雇用する労働者101人以上の企業へと広がりました。制度の整備が進む一方で、日本の男女間賃金差は依然として大きく、<strong>現在のペースが続けば、OECD平均（11%）の水準に達するまで約30年かかる</strong>との試算もあります。では、なぜ賃金格差の縮小はこれほど緩やかなのでしょうか。</p><p>前編では、男女間賃金格差の背景に、<strong>思い込み・評価・登用が相互に関係する構造的な要因</strong>がみえてきました。後編では、構造を動かす打ち手へとつなげるにはどうすればよいのか。企業の意思決定や現場の運用につなげるヒントを、日本総合研究所主任研究員の小方尚子さんとともに考えます。</p><p>（出典）<a href="https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2024-09-09/SJITMCT0AFB400" target="_blank">日本の男女賃金格差、OECD水準に追いつくまで30年－JPモルガン - Bloomberg</a></p><figure><figcaption><b>前編</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/work/environment/gender-wage-gap-1/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7v4b5L5cgMlaxkhsKCG01e/e388afa1adce9fcb4a75515af5eb2fff/gender-wage-gap-1_eyecatch.jpg" alt="" /><p><b>女性活躍推進法から10年。男女間賃金格差が縮まらない背景にある「機会格差」の構造</b></p><p><time dateTime="2026-06-29">2026.06.29</time></p></a></div></div></figure><div><div><p><b>小方 尚子</b></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/71z3ZCEOZceOBrMu3RyJ84/874dcb5e4b64a08f19980507ad6c48d5/YOK_7047.jpg" alt="" /></figure><p>日本総合研究所 調査部 </p><p>日本総合研究所調査部 マクロ経済研究センター 主任研究員。東京大学教養学部教養学科卒業後、三井銀行（現三井住友銀行）入行と同時に三井銀総合研究所（現日本総合研究所）へ出向。アジア経済、米国経済の調査分析を経て、家計部門を中心に国内マクロ経済分析に従事。2021〜2024年、経済社会システム総合研究所客員主任研究員。</p></div></div><h2>なぜ、企業は賃金格差の解消に踏み込みづらいのか</h2><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/1xuyoO7zMESkiQt4D8oqsH/f21d82b39f7b42d42cd1131037261b24/gender-wage-gap-2_01.png" alt="男女間賃金格差を生む3つの構造的要因" /></figure><p><b>――前編では、男女間賃金格差が「個人の選択」だけでは説明しきれず、思い込み・評価・登用が絡み合う構造のなかで残ってきたことを整理しました。制度は整いつつあるのに、企業が賃金格差の解消に踏み込みきれないのは、なぜでしょうか。</b></p><p><b>小方さん</b></p><p>大きな要因は、人や組織がこれまでのやり方を変えることへの<strong>「抵抗感」</strong>だと思います。長年うまく回ってきた仕組みがあると、「これで問題なくやれているのだから、このままでよい」と考えがちです。こうした組織の慣性が、問題に踏み込む一歩をためらわせているのではないでしょうか。</p><p>もう一つは、<strong>「男性従業員の納得感」</strong>の問題です。賃金格差の縮小に取り組むなかで、「女性だけが優遇されているのではないか」との受け止めが現場で生じると、戸惑いや反発につながり、制度の見直しや運用の改善が進みにくくなります。</p><h2>「女性活躍」から「人材活用」へ、視点を変える</h2><p><b>――こうした構造に対して、企業は全体としてどのように向き合えばよいのでしょうか。</b></p><p><b>小方さん</b></p><p>登用や評価、働き方といった個別の要因に一つひとつ対応することに加え、<strong>企業全体として人材活用のあり方そのものを見直すこと</strong>が重要だと考えています。</p><p>近年、<strong>多くの企業で「女性活躍」の推進は経営の重要テーマ</strong>として位置づけられています。女性活躍は、賃金格差の解消と、組織全体の人材活用の底上げに、ともに結びつくテーマです。</p><p>ただ、見方を一歩広げる必要もあります。女性や高齢者の労働参加が進んだとしても、日本の<strong>労働力人口は2030年代前半をピークに、減少へと転じる</strong>と見込まれています。高齢化が進み、現役世代の人口が減っていく社会であるだけに、女性活躍は<strong>他国以上に取り組みを急ぐべき課題</strong>になってきています。</p><p>だからこそ、「女性のための取り組み」ではなく「持続可能な経営のための取り組み」として、<strong>女性活躍を「人材活用」の中心に位置づけ直すこと</strong>が、これからの経営の出発点になります。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7urPqqWIcjCxMnFx3FctnP/839114dff84d1ea198dff6d0333b60cd/gender-wage-gap-2_02.png" alt="労働力人口の見通し" /><figcaption><p>（出典）小方尚子さんのご提供資料をもとに編集部作成</p></figcaption></figure><p>そのうえで、もう一つ付け加えたい視点があります。それは、<strong>経営が動けば、構造が動き出す</strong>、との見方です。経営トップが本気で旗を振れば、登用や評価の仕組みを見直す意思決定が進み、機会配分の偏りを解消する取り組みも動き出しやすくなります。その積み重ねが、結果として賃金差の縮小につながります。<strong>経営の決断こそが、構造的な課題を動かす起点になる</strong>のではないでしょうか。</p><p><b>――女性活躍は、賃金格差の改善だけでなく、企業の持続性にも関わるテーマなのですね。</b></p><p><b>小方さん</b></p><p>はい。ESG（環境・社会・ガバナンス）投資の観点からも、<strong>女性活躍への取り組みが不十分な企業に対して、投資家が人的資本の観点で説明を求める場面は増えつつあります</strong>。消費者の側からも、ダイバーシティや人的資本への配慮が十分でない企業は、ブランドの観点で不利になり得ると考えられます。</p><p>女性活躍への対応は、もはや人事課題にとどまりません。<strong>企業のブランド価値や持続的な成長に直結する経営課題</strong>として、位置づけが変わってきています。こうした流れを背景に、大企業・中小企業を問わず取り組みを進める企業も着実に増えており、全体として前向きな変化がみられます。</p><h2>人事の打ち手（1）女性活躍を「経営の言葉」でトップに伝える</h2><p><b>――では、経営トップの決断を引き出すために、人事には何ができるのでしょうか。</b></p><p><b>小方さん</b></p><p><strong>日本企業はトップダウンの色合いが強く、経営トップのメッセージ次第で組織全体が動きやすい面があります。だからこそ、トップ自らが女性活躍は企業の成長に欠かせないテーマだ</strong>と認識をもち、明確なメッセージとして打ち出すことがカギになります。</p><p>たとえば、ある大企業では、社長が就任直後に女性活躍を経営課題として掲げ、数値目標や制度整備を通じて全社的に推進した事例があります。</p><p>人事がアクションを起こすのであれば、<strong>まずは経営トップへの働きかけ</strong>が有効です。その際に欠かせないのは、<strong>なぜいま取り組むべきかを「経営の言葉」で伝える</strong>ことです。</p><p>具体的には、女性活躍の推進が業績向上や競争力強化、人材獲得における優位性につながると示すこと。実際、子育て中の女性の多くは正社員としてキャリアを続けることを望んでおり、両立できる環境を整えた企業ほど、優秀な人材を確保・定着させやすくなると考えられます。</p><p>こうした<mark><strong>経営メリットを具体的に示し、トップの意思決定に結びつけること</strong></mark>。これも、人事の大きな役割なのではないでしょうか。</p><p>（参考）<a href="https://www.mynavi.jp/news/2025/05/post_48946.html" target="_blank">育児離職と育休の男女差実態調査（2025）- マイナビ転職</a></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7kdINQ0CUrEYl8uNRj1wwO/cf0de945828eea3e1836ca6c49d55d56/gender-wage-gap-2_03.jpg" alt="小方 尚子さん" /></figure><h2>人事の打ち手（2）思い込みは「自覚」と「事実把握」の両輪で解く</h2><p><b>――経営トップの後押しを起点に、賃金格差を生む課題解決の具体策を伺います。まず、「子育て中の人に負担の大きい仕事は酷だ」といった無意識的な思い込みには、どう向き合えばよいでしょうか。</b></p><p><b>小方さん</b></p><p>無意識的な思い込みについては、<strong>「頭では理解しているが、行動が変わらない」</strong>状態にとどまっている組織が多いと感じます。だからこそ、理解を行動に結びつける取り組みの継続がカギになります。</p><p>向き合い方には、2つの方向があります。</p><h3>内向き：自分のなかの思い込みを自覚する</h3><p>一つは、自分のなかに思い込みがあると自覚することです。<strong>研修や日々の運用を通じて、管理職層を軸に組織全体へ働きかけます</strong>。トップが明確なメッセージを発信することも、もちろん効果的です。</p><h3>外向き：相手のキャリア志向を事実で把握する</h3><p>もう一つは、対象となる社員のキャリア志向を、<strong>思い込みでなく事実として把握する</strong>ことです。「女性は責任あるポジションを望まないはず」と推測するのではなく、本人がどう働きたいかを直接知ること。そのためには、<strong>サーベイなどで本音を引き出せる心理的安全性</strong>が欠かせません。経営層や管理職が日ごろから「多様な働き方を歓迎する」と発信し、安心して答えられる土台をつくる。こうしてデータを通じて思い込みを事実で確かめていきます。</p><p><mark><strong>内向きの自覚と、外向きの把握。この2つを組み合わせることが、無意識的な思い込みへの現実的な打ち手になります。</strong></mark></p><p>同時に、<strong>女性自身への支援</strong>も同じ重みで進めていきたいところです。女性管理職やリーダーの前例がまだ少ないなかでは、自信をもてないと感じる人もいます。けれども、人は経験を積みながら成長していくものです。<strong>「成長は経験のあとからついてくる」との前提</strong>を組織内で共有し、キャリア研修などを通じて挑戦を後押しすることが、女性のキャリア形成を支える土台になるのではないでしょうか。</p><h2><strong>人事の打ち手（3）「時間ではなく成果」制約を不利にしない評価へ</strong></h2><p><b>――次に、無制限に働ける人ほど評価されやすい仕組みも、男女間賃金格差を生む一因だと前編で整理しました。どう見直せるのでしょうか。</b></p><p><b>小方さん</b></p><p>時間に制約があっても能力を発揮でき、正当に評価される仕組みへと見直すことが重要です。</p><p>具体的には、<strong>長時間労働ではなく成果や生産性を重視する評価への転換</strong>と、<strong>業務や経験機会が特定の人に偏らない配分の見直し</strong>です。両者は車の両輪のような関係で、人事が主体となり、評価の軸と運用の双方を同時に見直すことがカギになります。</p><p><b>――出産や育児といった一時的な制約が、その後のキャリアや賃金に影響し続ける点も課題です。</b></p><p><b>小方さん</b></p><p>女性の働く時間に制約が生じるのは、多くの場合、出産・育児といった一時的なライフイベントによるものです。その期間に休職や時短勤務を選んだだけで、昇格の遅れや基本給の伸びの差がその後も積み上がり、<strong>一時的な制約が長期的な賃金差として残っていく仕組みは、見直す必要があります。