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    <title>SmartHR Mag.</title>
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    <description>働く明日が、もっとよくなる</description>
    <lastBuildDate>Sat, 30 May 2026 21:01:01 GMT</lastBuildDate>
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        <title><![CDATA[2026年6月の人事労務タスク｜労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎届の準備を社労士が解説]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/hr/labor/hrnews_202606/</link>
        <pubDate>Fri, 29 May 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[人事・労務]]></category>
        <category><![CDATA[労務管理]]></category>
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        <dc:creator><![CDATA[社会保険労務士法人 名南経営 代表社員 社会保険労務士  大津 章敬]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[こんにちは。社会保険労務士法人名南経営の大津です。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/1YBjikBMxyhCdt4ZuuyrmN/e6474b127701ec70b7a6c0064f32bb06/hrnews-2026-6.png" alt=""></div><p>こんにちは。社会保険労務士法人名南経営の大津です。</p><p>6月は、人事・労務担当者にとって毎年対応すべき定例業務が集中する月です。高卒新卒採用の求人申し込み、住民税の切り替え、労働保険の年度更新など、期限のある手続きが次々と続きます。漏れなく、計画的に進めていきましょう。</p><p>2026年6月に対応すべき定例業務をチェックリスト形式で整理したうえで、押さえておきたい重要トピックを社労士の視点から解説します。</p><h2>6月のHRチェックリスト</h2><p>下記のチェックリストには、人事・労務担当者が2026年6月中に押さえておくべき<strong>5つの定例業務</strong>を、対応目安の時期とあわせてまとめました。<strong>上旬・中旬・下旬の3タイミング</strong>で対応業務が分かれているため、月初に全体スケジュールを把握しておくと、対応漏れを防ぎやすくなります。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/1UriRKLrchEEgw29Ev0dfA/215b71ba81970502cc44cf0aa5b17cfc/image8.png" alt="2026年6月のHRチェックリストの図" /></figure><h3>（1）高卒新卒採用にかかる求人申込書の提出</h3><p>2027年4月入社の高卒新卒採用は、ハローワーク（公共職業安定所）への求人申し込みから始まります。<strong>受付開始は2026年6月1日</strong>のため、高卒採用を予定する企業は早めに準備を進めましょう。</p><p>近年は大卒採用の難化を背景に、高卒採用に力を入れる企業が増えています。高校生を対象とした採用活動は、学業との両立や生徒の保護を目的として、<strong>学校とハローワークを経由して進めることが原則</strong>とされています。ハローワークは、企業からの求人内容を確認したうえで、各高校に求人票として提示します。</p><ul><li>6月1日：ハローワークでの求人申込書の受付開始</li><li>7月1日：企業による学校への求人申込み・学校訪問の開始</li><li>9月5日：学校から企業への生徒の応募書類提出の開始（沖縄県は8月30日）</li><li>9月16日：企業による選考の開始・採用内定の開始</li></ul><p>求人票の書き方や応募者対応に不安がある場合は、東京労働局が公開している高卒採用向けの<a href="https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/002647938.pdf" target="_blank">冊子</a>と<a href="https://www.youtube.com/watch?v=_6jjFO5myzw" target="_blank">動画</a>もあわせて活用しましょう。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6tGEKsqKSV7F8syohnAACn/d02e62d75ff1d27ee2cb6389a349924f/image1.png" alt="高卒新卒採用にかかる求人申込書の提出" /><figcaption><p>（出典）：<a href="https://www.youtube.com/watch?v=_6jjFO5myzw" target="_blank">新卒者募集のために - 厚生労働省 東京労働局</a></p></figcaption></figure><p>（参考）：<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/press20260216_job_application_schedule_of_2025_highschool_graduates_00003.html" target="_blank">令和9年3月新規高等学校等卒業者の就職に係る採用選考期日等を取りまとめました - 厚生労働省</a></p><p>（参考）：<a href="https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/shokugyou_shoukai/_121483.html" target="_blank">新規学校卒業者の採用について - 厚生労働省 東京労働局</a></p><h3>（2）新年度の住民税特別徴収を開始</h3><p>会社員などの給与所得者は、毎年6月から新年度の住民税控除が始まります。<strong>企業の給与計算担当者は、5月頃に市区町村から届く「特別徴収税額決定通知書」にもとづき、6月の給与計算から新しい税額の控除に切り替える必要があります。</strong></p><p>住民税の納付方法には、納税者本人が金融機関などで納める「<strong>普通徴収</strong>」と、勤務先企業が給与から控除して納める「<strong>特別徴収</strong>」の2種類があります。会社員などの給与所得者は、原則特別徴収となります。</p><p>特別徴収では、企業が毎年6月から翌年5月までの12か月間、従業員の給与から毎月一定額の住民税を控除し、市区町村にまとめて納付します。年度の切り替わりは毎年6月のため、給与計算担当者にとっては、6月の給与計算の前に控除額を更新する作業が毎年発生します。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/labor/kyuuyo-keisan/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6nZDwLwnngYO0ebwEmTk2S/c6a2e43eb6321edd44d670909e0e86f1/image1.jpg" alt="" /><p><b>給与計算のやり方とは？月次・年次の実務フローを初心者向けに解説</b></p><p><time dateTime="2026-05-22">2026.05.22</time></p></a></div></div></figure><ol><li>5月頃、従業員の居住する市区町村から「特別徴収税額決定通知書」が企業に届く</li><li>通知書に記載された住民税額を、給与計算ソフトに入力する</li><li>6月の給与計算から、新しい税額を控除する</li><li>従業員には「特別徴収税額通知」を配布し、毎月控除される住民税額を知らせる</li></ol><p>なお、近年は特別徴収税額決定通知を電子データで受け取り、給与計算ソフトに自動反映できるシステムも増えています。こうした機能を活用すると、転記ミスを防ぎながら効率的に切り替え作業を進められます。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7FhD2IYvhc794NuixOsfyM/8ccaf19521041ffe5edf9ace9cc99e81/image2.png" alt="特別徴収制度のしくみ" /><figcaption><p>（出典）：<a href="https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/life/kojin_ju/tokubetsu/tetsuzuki" target="_blank">特別徴収にかかる手続きについて - 東京都主税局</a></p></figcaption></figure><p>（参考）：<a href="https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/life/kojin_ju/tokubetsu/tetsuzuki" target="_blank">特別徴収にかかる手続きについて - 東京都主税局</a></p><h3>（3）労働保険の年度更新</h3><p><mark><strong>労働保険の年度更新は、前年度の確定保険料の精算と、新年度の概算保険料の申告・納付を一括して進める年1回の手続きです。2026年度は、2026年6月1日（月）から7月10日（金）までが申告期間で、6月給与計算までに着手しましょう。</strong></mark></p><p>労働保険（労災保険・雇用保険）の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間を「保険年度」と呼び、この期間中に支払われた賃金総額に事業ごとの保険料率を掛けて算定されます。</p><p>労働保険料は保険年度の開始時に概算で前払いし、年度末に賃金総額が確定したのちに精算する仕組みです。この精算と、新年度分の概算保険料の申告・納付をまとめて進める手続きが「年度更新」です。</p><p>2026年度の年度更新の流れは以下のとおりです。</p><ol><li>2025年4月1日〜2026年3月31日の賃金を集計する（※3月時点で確定済み）</li><li>5月末頃に労働局・労働基準監督署から申告書が届く</li><li>集計した賃金額にもとづき、申告書を作成する</li><li>2026年6月1日（月）〜7月10日（金）の期間内に申告・納付する</li></ol><p>3月までの賃金は確定しているため、<strong>申告書の到着前から賃金集計を進めておく</strong>と、申告期間に余裕をもって対応できます。集計方法や申告書の書き方は、下記の厚生労働省の案内をご確認ください。</p><p>なお、<strong>労働保険の電子申請が義務化されている事業場</strong>（資本金1億円超の法人など）は、2026年度の年度更新から紙の申告書が送付されません。代わりに、電子申請に必要な情報を記載した通知書が届くため、電子申請による手続きが必要となります。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/1gUqCvKcnvRXj4ak1ahNRD/b5517f9cd36af571eb59a77a4a37ad4a/image5.jpg" alt="労働保険の年度更新" /><figcaption><p>（出典）：<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/roudouhoken21/index.html" target="_blank">労働保険年度更新に係るお知らせ - 厚生労働省</a></p></figcaption></figure><h3>（4）社会保険の算定基礎届の準備</h3><p><mark><strong>社会保険の算定基礎届は、4月から6月に支払った賃金にもとづいて新しい標準報酬月額を決定する、年1回の手続きです。提出期限は7月10日のため、6月の給与計算が確定したらすぐに準備に取り掛かりましょう。</strong></mark></p><p>社会保険（健康保険・厚生年金保険）の保険料は、従業員の賃金から算出される「<strong>標準報酬月額</strong>」を基準に計算されます。この標準報酬月額を毎年見直す手続きが、「<strong>定時決定（算定基礎）</strong>」です。</p><p>定時決定では、4月・5月・6月の3か月間に支払った賃金の平均額を「<strong>報酬月額</strong>」として算出し、これにもとづいて新しい標準報酬月額を決定します。決定された標準報酬月額は、原則として<strong>その年の9月から翌年8月までの1年間</strong>、健康保険・厚生年金保険の保険料計算に適用されます。実際の賃金水準に見合った保険料が徴収されるとともに、将来の年金額にも反映される重要な手続きです。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/procedure/syakaihoken-toha/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2oQbZEPvkQAxGexNbH1rnQ/c464fc5c6b19d86baa46950a83aa929c/syakaihokentoha.png" alt="" /><p><b>社会保険とは？加入条件や手続きの基本から、扶養判定や任意継続の仕組みまで解説 </b></p><p><time dateTime="2026-04-27">2026.04.27</time></p></a></div></div></figure><p>提出期限は<strong>7月10日</strong>で、6月の給与計算が確定してから期限までの時間が限られています。担当者にとっては短期決戦となるため、6月給与の確定後にすぐ着手できるよう、準備を整えておきましょう。</p><p>算定基礎届の作成事務については、日本年金機構がYouTubeで解説動画を公開しています。今年初めて担当する方は、下記の動画やガイドブックもあわせてご活用ください。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2wzwuVkbZD2HasNCYwT0oH/d45aea72399ba0298ad2cbd2076615ba/image3.png" alt="null" /><figcaption><p>（出典）：<a href="https://www.nenkin.go.jp/service/doga/doga_kounen/santeisetsumei.html" target="_blank">令和8年度 算定基礎届事務説明 - 日本年金機構</a></p></figcaption></figure><p>（参考）：<a href="https://www.nenkin.go.jp/tokusetsu/santei.html" target="_blank">【事業主の皆さまへ】令和8年度の算定基礎届のご提出について - 日本年金機構</a></p><p><a href="https://www.nenkin.go.jp/tokusetsu/santei.html" target="_blank"></a>（参考）：<a href="https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20121017.files/santei.guide.book.pdf" target="_blank">算定基礎届の記入・提出ガイドブック 令和8年度 - 日本年金機構</a></p><h3>（5）高年齢者・障害者雇用状況等報告の提出準備</h3><p>従業員20人以上（障害者雇用状況報告は40人以上）の事業所は、毎年6月1日現在の高年齢者・障害者の雇用状況を厚生労働大臣に報告する義務があります。提出期限は7月15日のため、6月下旬から準備に着手しましょう。</p><p>高年齢者雇用安定法および障害者雇用促進法にもとづき、対象規模の事業所には毎年「<strong>高年齢者雇用状況等報告</strong>」と「<strong>障害者雇用状況報告</strong>」の提出が義務付けられています。両報告書は、毎年6月1日時点の雇用状況を報告することから、通称「ロクイチ報告」とも呼ばれます。</p><p>報告対象は次のとおりです。</p><table><thead><tr><th><div><strong>報告書</strong></div></th><th><div><strong>対象事業所</strong></div></th></tr></thead><tbody><tr><th><div><strong>高年齢者雇用状況等報告</strong></div></th><td><div>常時雇用労働者が<strong>20人以上</strong>の事業所</div></td></tr><tr><th><div><strong>障害者雇用状況報告</strong></div></th><td><div>常時雇用労働者が<strong>40人以上</strong>の事業所</div></td></tr></tbody></table><p>対象事業所には、厚生労働省（ハローワーク）から報告書用紙が郵送されます。6月1日時点の雇用状況を記載し、<strong>7月15日までに提出</strong>します（電子申請も可能です）。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/procedure/61houkoku-qa/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/1PX52tOd3DajcQopm1poMv/9dc6be3ff05e755e03a169cf8c56f844/GettyImages-1181781545-1.jpg" alt="" /><p><b>ロクイチ報告の「高年齢者・障害者雇用状況報告書」。よくある質問に社労士が回答</b></p><p><time dateTime="2022-06-13">2022.06.13</time></p></a></div></div></figure><ul><li>定年制の状況</li><li>継続雇用制度の状況</li><li>年代別労働者数</li><li>高年齢者の雇用人数 など</li></ul><ul><li>常時雇用労働者数</li><li>障害種別の障害者雇用人数</li><li>実雇用率 など</li></ul><p><strong>未報告や虚偽報告は、30万円以下の罰金の対象</strong>となります。報告漏れを避けるため、6月1日時点の社内データを早めに整理しておきましょう。</p><p>記入要領や電子申請の方法は、下記の厚生労働省の案内をご確認ください。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2f9gGU7okix7kWpXxel8M/4d0213dc91b0e914d37048af69392f12/image6.png" alt="高年齢者雇用状況等報告" /><figcaption><p>（出典）：<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/11700000/001698755.pdf" target="_blank">令和8年高年齢者・障害者雇用状況等報告 提出案内（PDF）- 厚生労働省</a></p></figcaption></figure><p>（参考）：<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/index_00001.html" target="_blank">令和8年高年齢者・障害者雇用状況等報告の提出について - 厚生労働省</a></p><h2>6月の重要トピック</h2><p>2026年10月から、<strong>パートタイム・有期雇用労働法</strong>（短時間労働者および有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律）の施行規則および関連告示が改正されます。改正の全体像は、下記の厚生労働省リーフレットで確認できます。</p><p>ここでは、改正のなかでも実務への影響が大きい<strong>同一労働同一賃金ガイドラインの改定</strong>に焦点を当てて解説します。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7nRnpFeCj0FvNkgkRYcfhg/ddf35ced4f55b67708f84a8606f148ea/image7.png" alt="null" /><figcaption><p>（出典）：<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/001698010.pdf" target="_blank">パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります（令和8年10月1日施行）- 厚生労働省</a></p></figcaption></figure><h3>トピック1　改正同一労働同一賃金ガイドラインへの対応（重要度：★★★★★）</h3><p><strong>2026年4月28日に公布された改正同一労働同一賃金ガイドラインが、2026年10月1日から適用されます。実務への影響が大きいため、9月までに自社の待遇制度を点検し、必要に応じて見直しを進めましょう。</strong></p><p>同一労働同一賃金は、2020年4月の<strong>パートタイム・有期雇用労働法</strong>改正により、すべての企業に対応が求められるようになりました。施行から約5年が経過したことを受け、厚生労働省は実際の裁判例の蓄積などを踏まえてガイドラインの見直しを進め、今回の改正が公布されました。</p><p>改正ガイドラインの主なポイントは、4点です。</p><p><strong>待遇に関する事項</strong></p><p>各種手当・休暇について、非正規雇用労働者（パートタイム労働者・有期雇用労働者）への支給ルールが具体化されました。主な内容は次のとおりです。</p><table><thead><tr><th><div><br></div><p><strong>待遇項目</strong></p></th><th><div><strong>改正のポイント</strong></div></th></tr></thead><tbody><tr><th><div><strong>賞与・退職手当</strong></div></th><td><p>通常の労働者と同様に「労務の対価の後払い」「功労報償」などの性質・目的が当てはまる場合は、職務内容等の違いに応じた均衡のとれた支給が必要。支給がないと不合理と判断される可能性がある</p></td></tr><tr><th><div><strong>無事故手当</strong></div></th><td><p>通常の労働者と業務内容が同じ非正規雇用労働者には、同額を支給</p></td></tr><tr><th><div><strong>家族手当</strong></div></th><td><p>労働契約の更新を繰り返すなど、継続的な勤務が見込まれる非正規雇用労働者にも、同額を支給</p></td></tr><tr><th><div><strong>住宅手当</strong></div></th><td><p>通常の労働者と同様に転居を伴う配置変更がある非正規雇用労働者には、同額を支給</p></td></tr><tr><th><div><strong>病気休職・休暇</strong></div></th><td><p>継続的な勤務が見込まれる非正規雇用労働者にも、通常の労働者と同じ期間の給与を保障</p></td></tr><tr><th><div><strong>夏季冬季休暇</strong></div></th><td><p>非正規雇用労働者にも、通常の労働者と同じ日数を付与</p></td></tr><tr><th><div><strong>褒賞</strong></div></th><td><p>通常の労働者と同じ期間勤続した非正規雇用労働者にも、同じ褒賞を付与</p></td></tr></tbody></table><p></p><p><strong>いわゆる「正社員人材確保論」の取り扱い</strong></p><p>企業が通常の労働者（正社員）と非正規雇用労働者の待遇に差を設けている場合、その理由として「正社員として活躍する人材を確保し、定着させるため」といった目的を挙げることがあります。改正ガイドラインでは、こうした目的の存在だけを根拠に、待遇差が合理的なものと自動的に認められるわけではないことが明記されました。</p><p>つまり、企業には人材確保の目的を挙げるだけでなく、待遇差そのものに合理的な理由があることを別途説明する責任が課されたといえます。</p><p>待遇差を解消する際は、<strong>通常の労働者の労働条件を引き下げるのではなく、非正規雇用労働者の労働条件を引き上げる</strong>ことで対応すべきと明確化されました。これはパートタイム・有期雇用労働法の目的に照らした記載趣旨の整理です。</p><p>同法第8条の「その他の事情」について、これまで行政通達で示されてきた具体例（職務の成果、能力、経験、合理的な労使慣行など）がガイドラインに明記されました。</p><p>あわせて、事業主が非正規雇用労働者の意向を考慮せず一方的に待遇を決定した場合、不合理と判断される要素になりうることも明記されています。</p><p>無期雇用フルタイム労働者は、同法上の「パートタイム・有期雇用労働者」には該当しません。ただし、これらの労働者と労働契約を締結・変更する際の「均衡の考慮」においても、ガイドラインの趣旨を反映すべきであることが追記されました。</p><p>（参考）：<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190591.html" target="_blank">同一労働同一賃金ガイドライン - 厚生労働省</a></p><h2>6月の定例業務と法改正対応で、働きやすい職場づくりを進めよう</h2><p>6月は、住民税の切り替えや労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎届準備など、定例業務が集中する月です。あわせて、2026年10月適用の改正同一労働同一賃金ガイドラインへの対応も控えていますので、早めに自社の待遇制度を点検し、社内での議論にも着手しておきましょう。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7xPAyMNc4M0R7XH8Bow5Di/57187738f5170cc6205e17e9af932ae0/main_mag_ebook_426-30.jpeg" alt="" /><p><b>法改正まるごと把握3点セット</b></p><p><a href="https://smarthr.jp/know-how/ebook/ebook_426-30/?utm_source=mag&utm_medium=link" target="_blank" rel="noopener">いますぐダウンロード</a></p></figure>]]></content:encoded>
      </item>
    
      <item>
        <title><![CDATA[みなし残業（固定残業代制）とは？みなし労働時間制の違いと違法ラインを解説]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/hr/labor/minashi-zangyo/</link>
        <pubDate>Fri, 29 May 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[人事・労務]]></category>
        <category><![CDATA[労務管理]]></category>