</strong></p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/work/well-working/kosodate-penarutexi-01/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2AiUc3GOTYM3mHNvtFlwTN/39ba44dc503d36a94719f2daff983b56/kosodate-penalty-1.jpg" alt="" /><p><b>賃金46%減を生む"子育てペナルティ"。女性の育児とキャリアの両立を阻む構造的課題</b></p><p><time dateTime="2026-05-25">2026.05.25</time></p></a></div></div></figure><p>具体的には、短時間勤務や一時的な離職を経ても、<strong>復帰後に再び経験や役割を広げられる機会</strong>を確保することです。人事が主導して、<strong>キャリアを回復できる配置設計と評価制度</strong>を整えていけるとよいでしょう。</p><p>加えて、育児休業などで一時的に離れる社員を、現場で支える側への配慮も欠かせません。<strong>バックアップを担う社員に適切な評価や手当を設けること</strong>で、休む側・支える側の双方が納得できる仕組みが整います。</p><p>均衡の取れた評価運用は、<strong>時間に制約のある人を例外扱いしない設計</strong>です。介護なども含め、誰もが制約を抱えうるこれからの時代には、女性だけでなく、すべての社員にとって働きやすい職場づくりにつながります。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/57gJEg4Dn3VF7XQXDzcFBm/5fd818a9cf02bd50b5f8d1b17f38b734/gender-wage-gap-2_04.png" alt="「評価・昇進・配置」を見直す人事のアクション例" /></figure><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/work/well-working/kaigo-risyoku/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/59w1boPkWYaPP0frRxPyFV/4318d41d314279e36a3db1cd5411af39/image5.jpg" alt="" /><p><b>介護離職を防ぐ人事の「初期対応」。"判断"を支える支援とは</b></p><p><time dateTime="2026-05-28">2026.05.28</time></p></a></div></div></figure><h2>人事の打ち手（4）候補者層を厚くする、計画的な育成と配置</h2><p><b>――役職登用の偏りについては、どう対処すべきでしょうか。</b></p><p><b>小方さん</b></p><p>まずは、<strong>地道に人材を育てること</strong>が何より重要です。現状では役員クラスの女性は限られており、社外取締役などでも、同じ人材に複数の企業から声がかかる状況がみられます。裏を返せば、それだけ候補となる人材の層が薄いのです。</p><p>だからといって、登用だけを短期的に急ぐと、本人にも組織にも過度な負荷がかかり、継続性を損ねるおそれがあります。とくに無理な役員登用は意思決定の質の低下を招きかねず、企業の業績にとってもプラスになりにくいといえます。ここで欠かせないのは、<strong>いまの20代・30代の女性が、10年後・20年後に管理職や役員を担えるよう、計画的に育成する</strong>視点です。</p><p><b>――計画的な育成が要になるのですね。加えて、タレントマネジメントの面ではどうでしょうか。</b></p><p><b>小方さん</b></p><p>もちろん、<strong>タレントマネジメントそのものを見直すこと</strong>も欠かせません。</p><p>背景には、世帯のなかで<strong>収入を伸ばしやすい側が仕事を優先し、もう一方が家庭を担うほうが“合理的”になりやすい</strong>構造があります。現状ではその役割分担に男女差があり、出産や育児のタイミングで働き方を調整するのは女性側に集中しがちです。<strong>結果として、キャリアが中断されたり、経験の蓄積や昇進機会に差が生じたりして、継続的にキャリアを積み上げることが難しくなる</strong>側面があります。</p><p>こうした状況を踏まえると、個々の育成施策だけでなく、タレントマネジメントや配置のあり方そのものを見直すことが、人事に求められます。たとえば、<strong>育児などで時間に制約のある社員でも中核業務に関われる配置設計</strong>です。これにより、女性が昇進経路から外れることを防ぎ、<strong>管理職・役員候補のキャリア形成を途切れさせない仕組み</strong>につながります。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/3barMXEf0UwW5oQk8XFS2L/720ea4c0f6092ea3f622b93a82c1d46f/gender-wage-gap-2_05.jpg" alt="小方 尚子さん" /></figure><h2>人事の打ち手（5）データの可視化・共有から、組織を動かす</h2><p><b>――数値の公表で終わらせず、経営のアクションにつなげるために、データをどう分析し、共有すればよいのでしょうか。</b></p><p><b>小方さん</b></p><p>現在は、正規・非正規といった大まかな区分ごとに、男女の平均賃金の差異を示す形での公表が中心です。ただ、それだけでは実態はみえにくいのが実情です。大切なのは、<strong>もう一歩踏み込んで、データを細かく分析すること</strong>です。</p><p>たとえば、<strong>同じ学歴・同じ入社年次の社員が、5年後・10年後にどのようなキャリアを歩んでいるのかを、男女別にみていくこと</strong>です。そうしたデータを継続的に確認することで、昇進や配置、機会の与え方に偏りが生じていないかを検証できます。</p><p>たとえば、同じ大学を卒業し同時期に入社した社員を比べると、「男性は平均5年で昇進する一方、女性は7年ほどかかっている」傾向が複数の場面で確認されるとします。個別の事例だけで断定はできませんが、<strong>同じ傾向が繰り返しみられるのであれば、個人差ではなく、なんらかの構造的な要因が影響している可能性が考えられます。</strong></p><p>そして、こうして可視化したデータは、人事が抱え込まずに経営層と現場間で共有することが重要です。経営はそれを意思決定の根拠として受け止め、現場は自分たちの実感と照らし合わせます。同じ事実を人事・経営・現場の三者が共有してはじめて、打ち手が具体的に動き出します。</p><p>大切なのは、「平均賃金の男女差」として公表される数値を超えて、「この差が生まれる原因は正当なものか」を問い続けること、そしてその問いを人事・経営・現場で分かち合うことです。<mark><strong>データを可視化し、共有することが、規定の外側にある構造を動かす出発点になります。</strong></mark></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/5N9xnz9MF1lRCy0xNEi7mM/5390f0ad16d17e4477d3dd6a95d06311/gender-wage-gap-2_06.png" alt="同条件でも生じる昇進スピードの差" /></figure><h2>公平性の問題から、経営の前提条件へ</h2><p><b>――最後に、男女間賃金格差を切り口に、経営者や人事担当者へメッセージをお願いします。</b></p><p><b>小方さん</b></p><p><strong>不当な男女間賃金格差を残したままでは、人材を十分に活かせず、企業は生き残れません</strong>。まず、その認識をもつことが出発点になります。これまでは人手に余裕があり、「長時間労働が可能な人だけ働けばよい」との発想でも成り立ってきました。けれども、これからはそうはいきません。</p><p>人材が限られるなかで、特定の層だけに依存するのではなく、<strong>誰もが力を発揮できる状態を組織としてつくれるか</strong>。それが、企業の成長を左右する分かれ目になります。</p><p><strong>男女間賃金格差への取り組みは、もはや公平性や女性活躍の問題にとどまりません。</strong><mark><strong>企業が持続的に成長するための、経営の前提条件になってきている</strong></mark><strong>のではないでしょうか。</strong></p><h3><strong>編集後記</strong></h3><p>取材を通じて何度も立ち返ったのは、「合理的な判断」でした。収入を伸ばしやすい側が仕事を優先し、もう一方が家庭を担う。企業は、長年うまく回ってきた仕組みを守ろうとする。そのどれもが、<strong>それぞれの立場からみれば自然な選択</strong>です。しかし、その積み重ねが家庭・職場・制度の各層で絡み合い、その歪みが「完全にはなくならない男女間賃金格差」として表面化してきているといえるでしょう。</p><p>賃金格差にまつわる情報の公表義務化が広がり、企業は取り組みを避けられない局面を迎えています。とはいえ、日々の評価や配置に向き合う人事・労務担当者にとって、「構造」は、どこか抽象的に感じられるかもしれません。「不当な男女間賃金格差を残したままでは、人材を十分に活かせず、企業は生き残れない」。小方さんのこの言葉は、その抽象を、目の前の経営課題へと引き寄せてくれます。</p><p>構造を動かす入口は、まずは小さな一歩が大事なのかもしれません。同じ学歴・入社年次の社員が、5年後・10年後にどんなキャリアを歩んでいるかを、男女別に比較してみる。そういった小さな検証が、規定の外側にある構造を見つめ直すきっかけになるはずです。SmartHR Mag.では、これからも女性活躍をはじめとする多様な人材活用の取り組みや事例、その背景にある社会課題を掘り下げていきます。</p><p>（取材・文／POWER NEWS、写真／横関一浩）</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/5dt3uJSZWsD2e6wqagKd0F/76da27b1edaca0887309ab3a754981c7/%C3%A8__%C3%A7___%C3%A6__%C3%A6__%C3%A6__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%AF__%C3%A2__%C3%A5__%C3%A3__%C3%A6__%C3%A3__%C3%A6_%C2%AA%C3%A6__%C3%A2__%C3%A3__%C3%A6__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A9__.png" alt="" /><p><b>法改正をチャンスに！“働き方の未来”を描くツール集</b></p><p><a href="https://smarthr.jp/know-how/ebook/ebook_406-30/?utm_source=mag&utm_medium=link" target="_blank" rel="noopener">いますぐダウンロード</a></p></figure>]]></content:encoded>
      </item>
    
      <item>
        <title><![CDATA[女性活躍推進法から10年。男女間賃金格差が縮まらない背景にある「機会格差」の構造]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/work/environment/gender-wage-gap-1/</link>
        <pubDate>Mon, 29 Jun 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[働き方]]></category>
        <category><![CDATA[環境づくり]]></category>
        <guid isPermaLink="true">https://mag.smarthr.jp/work/environment/gender-wage-gap-1/</guid>
        <dc:creator><![CDATA[宅美 浩太郎]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[女性活躍推進法の成立から10年。正社員でみても女性の賃金は男性の78.7%にとどまり、男女間賃金格差はなお残ります。背景にある思い込み・評価・登用の「機会格差」を、日本総合研究所の小方尚子さんとともに読み解きます。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7v4b5L5cgMlaxkhsKCG01e/e388afa1adce9fcb4a75515af5eb2fff/gender-wage-gap-1_eyecatch.jpg" alt=""></div><p>近年、男女間賃金差異の公表義務化が進み、自社の賃金や登用を点検する必要に迫られている企業も多いのではないでしょうか。</p><p>長年の法整備を経て、男女間の賃金格差は少しずつ縮まってきました。それでも2025年の調査によると、正社員でみても<strong>女性の賃金は男性の78.7%にとどまります</strong>。なぜ、性別による賃金格差はこれほど残り続けるのでしょうか。</p><p>前編では、その背景にある<strong>構造的な要因</strong>を、日本総合研究所主任研究員の小方尚子さんとともに読み解きます。</p><div><div><p><b>小方 尚子</b></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/71z3ZCEOZceOBrMu3RyJ84/874dcb5e4b64a08f19980507ad6c48d5/YOK_7047.jpg" alt="" /></figure><p>日本総合研究所 調査部 </p><p>日本総合研究所調査部 マクロ経済研究センター 主任研究員。東京大学教養学部教養学科卒業後、三井銀行（現三井住友銀行）入行と同時に三井銀総合研究所（現日本総合研究所）へ出向。アジア経済、米国経済の調査分析を経て、家計部門を中心に国内マクロ経済分析に従事。2021〜2024年、経済社会システム総合研究所客員主任研究員。</p></div></div><h2>制度上は平等でも、なお残る男女間賃金格差</h2><p>そもそも賃金については、労働基準法が性別を理由とする差別的取り扱いを禁じています。そのうえで、労働をめぐる男女間格差の解消に向けた枠組みは、長い年月をかけて一歩ずつ整えられてきました。</p><p>参考：<a href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_1-At_4" target="_blank">労働基準法 第四条 - e-Gov 法令検索</a></p><p>1985年に男女雇用機会均等法が制定され、2015年には女性活躍推進法が成立しました。2022年の同法改正では、常時雇用する労働者301人以上の企業に男女間賃金差異の公表が義務化。さらに2026年4月施行の改正では、<strong>対象が常時雇用する労働者101人以上の企業まで拡大し、「女性管理職比率」の公表も新たに義務化されました。</strong></p><p><strong>こうした法整備を経てもなお、男女間賃金格差はいまも大きいままです。</strong>厚生労働省「令和7（2025）年賃金構造基本統計調査」によると、<strong>正社員でみても、女性の賃金は男性の78.7%</strong>※にとどまります。本記事では正社員を中心に取り上げていますが、非正規雇用も含めると、男女の差はさらに大きくなります。女性活躍推進法の成立から10年以上が経っても、なぜ差はこれほど残り続けるのでしょうか。</p><p>※正社員・正職員の所定内給与額（残業代などを除いた基本給）をもとにした比較で、「男性387.4千円・女性304.9千円」より算出。</p><p>（出典）<a href="https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/dl/06.pdf" target="_blank">令和7（2025）年賃金構造基本統計調査の概況「雇用形態別」（第6-1表）- 厚生労働省</a></p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/labor/josei-katsuyaku-suishinhou/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6LJoXx4uraMoomZAcS4QcY/41eb83b6ecf78b4f38bb057796e1c54e/202603_4%C3%A6__%C3%A6__%C3%A8__%C3%A3__%C3%A5__%C3%A6__%C3%A6__%C3%A8%C2%BA_%C3%A6__%C3%A9__%C3%A6__%C3%A3__%C3%A5__%C3%A8__%C3%A7__%C3%A5__%C3%A5__%C3%A3__%C3%A5__%C3%A5__%C3%A5__%C3%A5__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__-2__1_.png" alt="" /><p><b>4月施行「女性活躍推進法」公表義務化・実務対応ガイド｜算出定義から運用まで</b></p><p><time dateTime="2026-03-11">2026.03.11</time></p></a></div></div></figure><h2>賃金格差を生み出す「思い込み」「評価」「登用」</h2><p>法制度のうえでは平等が定められても、なお残るこの差はどこから生まれているのでしょうか。SmartHR Mag.編集部は、賃金格差にまつわる複数の調査や統計をもとに要因を探りました。</p><p>まず参照したのが、厚生労働省の分析です。男女間賃金差異の要因が、役職・勤続年数・学歴・労働時間などに分けて算出されています。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/4kIiJRm4Zebmbz0o2T7Pjl/c16b44081b34a7fc43e0c19b6b45d04d/gender-wage-gap-1_01.png" alt="男女間の賃金差異の要因（単純分析）" /><figcaption><p>（出典）<a href="https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/dl/24-01.pdf#page=30" target="_blank">令和6年版働く女性の実情「図表1-4-4 男女間の賃金差異の要因（単純分析）」- 厚生労働省</a></p></figcaption></figure><p>「各要因が男女でそろっていたら、賃金差はどれだけ縮むのか」の試算による影響度は、次のとおりでした。<strong>役職に就いているかどうかが、</strong>男女間の賃金差に大きく影響しているといえそうです。</p><ul><li><strong>役職：8.8ポイント</strong></li><li>勤続年数：3.6ポイント</li><li>学歴：2.2ポイント</li></ul><p>では、こうした「役職の差」は、どこで生まれているのでしょうか。SmartHR Mag.編集部は、<strong>2つの要因</strong>が積み重なって<strong>登用の偏り</strong>となり、役職の差につながっているのではないか、と考えました。</p><h3>（1）「重要な仕事は男性が担うべき」という思い込み</h3><p>21世紀職業財団の2015年度の調査では、<strong>「重要な仕事は男性のほうが多く与えられると思う」と答えた女性が5〜6割、男性も4〜5割</strong>にのぼりました。直近の2024年の調査でも、「重要な仕事の担当は男女関係ない」と考える割合は2018年と比べてほぼ横ばいで、大きな進展はみられません。</p><p>こうした思い込みのもとで重要な案件や責任あるポジションが男性に偏れば、女性は重要な仕事を経験する機会そのものを得にくくなっていきます。</p><p>（出典）<a href="https://www.jiwe.or.jp/research-report/2015development_and_management/" target="_blank">若手女性社員の育成とマネジメントに関する調査研究（2015年度）- 公益財団法人 21世紀職業財団</a><br>（出典）<a href="https://www.jiwe.or.jp/research-report/2024dei/" target="_blank">【4回目 状況調査】男女正社員対象 ＤＥＩ推進状況調査（2024年実施）- 公益財団法人 21世紀職業財団</a></p><h3>（2）「いつでも働ける人」ほど評価されやすい文化</h3><p>「長時間、いつでも対応できる人ほど高く評価される」文化が強い職場では、時間に制約のある人ほど、力を発揮しても評価や経験の機会を得にくいと考えられます。実際、<strong>職場の労働時間が長い企業ほど、正社員や管理職に占める女性の比率が低くなる</strong>という研究結果も報告されています。</p><p>そして、その時間の制約は、女性に偏りやすいのが実情です。<strong>日本の女性の無償労働時間（家事・育児・介護など）は男性の約5.5倍</strong>にのぼると示されており、家事や育児の負担が女性に偏るぶん、「いつでも働ける」土俵に立ちにくいのは女性のほうになりがちです。</p><p>（出典）<a href="https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/14j017.pdf" target="_blank">企業における職場環境と女性活用の可能性 - 山本勲（2014年）</a><br>（出典）<a href="https://www.gender.go.jp/research/pdf/joseikatsuyaku_kadai.pdf" target="_blank">女性活躍・男女共同参画の現状と課題 - 内閣府（無償労働時間の男女比はOECD「Time use across the world」2021年データにもとづく）</a></p><h3>（3）機会の隔たりと時間的制約が積み重なって生まれる「登用の偏り」</h3><p>重要な仕事を任される機会の偏りと、時間に制約があると評価されにくい文化。この2つが経験と実績の差を生み、昇進・選抜の段階での偏りとなって表れます。実際、<strong>管理職への登用比率は男性1人に対し女性0.24人</strong>にとどまります。こうした登用の偏りが積み重なった先に、賃金差の最大要因である「役職の差」が生まれていくと考えられます。</p><p>役職の差は、賃金そのものだけでなく、退職金や年金、再就職時の処遇にも波及し、生涯所得の差として残っていきます。</p><p>（出典）<a href="https://mainichi.jp/articles/20250308/k00/00m/020/291000c" target="_blank">女性の昇進しやすさは男性の4分の1 管理職登用に壁（2025年3月）- 毎日新聞</a></p><p>社内のルールが平等でも、現実には差が生まれていきます。この構造について、男女間賃金格差に詳しい小方さんに解説していただきました。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/C9kO2j0bKYmZW5acJMc4C/dbdafa5454f442ff86d9f6a793c4e9ba/gender-wage-gap-1_02.png" alt="男女間賃金格差を生む3つの構造的要因" /></figure><h2>「善意」と「合理的な判断」が生む機会の差</h2><p><b>――編集部では、男女間賃金格差の最大要因である「役職の差」が、「思い込み」と「評価文化」の積み重なりから生まれているのではないか、と仮説を立てました。この見立てはいかがでしょうか。</b></p><p><b>小方さん</b></p><p>とても整理された見立てだと思います。私の見方も近く、各種調査の結果とも整合します。</p><p><b>――その「思い込み」は、賃金にどう影響しているとお考えですか。</b></p><p><b>小方さん</b></p><p>仮説のとおり、無意識的な思い込みは、女性の賃金を直接下げるのではなく、<strong>「機会の差」を経由して影響している</strong>と考えられます。</p><p>重要な案件や責任あるポジションの配分が男性に偏り、経験と実績の差が積み上がっていきます。その差が昇進や昇給の場面で表面化し、賃金の差として現れるのです。</p><p>つまり、男女間賃金格差は、<strong>いまの状態だけでなく、これまで「何を経験してきたか」によっても生じています</strong>。そう捉えることが、格差の解消を考えるうえで大切だと思います。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/30FCoGHmall131WftH3ZuA/bd1440267d071d1e0542bc640caa653a/gender-wage-gap-1_03.jpg" alt="小方 尚子さん" /></figure><p><b>小方さん</b></p><p>もう一つ、無意識の思い込みのほかに、一見「合理的」にみえる判断が影響している側面もあります。それが、<strong>「統計的差別</strong>※<strong>」</strong>と呼ばれる現象です。</p><p>※個人の能力や意欲ではなく、所属するグループの「平均的な傾向」をもとに判断を下すこと。</p><p>先ほどの無意識的な思い込みとは、少し性質が異なります。「彼女に無理をさせたら気の毒だ」という<strong>善意から、無意識に手心を加えてしまう。</strong>これも無意識的な思い込みの一つです。一方、<strong>「統計的に女性は途中で抜ける確率が高いから、長期の案件は男性に」と判断するのが統計的差別</strong>です。</p><p>一見すると、過去のデータにもとづく合理的な判断にもみえます。