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        <dc:creator><![CDATA[こしみず社会保険労務士事務所　代表・HR専門のコンテンツマーケティング「人事ライター」所属  小清水 春香]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[「みなし残業」は実務上「固定残業代制」を指す通称ですが、法律上の「みなし労働時間制」とは別制度です。両者の違いを整理したうえで、固定残業代制の基本ルール・導入方法・違法ラインまでわかりやすく解説します。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/Po3T2JIyqMhoGH3fvMSiN/bb2b5cb86b0b021b15c6cdb0436db584/image1.jpg" alt=""></div><p>「みなし残業」は実務上「固定残業代制」を指す言葉ですが、法律上はまったく別の制度である「みなし労働時間制」と混同されがちです。両者を取り違えたまま運用すると、未払い賃金トラブルや法令違反につながる可能性があります。</p><p>本記事では、みなし残業の基本ルール・導入手順・違法ラインまでわかりやすく解説します。</p><h2>みなし残業とは？みなし労働時間制との違い<br></h2><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/27Xnl7C1tHAL35oyU9FzR5/f1d696a689ee305fff5d217647cdaf10/image3.png" alt="みなし残業代制とみなし労働時間制の違いをまとめた図" /></figure><p><mark><strong>「みなし残業」は労働基準法上の用語ではなく、「固定残業代制」の実務上の通称</strong></mark>です。</p><p>ただし、法律上には<strong>「みなし労働時間制」という別の制度</strong>があり、両者は混同されやすいため注意が必要です。ここでは、2つの制度の意味と違いを整理します。</p><h3>みなし残業代制（固定残業代制）とは<br></h3><p><mark><strong>みなし残業代制とは、あらかじめ一定時間分の残業代を月給に含めて定額で支給する制度で、「固定残業代制」ともよばれます。</strong></mark>「みなし残業」という名称は、実際の残業時間にかかわらず、定めた時間分の残業をしたと「みなして」残業代を支払う仕組みに由来します。</p><p>たとえば「月30時間分のみなし残業代を含む」と定めている場合、実際に残業した時間が10時間であっても20時間であっても、残業代を固定で支払います。</p><p>なお、みなし残業制（固定残業代制）は、あくまでも<strong>賃金の支払い方式</strong>であり、<strong>一定時間の残業を強制・義務づけるものではありません</strong>。「みなし残業30時間と書いてあるから、毎月30時間残業しなければならない」というのは誤りです。</p><h3>みなし労働時間制との違い<br></h3><p><mark><strong>「みなし労働時間制」は名称が似ていますが、みなし残業制とはまったく別の制度</strong></mark>です。</p><p>みなし残業代制が「残業代の支払い方」を定める賃金制度であるのに対し、<strong>「みなし労働時間制」は実労働時間にかかわらず、あらかじめ定めた時間労働したものとみなす労働時間管理の制度です</strong>（<a target="_blank" href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_4-At_38_2">労働基準法第38条の2</a>・<a target="_blank" href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_4-At_38_3">3</a>・<a target="_blank" href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_4-At_38_4">4</a>）。</p><p>みなし労働時間制は「労働時間のみなし」であり「残業代のみなし」ではないため、固定残業代が支払われるわけではありません。</p><p>労働基準法上、「みなし労働時間制」には、次の3類型があります。</p><ol><li>事業場外みなし労働時間制</li><li>専門業務型裁量労働制</li><li>企画業務型裁量労働制</li></ol><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6YyslBuL0rH3BkKWrcAlaI/cf7902d5c9b473a3860aacd5b336c87b/image2.png" alt="みなし労働時間制3種類の型を説明した図" /></figure><p>社外での営業活動や外回りなど、<strong>使用者の直接の指揮監督が及びにくく労働時間の算定が困難な場合に適用される制度</strong>（<a href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_4-At_38_2" target="_blank">労働基準法第38条の2</a>）です。</p><p>（参考）<a href="https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/library/tokyo-roudoukyoku/jikanka/jigyougairoudou.pdf" target="_blank">「事業場外労働に関するみなし労働時間制」の適正な運用のために-&nbsp; 東京労働局・労働基準監督署</a></p><p><strong>業務の性質上、その遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある専門的業務に適用される制度</strong>（<a href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_4-At_38_3" target="_blank">労働基準法第38条の3</a>）です。労使協定であらかじめ定めた時間を労働したものとみなします。<br>詳細は厚生労働省のガイドラインなどを確認してください。</p><p>（参考）<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/001164346.pdf" target="_blank">厚生労働省 - 専門業務型裁量労働制について</a></p><p><strong>事業の運営に関する企画・立案・調査・分析の業務であって、業務の性質上、遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があり、業務遂行や時間配分に対して「具体的な指示をしないこと」とされる業務に適用される制度</strong>（<a href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#:~:text=%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E6%BA%96%E7%94%A8%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%82-,%E7%AC%AC%E4%B8%89%E5%8D%81%E5%85%AB%E6%9D%A1%E3%81%AE%E5%9B%9B,-%E8%B3%83%E9%87%91%E3%80%81%E5%8A%B4%E5%83%8D%E6%99%82%E9%96%93" target="_blank"></a><a target="_blank" href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_4-At_38_4">労働基準法第38条の4</a>）です。</p><p>主に<strong>本社・本店など事業運営の中枢部門</strong>が対象で、ホワイトカラー業務全般が該当するわけではありません。また、個別の営業活動のみを行なう事業場には導入できません。</p><p>（参考）<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/001164442.pdf" target="_blank">厚生労働省-企画業務型裁量労働制について</a></p><p>いずれも「労働時間をみなす制度」であり、固定残業代制とは目的も仕組みも異なります。みなし残業代制を導入している場合は、固定残業時間を超えた残業代の支払いが必要です。一方、みなし労働時間制を導入している場合でも、みなし労働時間が法定労働時間を超える場合や深夜労働・法定休日労働がある場合には、割増賃金の支払いが必要です。</p><h2>みなし残業代制の基本ルール<br></h2><p>実務上「みなし残業」とよばれる固定残業代制には、3つの基本ルールがあります。求職者・従業員の問い合わせが多いポイントでもあるため、正確に押さえておきましょう。</p><h3>（1）残業ゼロの月でも固定分は支払われる<br></h3><p><mark><strong>みなし残業代制では、実際の残業時間が0時間であっても、固定残業代として定めた金額は毎月支払う義務があります。</strong></mark>「残業をしていない月は固定残業代を差し引く」という運用は認められません。</p><h3>（2）固定時間を超えた分は別途支払いが必要<br></h3><p><mark><strong>みなし残業代制は「あらかじめ定めた時間分の残業代を先払いする」制度です。そのため、実際の残業時間が定めた時間を超えた場合は、超過分の残業代を別途支払わなければなりません。</strong></mark></p><p>たとえば月30時間のみなし残業を設定し、実際に40時間残業した場合、超過した10時間分の残業代を別に支払う必要があります。</p><h3>（3）労働時間の把握は引き続き必要</h3><p><mark><strong>みなし残業代制を導入していても、勤怠管理は引き続き必要です。</strong></mark>「みなし残業代を払っているから残業時間を管理しなくてよい」という認識は誤りです。</p><p>実労働時間の把握は、超過分の残業代の正確な支払い・長時間労働の防止・健康管理のいずれの観点からも欠かせません。</p><h2>みなし残業代制の導入方法<br></h2><p>みなし残業代制を導入する際は、次の4ステップで整備しましょう。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/3pnLvbYIBGYSh6BQfACQDd/b1f0cab044d072856ed6c2cfb632347f/image5.png" alt="みなし残業代制導入の4ステップをまとめた図" /></figure><h3>【ステップ1】就業規則・賃金規程を整備する<br></h3><p>就業規則または賃金規程に、次の3点を規定します。</p><ol><li>固定残業代の金額</li><li>固定残業時間（何時間分の残業代か）</li><li>固定残業時間を超えた場合は超過分を別途支払う旨</li></ol><p><strong>基本給と固定残業代を明確に区分して定めることが重要です。</strong>区分が不明確だと、固定残業代として法的に認められないリスクがあります。</p><h3>【ステップ2】労働条件通知書や雇用契約書で明示する<br></h3><p><a href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_2-At_15" target="_blank">労働基準法第15条</a>にもとづき、<strong>賃金に関する事項は書面で従業員に明示しなければなりません</strong>。みなし残業代制の場合、少なくとも以下の事項を雇用契約書・労働条件通知書に記載します。</p><p><strong>記載例</strong></p><table><thead><tr><th><div>項目<br></div></th><th><div>金額<br></div></th></tr></thead><tbody><tr><th><div>基本給<br></div></th><td><div>200,000円<br></div></td></tr><tr><th><div>固定残業手当（30時間分として支給）<br></div></th><td><div>50,000円<br></div></td></tr><tr><th><div>合計支給額<br></div></th><td><div>250,000円<br></div></td></tr></tbody></table><p>※上記30時間を超えた時間外労働については、別途残業代を支給する。</p><p>ポイントは「<strong>基本給と固定残業代の金額・時間数を明確に区分すること</strong>」と「<strong>超過分は追加支給する旨を明記すること</strong>」の2点です。「月給25万円（固定残業代含む）」のような内訳不明の記載は、制度自体が無効となるリスクにつながります。</p><p>求人票に掲載する場合も、次の3点の明記が必要です。</p><ol><li><strong>固定残業代を除いた基本給の額</strong></li><li><strong>固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法</strong>（例：30時間分・5万円）</li><li><strong>固定残業時間を超えた分は追加で支払う旨</strong></li></ol><p>（参考）<a href="https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000184068.pdf" target="_blank">厚生労働省 - 固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします</a></p><h3>【ステップ3】実労働時間を管理する体制をつくる<br></h3><p>導入後は、実労働時間を管理する体制を整えます。</p><p>勤怠記録が不十分だと、固定時間を超えた残業の発生を把握できず、超過分の残業代を正しく支払えません。</p><h3>【ステップ4】従業員へ正確に説明する<br></h3><p>制度導入の際は、次の3点を従業員に丁寧に説明しましょう。</p><ol><li>固定残業代制は<strong>一定時間の残業を強制する制度ではない</strong>こと</li><li>固定残業時間を下回る月でも給与は減額されないこと</li><li>固定残業時間を超えた場合は追加で支払いがあること</li></ol><p>従業員の正確な理解は、労務トラブルの予防だけでなく、エンゲージメントの観点からも重要です。</p><p>管理職にみなし残業を適用する場合は、<strong>どの法的根拠で運用しているかを本人に明示することが重要</strong>です。「管理職だから」という一括りの説明では、本人からの問い合わせや退職時のトラブル、未払い残業代請求につながる可能性があります。</p><p>考えられる根拠は次の3つで、それぞれ法的な扱いが異なります。</p><ol><li><strong>固定残業代制</strong>：定額分の残業代を毎月支給。超過分の支払い義務は残る</li><li><strong>管理監督者</strong>（労働基準法第41条）：労働時間・休憩・休日の規定が適用除外。役職名ではなく、職務内容・権限・処遇の実態で総合的に判断される</li><li><strong>裁量労働制</strong>：労働時間のみなしであり、残業代のみなしではない</li></ol><p><strong>自社の管理職がどの根拠で運用されているかを正確に把握しておきましょう。</strong></p><h2>みなし残業の違法ラインは何時間？<br></h2><p><mark><strong>みなし残業時間そのものに一律の法定上限はありませんが、36協定（サブロク協定）の上限規制を守る必要があります。</strong></mark>ここでは、設定時間の考え方と、長時間設定時の注意点を解説します。</p><h3>設定時間は36協定の上限内が基本<br></h3><p>設定したみなし残業時間が実際に残業として発生した場合には、労働基準法上の時間外労働として36協定の上限規制が適用されます。</p><p><mark><strong>36協定の時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間</strong></mark><strong>です。みなし残業時間を設定する際の1つの基準となります。</strong></p><p>固定残業代はあくまで「賃金の支払い方法」であり、設定した時間まで残業させてよい根拠にはなりません。<strong>設定時間は、直近1年の月平均残業実績をベースに、繁忙期のピーク月も考慮しながら、36協定の上限の範囲内に収めるのが基本</strong>です。</p><h3>40時間・45時間・60時間など長時間設定の注意点<br></h3><p><mark><strong>原則の上限（月45時間）を超えるみなし残業を設定したい場合は、特別条項付きの36協定が必要です。</strong></mark>特別条項を締結しても時間外労働の上限は以下のとおりであり、これを超える設定は認められません。</p><ul><li>年間上限：720時間以内</li><li>単月上限：100時間未満（休日労働含む）</li><li>複数月平均：80時間以内（2〜6か月平均、休日労働含む）</li><li>月45時間超の回数：年6回まで</li></ul><p>なお、<strong>単月100時間未満・複数月平均80時間以内という特別条項の上限は、いわゆる「過労死ライン」と重なる水準</strong>です。<mark><strong>法律上の上限内であっても、長時間の残業が常態化すれば安全配慮義務違反（労働契約法第5条）として損害賠償責任を問われる可能性</strong></mark>があります。</p><p>過去の裁判例では、過労死ラインに達する時間数を前提とした固定残業代の設定が、<a href="https://www.roudoumondai.com/hanrei/ichnusa-case-appeal.html" target="_blank">公序良俗違反として無効と判断されたケース</a>もあります。みなし残業時間を長く設定するほどこのリスクは高まります。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/1sQxpLgN93Y73VcxqJLfE7/691ca4319f40b67cbda3c345705abf5f/image4.png" alt="固定残業時間数の考え方とリスクの説明と棒グラフ" /></figure><p>加えて、みなし残業時間が長い求人は、求職者から「激務」というネガティブな印象をもたれやすくなります。みなし残業時間の設定は、過去の残業実績・業務量の実態・36協定の内容と整合するように決めましょう。</p><h2>みなし残業時間を超えたときの対応<br></h2><p>みなし残業代制を導入していても、設定した時間を超えて残業が発生した場合は、追加の割増賃金を支払う必要があります。</p><p>「みなし残業」は、あくまで賃金の支払い方法を定めたものであり、定額を払えばそれ以上の労働に対する賃金の支払いが不要になる制度ではありません。ここでは、超過時の3つの対応ポイントを解説します。</p><h3>（1）超過分の残業代は追加で支払う<br></h3><p><mark><strong>設定したみなし残業時間を超えて残業した場合、超過分の残業代を別途支払う必要があります。</strong></mark>これはみなし残業代制の大原則であり、省略できません。</p><h3>（2）深夜労働や休日労働は割増賃金が必要</h3><p>みなし残業代制を導入していても、<strong>深夜労働（22時〜翌5時）や法定休日労働は、固定残業代に明示的に含めて設計していない限り、別途割増賃金の支払いが必要です。</strong></p><p>固定残業代の中に何を含めているか（時間外労働のみか、深夜・休日労働も含むのか）を、就業規則・雇用契約書に明確に記載しておきましょう。</p><p>たとえば、就業規則や雇用契約書に「固定残業代は時間外労働30時間分として支給する」とだけ記載されている場合、深夜労働・法定休日労働の割増賃金はカバーされておらず、発生した分を別途支払う必要があります。<br>一方、「固定残業代は時間外労働30時間分・深夜労働10時間分として支給する」と明記されている場合は、その範囲内で深夜割増分に充当できます。</p><h3>（3）超過分が支払われない場合は違法のリスクがある<br></h3><p>みなし残業代制は、「定額払いで何時間でも働かせられる」制度ではありません。超過分の残業代が支払われない場合は、未払い残業代として労使トラブルや労働基準監督署による是正勧告を受けるリスクがあります。</p><p>固定残業代を導入しながら勤怠管理ができていない場合、「超過に気づかなかった」という説明は通用しません。<strong>企業の未払い賃金トラブルの多くは、この「超過分」の清算漏れに起因します。</strong></p><h2>みなし残業代制のメリット<br></h2><p>みなし残業代制の適切な運用は、企業と従業員双方にメリットをもたらします。導入を検討する際の判断材料として、3つのメリットを整理します。</p><h3>（1）人件費を予測しやすくなる<br></h3><p>一定時間分の残業代をあらかじめ給与に組み込むことで、毎月の支払い額が一定の範囲に収まり、経営や予算管理の予測が容易になります。</p><p>繁忙期と閑散期の業務量の差が激しい業種であっても、毎月の給与総額が一定範囲に収まるため、キャッシュフローの管理が安定します。</p><p>急な残業の増加による「予期せぬ人件費の膨張」を防げる点は、経営上の大きなメリットです。</p><h3>（2）毎月の給与額が安定しやすい<br></h3><p>従業員目線では、残業の多い月・少ない月にかかわらず、固定残業代の範囲内であれば毎月の給与額が安定するメリットがあります。住宅ローンや生活費の計画が安定し、エンゲージメントの向上も期待できます。</p><h3>（3）残業代目的の長時間残業を抑えやすい</h3><p>みなし残業代制では、固定残業時間を超えるまでは給与が変わらないため、「残業代を稼ぐために長く残る」といった非効率な働き方の抑制につながる場合があります。<br>ただしこの効果は、「業務を効率化して早く終わらせれば得をする」という意識が現場に根付いている場合に限られます。</p><p><strong>運用を誤ると「定額分までは働かせて当たり前」という長時間労働の温床になる</strong>ため、管理職による業務量管理とセットでの運用が不可欠です。</p><h2>みなし残業代の設計方法と「法定内みなし残業」の考え方<br></h2><p>みなし残業代制を設計する際、「法定内（法内）残業」と「法定外（法外）残業」の扱いに迷うケースがあります。</p><p>たとえば1日の所定労働時間が7時間の企業では、法定労働時間（1日8時間）との差である1時間分は、残業ではあるものの法定時間の枠内の残業（法定内残業）となります。<strong>この時間は法定割増率（125％）が適用されず、就業規則などで割増を定めている場合を除き、割増なしの通常賃金で支払うのが原則です。</strong></p><p>固定残業代に法定内残業を含めた設計は可能ですが、その旨を規程に明記する必要があります。</p><p><strong>規定例：</strong></p><blockquote><p>「基本給とは別に、月30時間分の時間外労働手当を固定残業代として支給する。このうち法定労働時間内の残業（法定内残業）は通常賃金で、法定労働時間を超える残業（法定外残業）は所定の割増賃金で計算した金額を含むものとする。月30時間を超える時間外労働が発生した場合は、超過分について別途割増賃金を支給する。」</p></blockquote><p><strong>所定労働時間7時間・固定残業30時間の場合</strong></p><p>固定残業30時間の内訳を、次のように設計します。</p><ul><li>法定内残業として月およそ20時間を割り当てる：1日あたり所定労働時間7時間〜法定労働時間8時間の差分（1時間）×営業日数で算出。通常賃金で計算</li><li>法定外残業として残りのおよそ10時間を割り当てる：法定労働時間を超える時間として、割増率（125％以上）を適用して計算</li></ul><p>なお、実際の法定内・法定外労働時間の内訳が固定残業時間と異なる月が生じた場合は、差額を精算する必要があります。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/procedure/zangyodai-keisan/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6DJR13SdEymdV1JKtvm8BU/47746a9c2bbe89d7ad231d5b61d2cb1a/yjUl4ObCCLdgcbw1779098630_1779098645.jpg" alt="" /><p><b>【計算例付き】残業代の計算方法とは？計算式・基礎賃金・割増率を給与形態別に解説</b></p><p><time dateTime="2026-05-21">2026.05.21</time></p></a></div></div></figure><h2>みなし残業代制が違法・無効になるケース</h2><p>みなし残業代制は正しく運用すれば有効な賃金制度ですが、運用を誤れば、行政指導の対象となる違法な運用や、制度自体が無効と判断される事態を招くリスクがあります。とくに注意すべきは次の3点です。</p><h3>（1）求人情報に正しく掲載されていない場合<br></h3><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7BzEF0APeKw48ZBHiAMcFD/b090f9844c241f06c6d6081fa09e9c24/image6.png" alt="固定残業代制の正しい求人表記方法のNG例とOK例をまとめた図" /></figure><p>求人媒体での募集時、以下の3つが明記されていない場合、募集時の明示義務違反となります。</p><ol><li>基本給の額：固定残業代を除いた金額を明記する</li><li>固定残業代の内容：固定残業代の金額と、それに対応する時間数を明記する（例：30時間分として5万円）</li><li>超過分の取り扱い：「固定残業時間を超えた分は追加で支払う」を明記する</li></ol><p>これらが曖昧なまま採用活動を行なうと、後に従業員から「説明と違う」と主張されるだけでなく、職業安定法や労働基準法にもとづく行政指導の対象となる可能性があります。</p><p>（参考）<a href="https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000184068.pdf" target="_blank"> 固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします-厚生労働省 </a></p><h3>（2）みなし残業代を除いた賃金が最低賃金を下回る場合<br></h3><p><mark><strong>賃金が最低賃金以上であるかを判定する際は、固定残業代を除いた基本給（および通勤手当・家族手当などを除く諸手当）で計算します。</strong></mark></p><p>たとえば、その地域の最低賃金が時給1,300円の場合、基本給を低く設定し、固定残業代を上乗せして「時給換算で1,400円だからOK」とする計算は違法です。<strong>この判断を誤ると最低賃金法違反となります。</strong></p><h3>（3）雇用契約書・就業規則に内容が明記されていない場合<br></h3><p><strong>就業規則や雇用契約書で、基本給と固定残業代が明確に区分されていない場合、制度そのものが無効と判断される可能性が高くなります。</strong>「給与は総額〇万円（固定残業代含む）」といった内訳が不明瞭な記載は避けてください。</p><p>判例上、固定残業代が割増賃金として有効と認められるためには、<mark><strong>「通常の労働時間の賃金にあたる部分と割増賃金にあたる部分とを判別できること（明確区分性）」が要件</strong></mark>として示されています（<a href="https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/06283.html" target="_blank">最2小判平成6年6月13日 高知県観光事件</a>など）。この要件を満たさない場合、労働基準法第37条が定める残業代が支払われたとは認められません。</p><p>加えて、賃金の内訳が不明瞭な雇用契約書や労働条件通知書は、<strong><a target="_blank" href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_2-At_15">労働基準法第15条</a>および<a target="_blank" href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023/#Mp-At_5">同法施行規則第5条</a>が定める労働条件の明示義務に抵触するおそれ</strong>もあります。<br><br>少なくとも次の3点を満たした規定が必要です。</p><ol><li>区分明示：「基本給〇円、固定残業手当〇円」と分けられていること</li><li>対価性の明示：何時間分・いくら分の残業代なのかが明確であること</li><li>超過分の規定：固定残業時間を超えた場合は超過分を追加支給する旨を記載すること</li></ol><p>固定残業代制度が「無効」と判断されると、固定残業代として支払っていた金額が、割増賃金の支払いとして認められない可能性があります。その場合、過去にさかのぼって残業代全額を再計算して支払うよう命じられるリスクがあります。</p><p>だからこそ、就業規則・雇用契約書・求人票の3点を整え、超過分の精算ルールを明文化することが、企業と従業員の双方を守る最も確実な方法です。</p><h2>みなし残業を正しく理解して、安心して働ける職場づくりを<br></h2><p>「みなし残業」という言葉が指す内容は、「みなし残業代制（固定残業代制）」と「みなし労働時間制」で大きく異なります。両者の混同は、未払い賃金トラブルや法令違反の原因となります。</p><p>人事・労務担当者は、自社がどちらの制度を採用するのか明確にしたうえで、従業員へ正確に説明できる状態にしましょう。</p><p>制度の趣旨を正しく理解し、実態と整合した形で運用することが、労使間の信頼を守り、安心して働ける環境づくりの土台となります。</p><p>もし自社の規定や運用に少しでも不安があれば、放置せず、管轄の労働基準監督署や社会保険労務士などの専門家へ相談しましょう。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7xPAyMNc4M0R7XH8Bow5Di/57187738f5170cc6205e17e9af932ae0/main_mag_ebook_426-30.jpeg" alt="" /><p><b>法改正まるごと把握3点セット</b></p><p><a href="https://smarthr.jp/know-how/ebook/ebook_426-30/?utm_source=mag&utm_medium=link" target="_blank" rel="noopener">いますぐダウンロード</a></p></figure>]]></content:encoded>