ただ、判断の根拠になっているのは、その人自身の能力や意欲ではなく、「女性は途中で抜ける確率が高い」という集団の傾向です。一人ひとりを見ないまま機会が振り分けられるため、結果として、思い込みの場合と同じように機会の差が生まれていきます。</p><p><mark><strong>「彼女のために」という善意も、「データにもとづく」という合理性も、本人の能力や意欲を見ないまま機会を振り分ける点では同じ</strong></mark><strong>です</strong>。<strong>その積み重ねが、機会の差を少しずつ広げていく。</strong>そう捉えると、賃金差の背景にある構造がみえやすくなります。</p><h2><strong>「いつでも働ける人」が自然と評価されやすい構造</strong></h2><p><b>――2つ目は、「『いつでも働ける人』ほど評価されやすい文化」です。この評価のあり方は、賃金にどう影響しているとお考えですか。</b></p><p><b>小方さん</b></p><p>評価される対象が「時間の融通がきく人」に偏ると、家事や育児で時間に制約のある人は、力を発揮しても評価されにくくなります。そして、その「時間の融通」には、男女差があります。</p><p>その差は、数字にも表れています。正社員の平均勤続年数は、<strong>男性14.4年に対し女性10.7年</strong>と、短いままです。<mark><strong>家事や育児の負担が女性に偏りやすい現状では、女性は傾向として「いつでも働ける」土俵に立ちにくい</strong></mark>のです。</p><p>（出典）<a href="https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/dl/06.pdf" target="_blank">令和7（2025）年賃金構造基本統計調査の概況「雇用形態別」（第6-1表）- 厚生労働省</a>（表下部「勤続年数」の行を参照）</p><p><strong>こうした評価の差は機会や経験の差として積み重なり、結果として賃金の差につながります</strong>。1つ目の「思い込み」と同じく、間接的に賃金に影響しているのではないでしょうか。</p><p><b>――制度上は成果で評価すると掲げる企業も多い一方、実際には結果として長く働ける人が評価される職場も少なくありません。このズレはなぜ生まれるのでしょうか。</b></p><p><b>小方さん</b></p><p>背景には、<strong>仕事の境界が明確に定まっていないこと</strong>があります。多くの日本の職場では、業務の範囲を厳密に区切らず、突発的な対応や予定外の依頼にも柔軟に応じることが暗黙のうちに求められやすいと考えています。その背景には、日本の多くの企業が、職務を限定せずに人を採用し、配置転換を重ねながら長く育てる雇用慣行をとってきたことがあります。担う仕事を入社時に細かく決めないぶん、業務の範囲はおのずと曖昧になりやすいです。</p><p>その結果、現場では即応できる人ほど重宝され、重要な案件や成長機会もその人に集まりやすくなります。</p><p>加えて、<strong>「即応性」や「対応量」は目にみえやすい一方、限られた時間で出した成果はカウントされにくい</strong>側面もあります。「あの人はいつも応じてくれる」との記憶は積み上がりやすい一方で、「短い時間で同じ成果を出した」事実は評価のなかでみえにくくなりがちです。</p><p>結果として、本来は成果にもとづくはずの評価が、運用の段階で「時間の融通がきく人」を選び続けてしまうのです。これが、<mark><strong>「成果で評価する」という建前と「時間の融通がきく人が評価される」という実態のズレの正体</strong></mark>だと考えています。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/CHpQOFR0bYmaFfUQvBeJT/d6cde9981f4fc6e37f543931bb0cebcd/gender-wage-gap-1_04.jpg" alt="小方 尚子さん" /></figure><h2>登用の偏りは、母集団形成の段階ですでに生じている</h2><p><b>――機会と評価の偏りが続いた結果が、3つ目の「登用の偏り」につながるわけですね。この登用の差はなぜ、ここまで開いてしまったのでしょうか。</b></p><p><b>小方さん</b></p><p>背景の一つに、<strong>そもそも管理職や役員の候補となる層に、女性が入りにくくなりやすい構造</strong>があります。採用した女性社員の数そのものより、総合職や基幹的なポジションで経験を積む機会や、そこでの評価・育成の積み重なりによって、管理職候補の母集団に差が生まれるケースが少なくありません。母集団の段階で差がつくことが、その後の登用差に影響していると考えています。</p><p>加えて、<strong>昇進の過程でも女性比率は段階的に下がる傾向があります</strong>。管理職として育成・登用される時期は、ちょうど育児や介護のピークと重なりやすい時期です。家事や育児の負担が女性に偏りやすい現状では、管理職コースから外れたり、負担の軽い働き方を選んだりするのが女性側になりやすいのも実態です。</p><p>もう一つ見落とせないのが、<strong>過去の制度設計が、いまの世代にも影響を残している</strong>点です。いま働いている世代には、かつて「一般職」として、補助的業務を担う前提でキャリアを始めた女性も含まれます。長期的なキャリアを歩む対象としてみられにくかった時代背景もあり、昇進や職務拡大を見据えた育成の機会が限られていました。本人の能力や意欲ではなく、過去の制度設計に起因する経験と機会の差が、いまの役割や評価につながっている面もあります。</p><p>近年では総合職・一般職の区分を見直す企業も増え、若い世代では男女差を設けない運用も広がっています。<strong>公平性を意識した設計への移行は、前向きな動き</strong>だと感じています。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/work/well-working/female-broken-rung/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/34jWbrKNzmQcjXbBqGey3O/318c805fdd9b45f3719c90423124f4c6/thumbnail2_0424.jpg" alt="" /><p><b>女性管理職育成を阻む「壊れたはしご」の正体と経営に問われる覚悟</b></p><p><time dateTime="2026-05-13">2026.05.13</time></p></a></div></div></figure><h2>「所属する企業」「就職前の進路」も賃金差の一因に</h2><p><b>――企業内での構造以外にも、格差を広げる要因があるのではないでしょうか。</b></p><p><b>小方さん</b></p><p>視野を広げると、<strong>「どの企業に、誰が所属しているか」</strong>も効いてきます。一般に、賃金水準の高い大企業ほど女性比率が低く、女性は賃金の低い企業や非正規雇用に多く位置する傾向がみられます。出産や育児を機に非正規へ移ったり、いったん離職して非正規で再就職したりするケースも、少なくありません。こうした分布の偏りも、社会全体でみたときの男女の賃金差の一因になっています。</p><p>さらに、差は就職前から芽生えています。大学院進学率や専攻分野の選択にも男女差があり、女性は保育や栄養といった分野に進む割合が比較的高い一方、工学などへの進出は限られる傾向があります。こうした進路選択の背景にも、「女性はケアの役割」「理系は男性」といった<strong>性別役割の規範</strong>が影響している可能性があります。無意識的な思い込みは、企業のなかだけでなく、社会のあちこちに織り込まれているのかもしれません。</p><p>人事が教育や社会全体の構造に直接手を入れることは、難しいかもしれません。それでも、<strong>自社で起きている差が「個人の選択の結果」だけではなく、もっと大きな構造の一部かもしれない</strong>と知っておくことは、打ち手の精度に影響します。たとえば、中途採用で非正規から正規への転換を支援する、社外の構造を踏まえて自社の母集団形成を見直すといった発想にもつながります。</p><p><b>――個人の選択や意欲の差として語られがちな男女間賃金格差。しかし、その背景では、思い込み・評価・登用、そして企業の外の構造までが複雑に絡み合って作用しているようです。規定のうえでは平等でも、その外側で差が生まれてきたと考えられます。では、この構造に対して、人事や経営には何ができるのでしょうか。後編では、いま人事や経営に求められる視点を、小方さんとともに考えます。</b></p><p>（取材・文／POWER NEWS、写真／横関一浩）</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/work/environment/gender-wage-gap-2/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/60twt8bjQKXkT8PI1czrdz/b3b4f647dbfd12537c1f728dead87798/gender-wage-gap-2_eyecatch.jpg" alt="" /><p><b>公表して終わりにしない。男女間賃金格差の解消を「人材活躍」の前提に</b></p><p><time dateTime="2026-06-30">2026.06.30</time></p></a></div></div></figure><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/5dt3uJSZWsD2e6wqagKd0F/76da27b1edaca0887309ab3a754981c7/%C3%A8__%C3%A7___%C3%A6__%C3%A6__%C3%A6__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%AF__%C3%A2__%C3%A5__%C3%A3__%C3%A6__%C3%A3__%C3%A6_%C2%AA%C3%A6__%C3%A2__%C3%A3__%C3%A6__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A9__.png" alt="" /><p><b>法改正をチャンスに！“働き方の未来”を描くツール集</b></p><p><a href="https://smarthr.jp/know-how/ebook/ebook_406-30/?utm_source=mag&utm_medium=link" target="_blank" rel="noopener">いますぐダウンロード</a></p></figure>]]></content:encoded>
      </item>
    
      <item>
        <title><![CDATA[「忙しい人＝頑張っている」は本当？無意識に潜む「残業バイアス」と4つの対策]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/work/well-working/zangyo-bias/</link>
        <pubDate>Mon, 29 Jun 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[働き方]]></category>
        <category><![CDATA[well-working]]></category>
        <guid isPermaLink="true">https://mag.smarthr.jp/work/well-working/zangyo-bias/</guid>