      </item>
    
      <item>
        <title><![CDATA[介護離職を防ぐ人事の「初期対応」。"判断"を支える支援とは]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/work/well-working/kaigo-risyoku/</link>
        <pubDate>Thu, 28 May 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[働き方]]></category>
        <category><![CDATA[well-working]]></category>
        <guid isPermaLink="true">https://mag.smarthr.jp/work/well-working/kaigo-risyoku/</guid>
        <dc:creator><![CDATA[佐々木 四史]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[なぜ制度を整えても離職を防げないのでしょうか。4,000件以上の介護相談に関わってきた専門家が、人事・労務担当者が押さえるべき「初期対応」のポイントと、離職を防ぐ判断支援のあり方を解説します。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/59w1boPkWYaPP0frRxPyFV/4318d41d314279e36a3db1cd5411af39/image5.jpg" alt=""></div><p>介護休業や短時間勤務、テレワークなど、仕事と介護の両立支援制度の整備は確実に進んでいます。しかし、<a href="https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/pdf/kgaiyou.pdf" target="_blank">総務省の調査</a>によると、介護離職者は直近1年間で10.6万人にのぼり、増加傾向にあります。</p><p>なぜ制度を整えても離職を防げないのでしょうか。<strong>離職の分かれ目は、制度の有無ではなく、企業側の「初期対応」にあります。</strong><br>本記事では、4,000件以上の介護相談に関わってきた川内氏が、人事・労務担当者が押さえるべき初期対応と支援のポイントを解説します。</p><div><div><p><b>川内 潤（かわうち・じゅん）</b></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6NigRkRcmFrTchkKDE9X0P/d422b98f1cd9f87a2f9e7347d7bcb0e9/image7.jpg" alt="" /></figure><p>NPO法人となりのかいご代表理事</p><p>1980年生まれ。上智大学文学部社会福祉学科卒業。老人ホーム紹介事業、外資系コンサルティング会社、<a href="https://kanaibara.or.jp/" target="_blank">社会福祉法人一廣会かないばら苑</a>（川崎市麻生区）などでの在宅・施設介護職員を経て、2008年に市民団体「となりのかいご」設立。2014年に「となりのかいご」をNPO法人化、代表理事に就任。厚生労働省「令和2年度仕事と介護の両立支援カリキュラム事業」委員、育児・介護休業法改正では国会に参考人として出席。書籍『<a href="https://amzn.asia/d/0f6rUkpG" target="_blank">親不孝介護　距離を取るからうまくいく</a>』（日経BP）など。</p></div></div><h2>なぜ介護離職の増加は、経営リスクなのか<br></h2><p>介護離職は個人の問題として扱われがちですが、企業にとっても重大な経営リスクです。親の介護に直面しやすい40～50代は、管理職や管理職候補、熟練した技術職など、現場の中核人材です。<strong>中核人材の流出は、採用・育成コストの発生だけでなく、長年培ってきたノウハウの喪失やチームの生産性低下を招きます。</strong></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2MoDvIihiFyw0DGQukYD2N/fb28d9058679d3b16ce823361eceec32/image6.png" alt="従業員がビジネスケアラーになる・介護離職した場合の損失を試算した表" /><figcaption><p>（参考）経済産業省<a href="https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kaigo/main_20240326.pdf" target="_blank">「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」</a>をもとに当社作成</p></figcaption></figure><p>また、損失は離職というかたちでしか現れないわけではありません。介護を抱えながら働く従業員は、夜間対応の疲労や日中の家族からの連絡で精神的負担が大きくなり、いわゆる<strong>プレゼンティーイズム</strong>（出勤しているにもかかわらず、体調や精神的な問題から業務効率が低下している状態）に陥ることがあります。</p><p>高齢化が進むなかで、介護を抱えながら働く従業員は確実に増えています。介護離職は、いまや人的資本経営における重要課題の1つといえるでしょう。だからこそ、制度整備に加えて、離職を防ぐための支援の設計が求められているのです。</p><h2>「制度を整えれば両立できる」という思い込みを手放す<br></h2><p>多くの企業では、「制度を整えれば仕事と介護の両立は可能である」という前提で支援が考えられています。しかし、この認識そのものを見直す必要があります。</p><h3>自ら抱え込む構造をどう壊すか<br></h3><p>本来、制度は従業員が安心して働き続けるための支えとなるものです。しかし実際には、制度の利用が「直接介護を担う時間」を増やし、介護に深く入り込んでしまう構造を生むこともあります。一度その状態に入ると、仕事との両立は急速に難しくなります。</p><p>当法人が2026年5月に公表した<a href="https://www.tonarino-kaigo.org/download/" target="_blank">「介護離職白書2026」</a>でも、<strong>介護離職者の60.3％が、何らかの両立支援制度を利用したうえで離職していた</strong>ことが明らかになっています。制度を使っていたにもかかわらず、離職に至っている人が一定数いるのです。</p><p>離職者には2つの傾向が共通して見られます。</p><p>1つ目は、<strong>「自分が直接介護をしなければならない」という意識の強さ</strong>（※1）です。自分の生活を後回しにして介護に向き合ってしまう傾向があります。<br>2つ目は、<strong>介護離職者の半数以上が、介護開始から半年未満で離職している</strong>（※2）という事実です。長年の疲弊の末ではなく、初期の混乱期に「もう続けられない」と判断してしまっているのです。</p><p>つまり、制度をどれだけ整えても、「従業員の意識」と「初期の判断」を支えられなければ、離職は防げません。<mark><strong>制度を整えることと、離職を防ぐことはイコールではない</strong></mark>のです。</p><p>（※1）三菱UFJリサーチ＆コンサルティング株式会社<a href="https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2024/07/koukai_240425_24.pdf" target="_blank">「介護離職者の離職理由の詳細等の調査」</a>p.182<br>（※2）三菱UFJリサーチ＆コンサルティング株式会社<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000988664.pdf" target="_blank">「労働者調査 結果概要」</a>令和4年3月（厚生労働省委託調査）p.37</p><h3>「相談されてから支援する」では、間に合わない</h3><p>ほかにも、企業側が見直すべき前提があります。それは、介護は「見えにくい」という特性です。育児の場合は、社会保険上の手続きなど会社に報告する機会がありますが、介護の場合はそうではありません。多くの従業員は、会社に伝えないまま介護を抱え込んでしまいます。こうした状態を<strong>「隠れ介護」</strong>と呼びます。</p><p>隠れ介護が続き、ようやく相談が届く頃には、すでに「休職」「離職」しか選択肢がない状態に陥りがちです。企業が受け身のままでいると、この段階でしか関われず、結果として離職を防ぎにくくなります。「相談がない＝問題がない」ではありません。だからこそ、<mark><strong>従業員の相談を受け身で待つのではなく、企業側から情報を発信する「プッシュ型」の関与が欠かせません。</strong></mark></p><h3>「制度を整える」から「判断を支える」へ<br></h3><p>両立支援において重要なのは、制度を提供することではなく、意識と行動を変える支援です。具体的には、従業員が次の3つを「当たり前」にできる環境をつくることが重要です。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/1JmUjIVvHeIzkyDyOEodOT/a650305dcd9f5fbb98f669cd5637889d/image9.png" alt="両立支援において求められる環境作りのポイント3点を解説した図" /></figure><p>人的資本経営の視点から見ても、両立支援の目的は休ませることではなく、働き続けられる状態をつくることです。<mark><strong>制度を「整える」から、意識と行動を「変える」支援へ。</strong></mark>この発想の転換こそが、これからの両立支援に求められています。</p><h2>介護の相談を受けたとき、人事が押さえたい初期対応とは？</h2><p>ここからは、実際に従業員から介護の相談を受けたとき、人事・労務担当者が押さえておきたい初期対応のポイントを整理します。</p><h3>制度の説明にとどまらず、判断を支える</h3><p>突然の介護に直面した従業員は、情報が不足したまま判断を迫られ、「自分がやらなければならない」という責任感から、直接介護に入り込みやすい状態にあります。このとき制度だけを提示すると、「制度を使って自力で乗り切るしかない」と受け取られかねません。</p><p>この段階で重要なのは、<mark><strong>従業員の判断を支えること</strong></mark><strong>です。</strong>人事や上司がまず伝えるべきことは次の3点です。</p><ol><li>家族だけで抱え込まなくてよいこと</li><li>制度は「直接介護」のためではなく「体制づくり」のために使うもの</li><li>地域には相談できる公的窓口があること</li></ol><p>なかでも、<mark><strong>地域包括支援センターなどの外部の相談先につなげることは、初期段階の支援としてきわめて有効</strong></mark>です。人事・労務担当者が従業員と一緒に相談先の地域包括支援センターを検索し、「まずここに相談してみましょう」と具体的に示すだけでも、その後の展開は大きく変わります。</p><p>当法人の<a href="https://www.tonarino-kaigo.org/download/" target="_blank">「介護離職白書2026」</a>でも、「<strong>会社にのみ相談していた人は、家族や専門家にも相談していた従業員と比べて異動転職率が高い」「専門家につながれている人ほど支援満足度が高い」</strong>という結果が示されています。専門家が介入することで、精神的・物理的な負担が軽減され、両立しやすい状態をつくれる可能性があるといえるでしょう。</p><p>人事・労務担当者の役割は、社内で問題を解決しきることではなく、必要な相手につなぐ「ハブ」としての役割だと言えます。<mark><strong>専門家や家族と役割を分け合うかたちが、結果として従業員にとっても、人事・労務担当者にとっても、無理のない両立支援につながる</strong></mark>のです。</p><h3>初期対応の違いが、離職と継続を分ける― ケーススタディ<br></h3><p>実際、私が相談に関わってきたなかでも、初期対応のわずかな違いが、その後の経過を大きく分けるケースを数多く見てきました。ここでは、離職に至ったAさんと、両立を続けられているBさんのケースを紹介します。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/5J4NoEyIzD72uky843gjQA/4f145e24e1fb6c768cb2f4eb19e0e93e/image8.png" alt="介護離職に至った事例を紹介した図" /></figure><p>Aさんは母親の様子が気になり、制度について上司に相談しました。返ってきたのは、「原則、『常時介護を必要とする状態』でなければ休暇・休業は使えない」という説明だけ。説明自体は間違っていませんが、<strong>「それだけで終わってしまった」ことが、Aさんを直接介護へと押し戻してしまいました。</strong></p><p>「会社は助けてくれない」と感じたAさんは、隠れ介護に陥ります。その後、実家でのテレワークが特例として認められたものの、仕事に集中できない状況が続き、最終的には「一身上の都合」での退職に至りました。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2piiCOGBQrzHvNFGFT5URp/fe6a5339b566a68577f68ac3651358d1/image2.png" alt="介護離職を回避できた事例を紹介した図" /></figure><p>Bさんも同じように上司に相談しました。上司は制度を説明するだけでなく、<strong>「まず地域包括支援センターに相談してみよう」「一緒に調べようか」と、</strong><mark><strong>具体的な行動につなげた</strong></mark>のです。</p><p>その結果、介護認定やサービス導入が進み、週2回のデイサービスと週2回のヘルパー利用が実現。ケアカンファレンス（各関係者が情報共有や問題解決を検討する会議）への出席時のみ半日の介護休暇を取得するなど、最小限の負担で両立を続けられています。</p><p>2つのケースの違いは、介護の深刻さでも、制度の違いでも、従業員の能力の差でもありません。<mark><strong>企業側の初期対応</strong></mark>です。</p><h2>「3つの段階」を意識して継続的な支援を<br></h2><p>状況の変化にあわせて、関わり方を少しずつ見直していくことが両立支援のカギになります。ただし、すべてを人事・労務担当者だけで抱える必要はありません。管理職と連携しながら、無理のないかたちで支えていくことが大切です。</p><p>介護支援は、大きく「相談・調整期」「両立体制構築期」「両立期」の3段階に分けて考えられます。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/29ZYT5jDqm9xOXGj6Tpc9g/72f49182b235c5b30673041dbce77f69/image1.png" alt="介護支援の「相談・調整期」「両立体制構築期」「両立期」について説明した図" /></figure><h3>（1）相談・調整期</h3><p>ここまで述べてきた「判断の支援」を行う段階です。従業員が外部支援につながれるよう情報提供しながら、必要に応じて業務面の配慮を検討し、従業員が情報収集と体制構築に向き合える時間を確保します。</p><h3>（2）両立体制構築期<br></h3><p>勤務時間や業務分担、制度の使い方を整理し、両立計画をかたちにしていきます。とくにこの段階では、管理職の理解と連携が欠かせません。<strong>管理職の理解が不足していると、過度な遠慮や配慮によって、かえって従業員の孤立を招く</strong>ことにもなりかねません。</p><h3>（3）両立期</h3><p>定期的なフォロー面談で負担の変化を確認し、必要な場面で休業制度をピンポイントに活用するなど、状況にあわせて体制を見直していくことが重要です。</p><p>初期段階で従業員が外部支援につながり、3段階を通じて継続的に伴走することで、<strong>介護は「抱えるもの」から「マネジメントするもの」へと転換されます。</strong>この転換が起きれば、両立の可能性は大きく広がります。</p><h2>法改正で義務化された対応。成果を分ける“3つの心構え”</h2><p>2025年4月に育児・介護休業法が改正され、仕事と介護の両立支援に関する新たな義務が課されました。</p><h3>個別周知・意向確認<br></h3><p><em>介護に直面した従業員から申し出があった場合、企業は個別に制度を周知し、利用の意向確認を行なうこと。</em></p><h3><em>介護に直面する前の早い段階での情報提供</em><br></h3><p><em>介護に直面する前の早い段階（40歳前後など一定年齢）で、情報提供を行なうこと。</em></p><h3>雇用環境整備<br></h3><p><em>相談窓口の設置や研修の実施など、両立支援のための環境整備。</em></p><p>（参考）厚生労働省<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001407488.pdf" target="_blank">「育児・介護休業法 令和６年改正内容の解説」</a></p><p>一見すると前向きな改正ですが、各義務を実施する際に企業側が意識しておくべき心構えがあります。<strong>「判断支援」の視点が重要</strong>です。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7ikJ7VGnNj1tfI8DCFAPY7/2ac166543c15e8fd9ddc387ee22459b7/image4.png" alt="3つの義務を実施する際に発生するリスクと企業側が意識しておくべき心構えについて説明した図" /></figure><h3>【心構え（1）】個別周知・意向確認時<br></h3><p>制度の枠組みを伝えるだけでなく、<strong>「家族だけで抱え込まなくてよい」「外部支援を頼ってよい」という前提</strong>まであわせて伝えることが、判断を支える第一歩になります。</p><h3>【心構え（2）】情報提供時</h3><p>40歳前後など介護に直面する前の情報提供は、心の準備という意味で重要です。一方で、制度の中身だけを伝えると「いざとなれば休めるから自分でなんとかしよう」という誤った前提を強化しかねません。情報提供は、<strong>制度の使い方の前提である「直接介護のためではない」と伝える場として位置づけるべき</strong>です。</p><h3>【心構え（3）】雇用環境整備</h3><p>相談窓口や研修を整えること自体は必要ですが、「困ったときに使うもの」と認識されてしまうと、相談が上がる頃には手遅れになります。<strong>仕組みを用意するだけでなく、企業側から定期的に働きかける「プッシュ型」の運用</strong>へと発想を切り替える必要があります。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/4eVtTsbkAUi22gWh8bBGYd/f2ef325aac8fca79f35f055d541038ff/image3.png" alt="企業の受け身型の対応の問題点とプッシュ型の対応の利点を比較した図" /></figure><p>「家族だけで抱え込まない」「直接介護に入り込まない」「早い段階で外部の支援につなぐ」という3つの前提を企業が理解し、従業員に発信できてはじめて、制度は本来の効果を発揮します。</p><h2>「誰もが両立できる職場」を目指して</h2><p>重要なのは、一部の人だけが実現できる両立ではなく、「誰もが無理なく働き続けられる状態」を目指すことです。交替勤務や現場業務など、柔軟な働き方が難しい職場であっても、初期対応のあり方次第で、従業員が安心して働き続けられる可能性は大きく変わります。反対に、制度が整っていても、本人が孤立感や不安を抱えたままでは、離職につながってしまうこともあります。</p><p>だからこそ、人事・労務担当者に求められるのは、一人ひとりの状況に向き合いながら、現場とともによりよい支援のあり方を探り続ける姿勢なのかもしれません。制度を整えるだけで終わらせず、「この職場なら相談できる」と感じられる環境を少しずつ育てていく。その積み重ねが、働きやすい職場づくりにつながっていくのではないでしょうか。</p>]]></content:encoded>
      </item>
    
      <item>
        <title><![CDATA[女性管理職比率3割。創業90年の老舗・吉村の“準備万全を待たない”登用]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/work/well-working/female-broken-rung-2/</link>
        <pubDate>Wed, 27 May 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[働き方]]></category>
        <category><![CDATA[well-working]]></category>
        <guid isPermaLink="true">https://mag.smarthr.jp/work/well-working/female-broken-rung-2/</guid>
        <dc:creator><![CDATA[向 晴香]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[創業93年の老舗パッケージメーカー、株式会社吉村では現在、管理職の3割を女性が占めています。変化を生んだのは組織構造への介入と経営の覚悟。その歩みを経営者目線、そして現場を率いる管理職目線の双方から伺いました。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/4zfI5mlH8R3W25415Kv1Aa/2b38307f212306bd04ce12bfa4b8a73c/joseikanrishoku3wari_0519_new3__1_.jpg" alt=""></div><p>創業93年の老舗パッケージメーカー、<a href="https://www.yoshimura-pack.co.jp/" target="_blank">株式会社吉村</a>では現在、管理職の3割を女性が占めています。変化を生んだのは組織構造への介入と経営の覚悟。その歩みを経営者目線、そして現場を率いる管理職目線の双方から伺いました。</p><ul><li><p><b>橋本 久美子さん</b></p><p>株式会社吉村 代表取締役会長</p><p>1982年、祖父が1932年に創業した家業の吉村に入社。1986年に出産を機に退社し、2000年に復帰。2005年11月に3代目となる代表取締役社長に就任。社内改革を推進し、ダイバーシティ経営企業100選などに選ばれている。</p></li><li><p><b>原田直子さん</b></p><p>株式会社吉村 クリエイティブデザイン部 次長</p><p>デザイン系の短大卒業後吉村にパートナースタッフ(派遣)経由で入社。現在勤続年数17年目。2017年にデザイナーが営業部からクリエイティブデザイン部に独立する際に橋本からマネジメントに任命され、“イヤイヤ期”を経て試行錯誤しながら今に至る。</p></li></ul><h2>女性管理職の「なれない」と「なりたがらない」を生む構造<br></h2><p>人手不足が深刻化するなか、女性管理職の育成は多くの企業にとって避けられないテーマになっています。企業が挙げる課題として上位に並ぶのは「女性の昇進意欲がない」「十分な経験をもった女性が不足している」「登用要件を満たせる女性が少ない」といった声。<strong>意欲や経験の不足が、共通のハードルとして認識されている傾向が伺えます。</strong></p><p>（参考）<a href="https://rc.persol-group.co.jp/news/202206301000/" target="_blank">女性活躍推進に関する定量調査 - パーソル総合研究所</a><br>（参考）<a href="https://jinjibu.jp/article/detl/hakusho/3912/" target="_blank">人事白書2025 - 日本の人事部&nbsp;</a></p><p>なぜ、こうした状況が生まれるのでしょうか。SmartHR Mag.編集部が、<a href="https://mag.smarthr.jp/work/well-working/female-broken-rung/" target="_blank">女性のキャリア形成を長年研究してきた関西学院大学の大内章子教授とともに深掘り</a>したところ、浮かび上がったのは<strong>個人の意欲以前に存在する4つの構造的要因</strong>でした。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/rqLHhNEtKduI1IIOJKGdk/baf505eef987626297607dc16ae433a3/image5.jpg" alt="この後の本文で言及する構造的要因をまとめた図" /></figure><h3>（1）遅い選抜が生む「管理職候補期」と「育児期」の重なり</h3><p>日本の多くの企業では選抜のタイミングが遅く、係長・課長へと昇進する時期が、第1子出生時の平均年齢（31.0歳）を含む育児のピークと重なっています。キャリアの重要な時期と私生活の多忙期が重なることで、育成の機会を得づらい構造があります。</p><h3>（2）家事・育児は女性が担うものという社会規範</h3><p>家庭内での家事・育児負担が今なお女性に偏っている現状があります。職場においても上司が「女性は大変だろう」と配慮するあまり挑戦的な仕事を控えてしまう「統計的差別（善意のバイアス）」を生み、結果として女性から成長機会を奪っています。</p><h3>（3）時短勤務が不利になる評価の文化</h3><p>「成果評価」を掲げつつも、数値化しにくい職種では「労働時間」が評価の代替指標になりがち。時間制約のある時短勤務者が正当に評価されにくい文化が、キャリアアップの壁となっています。&nbsp;</p><h3>（4）上記の積み重ねによる自信のなさ</h3><p>（1）～（3）の「なれない」構造が積み重なることで次第に自信が失われ、結果として「なりたがらない」状態へとつながっていくと考えられます。</p><p>こうした構造的な育成機会の喪失は、<strong>キャリアのステップを登るための「壊れたはしご（broken rung）」に例えられます。</strong></p><p>係長・課長に昇進すべきタイミングで、周囲の過度な配慮によって仕事の難易度を落とされてしまうと、その女性は数年後に本来積むべきだった経験を欠き、適切なスキルを身につけられない状態になります。その段階でいきなり「次の役職に」と打診されても、不安で踏み出せないのは当然です。</p><p>「自信がない」のは個人の性格の問題ではなく、<strong>はしごが途中で壊れているために、登るために必要な経験が積めていないこと</strong>に原因があるのです。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/work/well-working/female-broken-rung/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/34jWbrKNzmQcjXbBqGey3O/318c805fdd9b45f3719c90423124f4c6/thumbnail2_0424.jpg" alt="" /><p><b>女性管理職育成を阻む「壊れたはしご」の正体と経営に問われる覚悟</b></p><p><time dateTime="2026-05-13">2026.05.13</time></p></a></div></div></figure><h2>女性管理職3割超え。多様な人材が活躍する企業は何を変えたのか？</h2><p>では、自社の壊れたはしごにどう気づき、どう直していけばいいのでしょうか。株式会社吉村では「比率向上」そのものを目的に置くのではなく、<strong>事業と社員の成長を見据えて、多様な人材が活躍できる環境づくりを進めてきました</strong>。</p><p>その結果として、女性管理職比率は現在、3割を超えています。組織全体でみると、<strong>2017年は5名だった女性管理職が17名へ、その手前の候補層である主任や課長補佐も2名から40名へと大幅に増加しました</strong>。取り組みのなかでは、当初「個性の強いデザイナー同士をまとめるのは難しい」と感じていたデザイナーが、チームを率いることに手応えを感じるようになるなど、数字以上の確かな変化が生まれています。</p><p>今回は代表取締役会長の橋本久美子さん、クリエイティブデザイン部門で管理職を務める原田直子さんに、組織や個人の変容のプロセスを振り返ってもらいました。</p><h2>「ピンクカラージョブ」との出会いと、社内に見えた役割分担</h2><p><b>――女性管理職の登用や育成に本格的に取り組むことになった背景を教えてください。</b></p><p><b>橋本さん</b></p><p>出発点は、性別に限らず「私なんて無理」と思っている社員に「やってみたら景色が変わるよ」と伝えたい、という想いでした。私自身、もともとは専業主婦で「家族のために生きるのが幸せだ」と無意識に思い込んでいました。けれど、いざ社長になって「自分の名前」で戦ってみたら、大変なことも含めて生きる景色がガラリと変わるほど面白かったんです。</p><p>ですから、当初は「女性活躍推進をやろう」といった意識はなく、<strong>あくまで「一人ひとりの社員がより仕事にやりがいを感じられ、活躍できる環境を整えたい」という経営者としての動機</strong>だけでした。</p><p><b>――<a href="https://mag.smarthr.jp/work/environment/yoshimura/">前回のインタビュー</a>では「ピンクカラージョブ」という概念との出会いも、大きな転機と伺いました。</b></p><p><b>橋本さん</b></p><p>中小企業同友会で、初めてその言葉を聞きました。保育士や介護職、事務職など、女性が多く従事していて社会的な評価や賃金が相対的に低い職種のことを指す言葉です。そもそも家政婦・秘書・看護婦のような「クライアントを黒子として支える」職種が多かったことに由来します。</p><p>それを知ったとき、怒りよりも「なるほど」と腑に落ちる感覚がありました。私自身も社長になる前は、ずっと「誰かのサポート役でいることが幸せ」と思い込んで生きてきたからです。</p><p>その視点でふと社内に目を向けたとき、愕然としました。<strong>「家庭内での無意識の役割分担が、そのまま組織のなかで再現されている」と気づいたんです。</strong>当時、6か所ほどあった営業所の所長は全員が男性で、営業所をサポートするデザイナーや販売サポートなど、女性の多い部署が営業を支える構造でした。</p><p>それまでも女性の働きやすさを整える制度はつくってきましたが、<strong>「誰が誰のもとについて、どういう力関係で働くか」という根本的な構造には手をつけていなかった。</strong>「この構造こそがリーダーへの意欲や主体性を奪っている原因だったんだ」と、それまでバラバラに抱いていた違和感が一本の線でつながった感覚でした。&nbsp;</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/work/environment/yoshimura/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/4nxdCwUBACoe2lWeBoQZpR/b74015cc0fe9534be21481ccde7a56c0/2000_1050.png" alt="" /><p><b>下町の中小企業が進めた女性活躍の3段階。“ピンクカラージョブ”からの脱却を果たした社員主導の制度整備</b></p><p><time dateTime="2024-08-22">2024.08.22</time></p></a></div></div></figure><p>その後、すぐデザイナーと販売サポートを営業所から独立させ、横断的な部署をつくろうと決め、取締役会で提案しました。加えて、経営会議にも若手や女性を含む多様な社員が当番制で参加する仕組みを考案しました。いずれも私がすぐに「やりたい！」と宣言しましたから、最初は皆、驚いたと思いますね。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6ljIXxPZaSwe2IhlW7yjgt/5d43aae9727afd12c62678abae2c0aff/image2.jpg" alt="本文で紹介した吉村さんの取り組みをまとめた図" /><figcaption><p><a href="https://mag.smarthr.jp/work/environment/yoshimura/" target="_blank">働きやすさの整備の詳細</a>は過去記事をご覧ください</p></figcaption></figure><p><strong>吉村の実践に学ぶ「壊れたはしご」を直すポイント（1）</strong></p><p>サポート役に固定されがちな職種を独立した組織に再編し、女性が「サポート役」から「主体者」へと変わる構造をつくる。</p><h2>「憤り」を「戦略」に翻訳する、経営者としての意思決定</h2><p><b>――橋本さんご自身の経験を踏まえた直感が、迅速なアクションにつながったのですね。<br></b></p><p><b> 橋本さん</b></p><p>そうですね。ここは一定のトップダウンで進めました。</p><p>ただ、取締役会への提案では、あくまで事業上のメリットを根拠にしました。デザイン部門や販売サポートを独立させれば、拠点間の知見が共有され、組織が活性化する。その結果としてデザイン採用率や顧客サービスにも良い影響があるのではないか、と。そうした経営上の合理性を示すことで、取締役たちも異論なく賛成してくれました。</p><p>もちろん、私の根底には「女性が自分の可能性に気づかないまま、経験を積めずにキャリアを終えてしまうこと」への強い憤りがあります。ですが、状況を確実に変えるためには、まずは経営者として一刻も早く組織設計に手を入れなければならない。そのために、もっとも実効性の高い手段を選んだと捉えています。</p><p><b>――今回はデザイン部門で働いていらっしゃった原田さんにも同席いただいています。部署が独立する前、デザイナーの仕事はどういう状況だったんですか？<br></b></p><p><b>原田さん</b></p><p>各営業所で完全に孤立していました。他の拠点のデザイナーがどのような仕事をしているかも知らず、協力し合う発想もあまりない。「個」として仕事をこなしている状態でした。</p><p><b> 橋本さん</b></p><p>各営業所にデザイナーが2人ずつ所属し、営業所長の方針のもと、営業担当者から渡されたパッケージのデザインを指示どおりに制作するのが主な役割でした。当時は営業所を超えた横のつながりもなく、依頼された仕事に対してプロフェッショナルとしてベストを尽くすことが重要でした。</p><p>そうした環境では個人の資質と関係なく、アイデアを出しあったり生産性向上を提案するような主体性は生まれようがなかったのだと思います。経営としては、組織を独立させることで、現場からそうした提案が生まれることも期待していました。</p><p><strong>吉村の実践に学ぶ「壊れたはしご」を直すポイント（2）</strong></p><p>採用率の向上や業務標準化といった「事業の利益」に直結する組織設計として定義し、経営戦略として納得感のある説明をつくしたうえで、トップダウンで進める。</p><h2>「絶対無理」を「やってみる」へ。失敗の責任を引き受ける覚悟</h2><p><b>――その後、各営業所のデザイナーを束ねるクリエイティブデザイン部を設立、リーダーを原田さんに打診されたそうですね。どういう状況でしたか？</b></p><p><b> 橋本さん</b></p><p>原田さんは、当時から職人気質の腕の確かな実力者でした。マネジメントには興味がないだろうとは思っていましたが、私のなかでは彼女しかいないと決めていたんです。</p><p>同時に「引き受けるくらいなら会社を辞めると言われるかもしれない」という恐れもありました。打診したのは飛行場の近くの営業所だったのですが、あまりに必死で、外を飛ぶ飛行機の音を今でも鮮明に覚えているくらいです。もし彼女が会社を辞めると言ったら、この組織改革そのものを諦めよう。そんな切り札を持ちながら必死で目指す組織像を説明しました。</p><p><b>原田さん</b></p><p>私もよく覚えています（笑）。最初は即座に「絶対無理です」とお伝えしました。</p><p><b>――そこまで強く拒否された理由はなんだったのでしょうか？</b></p><p><b> 原田さん</b></p><p>当時は各拠点で孤立して仕事をしていたので、デザイナー間に信頼関係がまったくありませんでした。そのうえ一人ひとり感性が鋭く、個性も豊かです。「こんな人たちをまとめるなんて絶対無理。私が病んでしまいます、それでもいいんですか？」という心境でした。</p><p><b>――最終的に引き受けられた決め手は何だったのですか。</b></p><p><b>原田さん</b></p><p>橋本の<strong>「とりあえずやってみて、ダメだったらそのとき考えよう」という言葉を信じてみようと思いました。</strong>「どうしてもダメだと言ったら、なんとかしてくださいよ」という思いで引き受けたのが本音です。</p><p><b>橋本さん</b></p><p>私自身、何が起こるか全然わかっていませんでした。具体的な施策案を完璧にもっていたわけではない。ただ「今よりは絶対に良くなる可能性がある」という期待がありました。そこから一緒に走り出していった感覚ですね。</p><p><strong>吉村の実践に学ぶ「壊れたはしご」を直すポイント（3）</strong></p><p>経験が質を高めるため、本人の自信や準備が整うのを待たずにチャンスを渡す。「ダメなら一緒に考える」という心理的安全性を築く。</p><h2>新任リーダー・原田さんが取り組んだ理念づくりと「得意不得意」</h2><p><b>――リーダーになって、最初に取り組んだことは何でしたか？</b></p><p><b> 原田さん</b></p><p>クリエイティブデザイン部の「部署理念」を策定しました。会社全体の経営理念はあるのですが、自分たちの仕事とどう結びつくのかイメージしづらく、判断基準としてあまり機能していなかったからです。</p><p>また、当時は各拠点で孤立して仕事をしていたので、他のメンバーがどんな業務をどんな思いでやっているのか互いに知らない状態でした。まずは「自分たちが提供すべき成果は何なのか」を言語化し、互いの理解を深める場所が必要だと思ったんです。</p><p>私がまずたたき台を用意して全員から意見を募りました。何度も言葉を磨き、時には日頃の業務を離れて議論できる土曜日に集まることもありました。</p><p><b>――理念で「出すべき価値」を揃えた後、どのような取り組みを進めましたか？<br></b></p><p><b>原田さん</b></p><p>メンバー全員との個別面談です。1人あたり3時間ほどかけました。当時はお互いの業務内容がみえていなかったですし、目標設定が本人の成長にどう接続するのか、すり合わせが皆無に近かったんです。「成果を出すための目標」を明確にし、一人ひとりの業務への理解を深める。この地道な対話が主体性の土台になると考え、向き合いました。</p><p>私自身もリーダーとしての知識や経験がまったくなかったので、管理職に関わる社外の研修を片っ端から受講し、とにかく「対話」の経験値を積むことに集中しました。</p><p><b>――理念づくりや面談を通じた「目標設定」のあとに、具体的に取り組んだ施策はありますか？<br></b></p><p><b>原田さん</b></p><p>&nbsp;理念を掲げ、一人ひとりと時間をかけて面談しましたが、実際にそれをどう日々の業務で体現していくかという点では、まだ試行錯誤の状態でした。</p><p>とくに研修や対話を重ねるなかで、自分たちが掲げた理念のなかに「チームで感動を生み出す」とあるのに「結局、各メンバーが必死に抱え込んでいる」現実とのギャップに直面したんです。</p><p>そのギャップを埋め、みんなで協力して成果を出すための具体的な仕組みとして導入したのが、「得意不得意表」の共有です。デザイナーはそれぞれ専門性も得意分野もまったく異なります。そこで、各自が得意なことに「◯」、苦手なことに「×」をつけてデザイン会議で共有し合うという、シンプルな仕組みをつくりました。</p><p><b>――その施策を動かしてみた結果、どのような変化を感じましたか？<br></b></p><p><b> 原田さん</b></p><p>誰に何を頼めばいいかが一目でわかるようになり、自然と協力し合う体制ができました。以前は一人で案件を抱え込んでしまうメンバーもいましたが、今はチームで役割分担をして、効率的に質を高められるようになりました。</p><p>何より私自身の変化が大きかったです。<mark><strong>リーダーとして一人で完璧にこなす必要はないんだ。得意な人に得意なものを頼めばいいんだと、仕組みを通じて心から思えるようになりました。</strong></mark>チームを信じて任せられるようになったことで、心理的安全性が高まり、重圧からも解放されました。</p><p><b>橋本さん</b></p><p>何かにぶち当たってから「実はこれ苦手なんです」と出てくるよりも、最初からわかっている方がずっといいですよね。デザイナーさんたちのように感性が豊かで、一筋縄ではいかない人たちが集まっていても、この仕組みがあればお互いに協力し合える。</p><p>それぞれの専門性を組み合わせて大きな成果を出すための仕組みだと思っています。今年の経営計画書（※）には、全社員がこの「得意不得意」を書く欄を設けることにしたくらいです。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/kKlDY2XSWZzsnQh3hcnGj/b64f52a038a9a75813a58bab113f9db0/image4.jpg" alt="※株式会社吉村が配布する資料の写真" /><figcaption><p>※株式会社吉村が配布する資料。経営理念・個人目標・1年分の社内カレンダー等が載った経営計画書。全社員1人1冊持っているそう</p></figcaption></figure><p><strong>吉村の実践に学ぶ「壊れたはしご」を直すポイント（4）</strong></p><p>「得意不得意」を可視化し、一人で抱え込まずにチームの専門性を組み合わせる仕組みをつくる。これがリーダー自身の負担軽減と自信にもつながる。</p><h2>当番制と匿名意見。「忖度の生まれない会議」をどう設計したか</h2><p><b>――組織構造を変えるだけでなく、意思決定の場そのものにも踏み込んだ工夫をされているそうですね。</b></p><p><b> 橋本さん</b></p><p>はい、経営会議が男性中心のままでは、いくら女性を登用しても意思決定の場で壁を感じてしまうだろうと思い、会議体設計を根本から見直しました。&nbsp;</p><p>まず、もともと24人いた経営会議の必須参加者を二人一組の当番制の参加にして、残った12人の枠に、今まで意思決定の場に参画してこなかった若手や女性社員が、こちらも二人一組での当番で出席する仕組みにしました。</p><p>会議では忖度をせず意見を言いやすい形式にもこだわりました。議題によっては4、5人以下のグループに分ける、あるいはスプレッドシートに匿名で意見を書き込む形式をとります。誰が言ったかではなく「何が言われているか」に集中してほしいからです。</p><p><b>――参加した方の反応や変化はいかがですか？</b></p><p><b>橋本さん</b></p><p>新規参加者には冒頭と最後に20秒で今の気持ちを共有してもらうんです。そうすると最初は声が震えていて、やっぱりぎこちなくなるんです。でも皆、会議を終える頃には笑顔が出てくるし、「面白かった」と言ってくる。だからこそ、やっぱり経験させることが大事だと思っています。</p><p><b>――原田さんは初めて経営会議に参加された際、どのような感覚でしたか？</b></p><p><b>原田さん</b></p><p>最初はもう、緊張しすぎて下書きがないと一言も喋れないほどピリピリしていました。でも、自分の意見が実際の決定事項に少しでも反映されているのを見ると、「自分の発言が会社の動きにつながっているんだ」という手応えを感じられたんです。こうした経験の積み重ねが、少しずつ「面白さ」に変わっていきました。</p><p><strong>吉村の実践に学ぶ「壊れたはしご」を直すポイント（5）</strong></p><p>匿名ツールや発言時間の設計など、職位や属性による「忖度」が生まれない会議の仕組みを導入し、意思決定の経験を積ませる。</p><h2>「大丈夫になったらやろう」で、壊れたはしごは直らない</h2><p><b>――最後に、橋本さんは企業の経営層や人事・労務担当者の方々に向けて、原田さんは管理職になることをためらっている当事者の女性に向けて、言葉をいただけますか。</b></p><p><b>橋本さん</b></p><p>「経験の量が質を高める」。これが私の信念です。「準備が整ったら」「大丈夫になったら」と考えていたら、いつまでも始まりません。<strong>まずはその環境に身を置き、ドロンコになりながら経験を積むことが、結果としてその人の質を一番高めてくれるはず</strong>です。</p><p><b>原田さん</b></p><p>&nbsp;管理職になることを迷っている方に伝えるとしたら、大変なことは確かに多いです。でも、意外にやってみたらできることもあるかもしれない、と。経験する前に「無理だ」とあきらめてしまうのは、もったいないと思うんです。</p><p><strong>あと一人で頑張らなくていい、ということも伝えたいです。</strong>私自身の経験でいうと、否定せずに話を聞いてくれる人が一人いるだけで、つらいときも気持ちを整理できるし、ひらめきも生まれるんですよね。橋本がそういう存在でいてくれたことが、本当に大きかったと思っています。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/59uQx83Gi4L3ZjUCnOPI5Q/7b5a187efe44115342ca52662f6c4f40/image3.jpg" alt="null" /></figure><h3>編集後記</h3><p>サポート役に固定されがちな部署を独立させ、配置の力関係を組み替える。理念や得意不得意の可視化で、抱え込まなくて済む仕組みをつくる。意思決定の場には属性や役職の重みが効きにくい設計を入れる──。お話をお伺いして、吉村では複数の観点から構造に介入をして、壊れたはしごに手を入れている様子が伺えました。</p><p>もう一つ強く印象に残ったのが「ダメだったら一緒に考えよう」と伝える橋本さんの姿勢です。原田さんに「無理です」と即答されたとき、橋本さんは過度に配慮するのではなく、本人への期待と何があっても支える姿勢を示しました。<strong>構造に手を入れることと個人の不安や失敗を許容すること。この両輪で、はしごは登れるものに変わっていったのだと思います。</strong></p><p>もちろん管理職以外の道も尊重されるべきものです。ただ、登用を考える場面で「壊れているのは、はしごのどこか」と「不安に寄り添い伴走する人や仕組みは社内にあるか」。この二つを点検してみると、組織として必要な取り組みがより鮮明にみえてくるかもしれません</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/work/well-working/female-broken-rung/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/34jWbrKNzmQcjXbBqGey3O/318c805fdd9b45f3719c90423124f4c6/thumbnail2_0424.jpg" alt="" /><p><b>女性管理職育成を阻む「壊れたはしご」の正体と経営に問われる覚悟</b></p><p><time dateTime="2026-05-13">2026.05.13</time></p></a></div></div></figure>]]></content:encoded>
      </item>
    
      <item>
        <title><![CDATA[子育てペナルティの放置が、組織を静かに衰退させる。経営課題として人事が引く4つのレバー ]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/work/well-working/kosodate-penarutexi-02/</link>
        <pubDate>Tue, 26 May 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[働き方]]></category>
        <category><![CDATA[well-working]]></category>
        <guid isPermaLink="true">https://mag.smarthr.jp/work/well-working/kosodate-penarutexi-02/</guid>
        <dc:creator><![CDATA[長島 啓喜]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[育児と仕事の両立を支える制度整備は進んでいます。それでも出産を経た女性のキャリアや賃金は、出産前の軌道に戻りにくい現実があります。前編では、「子育てペナルティ」の背景にある「家庭」「職場」「社会制度」の構造的な課題について探りました。後編では、この構造に対して企業や人事担当者がどう向き合うかを考えます。山口慎太郎・東京大学大学院経済学研究科教授の知見をお借りし、評価や昇進の見直し、人事の役割など、組織として取り組むべきポイントを考えていきます。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/3vuM1ZdAm3YK5QC6lENcBd/b9c80500b0986a77f8a9031f4219dcd5/kosodate_penalty_2_0519__1_.jpg" alt=""></div><p>育児と仕事の両立を支える制度整備は進んでいます。それでも出産を経た女性のキャリアや賃金は、出産前の軌道に戻りにくい現実があります。前編では、「子育てペナルティ」の背景にある「家庭」「職場」「社会制度」の構造的な課題について探りました。後編では、この構造に対して企業や人事担当者がどう向き合うかを考えます。山口慎太郎・東京大学大学院経済学研究科教授の知見をお借りし、評価や昇進の見直し、人事の役割など、組織として取り組むべきポイントを考えていきます。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/work/well-working/kosodate-penarutexi-01/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2AiUc3GOTYM3mHNvtFlwTN/39ba44dc503d36a94719f2daff983b56/kosodate-penalty-1.jpg" alt="" /><p><b>賃金46%減を生む"子育てペナルティ"。女性の育児とキャリアの両立を阻む構造的課題</b></p><p><time dateTime="2026-05-25">2026.05.25</time></p></a></div></div></figure><div><div><p><b>山口慎太郎（やまぐち・しんたろう）</b></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6JOKNLbZB37I9PmH6peNgH/05bbd3acb2723b6b366672a2439e2132/%E5%90%8D%E7%A7%B0_%E6%9C%AA_%E8%A8%AD%E5%AE%9A_-_2026%E5%B9%B45%E6%9C%8821%E6%97%A5_17.11.30.png" alt="" /></figure><p>東京大学大学院経済学研究科教授</p><p>1999年慶應義塾大学商学部卒業、2001年同大学大学院商学研究科修士課程修了。2006年、米ウィスコンシン大学にて経済学博士号（Ph.D.）取得。カナダ・マクマスター大学准教授などを経て、2017年より現職。専門は、結婚・出産・子育てを経済学的に分析する「家族の経済学」と、労働市場を扱う「労働経済学」。著書に『「家族の幸せ」の経済学——データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実』（光文社新書）など。</p></div></div><h2>企業が「子育てペナルティ」の問題に踏み込みづらい理由</h2><p>前編では、出産・育児を機に女性の賃金やキャリアに不利が生じる「子育てペナルティ」の実態とその背景にある構造的な課題を、論文や統計データなどをもとに整理しました。そして、家庭内での性別分業の規範や、職場における評価・昇進の慣行などが複合的に影響していることがみえてきました。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2VbF5IsnDcMCJZFOsnDONU/0dddfd629c4cbd170e61a3d715238060/%E6%B7%B1%E5%8C%96%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%89.004.png" alt="子育てペナルティを生む3つの構造的要因" /></figure><p>では、こうした構造的な課題に対して、企業や人事はどのように向き合えばよいのでしょうか。</p><p><b>――子育てペナルティは、企業や人事にとって踏み込みづらい課題ではないかと感じています。そこにはどのような背景があるとお考えですか。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>たしかに、踏み込みづらい課題だと思います。その理由はいくつか考えられます。</p><p>まず、<strong>課題に取り組むインセンティブが強くない点</strong>が挙げられます。とくに<strong>経営層は、現在の仕組みのなかでキャリアを築いてきた世代です。</strong><mark><strong>自らが歩んできた前提を問い直すことは容易ではありません。</strong></mark></p><p>また、<strong>取り組みの成果が出るまでに時間がかかる点</strong>も影響しています。施策の効果が現れるまでに数年単位を要するケースが多く、その間に担当者や意思決定者の立場が変わることもあるため、継続的な取り組みとして位置づけにくくなります。</p><p>評価や昇進の仕組みを見直すとなると、経営の根幹に関わるため、組織内での合意形成のハードルも高くなりがちです。</p><p>そして何よりも、<strong>問題そのものが見えにくい点も大きな要因</strong>です。私たちが研究対象とした企業は、両立支援制度を早い段階から整備し、母親が働きやすい環境づくりに取り組んできていました。それでも詳細にデータを分析するまでは、自社で生じている子育てペナルティを十分に把握できていませんでした。個別の現象としては感覚的に認識されていたとしても、構造的な問題としては共有されていなかったのでしょう。</p><h3>見えにくいまま放置される経営リスク</h3><p><b>――企業や人事が子育てペナルティに踏み込めない状態が続くと、どのような経営リスクが生じるのでしょうか。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>すぐに大きな変化が現れるわけではありませんが、中長期的には無視できないリスクが生じると思います。</p><p>まず、<strong>管理職候補層が薄くなっていく</strong>ことです。女性の優秀な人材が昇進の過程で離脱したり十分に育たなかったりすると、意思決定層が同質化します。同質性が高まると多様な視点が失われ、問題の見落としやコンプライアンス上のリスクにもつながりかねません。</p><p>また、採用への影響も考えられます。<strong>女性管理職比率の開示が進むなかで、女性が活躍していない企業は優秀な人材から選ばれにくくなります。</strong></p><p><b>――意思決定層が同質化すると、イノベーションが生まれる機会も減っていくのでしょうか。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>そのとおりです。イノベーションは異なる経験や知識、価値観の交差から生まれます。<strong>意思決定層が同質化すると、議論に持ち込まれる視点が限られ、新しい発想が生まれにくくなります。判断そのものも偏りやすく、顧客や現場の実態を捉え損なうことにつながります。</strong></p><p>たとえば、女性が主な顧客である事業において、意思決定層に女性がいなければ、顧客の潜在ニーズまでを捉えることが難しく、適切な判断を下しにくくなります。</p><p>もちろん、単純に性別の数をそろえればよいという話ではありませんが、多様性を確保するうえで、<strong>性別比率は大切な指標の一つです</strong>。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7azuPa799wNi0lOhpLfE4e/ee9463a99d17ab8658d705bc08668b9e/%E6%B7%B1%E5%8C%96%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%89.002.png" alt="子育てペナルティの放置により発生するリスク" /></figure><p><b>――バランスを取るうえでの目安はありますか。<br></b></p><p><b>山口教授</b></p><p>一律の数値を示すことは難しいですが、各階層やチームごとの男女比を確認することが出発点になります。一般的に、組織内における少数派比率が3割を下回ると発言しにくくなる傾向があります。そのため、<mark><strong>組織のさまざまな階層で3分の1程度は女性比率を確保するのが目安</strong></mark>でしょう。</p><h3>家庭と企業の接点をどうつくるか？</h3><p><b>――前編では、性別分業に関する規範意識が子育てペナルティの一因になると整理しました。一方で、家庭内の分担は私的な領域であり、企業や人事が踏み込むべきではないという意見もあります。この点について企業が関与できる余地はあるのでしょうか。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>プライバシーを尊重し、家庭のあり方に過度に口出しすべきではないという考え方はもっともです。とはいえ、<strong>企業が動くことで変えられる余地もあります。</strong></p><p>とくに出産を経た女性が継続的にキャリアを築くうえでは、配偶者の協力が不可欠です。<mark><strong>実際に女性活躍が進んでいる企業では、本人の意欲を引き出すだけでなく、配偶者も含めてキャリア形成を支える取り組みが重視されています。</strong></mark></p><p><b>――具体的にはどのような取り組みでしょうか。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>たとえば、保育園の送り迎えや日常的なケアの分担について、夫側の関与を促す取り組みです。