        <dc:creator><![CDATA[野嶋社会保険労務士事務所　特定社会保険労務士  宮原 麻衣子]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[「残業は美徳」という価値観は、いまや過去のものとなりつつあります。それでも、遅くまで残っている姿を見ると、「頑張っているな」と感じる方もいるのではないでしょうか。本記事では、こうした認知のクセを「残業バイアス」とし、リスク・対策を考えていきます。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6JlpXCbmU8iB4LlINrxR5E/39d02442004bdbe1605d4f2a60db141e/zangyo-bias_eyecatch.png" alt=""></div><p>こんにちは、精神保健福祉士・特定社会保険労務士の宮原です。<br>従業員（部下）のことを「頑張っているな」と感じるのはどんなときですか？ 目標の進捗が順調なときや、売上などの大きな成果が出たときかもしれません。あるいは、残業している姿を見たときに感じるかもしれません。<br><br>「残業は美徳」という価値観は、いまや過去のものとなりつつあります。それでも、遅くまで残っている姿を見ると、「頑張っているな」と感じる方もいるのではないでしょうか。多くの場合、それは半ば無意識のうちに起こることがあります。<br><br>本記事では、長く働く姿を無意識に高く評価してしまう認知のクセを「残業バイアス」と表現します。そのうえで、残業バイアスが生むリスクを整理し、人事担当者の視点からその対策を考えていきます。</p><h2>残業は減っても消えない「労働時間で測るクセ」</h2><p>リクルートマネジメントソリューションズが発表した「<a href="https://www.recruit-ms.co.jp/issue/inquiry_report/0000001504/" target="_blank">長時間労働に関する実態調査2025</a>」によると、正社員の労働時間は2017年調査と比較して短縮傾向にあります。</p><p>たとえば、2017年調査では、200時間以上の割合は女性が18.5%、男性は42.4%にのぼっていますが、2025年は10.3%（男女）に減少しています。反対に、月140時間未満で働く人は、男性2.7％、女性3.8％から20.3%へと増えています。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7ynjYmjs3CAkit6cA7Y7GZ/533de637f80deb94ff26539d9ef0f35a/zangyo-bias_zuhan003.png" alt="2025年調査と2017年調査における、時間外労働を含めた月間労働時間の比較グラフ" /><figcaption><p><a href="https://www.recruit-ms.co.jp/issue/inquiry_report/0000001504/" target="_blank">（出典）長時間労働に関する実態調査2025 - リクルートマネジメントソリューションズ</a></p></figcaption></figure><p>さらに同調査では<strong>「労働時間ではなく成果で評価してほしい」と考える人が80.7%にのぼります。</strong>また、日本の人事部「<a href="https://jinjibu.jp/article/detl/hakusho/3194/" target="_blank">人事白書調査レポート2023</a>」によると、能力や成果、職務による評価制度を運用する企業が約7割を占めています。被評価者の意識だけでなく、評価の考え方そのものが、「労働時間」から離れているのです。</p><p>一方で興味深いのが、「長時間労働に関する実態調査2025」において、<mark><strong>37.7%が「周囲より早く退社する人を見ると、仕事に対するやる気がないと感じる」と回答している</strong></mark>点です。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7KHW4IQLGQ9mreQRQdATLO/35fd30f67999b6a07b301dbf24384d54/zangyo-bias_zuhan004.png" alt="労働時間・職場風土・上司の影響・世代間の意識差に関するアンケート調査結果のグラフ" /><figcaption><p><a href="https://www.recruit-ms.co.jp/issue/inquiry_report/0000001504/" target="_blank">（出典）長時間労働に関する実態調査2025 - リクルートマネジメントソリューションズ</a></p></figcaption></figure><p>「労働時間で評価してほしくない」と願いながら、その一方で「早く帰る人にはやる気がない」と感じてしまう。この矛盾した結果こそ、<strong>「目に見えやすい労働時間」が私たちに与える影響力の大きさ</strong>を物語っているのです。</p><p>見えやすいひとつの情報が、その人の評価全体を左右する。これはまさに、心理学でいう「ハロー効果」です。<strong>ハロー効果は、意図して誰かをひいきするのとは違い、自分でも気づかないうちに自動的に働きます。</strong>このように、無意識のうちに評価や判断を歪めてしまうバイアスをまとめて「アンコンシャス・バイアス（無意識の思い込み・偏見）」と呼びます。ハロー効果は、その代表的なひとつです。</p><p><mark><strong>無意識に、労働時間の長さが「頑張っている」と印象づけてしまう。これが「残業バイアス」です。</strong></mark>多くの場合、そこに悪意はなく、だからこそ静かに広がっていくのです</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/procedure/zangyo/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/5x1BO7Sxkkw1axi3fFn02G/b3d1b57bcd46305a79671764a2e54758/image3.jpg" alt="" /><p><b>残業とは？時間外労働の仕組み、36協定、残業代の計算までを解説</b></p><p><time dateTime="2026-06-11">2026.06.11</time></p></a></div></div></figure><h2>「残業＝頑張り」と感じてしまう、3つのクセ</h2><p>では、なぜ労働時間の長さが「頑張り」を印象づけてしまうのでしょうか。残業そのものが悪いわけではなく、成果が伴う残業もあります。</p><p>問題は、「労働時間」に、評価や自己認識が引っ張られてしまうことにあります。ここでは3つの「クセ」から、その仕組みを整理します。</p><h3>（1）認知のクセ：労働時間は「認知コストが低い指標」</h3><p>仕事の質や定性的な成果は、数値に置き換えにくく、目に見えづらいため、評価には時間と手間がかかります。対して「何時間働いたか」という事実は、それ自体がひとつの数値であり、手間をかけることなく自然と目に入ります。</p><p>この「手間」を説明するのが、心理学でいう「<strong>認知コスト</strong>」です。認知コストとは、脳が情報を理解し、判断を下すまでにかかるエネルギーや精神的な負担のことで、情報や選択肢が多いほどこのコストは高くなります。成果や質の見極めは認知コストが高く、それに比べて労働時間は低いコストで把握できます。そのため、つい労働時間から「頑張っているかどうか」の印象をもってしまうのです。</p><p>ただし、実際には労働時間そのものが評価に直接つながることは、ほとんどありません。多くの企業は、能力や成果にもとづいて評価しています。<strong>残業バイアスによって、「長時間働いているので頑張っている」と印象づけられ、人材抜擢や人事異動などの判断に影響してしまうことがある。</strong>これこそが、前述したハロー効果です。</p><h3>（2）構造のクセ：労働時間は「法律上の基本の単位」</h3><p>「労働時間」は、労働契約や賃金計算といった法律の世界で、古くから使われてきた基本の単位です。労働基準法は労働時間を基準に賃金や割増賃金などについて定め、労働安全衛生法は使用者（企業）に対して労働時間の適正把握義務を課しています。</p><p>つまり、<strong>「労働時間」は組織の中で制度的に「見なければならないもの」として設計されているのです。</strong>見やすく管理されているからこそ、評価の手がかりにしてしまう。このような構造上の背景も、残業バイアスを後押ししているのです。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/labor/roudo-kizyunho-toha/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/5K9scS20StD8r1G7XEUiyP/de0debf42c0e86979676e2c637379533/%C3%A5__%C3%A7___%C3%A6_%C2%AA_%C3%A8__%C3%A5__.png" alt="" /><p><b>労働基準法とは？労働時間・賃金・休憩などのルールや法改正をわかりやすく解説</b></p><p><time dateTime="2026-01-30">2026.01.30</time></p></a></div></div></figure><h3>（3）自己評価のクセ：労働時間は「頑張りを測るものさし」</h3><p>残業バイアスは、他者を評価するときだけに働くわけではありません。「私は残業して頑張っている」と、<mark><strong>自己評価の「ものさし」にしてしまうこともあります。</strong></mark></p><p>そして、この自分に向けたものさしは、しばしば他者への要求に姿を変えます。「自分はこれだけやっているのだから、あなたも」という思いが、残業バイアスのひとつの要素になっています。</p><p>このような状態からメンタルヘルス不調やハラスメントのリスクが生まれることも少なくありません。次章では、残業バイアスが生むリスクを解説します。</p><h2>残業バイアスが招く、4つのリスク</h2><p>「残業＝美徳」という価値観は、とうに薄れています。生産性が求められるいま、残業バイアスは過去の問題に思えるかもしれません。</p><p>しかし、ここまでみてきたように、残業バイアスは無意識のクセとして残り続けています。そしてAIや効率化で「短い時間で成果を出す」ことが当たり前になるほど、この潜在したバイアスは見過ごせなくなります。</p><p>ここからは、残業バイアスが引き起こす影響を4つの場面に分けてみていきます。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/jW7FPBJkqsSmjeKPrAI0r/7d2778fe6db9a126764174b657778e40/zangyo-bias_zuhan001.png" alt="残業バイアスが招く4つのリスク（個人、対人、組織、管理職の視点から解説した図解）" /></figure><h3>（1）個人のリスク：「忙しい自分」でしか、自分を肯定できなくなる</h3><p>自分自身に対して残業バイアスが起きているとき、「忙しい自分には価値がある」「予定が埋まっていないと落ち着かない」という感覚が、少しずつ心に根を張っていきます。</p><p><mark><strong>ここで注意したいのが、「ワーク・エンゲージメント」と「ワーカホリズム（仕事への依存・働きすぎ）」の違いです。</strong></mark>前者は「仕事にやりがいを感じ、いきいきと熱中している」という前向きな状態を指しますが、後者は「働かずにはいられない」「休むと罪悪感を覚える」といった、不安や強迫感に追い立てられた状態です。表面的にはどちらも「よく働く人」ですが、心身の不調に強く結びつくのは後者です。</p><p><strong>この不安感から、やがて「長時間働いている」という軸で自分を評価してしまう。これを、心理学では「条件つきの自己肯定感」と呼びます。</strong>こうした状態は、気分の落ち込みやうつにつながりやすいと考えられています。</p><p>また、近年はAIの活用や効率化によって、短い時間で仕事を終えられる場面も増えています。<strong>ところが残業バイアスが残っていると、効率よく働いて定時で終えた日に「もっとできたことがあるのでは」と自分を責めてしまいます。</strong>このような感覚の積み重ねが、メンタルヘルスをむしばむ要因となり得るのです。</p><h3>（2）対人のリスク：「頑張っている自分」が「無意識の圧」を生む</h3><p><strong>「自分はこれだけ残業して頑張っている」という感覚は、「モラル・ライセンシング」と呼ばれる心理を生み出すことがあります。</strong>モラル・ライセンシングとは、よいことをしていると、その自負が免罪符のようになり、多少不適切な言動をとっても許されると感じてしまう心理を指します。</p><p>この感覚は、定時退勤、時短勤務の人に対する「心ない一言」につながるリスクをはらみます。「あの人は楽でいいよね」といった言動が、ハラスメントの入り口になりかねません。</p><p><mark><strong>ここで重要なのは、こうした言動を「個人の性格の問題」で片付けないことです。</strong></mark>本人に悪気はなく、「頑張っている自分」への誇りと結びついた言動です。</p><h3>（3）組織のリスク：「帰りづらい空気」が、残業の基準を引き上げる</h3><p>残業バイアスは、個人の問題にとどまりません。個人と組織がともに労働時間をものさしとしてしまうと、「早く帰る人は頑張っていない」という見方が、暗黙のうちに広がっていくことがあります。<strong>すると「周りがまだ働いていると、帰りづらい」という同調圧力となって、チーム内に広がっていくのです。</strong></p><p>実際に<mark>「</mark><a href="https://www.recruit-ms.co.jp/issue/inquiry_report/0000001504/" target="_blank">長時間労働に関する実態調査2025</a>」では、20〜30代の正社員のうち12.7%が「ほかの人が働いていると帰りづらい雰囲気がある」と回答しています。これは5番目に多い回答です。