</p><p>ある企業では、子供が生まれる前の段階で「両親学級」のような機会を設けています。女性従業員だけでなく、配偶者である男性にも参加を呼びかけ、育児や家事の分担について早い段階から話し合ってもらう狙いです。</p><p>こうした取り組みは家庭内の役割分担を整え、出産後の就業継続・キャリア形成を支えます。結果として、長期的な人材活用にもつながります。</p><h2>「キャリアの早回し」や評価の見直しがカギ</h2><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/17S60rK115cKVYWTEhmf97/8b7804b7e6c4032aab2a54a343374993/image3.jpg" alt="null" /></figure><p><b>――家庭内での性別分業規範だけでなく、職場の評価や昇進の慣行にも課題があると前編で指摘がありました。人事としてどのような働きかけができるでしょうか。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>実態として、能力があっても評価や昇進に反映されていない人材が一定数いると感じています。前編でもお話ししたとおり、労働時間・評価・昇進は連動しやすい構造があり、労働時間に制約が生じると評価が伸びにくく、それが昇進の遅れとして蓄積されていきます。とくに出産を経た社員は、能力があっても労働時間の制約が評価や昇進のネックとなりやすい現実があります。</p><p>本来、プレイヤーとしての優秀さとマネージャーに求められる能力は異なるものです。しかし現実には、労働時間などが評価に影響し、適切に人材が引き上げられていない状況が起きています。</p><p>これを踏まえると、<strong>誰をどのように評価し登用していくのか。人事がより積極的に関与していく必要がある</strong>と考えられます。そのうえで、人事や経営層としては<strong>労働時間と評価を切り離すことが重要</strong>です。長く働けることが評価につながる構造を見直し、成果や役割にもとづく評価基準を明確にしていく必要があります。</p><p><b>――評価のほかに機会配分も重要な要素だと感じます。仕事のアサイン面で人事ができることはあるのでしょうか。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>そうですね、機会配分は人事が踏み込める重要な領域の一つです。<strong>ポイントは、キャリアの早い段階でどのような経験を積んでもらうか</strong>です。女性の場合はライフイベントの影響を受けやすいため、出産や育児の前の段階でやりがいのある仕事やチャレンジングな役割を経験できる仕組みや機会が大切です。</p><p><mark><strong>その一つが「キャリアの早回し」です。</strong></mark>将来の幹部候補に対して、早い段階から責任ある業務や重要な役割を任せていく。営業であれば重要度の高い顧客を担当させるなど、成長につながる経験を意図的に割り当てていくイメージです。</p><p>こうした経験を通じて、仕事の手応えや成長実感が生まれ、「子供を育てながらも働き続けたい」という意識にもつながっていきます。</p><p><b>――評価、機会配分のほかに、人事が動かせる領域はありますか。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p><strong>社内制度の見直し、とくに配偶者手当は検討の余地が</strong>あります。多くの企業では制度上、男女を区別していません。しかし実態としては、男性社員が受給している傾向があります。<strong>結果として、出産後の女性の就労調整を後押しし、家庭内の収入差を広げる一因にもなっているのです。</strong></p><p>こうした状況からみると、配偶者手当のあり方を見直すことは、比較的着手しやすく、効果も見込みやすい施策の一つだと考えています。</p><h2>人事に求められる役割の再定義</h2><p><b>――企業や人事は子育てペナルティを長期的に緩和していくために、自らの役割をどのように捉え直す必要があるでしょうか。<br></b></p><p><b>山口教授</b></p><p><strong>多くの企業が両立支援制度を整備し、ルール通りに運用するところで止まってしまっています。しかし、制度はあくまで手段であって目的ではないので、制度の効果を検証する視点が欠かせない</strong>と思います。</p><p>男性の育児休業はわかりやすい例です。制度として整備されていても、「存在しているだけ」になっていないか。実際に取得しやすい環境になっているか、取得を通じて社員のエンゲージメントや企業への信頼が高まっているか、といった点まで確認することが重要です。</p><p><b>――両立支援制度が実際に使われているかどうかは、見えにくい部分もありそうです。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>だからこそ、<strong>制度の運用実態を可視化していくことが大切です。</strong><mark><strong>自社で整備した制度がどの程度利用され、意図したかたちで機能しているのか。まずはデータで実態を把握すべきです。</strong></mark></p><p>そのうえで、想定通りに活用されていない場合は何が障壁になっているのかを特定し、運用を見直していきます。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/1qfOOnHUysRWdnbHvFzL77/e1335f66b46751fa59c478a2775a2a78/image5.jpg" alt="null" /></figure><p><b>――具体的にどのようなデータを見ていくとよいでしょうか。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>新たに大がかりな調査を行う必要はありません。多くの企業はすでに人事データを保有しているので、まずは手元のデータを活用するのが出発点です。</p><p>今回のテーマに即すると、たとえば賃金や評価、昇進といった指標を男女別に分けて把握するとよいと思います。どの段階で差が生じているのかを可視化すれば、課題の所在が特定できます。</p><p><strong>一方で、データ自体はあっても十分に分析されていないケースも見受けられます。</strong>その背景には、データを扱える人材が限られているという事情もあります。ただ最近では、HRテックの活用により、基本的な分析は比較的容易に行えるようになっています。そうした仕組みを取り入れたり、必要に応じて専門人材を確保したりするのも有効です。</p><h2>人事・現場・経営三者連携の出発点はデータ共有</h2><p><b>――人事・現場・経営の三者が連携して子育てペナルティに向き合うためには、どこから始めるのがよいでしょうか。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>制度の運用状況に加えて、<strong>キャリア全体の実態を人事・現場・経営の三者で共通把握すること</strong>です。</p><p>その際にも重要になるのがデータです。出産の前後5年、10年の賃金や昇進の男女差、同期入社の男女のキャリアの進み方の違いなど、基本的な比較でも構いません。それだけでも自社の状況はかなり明らかになります。</p><p>また、労働時間と評価の結びつきも確認するとよいでしょう。想像以上に「長く働くこと」が評価に直結しているケースも多くみられます。</p><p><b>――評価については、制度を設計する経営層と、実際に現場で行われている評価との間にズレが生じているケースがあると前編でお話がありました。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>どうしても現場では、長く働ける人が目の前の課題を解決してくれるため、重宝されやすいのは自然なことです。繰り返しになりますが、それをそのまま昇進の基準にするのは適切ではありません。</p><p><mark><strong>報酬として評価することと、昇進させることは切り分けて考える必要があります。</strong></mark>この整理ができていないと、長時間働ける人ばかりが昇進しやすくなってしまいます。</p><p><b>――こうした課題意識は、経営層には必ずしも共有されていないようにも感じます。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>そこは意識的に揃えるべきです。経営層は既存の仕組みでキャリアを築いてきた世代でもあり、「これまでうまくいっていた」という感覚から、何が問題なのかを捉えにくい面があります。</p><p>しかし、労働力不足が進むなかで人材獲得競争は一段と激しくなっています。出産後のキャリアや賃金の差を放置したままでは、10年後、20年後、<strong>人材のパイプラインが先細るおそれがあります。</strong></p><p><strong>子育てや働き方に起因する課題への対応は、人材育成や採用競争力に直結する投資</strong>です。<mark><strong>人事はデータや現場の実態を最も把握できる立場にあります。自社の実態を経営戦略にどう接続するかが、これからの人事に問われるテーマです。</strong></mark></p><p><b>――経営層の理解は不可欠ということですね。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>はい。最終的に組織を動かすのは経営層です。<strong>問題が表面化していない企業ほど危機感をもちにくい傾向がありますが、女性人材が十分に活躍できていない状態は、長期的には人材プールの縮小につながります。</strong></p><p><mark><strong>こうしたリスクを具体的に示し、経営課題として共有することが、人事の大切な役割だと思います。</strong></mark></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/4VzuW4F62Rwik5U0Oj7IIQ/10cab5c167d33eb1a9a37535f856feea/image6.png" alt="子育てペナルティに対して人事が引ける4つのレバー" /></figure><h2>子育てペナルティは公平性だけでなく、生産性の問題でもある</h2><p><b>――最後に、人事担当者や経営層に向けて、「子育てペナルティ」という切り口からみえてくる働き方や組織のあり方についてメッセージをお願いします。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>多くの企業が働きやすさの向上に取り組んでいます。しかし、従来の評価や昇進の仕組みが、結果として働く時間に制約のある人材を不利にしているケースも少なくありません。</p><p>これは<strong>公平性の問題にとどまらず、企業の生産性に関わる問題</strong>でもあります。本来であれば活躍できる人材が、十分に力を発揮できていない可能性があるからです。</p><p>今後は育児に加えて介護の問題も広がり、<strong>時間に制約のある人材はより一般的な存在に</strong>なっていきます。そうしたなかで企業には、一人ひとりの制約を前提に、それぞれの力を十分に引き出す仕組みづくりが求められているのです。</p><p>（取材・文／POWER NEWS編集部、写真／横関一浩）</p><h3>編集後記</h3><p>取材を通じて強く印象に残ったのは、山口教授が繰り返された「合理的な判断」という言葉でした。家庭が世帯所得の最大化を考えるのも、現場が即応性の高い人材を重宝するのも、経営が既存の仕組みを維持しようとするのも、<strong>それぞれの立場からみれば自然な選択に映ります</strong>。しかし、それらが重なり合うと、出産を経た女性のキャリアや賃金は、出産前の軌道に戻りにくくなっていく。個々の合理が積み重なって構造を形づくる。その仕組みに、あらためて気づかされました。</p><p>制度整備を重ねてきた企業ほど「やるべきことはやってきた」という感覚をもちやすいかもしれません。ただ、その感覚の裏側で、日々の評価や昇進、仕事の配分を通じて、小さな差が静かに積み重なっていきます。男女間賃金差異や女性管理職比率の開示が広がるなかで、日々の評価や配属に向き合い続ける人事・労務担当者の方々にとって、「構造の問題」はどこか抽象的に感じられるかもしれません。</p><p>それでも、「やってきた」と感じる企業ほど、構造を見つめ直すことで得られる気づきは多いはずです。見つめ直すといっても、大がかりなことではありません。人事データを男女別に並べ直してみる、配偶者手当の運用を一度見直してみる。そうした小さな検証こそが、構造を揺さぶる確かな入口になるはずです。「制度はあくまで手段であって目的ではない」。山口教授はそう語ってくれました。</p><p>SmartHR Mag.では、これからも制度整備の先にある課題に目を向けていきたいと思っています。数字の前進の裏側で、誰がどんな合理のもとで何を選んでいるのか。そうした問いは、人事・労務に携わる方々と一緒に考えていきたいテーマです。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/work/well-working/ikukyu-shinagawa-1/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/5n5CtzGqAtZJNOgIYh7o58/307ebd14e561fc6d17b029bc69576f9e/danseiikukyu_1_0326.jpg" alt="" /><p><b>男性育休取得率40％の実態。“長く取りづらい”の起源は明治時代？</b></p><p><time dateTime="2026-03-31">2026.03.31</time></p></a></div></div></figure>]]></content:encoded>
      </item>
    
      <item>
        <title><![CDATA[本当の多様性とは？組織を壊す「空気の支配」と集団浅慮の正体]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/guide/information/groupthink_smart-sou/</link>
        <pubDate>Tue, 26 May 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[ケーススタディ]]></category>
        <category><![CDATA[イベントレポート]]></category>
        <guid isPermaLink="true">https://mag.smarthr.jp/guide/information/groupthink_smart-sou/</guid>
        <dc:creator><![CDATA[尾倉 直弥]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[株式会社ユナイテッドアローズ CHROの山崎万里子さんと、『嫌われる勇気』や『集団浅慮』著者の古賀史健さんをお招きし、「組織の多様性」をテーマに語り合いました。 集団浅慮とは、結束力の強い組織の同調圧力により、不合理な結論に至る現象を指します。なぜ優秀な組織ほど集団浅慮に陥るのか、本質的な多様性とは何なのか。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/3cfk744qukAQCS4aklLo0G/1825d8b3d9e946a9485643e2caba05ad/2605_%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__png.png" alt=""></div><p>2026年3月10日、SmartHRのグループ会社<a href="https://smart-sou.co.jp/" target="_blank">「Smart相談室」</a>が人事向けコミュニティイベント<a target="_blank" href="https://smart-sou-night-vol3.peatix.com/view">『スマソウナイトvol.3』</a>を開催。</p><p>株式会社ユナイテッドアローズ CHROの山崎万里子さんと、<a target="_blank" href="https://www.diamond.co.jp/book/9784478025819.html">『嫌われる勇気』</a>や<a href="https://www.diamond.co.jp/book/9784478123683.html" target="_blank">『集団浅慮』</a>著者の古賀史健さんをお招きし、「組織の多様性」をテーマに語り合いました。</p><p>集団浅慮とは、結束力の強い組織の同調圧力により、不合理な結論に至る現象を指します。なぜ優秀な組織ほど集団浅慮に陥るのか、本質的な多様性とは何なのか。当日のセッションの様子をお届けします。</p><ul><li><p><b>山崎 万里子　氏</b></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/3I5yDs6GEADaep1NozdWxc/49e0896cd2e6998b5ed0318701697359/image4.jpg" alt="" /></figure><p>株式会社ユナイテッドアローズ CHRO</p><p>1973年福岡生まれ。学習院大学在学中、ユナイテッドアローズで生まれて初めてのアルバイトを経験し、1996年に新卒2期生として入社。20代は販売促進やブランディングなど営業戦略を担当し、30代以降はコーポレート戦略、管理職へとキャリアチェンジ。広報宣伝部長、経営企画部長を経て、2024年より執行役員CHRO・人事本部長を務める。座右の銘は「鬼手仏心」「蝶の如く舞い、蜂の如く刺す」。</p></li><li><p><b>古賀 史健　氏</b></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/42FmQlh1Arh9FiY5YKfJTh/d6b11e454d47431abd6a6bc0b273e832/image6.jpg" alt="" /></figure><p>株式会社バトンズ代表取締役／ライター</p><p>株式会社バトンズ代表、ライター。1973年福岡県生まれ。九州産業大学芸術学部卒。1998年、出版社勤務を経てライターとして独立。主な著書に『集団浅慮』、『さみしい夜にはペンを持て』（第73回小学館児童出版文化賞最終候補）、『さみしい夜のページをめくれ』、『取材・執筆・推敲』のほか、世界40以上の国と地域で翻訳された『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』（岸見一郎共著）シリーズや、糸井重里氏の半生を綴った『古賀史健がまとめた糸井重里のこと。』（糸井重里共著）などがあり、編著書累計は2,200万部を数える。2015年にライターズ・カンパニーとして株式会社バトンズを設立。</p></li></ul><h2>多様性とは、視点の違いを表明できること</h2><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2wulG9tTK5gKVLOCFbjSxQ/6318e6bb4f7a2860caa460efc99f22ea/image5.jpg" alt="左から山崎さんと古賀さん。SmartHRのロゴがあしらわれた壁の前で対談している。2人の間には机があり、水のペットボトルとノートパソコン一台が置いてある" /></figure><p><b>――まず、お二人の考える「多様性」を教えてください。</b></p><p><b>山崎さん</b></p><p>私の考える多様性とは、「いろんな人がいること」ではなく、<mark><strong>「意思決定の視点が一つではないこと」</strong></mark>です。</p><p>たとえば、AI導入を議題にした経営会議があったとします。IT部門は既存システムへの影響、財務部門はコスト、法務部門は情報漏洩などが気になるでしょう。人事部門であれば、AIによって仕事を失う人が出てくることを心配します。</p><p>それぞれが違う懸念を抱くなかで、<strong>全員が自分の視点を発言できる。</strong>それが、多様性のある組織だと思います。</p><p>しかし実際には、心のなかで「反対」と思っていても、なかなか口に出せないのが現実ではないでしょうか。そして沈黙が賛成とみなされ、<strong>一人の強い視点で重大な意思決定が進んでしまう。</strong>これが、同質性のもたらすリスクであり、集団浅慮の入り口だと考えています。</p><p><b>古賀さん</b></p><p>山崎さんがおっしゃるとおりで、多様性の本質は「視点の違いを表明できること」にあると思います。そもそも多様性の概念は、1950年代のアメリカの公民権運動が起源です。</p><p>キング牧師によるワシントン大行進が有名ですが、公民権運動が成し遂げたのは黒人差別の撤廃だけではありません。公民権法の成立により、人種・肌の色・宗教・性別・出身国にもとづくあらゆる差別が、公的に禁止されました。</p><p>この公民権運動も、日本で多様性の文脈として語られる「女性の社会参画」も、<strong>「現実が先にある」</strong>点で共通しています。社会に多様な属性の人々がいるという「現実」が先にあり、それに合わせて制度を変えていく努力こそが、「多様性」といえるでしょう。</p><p>多様性が足りない組織は、この<strong>「現実」を直視する目が不足している</strong>のだと思います。過去の成功体験にとらわれたまま単眼的な視点で組織をつくり続ければ、多様性はさらに失われていくのです。</p><h2>「空気の支配」は悪意ではなく、善意から生まれる<br></h2><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6Tv0i1ncvX3M0Nc3WxAe58/0085c710252bfcd9f9b4c64f03bc8fc4/image8.jpg" alt="SmartHRのロゴがあしらわれた壁の前で話す山崎さん。マイクを片手に椅子に座っている" /></figure><p><b>――同質性の高い組織では、何が起きているのでしょうか？<br></b></p><p><b>山崎さん</b></p><p>私は15年前、37歳でユナイテッドアローズの執行役員になりました。女性初で、最年少でした。しかし、初めて役員会議に出席したあと、皆さんは歓迎してくださったのに、<strong>私はとても居心地の悪さを感じた</strong>のです。</p><p>当時は「女性が一人だから」「年齢が下だから」と属性の問題だと解釈して、その気持ちに蓋をしました。それから15年後、古賀さんの著書『集団浅慮』を読んで、<strong>その正体が「同質性の高い組織がもたらす空気の支配」</strong>だったのだと腑に落ちました。</p><p>「空気の支配」はどのように生まれるのか。役員会議に集うのは、成果を出し続け、組織への高いコミットメントも示してきた、いわばスーパーマンのような人たちばかりです。</p><p>彼らが後進を育てようとすると、自分と似た経験や価値観をもつ人を選びがちです。その結果、全員が同じ方向を向き、同じタイミングでうなずくような<strong>トーン＆マナーの極めて整った組織</strong>ができあがるのではないでしょうか。</p><p>集団浅慮や同調圧力は、「悪い人」が引き起こすものではありません。私がいた会議の参加者は、<strong>みな驚くほど「いい人」</strong>でした。組織をよくしようと奮闘する誠実な人たちが、<mark><strong>善意のバトンをつなぎ続けた結果として生まれるのが「空気の支配」</strong></mark>です。</p><p><b>古賀さん</b></p><p>私が著書『集団浅慮』で取り上げた企業不祥事の事例でも同じことがいえます。経営陣に悪意があったわけではなく、なるべく穏便に済ませようとした結果、起きたことでした。</p><p>なぜ起きてしまうのか。会議とは、意思決定や意見の表明を求められる<strong>「ストレスのかかる場」</strong>です。同質性の高い組織は、早くストレスフルな会議を終えて、いつもの<strong>「仲のいい関係」に戻りたい</strong>心理が働きやすくなります。</p><p>その結果、異論が出る代わりに、<strong>「誰かの意見を言い回しだけ変えてなぞる」</strong>状態となり、全会一致で物事が進んでしまうのです。</p><h2>なぜ日本の組織は、同質化しやすいのか<br></h2><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/EtlWNuxlWRcZVA4grsjZy/d8b28ce84a904c377d6de2f471080d0e/image7.jpg" alt="SmartHRのロゴがあしらわれた壁の前で話す古賀さん。マイクを片手に椅子に座っている" /></figure><p><b>古賀さん</b></p><p>集団浅慮の概念は、社会心理学者アーヴィング・ジャニスによって提唱されました。しかし、日本の組織には別の「集団浅慮」があると考えています。それが<strong>「メンバーシップ型雇用」</strong>です。</p><p>「メンバーシップ」とは英語で「会員権」を意味します。ゴルフ場の会員権をイメージするとわかりやすいでしょう。入会者がドレスコードに従うように、社員も<strong>その組織特有のトーン＆マナーに従わざるを得ません。</strong></p><p>組織のイロハを新卒から教え込まれるため、<strong>長く勤めるほど有利になる反面、他の組織では通用しにくいキャリアを歩む</strong>ことになります。日本の組織が同質化しやすい原因の一端は、こうしたメンバーシップ型雇用の構造にあります。</p><h2>異論は「仕組み」で引き出す<br></h2><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7kr6mTxba70HVMAnSj3arB/3187a446e903d42ee40a6a21976f024a/image2.jpg" alt="SmartHRのロゴがあしらわれた壁の前で身振りを加えて話す山崎さん。片手にマイクを持ち椅子に座っている" /></figure><p><b>――集団浅慮を防ぐには、どうすればよいのでしょうか？<br></b></p><p><b>山崎さん</b></p><p>「勇気をもって異論を言おう」という動きがありますが、私は無理だと思っています。<strong>異論を勇気ある人の仕事にした瞬間、普通の人は黙り込むから</strong>です。</p><p>では、どうすれば個人の勇気に依存せずに済むのか。2つの方法があります。</p><p>1つ目は、研修で使われる<strong>「ファシリテーション技法」</strong>を会議に取り入れることです。具体的には、テーマを共有し、全員に同じ思考時間を与えます。そのうえで、挙手ではなく順番に話してもらうことで、発言できていない人をゼロにします。</p><p><mark><strong>意思ではなく「仕組み」として、全員が発言せざるを得ない状態をつくる</strong></mark>のです。声が大きい人や役職者は最後に話すようにすると、ほかのメンバーが同調せずに発言できます。</p><p>2つ目は、<strong>異論を唱えることを「役割」にする方法</strong>です。「反対意見はありますか？」と聞かれても、手を挙げられる人はなかなかいません。</p><p>そこで「ITの観点でリスクを教えてください」と立場を指定し、役割として意見を引き出すのです。内容は異論でも「役割」として求められることで、発言の心理的ハードルは大きく下がります。</p><p>勇気ではなく<mark><strong>「仕組みの設計」こそが、集団浅慮を防ぐ鍵</strong></mark>だと思います。</p><p><b>古賀さん</b></p><p>ジャニスも、集団浅慮を避けるための処方箋として3つのことを提唱しています。</p><p>1つ目は、<strong>「悪魔の代弁者」を用意する</strong>ことです。あえて反論する役割を事前に与えておくことで、その場で異論を述べる心理的負担が下がります。</p><p>2つ目は、<strong>意思決定グループを複数設ける</strong>ことです。経営層だけでなく下の階層でも会議を開き、複数の結論をもち寄って最後に統合します。</p><p>3つ目は、<strong>リーダーが最初に沈黙を守る</strong>ことです。軽い一言であっても、リーダーが口を開くと忖度（そんたく）が生まれ、会議がその言葉に引っ張られてしまいます。だからこそ、「リーダーは必ず沈黙しなければならない」とジャニスは提言しています。</p><h2>「武勇伝」より「失敗の共有」が、集団浅慮を防ぐ<br></h2><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6bfJh4db0qNDrp8MCF49Ua/47603124fcc22e4058196fe352a0ddcb/image1.jpg" alt="SmartHRのロゴがあしらわれた壁の前で話す古賀さん。片手にマイクを持ち、もう片腕を反対の腰に当てるように組み、椅子に座っている" /></figure><p><b>古賀さん</b></p><p><mark></mark>組織のあり方として、リクルートの取り組みが参考になるでしょう。同社は新入社員研修で、過去に自社が起こした事件を取り上げ、「我々は過ちを犯した会社です。だから、そうじゃない会社を一緒に創っていきましょう」という趣旨のメッセージを伝えています。</p><p>（参考）株式会社リクルートホールディングス<a href="https://recruit-holdings.com/ja/about/material-foundation/background/" target="_blank">「リクルート事件から経営理念の制定まで」</a></p><p>一方、多くの企業は成功体験や武勇伝ばかりを語り続けます。