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/1LP4YVpXi3u0ehmjb4L7fL/c497bf68c081f54d36e6c35fb60264b1/zangyo-bias_zuhan005.png" alt="残業が発生する理由についてのアンケート調査結果（理由別の割合）のグラフ" /><figcaption><p><a href="https://www.recruit-ms.co.jp/issue/inquiry_report/0000001504/" target="_blank">（出典）長時間労働に関する実態調査2025 - リクルートマネジメントソリューションズ</a></p></figcaption></figure><p>一度こうした同調圧力が生まれると、「このくらいの残業は普通だ」という基準がチーム内にできます。<mark><strong>一人ひとりは「早く帰りたい」と思っていても、互いに空気を読み合うことで、基準が少しずつ引き上げられてしまいます。</strong></mark>これは、職場の心理的安全性が損なわれる典型的な構図です。</p><h3>（4）管理職のリスク：「評価の手前の判断」が歪む</h3><p>残業バイアスが最も見えにくい形で現れるのが、管理職の日常的な判断です。「誰に重要な仕事を任せるか」「リーダー候補は誰か」。<mark><strong>こうした人事評価の手前にある判断には、自分でも気づかないうちに残業バイアスが忍び込むことがあります。</strong></mark></p><p>多くの管理職は、労働時間の長さで人を選んでいるつもりはないでしょう。それでも、本来は別であるはずの「労働時間の長さ」と「頼れる」という評価が、知らず知らず重なってしまうことがあります。</p><p>残業バイアスがかかった状態で重要な役割を決めていくと、労働時間に制約のある優秀な人材が、成長の機会を得にくくなります。<strong>これは、女性活躍の推進や男性の育児休業取得の流れにも逆行する、見過ごせない問題です。</strong></p><h2>残業バイアスを外す4つのアプローチ</h2><p>4つのリスクに対し、人事担当者として何ができるのでしょうか。ここからは、残業バイアスを外す4つのアプローチを紹介します。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7flnuOtCmaeq3E6dyxblfJ/c0160c1cd89a4a21c60dcd46d7be3294/zangyo-bias_zuhan002.png" alt="残業バイアスを外す4つのアプローチ（個人、対人、組織、管理職の視点から解説した図解）" /></figure><h3>（1）個人リスクへの対策：研修で自己評価のものさしを置き換える</h3><p>前章の個人のリスクでみたように、日々の自身の残業時間を目にするなかで、つい「今日も遅くまで働いた＝頑張った」と、自分を無意識に時間で評価してしまいがちです。だからこそ、意識して「何がどれだけ前に進んだか」で1日を振り返る。この習慣が出発点になります。</p><p>とはいえ、これを個人の心がけに委ねるのは、本人の負担も大きく、長続きしづらいものです。<strong>そこで人事担当者としてできることは、この意識の転換を個人任せにせず、組織として後押しすることです。</strong></p><p>たとえば、メンタルヘルス研修はその有効な場のひとつです。ワーク・エンゲージメントとワーカホリズムの違いを伝え、休むことを「サボり」ではなく「持続的に成果を出し続けるための回復時間」と位置づけ直す。こうした働きかけが、<mark><strong>「忙しくしていること」に価値を見出す感覚をゆるめ、自己否定の連鎖を断ち切ります。</strong></mark></p><p>AI活用によって業務が圧縮されることへの漠然とした不安も、ものさしが忙しさや時間から離れていけば、自然と前向きな気持ちに変わるはずです。</p><h3>（2）対人リスクへの対策：自分ごと化させる研修設計</h3><p>対人のリスクで触れた「モラル・ライセンシング」は、研修などの一般的な対策が効きにくいのが特徴です。本人には、自分が誰かを傷つけているという自覚がありません。むしろ「頑張っている自分」への誇りと結びついているため、<strong>「自分は加害者かもしれない」という前提自体が、なかなか自分ごとになりにくいのです。</strong></p><p>そこで効果的なのが、研修の設計を少し変えることです。たとえば、「誰よりも真面目に働いてきた人が、つい同僚に『あの人は楽でいいよね』と漏らしてしまう」といったケースをグループワークで話し合ってみる。すると、これまで無意識にモラル・ライセンシングの状態にあった人が、「これは自分のことかもしれない」と、気づきやすくなります。</p><p><mark><strong>「言ってはいけない言葉」で縛るのではなく、「自分の頑張りが、いつの間にか誰かへの圧力になっていないか」と、自らを振り返る機会を与えることが重要です。</strong></mark></p><h3>（3）組織リスクへの対策：「健全な働き方」を問い直す</h3><p>組織内でできあがった「残業の基準」に対し、企業側が「健全な働き方とはこういうものだ」と一方的に伝えても、大抵の場合は効果がありません。</p><p>人事担当者に求められる役割は、各チームが自分たちの言葉で「自分たちにとっての健全な働き方とはなにか」を話し合う「場」を設け、支えることです。<strong>答えを与えるのではなく、安心して本音を出せる、心理的安全性が確保された土台を整えることが重要です。</strong></p><h3>（4）管理職リスクへの対策：残業バイアスの可視化</h3><p>管理職の判断に対しては、「残業している」という事実が、本人も気づかないうちに人材の抜擢や配置の判断に紛れ込みます。<mark><strong>やめようと意識して防げるものではないからこそ、無意識の判断を可視化することが必要です。</strong></mark></p><p>その具体策として、「自分は何をもって『この人』と感じたのか」を言語化し共有することです。たとえば、推薦理由を書き出してほかの管理職と確認し合う、評価会議で根拠を説明する、といった形が考えられます。</p><p>理由を言語化しようとすると、「いつも遅くまで頑張っているから」という残業バイアスが見えてきます。さらに、その理由を他者の目を通すことで、一人では気づけなかったバイアスにも気づきやすくなります。</p><p><strong>ただし、レビューする側も、同じ残業バイアスをもっていたり、見るべき観点が欠落していると、その歪みに気づけません。</strong>レビューの際に「頑張り以外に、具体的な成果や行動が明確になっているか」などの指標を設けられると、残業バイアスの見落としを防げます。</p><p>いち管理職の主観に依存せずに判断する仕組みは、公正な抜擢や配置につながるだけでなく、ハラスメントや不利益取扱いといった法的なリスクから組織を守ることにもつながります。</p><h2>残業バイアスとの向き合うことが、誰もが働ける職場をつくる</h2><p><strong>残業バイアスをなくすことは、おそらく簡単ではありません。</strong>これは、特定の誰かに非があるという話ではなく、私たち誰もが陥りうる、無意識のクセだからです。</p><p>それでも、一人ひとりが残業バイアスを外すことを意識できれば、その影響は少しずつ和らぐはずです。残業バイアスと向き合うことは、<mark><strong>ハラスメントの防止や職場の心理的安全性の向上、さらには女性活躍の推進や男性の育児休業取得促進につながっていきます。</strong></mark>これらはいずれも、国が企業に求める方向性であると同時に、「誰もが働き続けられる職場」という、人手不足社会の中で企業が存続をかけて取り組むべき課題です。</p><p>「目に見える時間」にとらわれていないか、問い直してみる。その積み重ねの先にこそ、人も組織も健やかに成長する未来がやってくるのではないでしょうか。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/5kcSivzWZ4GXVQwJrdL1fb/5b158e2b3c309f149086b6ba5fef9067/%C3%A4__%C3%A5__%C3%A3__%C3%A5__%C3%A5__%C3%A6__%C3%A9__%C3%A7__%C3%A7__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__.jpg" alt="" /><p><b>令和の労働時間管理ハンドブック</b></p><p><a href="https://smarthr.jp/know-how/ebook/ebook_400-20/?utm_source=mag&utm_medium=link" target="_blank" rel="noopener">いますぐダウンロード</a></p></figure>]]></content:encoded>
      </item>
    
      <item>
        <title><![CDATA[【2026年10月施行】就活セクハラ対策義務化｜セクハラ防止との違いと実務を社労士が解説]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/hr/trouble/shukatsu-sexual-harassment/</link>
        <pubDate>Fri, 26 Jun 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[人事・労務]]></category>
        <category><![CDATA[トラブル]]></category>
        <guid isPermaLink="true">https://mag.smarthr.jp/hr/trouble/shukatsu-sexual-harassment/</guid>
        <dc:creator><![CDATA[社会保険労務士 岸本 力]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[就職活動やインターンシップの過程で起こるハラスメントが、社会問題となっています。2026年10月から、求職者等に対するセクシュアルハラスメント（以下、就活セクハラ）対策が全事業者に義務化されます。従来は「労働者」が対象だったセクハラ防止措置の対象に、新たに「求職者等」が加わります。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/LJCRluFNGOaxtPnCOnLeJ/015f4b98fd7856ea35fc73b473282db1/shukatsu-sekuhara-eyecatch.png" alt=""></div><p>就職活動やインターンシップの過程で起こるハラスメントが、社会問題となっています。2026年10月から、求職者等に対するセクシュアルハラスメント（以下、就活セクハラ）対策が全事業者に義務化されます。<mark><strong>従来は「労働者」が対象だったセクハラ防止措置の対象に、新たに「求職者等」が加わります。</strong></mark></p><p>本記事では、就活セクハラ対策の義務化について、実務目線で押さえるべきポイントをわかりやすく解説します。</p><h2>就活セクハラ防止措置の義務化とは</h2><p>就活セクハラ防止措置の義務化は、2025年6月11日に公布された改正法にもとづき、<mark><strong>2026年10月1日から施行されます。義務の対象は従業員規模を問わず、すべての事業主・企業です。</strong></mark></p><p>この改正では、就活セクハラ対策とカスタマーハラスメント（カスハラ）対策の2つが、新たに事業主へ義務づけられます。それぞれの根拠となる法律は次のとおりです。</p><ul><li>就活（求職者等）セクハラ対策：<a href="https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000113" target="_blank">男女雇用機会均等法</a></li><li>カスタマーハラスメント対策：<a href="https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132" target="_blank">労働施策総合推進法</a></li></ul><p>なお、カスハラ対策も同じ改正で義務化されますが、以降は就活セクハラ対策に絞って解説します。</p><p>（参考）<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00003.html" target="_blank">令和７年の労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律（労働施策総合推進法）等の一部改正について</a>、<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/001662630.pdf" target="_blank">令和８年10月1日から、カスタマーハラスメント対策、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます！</a> - 厚生労働省</p><p>カスハラ対策についてはYouTubeでくわしく解説していますので、よろしければご確認ください。</p><figure><iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/Pin43QazBAY" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe></figure><h2>何が変わるのか？従来のセクハラ防止措置との差分</h2><p><mark><strong>今回の改正で、セクハラ防止措置の対象が、これまでの「労働者」に加えて「求職者等」へと広がります。</strong></mark>就活セクハラとは、事業主が雇用する労働者（従業員）の「性的な言動」により、求職者等の求職活動などが妨げられることです。ここでは、対象となる人・場面・言動の範囲と、改正の背景を解説します。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/jhqnJszzjNX6qP0IW84sz/fe2e063f5a5159c5dbfbe7ca2ff70f20/shukatsu-sekuhara-eyecatch_zuhan001.png" alt="セクハラ対策と就活セクハラ対策の違いをまとめた比較表（対象、場面、根拠となる法律）" /></figure><h3>（1）対象となる「求職者等」の範囲と場面</h3><p>就活セクハラは、「求職者『等』」「求職活動『等』」と定められているとおり、対象となる人と場面が広く設定されている点が特徴です。<mark><strong>求人に応募する求職者だけではないので注意しましょう。</strong></mark></p><ul><li>採用面接に参加する求職者</li><li>就職説明会に参加する求職者</li><li>インターンシップの参加者（採用に資する活動への参加者）</li><li>従業員を訪問する求職者（OB・OG訪問）</li><li>教育実習や看護実習などの実習生</li></ul><p>就活セクハラが起こり得る場面は、対面コミュニケーションだけでなく、<strong>SNSなどを介したやりとりや、オンライン上で実施される面接・説明会なども対象になる点</strong>に注意が必要です。</p><h3>（2）「性的な言動」の定義と具体例</h3><p>防止措置上の「性的な言動」とは、性的な内容の発言や行動を指します。具体的には次のとおりです。</p><ul><li>性的な内容の発言：性的な事実関係を尋ねる、性的な内容の情報を意図的に流布する　など</li><li>性的な行動：性的な関係を強要する、必要なく身体に触る、わいせつな情報を配布する　など</li></ul><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/trouble/sexual-harassment/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6LHjHF9XI8nTmtLgbQVDv4/e0483b0614854935871f70a1a1924dd5/vsHhzRVrVF1UA9r1772507876_1772507883.jpg" alt="" /><p><b>セクシュアルハラスメント（セクハラ）とは？定義や具体例、対策を解説</b></p><p><time dateTime="2026-03-04">2026.03.04</time></p></a></div></div></figure><p>就活セクハラに該当する例としては、次のようなケースが挙げられます。</p><ul><li>インターンシップ中に、従業員が求職者等へ性的な冗談やからかいを意図的に繰り返す</li><li>OB・OG訪問の際に、従業員が求職者等に性的な関係を求める</li><li>インターンシップ後に、従業員が求職者等を執拗に私的な食事に誘う</li></ul><p>いずれも、求職者等の求職活動へのトラウマを与えたり、尊厳を傷つけたりするおそれのある行為です。就活セクハラは性別を問わず、<mark><strong>異性に対する言動だけでなく同性に対する言動も該当します。</strong></mark></p><h3>（3）改正の背景</h3><p>厚生労働省の「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、<mark><strong>約3人に1人が「就活等セクハラを経験した」と回答しています。</strong></mark></p><p><strong>「就活等セクハラを経験した」と回答した人の割合</strong></p><table><tbody><tr><td><p><strong>被害を受けた場面</strong></p></td><td><p><strong>全体</strong></p></td><td><p><strong>男性</strong></p></td><td><p><strong>女性</strong></p></td></tr><tr><td><p>インターンシップ中</p></td><td><p>30.1％</p></td><td><p>32.4％</p></td><td><p>27.5％</p></td></tr><tr><td><p>インターンシップ以外の就職活動中</p></td><td><p>31.9％</p></td><td><p>34.3％</p></td><td><p>28.8％</p></td></tr></tbody></table><p></p><p>「<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001541299.pdf" target="_blank">令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書P.232〜236（厚生労働省）</a>」をもとにSmartHR Mag.で作成</p><p><mark><strong>立場的に、求職者等は被害を受けても拒否や相談をしにくいのが実情です。</strong></mark>こうした状況にある求職者等を守ることが、今回の改正の狙いです。</p><h2>義務づけられる4つの措置の全体像</h2><p>事業主・企業に義務づけられる対策として、大きく4つの措置が定められています。<mark><strong>これら4つは、すでに社内（従業員）向けに義務づけられているセクハラ防止措置を、求職者等にも広げて適用するものです。</strong></mark></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6wdTOlUkLMbrZDHaH4g2Ks/4d00427efa67958762f98d1a4d12b2f3/shukatsu-sekuhara-eyecatch_zuhan002.png" alt="就活セクハラ対策において企業に義務づけられる4つの措置の全体像" /></figure><ol><li><strong>方針等の明確化と周知・啓発</strong><ul><li>「就活セクハラをしてはならない」「行為者を厳正に対処する」旨を方針として明確化し、従業員に周知・啓発する</li><li>採用活動等のルールも明確化し、<strong>従業員と求職者等に</strong>周知・啓発する</li></ul></li><li><strong>相談体制の整備</strong><ul><li>相談窓口を設けて<strong>求職者等に</strong>周知する</li><li>窓口担当者が適切に対応できる体制を整える</li></ul></li><li><strong>事後の迅速かつ適切な対応</strong><ul><li>事実関係を迅速かつ正確に確認する</li><li>被害者への配慮の措置と行為者への適正な措置を講じる</li><li>再発防止に向けた措置を実施する</li></ul></li><li><strong>そのほかあわせて講ずべき措置</strong><ul><li>相談者などのプライバシーを保護する措置を講じる</li><li>事実関係の確認への協力などを理由に、不利益な取扱いをしない旨を定めて従業員に周知・啓発</li></ul></li></ol><p>4つの措置それぞれの具体的な進め方は、後の章「<a href="https://mag.smarthr.jp/hr/trouble/shukatsu-sexual-harassment/#d8d6977a-a0b3-4d0b-9d3b-96a255dc9b76-4">方針策定と周知・啓発の方法</a>」「<a href="https://mag.smarthr.jp/hr/trouble/shukatsu-sexual-harassment/#6a41cfb3-4f88-440b-b3a9-03b45395874c-1">相談窓口の設計方法</a>」「<a href="https://mag.smarthr.jp/hr/trouble/shukatsu-sexual-harassment/#6d679371-1412-4f1a-a073-fcfe93343353-3">発生時の対応と再発防止</a>」の3つに分けて解説します。</p><h3>（1）企業と従業員の責務</h3><p>4つの措置に加えて、企業と従業員には、それぞれ就活セクハラ防止に努める責務が定められています。</p><ul><li><strong>企業</strong><ul><li>従業員に就活セクハラをしてはならないことやそのほか就活セクハラへの問題意識を高めるよう促す</li><li>従業員が求職者等に対する言動に必要な注意を払えるよう、研修の実施など必要な配慮をすること</li><li>事業主（トップ）が率先して就活セクハラへの問題意識を高め、求職者等に対する言動に必要な注意を払うこと</li></ul></li><li><strong>従業員</strong><ul><li>就活セクハラへの問題意識を高めて言動に注意を払う</li><li>企業が講じる雇用管理上の措置に協力する</li></ul></li></ul><h3>（2）望ましい取り組み</h3><p>義務ではないものの、次の取り組みが望ましいとされています。</p><ul><li>大学などの教育機関と連携し、就活セクハラの情報提供を受け、適切に対応する</li><li>顧客等による就活セクハラへの適切な対応</li></ul><p>なお、就活セクハラだけでなく、求職者等に対するパワハラ・カスハラに類する行為についても望ましい取り組みが定められています。</p><p><a href="https://www.mhlw.go.jp/content/001662630.pdf" target="_blank">（参考）令和8年10月1日から、カスタマーハラスメント対策、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます！（p.6）- 厚生労働省</a></p><p>ここまで、義務となる4つの措置から責務・望ましい取り組みまで解説してきました。まずは、必ず実施しなければならない4つの措置を中心に、優先順位をつけて進めることが重要です。</p><p>また、就活ハラスメント対策に取り組む企業10社の事例をまとめた事例集を厚生労働省が公開しています。他社の取り組みも参考にしながら、自社のルールや体制を検討しましょう。</p><p><a href="https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001060585.pdf" target="_blank">（参考）就活ハラスメント防止対策 企業事例集 - 厚生労働省</a></p><h2>就活セクハラを放置した場合に企業が抱えるリスク</h2><p>就活セクハラが発生した際に企業が抱えるリスクは大きく、具体的には、次のようなリスクが想定されます。</p><ol><li><strong>社会的信用を失うリスク</strong>：SNSや報道を通じて被害が公になれば、企業ブランドや既存取引先との関係にも影響します</li><li><strong>損害賠償責任を追及されるリスク</strong>：被害を受けた求職者等から、企業の安全配慮義務違反などを理由に損害賠償を請求される可能性があります</li><li><strong>刑事責任を問われるリスク</strong>：行為の内容によっては、行為者個人だけでなく企業の管理責任が問われるケースもあります</li></ol><p><mark><strong>人材不足が深刻化するなか、就活セクハラは採用活動にも深刻な影響を及ぼしかねません。</strong></mark>自社の採用活動と企業価値を守るためにも、施行までに確実に対応を進めましょう。</p><h2>【実務1】方針策定と周知・啓発の方法</h2><p>4つの義務のうち「方針等の明確化と周知・啓発」は、「就活セクハラを許さない」という企業トップ（経営者）の重要なメッセージにもなります。<strong>社内の決議・決裁などにかかる時間も十分に考慮したスケジュールを組んでおくことが重要です。</strong></p><h3>（1）方針に盛り込むべき内容</h3><p>就業規則などには、すでに法的義務となっている「パワーハラスメント」「セクシュアルハラスメント」「妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント」の防止規定が定められています。