過去の失敗が「なかったこと」にされ、組織のなかに不敗神話が生まれていきます。こうして<mark><strong>「自分たちが決めたんだから大丈夫だ」という根拠のない思い込みが、集団浅慮を引き起こしてしまう</strong></mark>のです。</p><h2>女性管理職比率「30％」がもつ本当の意味<br></h2><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/5EfUaaB6bqh3nrxVT7uqmQ/469b19aa7c9ba4a4e0fb20ec94ec8bc5/image3.jpg" alt="左から山崎さん、古賀さん。椅子に座り、マイクを片手にSmartHRのロゴがあしらわれた壁の前で話している" /></figure><p><b>――「組織の多様性」を理想論で終わらせないための方法を教えてください。<br></b></p><p><b>山崎さん</b></p><p>私は3つの視点が必要だと考えています。</p><p>まずは<strong>「多様性を倫理の話にしないこと」</strong>です。「多様性が大切だ」という言葉は、どの企業のウェブサイトにも掲げられ、専門の部署まで設置されています。それでも一向に進まないのは、それが<strong>「きれいごと」</strong>で終わっているからです。</p><p>多様性に反対する人は誰もいません。ただ、<strong>言葉だけでは誰も動かない</strong>のです。</p><p>だからこそ、倫理として語るのをやめ、組織が正しい意思決定をするための<strong>「安全装置」</strong>や<strong>「リスクマネジメント」</strong>の仕組みとして扱うべきでしょう。</p><p>次に、<strong>「数は守る」</strong>です。政府が掲げる「女性管理職比率30％」の目標は、単なる平等のためではありません。<strong>マイノリティが「特別な存在」でなくなる臨界点が30％</strong>なのです。これは、社会学者ロザベス・モス・カンターが提唱した「クリティカル・マス」の考え方として知られています。</p><p>たとえば、水は99℃まで熱しても液体のままです。しかし100℃を超えた瞬間、一気に沸騰します。女性管理職比率も30％に達することで、<strong>多様な組織文化へと加速度的に変化が起きる</strong>のです。</p><p>そして最後は<strong>「文化と空気を混同しないこと」</strong>。文化とは「何を大切にするか」であり、空気とは「何を言ってはいけないか」を指します。</p><p>もっとも避けたいのは、<strong>文化はないのに「空気の支配」だけがある組織</strong>です。強い企業文化をもちながらも、多様な意見が表明できる。そうした組織が理想だと考えています。</p><p><b>古賀さん</b></p><p>経営者からよく<strong>「女性管理職を3割にして売上が上がるのか？」</strong>との声を聞きます。しかし、多様性の欠如がもたらす集団浅慮やそれが招く<strong>「人権リスク」</strong>は、売上への影響にとどまらず、企業の存続に関わる問題です。</p><p>たとえば、男性しかいない集団が自分たちのセクシュアルハラスメントに気づくのは、ほぼ不可能でしょう。<strong>当事者が声を上げて初めて、無自覚なバイアス（アンコンシャス・バイアス）に気づける</strong>のです。</p><p>当事者の視点が欠けた組織は、気づかないうちに人権を侵害します。それが今の時代、取り返しのつかない経営リスクに直結します。<strong>法令違反かどうかではなく、人権を軽視した事実そのものが、企業の存続を揺るがします。</strong></p><p>多様性を短期的な損得で判断するのではなく、<strong>人権リスクを回避し、企業を存続させるための「経済合理性」と捉えるべき</strong>でしょう。</p><p>まずは数をそろえ、当事者の声が届く構造をつくる。それが多様性を経営に定着させる第一歩となるはずです。</p><figure><iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/eK1EEfGNli8" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe><figcaption><p>セッションの様子は動画でご覧いただけます。山崎さんと古賀さんの掛け合いから生まれた、現場のリアルな問いと答え。組織の「空気」を変えるヒントを、ぜひ動画で体感してください。<br></p></figcaption></figure><p>（文： 尾倉 直弥、編集：佐々木四史）</p>]]></content:encoded>
      </item>
    
      <item>
        <title><![CDATA[賃金46%減を生む"子育てペナルティ"。女性の育児とキャリアの両立を阻む構造的課題]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/work/well-working/kosodate-penarutexi-01/</link>
        <pubDate>Mon, 25 May 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[働き方]]></category>
        <category><![CDATA[well-working]]></category>
        <guid isPermaLink="true">https://mag.smarthr.jp/work/well-working/kosodate-penarutexi-01/</guid>
        <dc:creator><![CDATA[長島 啓喜]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[出産や育児をきっかけに、女性の賃金やキャリアに不利が生じる現象は「子育てペナルティ」と呼ばれています。近年の研究により、その実態は明らかになりつつあります。では、子育てペナルティはどのような要因によって生じているのでしょうか。また、企業の経営層や人事はこの課題に対してどのように向き合えばよいのでしょうか。前編となる本記事では、東京大学大学院経済学研究科の山口慎太郎教授らの研究結果などをもとに課題の構造を探ります。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2AiUc3GOTYM3mHNvtFlwTN/39ba44dc503d36a94719f2daff983b56/kosodate-penalty-1.jpg" alt=""></div><p>出産や育児をきっかけに、女性の賃金やキャリアに不利が生じる現象は「子育てペナルティ」と呼ばれています。近年の研究により、その実態は明らかになりつつあります。では、子育てペナルティはどのような要因によって生じているのでしょうか。また、企業の経営層や人事はこの課題に対してどのように向き合えばよいのでしょうか。前編となる本記事では、東京大学大学院経済学研究科の山口慎太郎教授らの研究結果などをもとに課題の構造を探ります。</p><div><div><p><b>山口慎太郎（やまぐち・しんたろう）</b></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6JOKNLbZB37I9PmH6peNgH/05bbd3acb2723b6b366672a2439e2132/%E5%90%8D%E7%A7%B0_%E6%9C%AA_%E8%A8%AD%E5%AE%9A_-_2026%E5%B9%B45%E6%9C%8821%E6%97%A5_17.11.30.png" alt="" /></figure><p>東京大学大学院経済学研究科教授</p><p>1999年慶應義塾大学商学部卒業、2001年同大学大学院商学研究科修士課程修了。2006年、米ウィスコンシン大学にて経済学博士号（Ph.D.）取得。カナダ・マクマスター大学准教授などを経て、2017年より現職。専門は、結婚・出産・子育てを経済学的に分析する「家族の経済学」と、労働市場を扱う「労働経済学」。著書に『「家族の幸せ」の経済学——データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実』（光文社新書）など。</p></div></div><h2>データで明かされる子育てペナルティの実態</h2><p>近年、育児と仕事の両立を支える制度整備が飛躍的に進んできました。2022年の産後パパ育休（出生時育児休業）創設や、2025年4月に施行された改正育児・介護休業法など、男女を問わず柔軟な働き方を支える仕組みが整えられています。「仕事を辞めずに子育てができる」という選択肢は、以前と比べて確実に広がってきました。</p><p>一方で、制度が整っても、出産を経た女性のキャリアや賃金は出産前と同じ軌道に戻りにくい現実があります。仕事は続けられても、その後のキャリアや賃金が出産前の水準に回復しない。そうした傾向が、業界や職種を超えて、近年の研究で繰り返し観察されているのです。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/3hMbnPADmoJIoPzZW1DVq3/0683605d49a8eaff88fb055ca4aadece/%E5%90%8D%E7%A7%B0_%E6%9C%AA_%E8%A8%AD%E5%AE%9A_-_2026%E5%B9%B45%E6%9C%8821%E6%97%A5_18.46.13.png" alt="出産を経験したグループの収入推移（出典）「Unpacking the Child Penalty Using Personnel Data: How Promotion Practices Widen the Gender Pay Gap」（p.18）" /><figcaption><p>出産を経験したグループの収入推移（出典）「<a href="https://www.crepe.e.u-tokyo.ac.jp/results/2025/CREPEDP165.pdf" target="_blank">Unpacking the Child Penalty Using Personnel Data: How Promotion Practices Widen the Gender Pay Gap」（p.18）</a></p></figcaption></figure><p>なかでも、日本企業の人事データをもとに実態を示したのが、東京大学大学院経済学研究科の山口慎太郎教授らの研究グループです。論文「<a href="https://www.crepe.e.u-tokyo.ac.jp/results/2025/CREPEDP165.pdf" target="_blank">Unpacking the Child Penalty Using Personnel Data: How Promotion Practices Widen the Gender Pay Gap</a>」では、日系大手製造企業の社員データを分析した結果、<strong>第一子出産から10年間で平均すると、女性の賃金は出産がなかった場合と比べて約46%低い水準にとどまる</strong>ことが示されました。また、出産直後は労働時間の減少が賃金差の主な要因である一方、<strong>長期的には昇進機会の差が大きく影響している</strong>ことも判明しました。</p><p>こうした傾向は、特定の業界に限った話ではありません。厚生労働省「<a href="https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2021/shigoto_report03.pdf" target="_blank">21世紀成年者縦断調査</a>」の個票データを分析した財務省財務総合政策研究所の報告書「第３章 チャイルドペナルティとジェンダーギャップ」では、特定の業種にとどまらない全国的な傾向が示されています。<strong>第一子出産をきっかけに、男性の労働所得に変化は観察されない一方、女性の労働所得は出産後に約60％減少する</strong>という結果です。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/5QbG3wwGBHMPUAmUz8Zt1D/9806143c4c1e4246c636af190668085d/%E5%90%8D%E7%A7%B0_%E6%9C%AA_%E8%A8%AD%E5%AE%9A_-_2026%E5%B9%B45%E6%9C%8821%E6%97%A5_18.46.13-2__1_.png" alt="（出典）「仕事・働き方・賃金に関する研究会―一人ひとりが能力を発揮できる社会の実現に向けて」報告書 第3章 チャイルドペナルティとジェンダーギャップ（p.47）- 財務省財務総合政策研究所" /><figcaption><p>（出典）「仕事・働き方・賃金に関する研究会―<a href="https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2021/shigoto_report03.pdf" target="_blank">一人ひとりが能力を発揮できる社会の実現に向けて」報告書 第3章 チャイルドペナルティとジェンダーギャップ（p.47）- 財務省財務総合政策研究所</a></p></figcaption></figure><p>対象や分析期間が異なるため数値の幅はありますが、両研究が共通して示すのは、<strong>出産・育児を経たかどうかで、女性のキャリアや賃金が大きく変わってしまう構造</strong>があるという事実です。<mark><strong>出産・育児を機に、女性の賃金や就業、キャリアに不利が生じる現象は「子育てペナルティ」</strong></mark>と呼ばれ、日本で確かに起きています。</p><h2>子育てペナルティを生む3つの構造</h2><p>では、この「子育てペナルティ」はなぜ起こるのでしょうか。政府は2023年に「<a href="https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/pdf/kakugikettei_20231222.pdf" target="_blank">こども未来戦略</a>」を閣議決定し、女性の就業継続やキャリア形成の支援を掲げています。育児・介護休業法の改正も重ねられ、2025年にはさらなる制度整備が進みました。</p><p>しかし、山口教授らの論文が示す約46％、財務総研の報告書が示す約60％という数字は、<strong>制度の整備だけでは埋まらない現実があることを物語っています。</strong>また、将来の管理職候補層が細り、採用競争力が低下するリスクもあるため、経営の視点からもこの問題は放置できません。子育てペナルティが生まれる背景には、いったいどのような構造があるのでしょうか。</p><p>SmartHR Mag.編集部では、複数の調査や研究を踏まえて、子育てペナルティの背景に<strong>3つの構造的な要因</strong>が絡み合っているのではないかと考えました。</p><h3>要因1：家庭内での性別分業の規範</h3><p>総務省「<a href="https://www.stat.go.jp/info/today/pdf/190.pdf" target="_blank">社会生活基本調査</a>」によると、<strong>6歳未満の子をもつ夫婦では、夫の家事関連時間が1時間54分、妻が7時間28分</strong>。差は縮小傾向にあるものの、依然として大きな開きがあります。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2EGthsulJS2ZHjyNonNpkR/03f976ac93bb3811b73ed038cc135260/%E5%90%8D%E7%A7%B0_%E6%9C%AA_%E8%A8%AD%E5%AE%9A_-_2026%E5%B9%B45%E6%9C%8821%E6%97%A5_18.46.13-3.png" alt="（出典）我が国における家事関連時間の男女の差 ～生活時間からみたジェンダーギャップ～（p3）- 総務省統計局" /><figcaption><p>（出典）<a href="https://www.stat.go.jp/info/today/pdf/190.pdf" target="_blank">我が国における家事関連時間の男女の差 ～生活時間からみたジェンダーギャップ～（p3）- 総務省統計局</a></p></figcaption></figure><p>保育園からの呼び出しや子供の体調不良時の対応など、日常的なケア責任は母親に集中しやすく、出産後の時間的制約も主に母親に生じます。これが労働時間や働き方の制約につながっていると考えられます。</p><h3>要因2：職場における評価・昇進の慣行</h3><p><strong>山口教授らの論文では、第一子出産直後に女性の賃金が下がる主な原因は、労働時間の減少と示されています。一方、数年経つと労働時間は回復します。それでも、出産がなかった場合との賃金差はむしろ広がっていくことも、同論文で説明されています。</strong>この長期的な開きの主要因は、役職手当に代表される昇進の遅れです。</p><p>多くの職場では、長時間労働や突発的な対応への即応力・可用性が暗黙的に評価されやすく、出産後はその条件を満たしにくくなります。結果として初期の労働時間の減少に加え、昇進の遅れが長期的な賃金差の固定化につながっている可能性があります。</p><h3>要因3：税制や社会保障の制度インセンティブ設計</h3><p>税や社会保険の仕組みには、一定の収入を超えると配偶者の扶養から外れ、本人に税や社会保険料の負担が発生する仕組みがあります。その境界を意識した働き方が選ばれる傾向は、実際のデータにも表れています。</p><p><a href="https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/23j049.pdf" target="_blank">市町村税務データを用いた研究</a>によると、<strong>配偶者ありの女性の給与収入分布には、103万円・130万円の境界で明確な山ができていることが確認できます。</strong>近年は年収の壁の引き上げが進んでいますが、境界を意識した就業調整の傾向は依然として観察されます。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/labor/nenshu-no-kabe/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/x92ug721hVjgvhlmjtxwV/a1cf881dd29fabe24575c77a66c208d1/%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3___%C3%A5__%C3%A5__%C3%A3__%C3%A5__-4-0814gcc%C3%A6__%C3%A6__.png" alt="" /><p><b>【2026年最新版】年収の壁を徹底解説！106万・130万・136万・159万・169万・178・180万の壁とは？</b></p><p><time dateTime="2026-04-21">2026.04.21</time></p></a></div></div></figure><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/i7WAQWYjyqp9bIqbNzxbJ/1a9c7fe2881ea71d196b82ceaf8194e4/%E5%90%8D%E7%A7%B0_%E6%9C%AA_%E8%A8%AD%E5%AE%9A_-_2026%E5%B9%B45%E6%9C%8821%E6%97%A5_18.46.13-5.png" alt="（出典）「市町村税務データを用いた既婚女性の就労調整の分析（p.29）」- 経済産業研究所" /><figcaption><p>（出典）「<a href="https://www.crepe.e.u-tokyo.ac.jp/results/2024/CREPEDP162.pdf" target="_blank">市町村税務データを用いた既婚女性の就労調整の分析（p.29）」- 経済産業研究所</a></p></figcaption></figure><p>「扶養内で働くほうが世帯としては有利」という制度設計は、出産から復職する際の働き方の選択にも影響を及ぼしている可能性があります。<a href="https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/dl/h26-02_itakuchousa02-02.pdf" target="_blank">厚生労働省の分析</a>では、出産を機に正社員女性の約53％、フルタイム非正規社員女性の約68％が離職しており、その7割以上は3年以内に復職するものの、復職先の多くはパートタイムなどの非正規雇用です。一度離職し、時短の非正規で復職するという流れが合理的に見える環境が、結果として労働時間や賃金の回復を抑える方向に作用しているとも考えられます。</p><p>こうした仮説を踏まえ、前編では子育てペナルティが生じる要因について、山口教授に解説していただきました。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/1eZE920VYKVMFbX4kKIWsl/db15857ed66310c09f793f2b665bdb38/%E6%B7%B1%E5%8C%96%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%89.001.png" alt="子育てペナルティを生む3つの構造" /></figure><h2>産後就業継続の先に潜む“子育てペナルティ”</h2><p><b>――「子育てペナルティ」というテーマについて、研究者として、また内閣府男女共同参画会議民間議員として政策立案に関わる立場から、どのように捉えていますか。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>男女間の賃金格差は多くの国で重要な課題として認識されていますが、<strong>日本はとくにその格差が大きい</strong>ことが知られています。</p><p>なぜ格差が生じるのかについては、これまでにさまざまな研究が行われてきました。そのなかで明らかになってきたのが、<strong>出産をきっかけに女性の働き方や賃金に大きな変化が生じるという事実です。</strong>この現象は「子育てペナルティ」と呼ばれ、男女間の賃金格差を説明する大きな手がかりとして注目されています。</p><p>子供をもつこと自体は本来、個人の選択です。しかし、その結果として不可抗力的に賃金が大きく低下するのであれば、それは個人の問題にとどまりません。<strong>企業の人事制度、さらには社会全体の価値観や規範といった個人ではコントロールしきれない構造的な要因が関係している可能性があります</strong>。私はそうした観点からこの問題を捉えています。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/cwS5PtEcOgwaE3wi1oBn7/edb550a609d7b081196d913f80d93b80/image10.jpg" alt="null" /></figure><p><b>――近年は育児休業制度の拡充などもあり、出産後も働き続ける女性は増えています。一方で、先生の研究では出産を機に賃金が大きく落ち込むことが示されています。この「就業継続は進んでいるのに賃金への影響が残る」という状況について、どのように考えられていますか。<br></b></p><p><b>山口教授</b></p><p>かつては出産を機に離職するケースが多く、一度正社員を辞めると再び同じ立場に戻ることは非常に難しい状況でした。その意味で、<strong>「辞めずに働き続けられるようになった」こと自体は大きな変化です。</strong></p><p>ただ、データを詳しく見ると、就業は継続していても、その後のキャリアに大きな変化が生じていることがわかります。たとえば昇進の遅れや役割の変化が積み重なり、結果として賃金に差が出てきます。</p><p><strong>実際、出産を経た女性の賃金推移を見ると、まるで崖から落ちるように賃金が大きく落ち込み、その後も回復しにくいことがわかります。</strong>こうした傾向は日本に限らず、多くの先進国で共通して観察されています。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6CoCyDOXXCPeFd0KuF5ruF/df47dedcaaac5491335873100586be41/%E5%90%8D%E7%A7%B0_%E6%9C%AA_%E8%A8%AD%E5%AE%9A_-_2026%E5%B9%B45%E6%9C%8821%E6%97%A5_18.46.13-4__1_.png" alt="（出典）「Unpacking the Child Penalty Using Personnel Data: How Promotion Practices Widen the Gender Pay Gap（p.19）」" /><figcaption><p>（出典）「<a href="https://www.crepe.e.u-tokyo.ac.jp/results/2025/CREPEDP165.pdf" target="_blank">Unpacking the Child Penalty Using Personnel Data: How Promotion Practices Widen the Gender Pay Gap（p.19）</a>」</p></figcaption></figure><p><b>――つまり、出産を経て「働き続けられるようになった」ことと「キャリアを築けること」は、必ずしも一致しないということですね。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>そのとおりです。<strong>就業継続は前提ですが、それだけでは十分ではありません。</strong>キャリア形成や評価のあり方まで含めてみなければ、出産を機に生じる影響は解消されないと考えています。</p><h2>性別分業の規範意識がもたらす影響</h2><p><b>――では、「子育てペナルティ」が発生する構造について詳しく教えてください。私たちは「（1）性別分業に関する規範意識」「（2）職場評価・昇進の慣行」「（3）税制や社会保障などの制度」といった複数の要因が重なっていると考えました。先生はどのようにご覧になりますか。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>どれも無関係ではなく、複数の要因が組み合わさって影響していると考えられます。<strong>そのなかでもとくに指摘されてきたのが、「家庭内の役割分担はこうあるべきだ」という無意識の前提、いわゆる性別分業に関する規範意識です。</strong></p><p>日本の場合、法律や公的制度といった制度設計や、育児休業制度や保育サービスの充実度は国際的にみても高い水準にあります。それでも実態がともなっていないとすれば、規範の影響が大きいと考えるのが自然です。</p><p>ただ、この「規範」という存在は非常に捉えにくい。どのように形成され、どうすれば変えられるのかについては十分に解明されていません。</p><p><b>――<a href="https://www.stat.go.jp/info/today/pdf/190.pdf">「社会生活基本調査」</a>によると、6歳未満の子供をもつ夫婦において、1日の家事関連時間は夫が1時間54分、妻が7時間28分と依然として女性に大きく偏っていることが示されています。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>そうしたデータからも、<strong>性別分業の規範が子育てペナルティの根本的な要因の一つである</strong>ことがうかがえます。</p><p>私たちの研究でも、出産後に時短勤務を利用する女性は約8割にのぼる一方、男性の利用は限定的でした。制度上は男女ともに利用可能なはずなのに、実際の役割分担は大きく偏っているのが現状です。</p><p>また、私たちの調査対象だった企業のアンケートによると、家族のケアに関連して業務上の配慮を求める声は女性に多く、男性ではあまりみられませんでした。こうした点からも、育児や家事の負担が女性側に集中している実態が確認できます。</p><h3>合理的な判断が性別分業規範を固定化する</h3><p><b>――共働きが一般化しているにもかかわらず、役割分担が女性に偏るのはなぜでしょう。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>どちらがより多く働くかを考えたときに、現時点の収入や将来の昇進の見通しから、男性のほうが収入を伸ばしやすいと判断されやすい。その結果、世帯所得の最大化を考えると、収入の高い側が仕事を優先し、もう一方が家庭を担う分担が選ばれやすくなります。これは各家庭にとって合理的な判断ともいえます。</p><p>しかし、その前提となる男女間の賃金格差や昇進機会の差自体が公平だとは限りません。<mark><strong>個人では変えにくい構造を前提にした「合理的な判断・行動」が、性別役割分業を固定化してしまう</strong></mark>側面もあるのです。</p><p>また、男女で管理職比率に差があることもこうした判断に影響しています。男性のほうが管理職に占める割合が高いという現実を前提にすると、「どちらが家計に貢献しやすいか」という判断にも自然と偏りが生じますよね。