そちらに、就活セクハラ防止規定として以下の内容を追記しましょう。</p><ol><li>就活セクハラをしてはならないこと</li><li>対象範囲に、従業員以外の求職者等（インターンシップ参加者や教育実習生なども含む）が含まれること</li><li>就活セクハラをした者への懲戒規定</li><li>相談者・行為者などのプライバシー保護と、相談などを理由とする不利益取扱いの禁止に関する規定</li></ol><p><strong>実務ポイント</strong></p><p>義務ではありませんが、求職者等に対するハラスメント全般の禁止がより望ましいとされています。どこまでを対象とするかは、各企業が自社の方針に応じて判断することになります。<mark><strong>就活セクハラに限定せず、求職者等に対するハラスメント全般を禁止する形にしておくと、対象の線引きで迷わずに済み、企業にとっても望ましい対応といえます。</strong></mark></p><p>企業によっては、ホームページや会社案内のパンフレットなどにハラスメント防止の方針を掲げている場合もあるので、それらの改訂もあわせて検討します。<strong>まずは、自社でハラスメント対策がどう規定されているかをあらためて確認するところから始めましょう。</strong></p><h3>（2）面談・面接などのルールを定める</h3><p>自社の採用活動の内容を踏まえ、求職活動等に関する適切なルールを定めて明確化しましょう。ルールの例は次のとおりです。</p><ul><li>面談時間：日中のみの実施、会社への事前申請を必須にする　など</li><li>面接場所：個室での実施を不可とする　など</li><li>連絡手段：SNSなどの個人アカウントの利用を禁止する　など</li></ul><p><strong>実務ポイント</strong></p><p>OB・OG面談は業務時間外や個室での実施を不可とする、内定者懇親会などで飲酒する場合の留意点を設けるなど、<mark><strong>ハラスメントが起きやすい場面を具体的に想定してルールを検討すると、より効果的です。</strong></mark></p><h3>（3）周知・啓発の対象と方法</h3><p>方針やルールは、対応する従業員や求職者等に浸透して初めて機能します。運用に落とし込むために、周知・啓発は重要なプロセスです。</p><h4>周知・啓発の対象者</h4><p>周知の対象は、<mark><strong>社内の従業員に加えて社外の求職者等にも広がる点が、既存のセクハラ防止措置との大きな違いです。</strong></mark></p><ul><li>従業員全般（特に採用活動にかかわる者、OB・OG訪問の対応者など）</li><li>求職者等（採用面接や説明会への参加者、インターンシップ参加者、実習生など）</li></ul><h4>周知・啓発の方法</h4><p>周知・啓発の方法としては、次のものが有効です。</p><ul><li>全社集会などで、企業のトップ自らが方針を口頭で周知する</li><li>採用活動にかかわる従業員に、ハラスメント防止研修の受講を義務づける</li><li>面談・面接時のマニュアルやシートに、方針やルールを明記する</li><li>採用情報サイトや会社案内のパンフレットに、方針と相談窓口を記載する</li></ul><p><strong>実務ポイント</strong></p><p>就活セクハラは、発覚した場合に懲戒処分の対象にもなる重大な行為であることを示し、<strong>企業として絶対に許さないという姿勢を明確にすることも重要</strong>です。</p><h2>【実務2】相談窓口の設計方法</h2><p>4つの義務のうち「相談体制の整備」の措置を講じるうえでは、相談窓口が確実に機能するよう、体制と運営フローを整えましょう。</p><h3>（1）既存のハラスメント相談窓口との違い</h3><p>既存のハラスメント相談窓口との違いは大きく2つあります。</p><ol><li><strong>相談者：</strong>従業員ではなく、<strong>求職者等が対象</strong>になる</li><li><strong>担当者の配置：</strong>採用活動にかかわる人事担当者は当事者になり得るため、<strong>公平性・中立性を確保する観点から、採用活動に関与しない部署や担当者を配置することが望ましい</strong></li></ol><p>既存のハラスメント窓口のノウハウを活かす目的などで、<mark><strong>人事担当者を配置する場合は、採用業務には関与させないことが重要です。</strong></mark></p><p><strong>実務ポイント</strong></p><p>社内で担当者を立てるほか、<strong>外部委託も検討材料になります。</strong>公平性・中立性を確保した体制を求職者等に明確に伝えることで、窓口を利用する際の安心感につながります。</p><h3>（2）窓口の周知方法</h3><p>求職者等が相談窓口の存在を認識できるよう、求職者等と接点が生まれるあらゆる場面で案内します。具体的には、次の媒体への記載が有効です。</p><ul><li>採用情報サイト（採用ページのトップや「お問い合わせ」付近）</li><li>求人票、募集要項、エントリー受付フォーム</li><li>会社案内、採用パンフレット</li><li>面接や説明会の案内メール（本文または署名欄）</li><li>説明会・面接当日に配布する資料、インターンシップのオリエンテーション資料</li></ul><p>媒体ごとに目立つ位置に配置し、相談先（電話番号・メールアドレス）と、<mark><strong>相談しても選考で不利益な取扱いを受けない旨をあわせて記載すると、より相談しやすい環境につながります。</strong></mark></p><h3>（3）相談窓口の運用に必要な準備</h3><p>相談の受付から対応までの流れと、担当者の役割をあらかじめ明確にしておくと、スムーズな運用につながります。</p><h4>相談窓口設立にあたって事前に整備しておくとよい項目</h4><ol><li><strong>相談方法：</strong>電話、メール、フォームなど</li><li><strong>連絡先：</strong>相談窓口専用の電話番号、メールアドレスなど</li><li><strong>一次対応フロー：</strong>誰が担当し、誰にどこまで情報を共有するか</li><li><strong>事実確認ヒアリングシート：</strong>相談者・第三者（関係者）・行為者への事実確認に使う様式</li></ol><h2>【実務3】発生時の対応と再発防止</h2><p>4つの義務のうち「事後の迅速かつ適切な対応」と「そのほかあわせて講ずべき措置」では、<strong>社内のセクハラ対応フローの多くを転用できますが、相談者が求職者等になる点で、一部の対応に違いが生じます。</strong></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/576wel2UooQ5cjfIHNUJXB/859aedd7ce19cadbd5f956236d3f8fb3/shukatsu-sekuhara-eyecatch_zuhan003.png" alt="就活セクハラ発生時における、相談受付から事後対応・再発防止までの5ステップのプロセス" /></figure><h3>（1）事実確認</h3><p>相談窓口の担当者が中心となり、相談者・行為者・第三者（就活セクハラ被害について見聞きした可能性のある人）に対して、中立的な視点で速やかに事実関係を確認します。</p><p><strong>実務ポイント</strong></p><p>相談者（求職者等）が社外の人になる点が、社内対応との大きな違いです。<mark><strong>また、場合によっては第三者も、説明会やインターンシップの同席者など社外の人となる可能性があります。</strong></mark>いざとなったときにヒアリングができるよう、連絡手段やヒアリング手法などをあらかじめ決めておきましょう。</p><h3>（2）被害を受けた求職者等への配慮措置</h3><p>事案の内容や状況に応じて、被害者への配慮措置を速やかに講じましょう。具体的には、次のような対応が考えられます。</p><ul><li>被害者への謝罪を実施する</li><li>被害者と行為者を引き離す</li><li>行為者を採用活動から外す</li></ul><h3>（3）行為者への対応と再発防止策</h3><p>事実確認の結果を踏まえ、コンプライアンス委員会や懲罰委員会での審議、就業規則の規定にもとづいて、行為者への適切な措置を講じます。</p><p>あわせて、再発防止に向けた次のような措置を講じましょう。</p><ul><li>社内での注意喚起</li><li>全従業員を対象とした研修の実施</li><li>採用活動に関するルール・マニュアルの見直し</li></ul><h3>（4）プライバシー保護と不利益取扱いの禁止</h3><p><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/trouble/shukatsu-sexual-harassment/#d8d6977a-a0b3-4d0b-9d3b-96a255dc9b76-5">【実務1】</a>で就業規則に盛り込んだプライバシー保護と不利益取扱いの禁止に関する規定を、実際の運用に落とし込みます。具体的には、対応の手順や情報共有の範囲をマニュアルに定め、相談窓口の担当者はそれにもとづいて対応しましょう。相談窓口担当者向けの研修を実施することも効果的です。</p><p><strong>実務ポイント</strong></p><p>求職者等のプライバシー保護にあたっては、連絡経路や情報の取扱いが社内対応と異なる点に注意が必要です。</p><h2>【チェックリスト】施行日までに準備すべきこと</h2><p>ここまで、企業が対応すべき内容を解説してきました。最後に、2026年10月1日の施行に向けて準備すべきことを、スケジュールに沿っておさらいしましょう。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/4GplI9LFUlwC4RzIO7K892/eeebfa3f78e828ae93935a5e9f0fe1e1/shukatsu-sekuhara-eyecatch_zuhan004.png" alt="就活セクハラ対策の法改正施行日までに企業がやるべきことの月別スケジュールリスト（7月・8月・9月）" /></figure><h3>7月：方針策定・規程改定</h3><ul><li>改正内容の理解</li><li>現状把握（就業規則・防止規程の確認）</li><li>方針策定</li><li>就業規則・防止規程の改定</li></ul><h3>8月：相談体制と事後対応フローの整備</h3><ul><li>相談窓口の設置</li><li>相談対応フローの構築</li><li>情報管理体制の整備</li></ul><h3>9月：周知・啓発と研修</h3><ul><li>方針・ルール・相談窓口の周知</li><li>従業員向け研修の実施</li></ul><h2>求職者と従業員、双方から選ばれる企業であるために</h2><p>企業のハラスメント対応は重要性を増し、相次ぐ法改正で対応すべき範囲も広がっています。<mark><strong>本質は法令遵守の先にあり、求職者と従業員が安心できる採用・職場環境をどうつくるかが問われています。</strong></mark></p><p>ハラスメント防止対策の全体を見直すことは、求職者等だけでなく従業員からの信頼獲得にもつながります。法改正を機に、前向きに取り組みましょう。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/5I2kHca1W5vzxm0UN7kUS3/a246aed1eee846675afd811e140e72b0/_%C3%A3__2024%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A4%C2%BA%C2%BA%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A4%C2%BA%C2%BA%C3%A3__%C3%A7__%C3%A5__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A4__%C3%A6__%C3%A3__%C3%A5__%C3%A4%C2%BA%C2%BA%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A5__%C3%A7__.jpeg" alt="" /><p><b>「これはアウト」の具体例と「する人・される人」の特徴とは？企業・個人ができる「パワハラ」12の対策</b></p><p><a href="https://smarthr.jp/know-how/ebook/ebook_271-30/?utm_source=mag&utm_medium=link" target="_blank" rel="noopener">いますぐダウンロード</a></p></figure>]]></content:encoded>
      </item>
    </channel></rss>