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/3flb8PgFXEB2By8E3rmHAW/0e5186b2ecff7c7b7216aa7f613d9417/image9.jpg" alt="null" /></figure><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/work/well-working/female-broken-rung/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/34jWbrKNzmQcjXbBqGey3O/318c805fdd9b45f3719c90423124f4c6/thumbnail2_0424.jpg" alt="" /><p><b>女性管理職育成を阻む「壊れたはしご」の正体と経営に問われる覚悟</b></p><p><time dateTime="2026-05-13">2026.05.13</time></p></a></div></div></figure><h2>昇進の慣習が賃金差を固定化</h2><p><b>――出産後に多くの女性が短時間勤務を選択し、それが出産しなかった場合との賃金の差につながることも指摘されています。また、先生のご研究では、通常勤務に戻った後もその差が解消されないことが示されています。この点について詳しく教えてください。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>今回の研究では、賃金の額面だけでなく、その内訳や労働時間、評価、昇進といった要素を分解して分析しています。</p><p>出産直後についてみると、賃金の落ち込みの大部分は労働時間の減少によって説明できます。時短勤務による控除や残業代の減少など、<strong>「働いた時間に応じて賃金が下がる」という直接的な要因です。</strong></p><p>大切なのはその先です。子供の成長にともない労働時間が戻っても、出産していない同世代の女性との賃金差はほとんど埋まりません。その理由を賃金の内訳から分析すると、<mark><strong>長期的には「役職に応じた賃金」、つまり昇進の差が大きく影響していることがわかりました。</strong></mark></p><p>さらに分析を進めると、労働時間・評価・昇進が連動している構造が浮き彫りになります。<strong>労働時間が長いほど評価が高くなり、その評価が昇進につながる</strong>。出産後に時間制約が生じると評価が伸びにくくなり、その影響が昇進の遅れとして蓄積され、働ける時間が戻った後も賃金差が残るという構造です。</p><p><b>――女性社員の業務負担を軽くするなどの配慮も、評価や昇進に影響しているのでしょうか。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>研究では評価プロセスそのものを直接みているわけではありませんが、労働時間と評価の関係からみると、「配慮」が意図せず評価や昇進に影響してしまう可能性はあります。たとえば、業務負担や残業の軽減は必要な対応ですが、その結果として労働時間が短くなれば、評価や昇進に影響が及びやすくなります。</p><p>また、「子供がいるから負担の大きい仕事は難しいだろう」といった前提で、挑戦的な業務や機会からあらかじめ外されるケースもあります。こうした対応が経験機会の差につながっているとも考えられます。</p><p><b>――突発対応できる、長時間働けるなどの“可用性”も評価に影響しているのですか。</b></p><p><b>山口教授</b></p><p>その影響も大きいと思います。制度上は可用性を評価対象にしない設計になっていても、実際の評価は現場で行われます。<strong>現場では「困ったときに対応できる」「突発的な業務を担える」といった点が評価に反映されやすい</strong>傾向があります。</p><p>もちろん、そうした対応自体は評価されるべきです。ただし、そのまま昇進の基準にしてしまうと長時間働ける人が有利になりやすく、人材配置に偏りが生じる可能性があります。</p><p><strong>必ずしも「長く働ける人＝リーダーに適した人」ではありません</strong>。労働時間とは別の軸で評価しないと、本来リーダーにふさわしい人材を見落とすおそれがあります。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/ehHcOBtUMwJ4johewache/f05fa9e2db9d972090000c97190d3d32/image7.png" alt="昇進の慣習が賃金差を固定化する構造" /></figure><h2>「年収の壁」より根強い「損する」認識</h2><p><b>――所得税課税対象となり税制上の扶養から外れる103万円、社会保険の扶養から外れる130万円といった“年収の壁”によって、働き方を調整する人が多いともいわれます。こうした税制や社会保障の仕組みは、子育てペナルティにどのような影響を与えているとお考えですか。<br></b></p><p><b>山口教授</b></p><p>制度そのものについては、これまでに細かな見直しが重ねられてきたこともあり、年収の壁の影響は以前ほど大きくはなくなっています。また、最低賃金の上昇により、一定程度働けば年収の壁を超えるケースも増えており、収入を細かく調整する余地は小さくなりつつあります。</p><p>一方で、<strong>「このラインを超えると損をする」という認識が強く残っている側面もあります。</strong>とくに130万円を超えると社会保険料の負担が新たに発生するため、一時的に手取りが減ることはあります。ただ、将来の年金や医療保障も含めて考えると一概に不利になるとは限りません。</p><p>こうした点を踏まえると、<strong>制度そのもの以上に、「働くと損をする」というイメージが行動を左右している実態</strong>があるといえるでしょう。</p><p>ここまでみてきたように、子育てペナルティは、家庭内の役割分担、職場における評価・昇進の慣行、そして年収の壁に対する認識といった複数の要因が重なって起こっていると考えられます。制度を整えるだけでは解消しきれない、「構造」そのものに根差した問題です。</p><p>では、こうした構造的な課題に対して、企業や人事はどのように向き合い、どこから変えていくべきなのでしょうか。後編ではその具体的な打ち手について考えていきます。</p><p>（取材・文／POWER NEWS編集部、写真／横関一浩）</p>]]></content:encoded>
      </item>
    
      <item>
        <title><![CDATA[給与計算のやり方とは？月次・年次の実務フローを初心者向けに解説]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/hr/labor/kyuuyo-keisan/</link>
        <pubDate>Fri, 22 May 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[人事・労務]]></category>
        <category><![CDATA[労務管理]]></category>
        <guid isPermaLink="true">https://mag.smarthr.jp/hr/labor/kyuuyo-keisan/</guid>
        <dc:creator><![CDATA[企業人事/社会保険労務士 柳 静香]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[給与計算の仕組みや実務フローを初心者向けに解説します。総支給額・控除額の計算方法から法改正への対応、よくあるミスと防止策まで網羅。月給制・時給制それぞれの計算例も掲載していますので、給与計算の基礎を押さえたい人事・労務担当者の方はぜひご覧ください。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/pIGWjhMf0WfXxT7bb9W8O/f998f0fc88653f7c1c59add584434535/image1.jpg" alt=""></div><p>給与計算は、従業員の生活を支える業務です。法令や社会保険制度に関する幅広い知識が求められ、ミスがあれば従業員の信頼を損ねるほか、未払い賃金などのトラブルにつながるおそれもあります。</p><p>本記事では、給与計算の基本的な仕組みから、年次・月次単位での実務の流れ、よくあるミスとその対策まで、人事・労務担当者として押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。</p><h2>給与計算とは</h2><p>給与計算とは、従業員の労働時間や給与形態をもとに、毎月の支払額を算出する業務です。<mark><strong>給与を正しく支払うとともに、社会保険料や所得税、住民税を適切に計算し、国や自治体へ納付する役割も担っています。</strong></mark></p><p>また、担当者には労働基準法や社会保険制度、税法など、さまざまな法令に関する幅広い知識が求められます。</p><p>給与計算は、一見複雑に見えますが、一度フローを覚えると基本的には毎月同じ作業の繰り返しです。本章では、給与計算の全体像と仕組みを初心者の方にもわかりやすく解説します。&nbsp;</p><h3>給与計算の仕組み</h3><p><mark><strong>給与計算では、はじめに従業員へ支払う総支給額を算出し、そこから所得税や社会保険料などの控除額を差し引いて、手取り額（差引支給額）を確定させます。</strong></mark></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/SXK0K1CmwxHGKt1gwfQcQ/5f8105756411eb8ce6ae0011f8f878fa/image4.png" alt="給与の計算式について表した図" /></figure><p>総支給額には基本給や各種手当が、控除額には社会保険料や税金などが含まれます。総支給額および控除額の詳細は、以下のとおりです。</p><table class="se-table-size-100 se-table-layout-auto"><thead><tr><th><div>区分</div></th><th><div>内訳</div></th></tr></thead><tbody><tr><th colspan="1" rowspan="3"><div>総支給額</div></th><td><div>基本給</div></td></tr><tr><td><div>役職手当・家族手当・通勤手当などの各種手当</div></td></tr><tr><td><div>時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金<br></div></td></tr><tr><th colspan="1" rowspan="5" class="se-table-selected-cell"><div>控除額</div></th><td><div>社会保険料（健康保険・厚生年金保険・介護保険）<br></div></td></tr><tr><td><div>雇用保険料<br></div></td></tr><tr><td><div>所得税（源泉徴収）<br></div></td></tr><tr><td><div>住民税（特別徴収）<br></div></td></tr><tr><td><div>企業独自の制度による控除（組合費、財形貯蓄、従業員持株会拠出金など）</div></td></tr></tbody></table><p>各項目の計算方法や押さえておきたいポイントは、のちほど詳しく解説します。</p><h2>給与計算の年間スケジュール</h2><p>給与計算には、年に数回、社会保険や税金に関する大きな改定があります。こうした変更を漏れなく給与に反映するためにも、年間スケジュールの把握と適切なスケジュール管理が大切です。</p><p>給与計算に関する年間スケジュールは、以下のとおりです。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/48cPRwOaClOYD85xYkAREY/8844f38e3591f3ea13b608f036668f4c/image3.png" alt="給与計算の年間スケジュールを表した表" /></figure><p>企業には、社会保険料や住民税を従業員の給与から適切に控除し、期日までに納付する義務があります。</p><p><mark><strong>改定のタイミングを見落として反映が遅れると、過不足が生じるだけでなく、法令違反につながるリスクもあります。</strong></mark></p><p>また賞与支払や賃金改定月は企業によって異なります。自社の運用実態に応じて年間のスケジュールをあらかじめ把握し、前倒しで準備を進めましょう。</p><h2>月次給与計算の基本的な流れ</h2><p>毎月の給与計算は、主に以下の流れで進めます。</p><ol><li>従業員データの変更を反映する</li><li>勤怠データを確認・集計し、支給額を計算する</li><li>控除額を計算する</li><li>支給額から控除額を差し引き、差引支給額（手取り額）を計算する</li><li>給与明細を作成し、給与を振り込む</li></ol><p>スケジュールは、給与の締め日や支払日に応じて異なります。給与振込に間に合うよう、余裕をもったスケジュールを立てましょう。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/zIVVK0MhaffliCfHngAgD/b5c89397ed4a13df2b18cd373d18f3e4/image6.png" alt="月時給与計算のスケジュール例を表した表" /></figure><h3>（1）従業員情報の変更を反映する</h3><p>給与の締め日を迎えるまでに、新入社員や給与に変更がある従業員の情報を、給与台帳やマスターデータへ反映します。<mark><strong>基礎データに誤りがあると、その後の給与計算だけでなく、次月以降の給与にも影響が及ぶおそれがあります。</strong></mark></p><p>誤りや反映漏れが発生しやすいポイントは以下のとおりです。</p><ul><li>入社・退社日</li><li>昇給・降給による基本給の変更</li><li>扶養家族の増減</li><li>通勤手当の変更</li><li>雇用形態の変更</li></ul><p>あらかじめチェックリストを作成し、確認手順を明確にしておくとよいでしょう。また、担当者だけで完結させず、ダブルチェックの体制を整えることで、入力ミスや見落としの防止につながります。</p><h3>（2）勤怠データを確認する</h3><p>給与の締め日を迎えたら、<strong>出勤日数や労働時間、残業時間、有給休暇の取得状況など勤怠データを確認し、給与計算の基礎となるデータを確定</strong>させます。</p><p>締め日前に、従業員へ打刻漏れや各種申請の提出漏れがないかを確認するよう依頼しておくと、その後の確認作業がスムーズに進みます。</p><p>勤怠データの確認は、タイムカードの管理方法により注意点が異なります。ここでは2つの管理方法を紹介します。</p><p>紙のタイムカードや表計算ソフトで勤怠データを確認する際は、<mark><strong>手作業での集計や転記が発生するため、記入漏れや転記ミスに注意が必要です。</strong></mark></p><p>また、表計算ソフトを使用している場合は、計算式の誤りや参照範囲のズレによって、気づかないうちに集計が間違ってしまう可能性があります。計算式が正しく設定されているかを確認しましょう。</p><p>勤怠管理システムを活用する際は、<strong>勤務区分などの設定ミスにより正しく集計されない</strong>場合があります。とくに、新入社員や勤務形態に変更があるケースでは、システムの結果をそのまま受け入れず、設定の誤りがないかを最終確認しましょう。</p><p>勤怠データの集計は、残業代や欠勤などの控除に直結するため、慎重な確認が大切です。</p><h3>（3）総支給額を計算する</h3><p>勤怠の集計が完了したら、勤怠の集計結果をもとに、残業代や欠勤控除など変動部分を反映して、総支給額を算出します。</p><p>賃金は、主に所定内賃金と所定外賃金に分けられます。</p><p><mark><strong>所定内賃金は、原則として毎月固定で支払われる賃金です。</strong></mark>雇用契約や就業規則で金額が定められており、勤怠状況に左右されません。賃金計算期間の途中で入社および退職がある場合、日割り計算が必要です。</p><p><mark><strong>一方で、所定外賃金は、残業代・欠勤控除など、毎月の勤怠状況によって金額が変動する賃金です。</strong></mark>勤怠データの集計結果を正確に反映し、計算しなければいけません。</p><p>割増賃金の計算を誤ると未払い残業代につながるおそれがあります。就業規則や賃金規程にもとづいて正確に計算しましょう。</p><h3>（4）控除額を計算する</h3><p>続いて、総支給額から差し引く控除額を算出します。控除には、社会保険料など法令にもとづいて控除する法定控除と、労使協定にもとづいて控除するものがあります。</p><p>法定控除の主な内容は、以下のとおりです。</p><table><thead><tr><th><div>控除項目</div></th><th><div>計算式</div></th><th><div>注意点</div></th></tr></thead><tbody><tr><th><div>健康保険料</div></th><td><div>標準報酬月額×健康保険料率÷2<br></div></td><td><div><br></div>料率は加入している健康保険組合や協会けんぽの都道府県支部により異なる<br><br><br></td></tr><tr><th><div>介護保険料</div></th><td><div>標準報酬月額×介護保険料率÷2<br></div></td><td><div>40歳以上65歳未満の社会保険加入者が控除対象となる<br></div></td></tr><tr><th><div>厚生年金保険料</div></th><td><div>標準報酬月額×18.3％÷2<br></div></td><td><div>料率は固定（2017年以降）<br></div></td></tr><tr><th><div>雇用保険料</div></th><td><div>賃金総額×雇用保険料率<br>（令和8年度の従業員負担は1,000分の5 ※一般の事業）<br></div></td><td><div>従業員負担と事業主負担の料率が異なるため注意。毎年4月に最新の料率を確認する<br></div></td></tr><tr><th><div>所得税</div></th><td><div>課税対象額をもとに源泉徴収税額表で算出<br></div></td><td><div>扶養人数やひとり親など個別事情により税額が異なる<br></div></td></tr><tr><th><div>住民税</div></th><td><div>市区町村が決定した税額を毎月天引き<br></div></td><td><div>前年の所得をもとに算出されるため、新卒社員や前年所得が少ない従業員、途中入社者は特別徴収への切り替えが済んでおらず、給与から控除されない場合がある<br></div></td></tr></tbody></table><p>（出典）<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/001692566.pdf" target="_blank">令和8年度の雇用保険料率について - 厚生労働省</a></p><p>法定控除以外にも、社宅費や財形貯蓄、組合費など、企業独自の制度にもとづく控除もあります。法定控除以外の項目を控除するには、<strong>労使協定の締結</strong>が必要です。</p><p>なお、社会保険や所得税・住民税にはそれぞれ課税対象に含まれる賃金と含まれない賃金があります。所得税の計算の基礎となる「給与所得」については別記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。</p><p></p><h3>（5）差引支給額（手取り）を確定する</h3><p>最後に、総支給額から控除額を差し引いて、差引支給額（手取り額）を確定させます。</p><p>差引支給額の計算式は、以下のとおりです。</p><p>差引支給額 ＝ 総支給額 − 控除額（社会保険料 ＋ 雇用保険料 ＋ 所得税 ＋ 住民税）</p><p><mark><strong>計算後、前月と比べて支給額や控除額の差異が大きい従業員がいないかを確認しましょう。</strong></mark>昇給や産休・育休からの復帰、住民税の切り替えなどは、金額が大きく変動しやすい要因です。数値の変動が大きい場合は、計算過程にさかのぼって原因を確認すると、確定前にミスを防げます。</p><h3>給与明細の作成と給与の支払い</h3><p>差引支給額が確定したら、給与明細を作成し、従業員へ交付します。<mark><strong>給与明細の交付義務は、所得税法に定められており、給与の支払いの際に交付する必要があります。</strong></mark>なお、従業員の同意があれば<strong>電子交付も可能</strong>です。</p><p>銀行振込で支払う場合は、振込データの作成や提出期限にも注意が必要です。金融機関ごとに締め切りが異なるため、振込日に間に合うよう逆算してスケジュールを組む必要があります。</p><p>給与支払は従業員の生活に直結します。口座情報の確認まで丁寧に進めることが、信頼される給与管理の前提です。</p><p>なお、給与明細の作成方法や実務上の注意点は、別記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/labor/kyuuyo-meisai/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2bhVW17zAct11sOgKxoFK0/99db960045519de857e9262b29710810/EDrQQs4e2rmDVxE1778660406_1778660416.jpg" alt="" /><p><b>給与明細とは？見方・記載項目・計算方法から作成方法、保管期間を解説   </b></p><p><time dateTime="2026-05-14">2026.05.14</time></p><p><br></p></a></div></div></figure><h2>給与計算で押さえておきたい基本ルール</h2><p>給与額を計算する際は、労働基準法や社会保険のルールなど、さまざまな法令の理解が欠かせません。これらを十分に把握しないまま計算を進めてしまうと、意図せず法令違反につながる可能性があります。</p><p>本章では、給与計算にあたって押さえておきたい基本的なルールを解説します。</p><h3>賃金支払いの5原則</h3><p><a href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_3-At_24" target="_blank">労働基準法第24条</a>には、労働者の生活を確実に保障するための賃金支払いの基本ルールが定められています。「賃金支払いの5原則」とよばれ、給与計算の実務では必ず押さえておくべきルールです。</p><p>ルールに違反する運用は労働基準法違反となるおそれがあるため、<strong>「どこまでが原則で、どこからが例外として認められるのか」</strong>を正しく理解する必要があります。</p><p>賃金支払いの5原則は、以下のとおりです。</p><table><thead><tr><th><div>原則</div></th><th><div>内容</div></th><th><div>実務上のポイント・例外</div></th></tr></thead><tbody><tr><th><div>（1）通貨払いの原則<br></div></th><td><div>賃金は現金（通貨）で支払う<br><br><br></div></td><td><div>労働者の同意があれば銀行振込が可能。また一定の要件を満たせば、デジタル払いも可能<br></div></td></tr><tr><th><div>（2）直接払いの原則<br></div></th><td><div>労働者本人に直接支払う<br></div></td><td><div>代理人への支払いは禁止<br></div></td></tr><tr><th><div>（3）全額払いの原則<br></div></th><td><div>賃金は全額支払う<br></div></td><td><div>法令にもとづく税金の控除や労使協定に定めのある組合費などの控除は可能<br></div></td></tr><tr><th><div>（4）毎月1回以上払いの原則<br></div></th><td><div>賃金は毎月1回以上支払う<br></div></td><td><div>賞与など臨時に支払われる賃金は対象外<br></div></td></tr><tr><th><div>（5）一定期日払いの原則<br></div></th><td><div>賃金は毎月一定の期日に支払う<br></div></td><td><div>毎月末日など、特定の支払日を定める必要がある。20～25日の間など幅のある期日指定は不可<br></div></td></tr></tbody></table><p></p><p>とくに実務上トラブルになりやすいのが「直接払いの原則」と「全額払いの原則」です。</p><p><mark><strong>たとえば、給与振込口座を配偶者の口座にすることは、本人の同意があっても直接払いの原則のルールに違反します。</strong></mark></p><p>また、企業が従業員に対して有する貸付金や損害賠償金などを、本人の同意なく給与から差し引くのは全額払いの原則に抵触するため注意が必要です。</p><p>5原則のルールと例外を理解し、法令違反とならない運用を心がけましょう。</p><h3>最低賃金制度</h3><p>最低賃金制度とは、従業員に支払う賃金の最低基準額を定めている制度です。<mark><strong>企業は、正社員、パートなどの雇用形態にかかわらず最低賃金以上の賃金を支払う必要があります。</strong></mark></p><p>最低賃金は、大きく分けて以下の2種類があります。</p><ol><li><strong>地域別最低賃金</strong><ul><li>原則として、すべての労働者に適用されます。</li></ul></li><li><strong>特定（産業別）最低賃金</strong><ul><li>特定の地域内の特定産業に従事する労働者に適用されます。</li></ul></li></ol><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/4Fn5LDGV2leaK0mhpSRlPs/bf12a89eb9287d26b18c5e138e2b54d9/image5.png" alt="最低賃金について表した表" /><figcaption><p>（出典）<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001314791.pdf" target="_blank">最低賃金制度パンフレット - 厚生労働省</a></p></figcaption></figure><p>地域別と産業別最低賃金の両方が適用される場合は、<strong>高いほうの最低賃金を支払わなければいけません。</strong></p><p>給与計算では、給与が最低賃金以上となっているかの確認が必須です。地域別最低賃金は、<strong>例年10月ごろに改定されるケースが多いため</strong>、情報を見逃さないようにしましょう。</p><p>厚生労働省のサイトでは、地域や給与額を入力すると最低賃金を下回っていないか確認できるツールを公開しています。必要に応じて活用するとよいでしょう。</p><p>（参考）<a href="https://saiteichingin.mhlw.go.jp/check/analyze.php" target="_blank">あなたの賃金を比較チェック - 厚生労働省</a></p><h3>社会保険・労働保険の加入条件</h3><p>正確な給与計算を実施するためには、社会保険・労働保険の加入条件を正しく理解する必要があります。非加入の従業員から誤って控除しないよう、加入対象者を一覧などで管理しましょう。</p><p>労働保険には、労災保険と雇用保険がありますが、<strong>労災保険料は全額企業が負担するため、</strong>給与からの控除は発生しません。</p><p>社会保険（健康保険・厚生年金保険）および雇用保険の主な加入条件は、以下のとおりです。</p><ol><li>特定適用事業所（厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業）の場合<ul><li>週の所定労働時間が20時間以上</li><li>所定内賃金が月額88,000円以上</li><li>2か月を超える雇用見込みがある</li><li>学生でないこと<br></li></ul></li><li>特定適用事業所以外（厚生年金保険の被保険者数が51人未満）の場合<ul><li>正社員（フルタイム）は原則加入</li><li>パート・アルバイトは、フルタイムで働く従業員の所定労働時間の4分の3以上であれば加入</li></ul></li></ol><p>週の所定労働時間が20時間以上で、かつ31日以上の雇用見込みがある場合に加入となります。</p><p>社会保険・雇用保険の加入条件は、別記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><ul><li><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/procedure/syakaihoken-kanyu-jouken/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/3JKntTNJTeNYpFo33acwJ/79d6ebe02013ac0c9a1975006f0f0fa8/syakaihoken-kanyu-jouken_eyecatch.jpg" alt="" /><p><b>社会保険の加入条件とは？パートや扶養の基準と社会保険適用拡大を解説</b></p><p><time dateTime="2026-04-30">2026.04.30</time></p><p><br></p><p><br></p><p><br></p><p><br></p></a></li><li><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/procedure/syakaihoken-toha/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2oQbZEPvkQAxGexNbH1rnQ/c464fc5c6b19d86baa46950a83aa929c/syakaihokentoha.png" alt="" /><p><b>社会保険とは？加入条件や手続きの基本から、扶養判定や任意継続の仕組みまで解説 </b></p><p><time dateTime="2026-04-27">2026.04.27</time></p></a></li><li><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/procedure/koyouhoken-kanyu-jouken/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/70IQ2NonegxuBpl9BeOu9b/0d16d2418eaa931a8fc5349cbec4962e/%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3___%C3%A9__%C3%A7__%C3%A4__%C3%A9_%C2%BA_%C3%A5__%C3%A5__%C3%A6__%C3%A4__.png" alt="" /><p><b>雇用保険の加入条件とは？企業と従業員それぞれの適用条件と加入しないケースを解説</b></p><p><time dateTime="2026-04-28">2026.04.28</time></p></a></li></ul></figure><h3>割増賃金の計算方法</h3><p>時間外労働や休日労働、深夜労働が発生した場合は、通常の賃金に一定の割増率を上乗せして計算します。割増率は労働基準法で定められており、企業はその基準以上を支払う必要があります。</p><p>主な割増率は以下のとおりです。</p><table><thead><tr><th><div>種類</div></th><th><div>内容</div></th><th><div>割増率</div></th></tr></thead><tbody><tr><th><div>時間外労働</div></th><td><div>法定労働時間（1日8時間・週40時間）を超えて残業した場合</div></td><td><div>25%</div></td></tr><tr><th><div>時間外労働(60時間超)</div></th><td><div>月60時間を越える時間外労働</div></td><td><div>50%以上</div></td></tr><tr><th><div>法定休日労働</div></th><td><div>法定休日に労働した場合</div></td><td><div>35%</div></td></tr><tr><th><div>深夜労働</div></th><td><div>22時から翌朝5時までの間に労働した場合</div></td><td><div>25%</div></td></tr></tbody></table><p><mark><strong>なお、割増賃金の区分が重なる場合は、割増率を合算して計算しなければいけません。</strong></mark>たとえば、法定休日に深夜労働をした場合は、「法定休日の35％」と「深夜労働の25％」をあわせて、合計60％以上の割増率で計算します。</p><p>月給制の場合は、月給から時間単価（1時間あたりの賃金）を割り出し、時間単価に割増率をかけて計算します。</p><p>時間単価や1日あたりの賃金を算出する際は、原則としてすべての手当を含めますが、一部の手当は除外が認められています。除外できる手当は、以下のとおりです。</p><ul><li>家族手当</li><li>通勤手当</li><li>別居手当</li><li>子女教育手当</li><li>住宅手当</li><li>臨時に支払われた賃金</li><li>1か月を超えるごとに支払われる賃金</li></ul><p><mark><strong>ただし、家族手当や住宅手当について、扶養人数や家賃額などに応じた支給ではなく一律で支給している場合は、除外せず賃金単価に含める必要があります。</strong></mark></p><p>（参考）<a href="https://jsite.mhlw.go.jp/miyazaki-roudoukyoku/library/miyazaki-roudoukyoku/pamphlet-leaflet/10_kijun/kijun_014.pdf" target="_blank">割増賃金の基礎となる賃金とは？ - 厚生労働省</a></p><h2>給与形態別の給与計算</h2><p>給与計算は、月給制か時給制かにより、計算のプロセスが異なります。本章では、月給制と時給制に分けて、給与形態別の給与計算例を詳しく解説します。</p><h3>【月給制】の給与計算</h3><p>月給制の給与計算では、割増賃金の算定基礎に含まれる手当の範囲や、欠勤控除の方法で迷うケースがあります。ここでは、月給制における給与計算の基本的な考え方と具体的な計算方法を解説します。</p><p><strong>【例】</strong><br>・月給：250,000円（内訳：基本給 220,000円、役職手当 30,000円）<br>・1日の所定労働時間：8時間<br>・月の所定労働日数：20日<br>・月の所定労働時間：160時間<br>・勤怠データ：残業20時間（法定外労働のみ、割増率25％）、欠勤日数1日</p><p>月給を月の所定労働時間で割って、時間単価を計算します。</p><p>月給250,000円÷160時間＝1,562.5円／時間</p><p>欠勤控除をするために、1日あたりの単価を計算します。</p><p>月給250,000円 ÷　20日＝12,500円／日</p><p><a href="https://www.mhlw.go.jp/churoi/roushi/dl/R021012-2.pdf" target="_blank">ノーワーク・ノーペイの原則</a>にもとづき、不就労分を控除します。<mark><strong>ノーワーク・ノーペイの原則とは、働かなかった時間に対しては給与を支払わなくてよいという考え方です。</strong></mark></p><p>完全月給制の場合は、不就労日や不就労時間があっても控除しないのが一般的ですが、多くの企業では日給月給制（月給制をベースに欠勤・遅刻・早退などの不就労分を控除する給与体系）を採用しています。その場合は欠勤や遅刻・早退などの不就労分を控除します。</p><p><strong>欠勤控除<br></strong>12,500円×1日＝<strong>12,500円</strong><br><strong><br>遅刻・早退控除<br></strong>なし</p><p>割増賃金は「時間単価 × 割増率 × 残業時間数」で計算します。</p><p><strong>残業代<br></strong>1,562.5円×1.25×20時間＝39,062.5円<br>小数点以下を切り上げ→<strong>39,063円</strong></p><p>1か月の時間外手当の合計に端数が生じた場合、<strong>50銭未満は切り捨て、50銭以上は切り上げ</strong>るのが一般的です。端数処理の方法を賃金規程などにも明記し、従業員が不利にならないよう統一的な運用をしましょう。</p><p>最後に、月給から不就労控除を差し引き、残業代を加算します。</p><p>250,000円−12,500円（欠勤控除）＋39,063円（残業代）＝<strong>276,563円（総支給額）</strong></p><h3>【時給制（アルバイト・パート）】の給与計算</h3><p>時給制の場合は、時給×実労働時間で計算します。<mark><strong>月給制と異なり、働いた時間分だけ賃金が発生するため、勤怠データの集計精度が賃金額に直結します。</strong></mark></p><p>具体的な計算例は、以下のとおりです。</p><p><strong>【例】</strong><br>・時給1,300円<br>・1日の所定労働時間：7時間<br>・週の所定労働時間：3日<br>・勤怠データ：1日だけ残業が発生し、10時間勤務。そのほかの日は7時間勤務。<br>・総労働時間：87時間<br>　（内訳）<br>　・所定内労働時間：84時間（7時間×12日）<br>　・法定内残業（1日8時間未満）：1時間<br>　・法定外残業（1日8時間超）：2時間</p><p>時給1,300円×84時間＝109,200円</p><p>このケースでは、週40時間の法定労働時間は超えていませんが、1日8時間を超えた部分については25％の割増率を適用して計算します。</p><p>一方で、1日8時間以内の範囲で発生した残業（法定内残業）については、割増賃金の支払いは不要です。そのため、法定内残業と法定外残業を分けて計算します。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7tUahTs6pJWkRLYd6jdXNi/dce4123cdf2cdd5a83b1bc6df03e4e04/image8.png" alt="法廷内残業と法定外残業の違いを表した図" /></figure><p><strong>法定内残業（1日8時間未満）<br></strong>時給1,300円×1時間=<strong>1,300円</strong></p><p><strong>法定外残業（1日8時間超）　<br></strong>時給1,300円×1.25×2時間=<strong>3,250円</strong></p><p><mark>残業代合計：</mark><mark><strong>4,550円</strong></mark></p><p>基本給109,200円＋残業代4,550円＝<strong>113,750円（総支給額）</strong></p><h2>給与計算で起こりやすいミスと注意点</h2><p>給与計算に影響する法改正や保険料率の改定を漏れなく反映するためには、タイムリーな情報収集が欠かせません。また、勤怠の集計を誤ると支給額に影響するため、慎重に確認する必要があります。</p><p>本章では、給与計算の実務で起こりやすいミスやトラブルの具体例を取り上げ、その原因や防止のポイントについて解説します。&nbsp;</p><h3>最新の法改正や保険料率の改定を見落とさない</h3><p>給与計算に影響する法改正や保険料率の改定は、年に複数回発生します。<strong>改定を見落としたまま計算を続けると、過不足が生じ、従業員の信頼を損なうなどのリスク</strong>があります。</p><p>とくに注意が必要な改定タイミングは以下のとおりです。</p><p>健康保険料率は<strong>毎年3月分（4月納付分）</strong>から改定されるのが一般的です。また、算定基礎届にもとづく標準報酬月額の改定は<strong>毎年9月分（10月納付分）</strong>から反映されるため、3月と9月は保険料が変動する場合があります。事務作業も増えるため、事前の準備を怠らないようにしましょう。</p><p>雇用保険の年度は4月1日から翌年3月31日までのため、保険料率は原則として4月から見直されます。事業主負担・従業員負担ともに変更となるケースが多いため、料率の更新漏れに注意が必要です。</p><p>直近の例として、2026年4月分（5月納付分）から<a href="https://www.cfa.go.jp/policies/kodomokosodateshienkinseido" target="_blank">「子ども・子育て支援金」</a>の徴収が段階的に始まりました。子ども・子育て支援金は医療保険料に上乗せして徴収される支援金で、<strong>2026年度から2028年度にかけて段階的に料率が引き上げられる予定</strong>です。</p><p>健康保険料率の改定は3月分から適用される一方で、支援金の徴収は4月分から開始され、適用時期が異なる点に注意が必要です。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/labor/kodomo-kosodate-shienkin/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/32bMGLpRVexEs8ER8KT7RI/45290b9738ae8c045a3cbfafe8e68e0d/202601_%C3%A5__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A5__%C3%A8__%C3%A3__%C3%A6__%C3%A6__%C3%A9__-1.png" alt="" /><p><b>子ども・子育て支援金とは？独身税と誤解される制度の本質と企業対応を社労士が解説　</b></p><p><time dateTime="2026-01-26">2026.01.26</time></p></a></div></div></figure><h3>勤怠データや残業時間の確認ミス</h3><p>給与計算の基礎となる勤怠データに誤りがあると、その後の計算結果にも直接影響します。とくに、<strong>打刻漏れや申請漏れ、残業時間の集計ミスは、起こりやすいトラブル</strong>のひとつです。</p><p>打刻漏れが未修正のまま集計されると、本来の労働時間より少なく計算され、未払い残業につながるおそれがあります。また、残業時間の集計方法を誤ると、割増賃金の計算にも影響が及びます。</p><p>こうしたミスを防ぐためには、締め日前に従業員へ打刻漏れや申請漏れの確認を促すとともに、集計データを慎重に確認する必要があります。</p><p>勤怠管理システムを使用している場合でも、勤務区分の設定を誤ると正しく集計されません。集計結果だけでなく、設定内容に誤りがないかも、ダブルチェックやチェックリストを活用して確認しましょう。&nbsp;</p><h3>端数処理の間違い（切り捨て・四捨五入のミス）</h3><p>給与計算における端数処理には、「労働時間集計の端数処理」と「賃金計算の端数処理」の2つがあります。従業員が不利になる端数処理は、賃金全額払いの原則に違反する可能性があります。</p><p>勤怠集計では、原則として、1分単位で労働時間を把握・集計する必要があります。たとえば、30分未満や15分未満の端数切り捨ては認められていません。</p><p>賃金支払いの便宜上の取り扱いとして、例外的に認められている端数処理があります。</p><blockquote><p>1か月における時間外労働、休日労働および深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。</p><p>引用：<a href="https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/content/contents/001856612.pdf" target="_blank">行政通達（昭和63年3月14日、基発第150号）│労働基準法関係通達</a></p></blockquote><p>給与計算の計算途中で発生した端数処理で認められている方法は、以下のとおりです。</p><blockquote><p>・1時間あたりの賃金額および割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。</p><p>・1か月の賃金支払額に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払うこと。</p><p>引用：<a href="https://kkashima33.sakura.ne.jp/sblo_files/kashima-sr/image/E9809AE98194E99B86.pdf" target="_blank">行政通達（昭和63年3月14日、基発第150号）│労働基準法関係通達</a></p></blockquote><p>端数処理の方法が統一されていないと、担当者やシステムごとに計算結果が異なる原因となります。<mark><strong>端数処理のルールは賃金規程などに明記し、社内で統一して運用しましょう。</strong></mark></p><h3>過去分の遡及計算の対応漏れ</h3><p>給与計算では、あとから計算誤りや設定ミスが判明し、遡及計算（過去にさかのぼっての再計算）が必要になる場合があります。</p><p>支給額や控除額の計算過程で起こりやすいミスの例を確認して、自社の給与計算を今一度見直しましょう。</p><ul><li>月途中入社などで日割り計算をした際に、翌月以降に本来戻すべき金額の調整を失念してしまう</li><li>勤怠集計の誤りにより、残業代に過不足が生じる</li><li>随時改定（固定的賃金の大幅な変動による標準報酬月額の改定）が発生した際に、社会保険料の等級変更を反映し忘れる</li><li>社会保険の加入・非加入の判定を誤り、本来控除すべきでない従業員から保険料を控除してしまう</li></ul><p>誤りが判明したら、影響が及ぶ期間と金額を正確に把握したうえで、直近の給与で調整をします。あわせて、該当の従業員へミスの原因も含め丁寧に説明し、過不足の調整について同意を得る必要があります。</p><p>とくに退職者の給与は、次月給与で調整ができないため、より慎重に確認をしましょう。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6tLi4DqvMBKEoAF4UzToT5/c642b0679512f8aae8d9e80cabcc3d59/image7.png" alt="給与計算で起こりやすいミスと注意点を表した表" /></figure><h2>給与計算を効率化する方法</h2><p>給与計算は毎月発生し、法改正への対応や勤怠データの確認など、担当者の負担が大きい仕事のひとつです。本章では、給与計算業務の負担を軽減する主な方法を紹介します。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/K337mCe6xXZ3X8PY1HsMt/5668251c993e290c0e1e6bc2678b907e/%E7%B5%A6%E4%B8%8E%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%A5%AD%E5%8B%99%E3%81%AE%E8%B2%A0%E6%8B%85%E3%82%92%E8%BB%BD%E6%B8%9B%E3%81%99%E3%82%8B%E6%96%B9%E6%B3%95.png" alt="給与計算業務の負担を軽減する方法" /></figure><h3>給与計算ソフト・アプリの活用</h3><p>給与計算の効率化を図る方法のひとつとして、給与計算ソフトの活用があります。</p><p>給与計算ソフトは、勤怠データの取り込みから総支給額・控除額の計算、給与明細の作成・配布までを一括して処理できるシステムです。クラウド型のソフトでは、PCブラウザだけでなくスマートフォンアプリで勤怠データの確認や明細閲覧ができるサービスも増えています。</p><p>近年では、自社サーバーにシステムを構築するオンプレミス型から、インターネット経由で利用するクラウド型の給与計算システムへ移行する企業が増えています。</p><p>給与計算ソフトは、業務効率化に有効ですが、導入時の初期設定や端数処理の設定が自社の運用と合っているか必ず確認しましょう。設定が誤ったまま運用されると、その後の計算結果にも継続的に影響し、誤りに気づきにくい点に注意が必要です。</p><p><a href="https://smarthr.jp/labor-management/function/payroll/" target="_blank">SmartHRの給与計算機能</a>なら、給与計算のエキスパートが要件整理から設定代行まで支援し、自社に合った形でシステム移行を進められます。初期設定の不安を抑えながら、早期の自走化と給与計算業務の生産性向上が期待できます。</p><figure><figcaption><b>SmartHRの給与計算</b></figcaption><div><div><a href="https://smarthr.jp/labor-management/function/payroll/"><img src="" alt="" /><p>給与計算｜SmartHR｜シェアNo.1のクラウド人事労務ソフト</p><p>https://smarthr.jp/labor-management/function/payroll/</p></a></div></div></figure><h3>給与計算アウトソーシング・BPO（業務プロセス委託）の活用</h3><p>給与計算業務を社外の専門会社に委託するアウトソーシングも、業務効率化の有効な手段のひとつです。担当者の工数削減だけでなく、法改正への対応や計算精度の向上も期待できます。</p><p>主な委託先は、以下のとおりです。</p><p>給与計算をはじめとした各種バックオフィス業務を幅広く受託する会社です。大量処理に強く、コストを抑えやすい点が特徴です。給与計算システムとの連携に対応しているケースも多く見られます。</p><p>給与計算に特化したサービスを提供する会社です。セキュリティやコンプライアンス体制が整っており、イレギュラーなケースへの対応力が高い傾向があります。従業員数が多い企業や、処理件数が多い場合に向いています。&nbsp;</p><p>給与計算に加え、社会保険の手続きや労務相談まで一体的に依頼できる点が強みです。従業員数が少ない企業や、社内に労務の専門知識をもつ人材がいない場合に適しています。&nbsp;</p><p>一方で、外部委託には注意点もあります。従業員からの給与に関する問い合わせに即座に回答できないケースがあるほか、必要なデータのやり取りに一定の時間がかかることがあります。また、業務を外部に任せると、自社内に給与計算のノウハウが蓄積されにくい点にも留意が必要です。</p><p>委託先を選ぶ際は、情報セキュリティ体制、対応スピード、費用などを総合的に比較検討することが大切です。また、委託後も給与計算の最終確認は社内でおこなう体制を維持し、任せきりにならないよう注意しましょう。</p><h2>正確な給与計算で従業員が安心できる給与管理を実現しよう</h2><p>毎月発生する定型業務でありながら、法令や社会保険制度に関する幅広い知識が求められる、責任の大きい仕事です。一つのミスが従業員の信頼や生活に影響する可能性もあるため、丁寧な運用が欠かせません。</p><p>法改正や保険料率の変更を適切なタイミングで反映し、勤怠データや計算過程を丁寧に確認することが、正確な給与管理の前提です。</p><p>また、給与計算ソフトの活用やアウトソーシングの検討により、業務効率化と計算精度の向上を図ることも有効です。</p><p>日々の業務フローを見直し、チェック体制を整えることが、従業員の信頼を支える正確な給与計算の第一歩です。ミスを未然に防ぐ仕組みづくりを通じて、従業員が安心して働ける給与管理の実現につながれば幸いです。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/22kniuMMM8QyPPYnOH4CFW/392e9a7adbc4a7c8df1cf283bd5e5c98/3%C3%A5__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%AF__%C3%A7%C2%B5_%C3%A4__%C3%A8__%C3%A7___h1.png" alt="" /><p><b>3分でわかる！SmartHRの給与計算</b></p><p></p><p><a href="https://smarthr.jp/know-how/ebook/ebook_320-20/" target="_blank" rel="noopener">いますぐダウンロード</a></p></figure>]]></content:encoded>
      </item>
    
      <item>
        <title><![CDATA[【計算例付き】残業代の計算方法とは？計算式・基礎賃金・割増率を給与形態別に解説]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/hr/procedure/zangyodai-keisan/</link>
        <pubDate>Thu, 21 May 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[人事・労務]]></category>
        <category><![CDATA[手続き]]></category>
        <guid isPermaLink="true">https://mag.smarthr.jp/hr/procedure/zangyodai-keisan/</guid>
        <dc:creator><![CDATA[特定社会保険労務士 長澤 千晴]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[残業代の計算式や基礎賃金の考え方、割増率の種類など、残業代計算の実務ポイントをまとめました。基礎賃金に含める手当の判定や端数処理を誤ると、未払い残業代として遡及請求されるリスクがあります。給与形態別の計算方法まで、正確な計算ができるよう確認しましょう。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6DJR13SdEymdV1JKtvm8BU/47746a9c2bbe89d7ad231d5b61d2cb1a/yjUl4ObCCLdgcbw1779098630_1779098645.jpg" alt=""></div><p>残業代の計算は、給与計算のなかでもとくにミスが起きやすい分野です。基本給のみを基礎賃金とする計算や本来算入すべき場合の住宅手当の除外は、未払い残業代のトラブルを招くおそれがあります。</p><p>さらに、2023年4月から中小企業にも適用された月60時間超の割増率引き上げなど、法改正への対応も求められます。</p><p>本記事では、残業代の計算式や基礎賃金の考え方、割増率の種類から、月給制・時給制・日給制・年俸制ごとの計算方法まで、わかりやすく解説します。</p><h2>残業代の計算方法と計算式【3ステップで解説】</h2><p>ここでは、残業代の計算式と3ステップでの計算手順を解説します。各ステップに計算例も記載していますので、自社の状況に当てはめながら確認してみてください。</p><p><mark><strong>残業代の基本の計算式は「1時間あたりの基礎賃金 × 残業時間 × 割増率」です。</strong></mark>給与形態（月給・時給・日給・年俸）や労働時間制度によって、基礎賃金や割増率の取り扱いが異なります。</p><p>残業代の計算において法律上の支払い義務が生じるのは、法定労働時間を超えた時間外労働・法定休日労働・深夜時間帯（22時〜翌5時）の労働に対する割増賃金です。人事・労務の実務では「時間外手当」「残業手当」と呼ばれることもあります。</p><p><strong>深夜労働は、残業かどうかにかかわらず、深夜時間帯に働いた場合は割増賃金が発生する点に注意が必要です。</strong></p><h3>残業代の計算式</h3><p>残業代の計算式は以下のとおりです。</p><p><mark><strong>残業代 = 1時間あたりの基礎賃金 × 残業時間 × 割増率</strong></mark></p><p>「基礎賃金」とは、月給や時給のことではなく、残業代の算定基礎となる1時間あたりの賃金です。</p><p>基本給だけでなく、除外が認められていない各種手当も含めて算出します。割増率は、残業の種類によって異なります。具体的には次のとおりです。</p><ul><li><strong>時間外労働：25％以上（月60時間を超える部分は50％以上）</strong></li><li><strong>法定休日労働：35％以上</strong></li><li><strong>深夜労働：25％以上</strong></li></ul><p>各割増率の詳細や具体的な計算例については、以降で解説します。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6ZaoMUT1nDgObDefECPe6a/eb5b3236c9c58c56b99ee0be9b7f6917/%E6%AE%8B%E6%A5%AD%E4%BB%A3%E3%81%AE%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%96%B9%E6%B3%95_1%E6%9E%9A%E5%9B%B3%E8%A7%A3__1_.png" alt="null" /></figure><h3>【ステップ1】1時間あたりの基礎賃金を計算する</h3><p>残業代計算の第一歩は、「1時間あたりの基礎賃金」の計算です。ここでは月給制を例に解説します。</p><p>基礎賃金は、月給から除外が認められた手当（除外賃金）を差し引いた額を、1か月平均所定労働時間で割って算出します。具体的な計算式は次のとおりです。</p><p><strong>1時間あたりの基礎賃金 =（月給 - 除外賃金）÷ 1か月平均所定労働時間</strong></p><p>1か月平均所定労働時間は、「年間所定労働日数 × 1日の所定労働時間 ÷ 12か月」で計算します。たとえば、年間所定労働日数240日・1日8時間の場合は、以下になります。</p><p><strong>240日 × 8時間 ÷ 12か月 = 160時間</strong></p><p>なお、<strong>「除外賃金」とは、残業代の計算基礎から除外が認められた手当のことです。</strong></p><p>基本給のみで計算すると誤りとなるおそれがあるため、注意が必要です。また、除外賃金の詳細は後述します。</p><h4>計算例</h4><p>基本給300,000円（手当なし）、1か月平均所定労働時間160時間の場合、次のように計算します。</p><p><mark><strong>1時間あたりの基礎賃金 = 300,000円 ÷ 160時間 = 1,875円</strong></mark></p><p>【ステップ2】残業時間を確認する</p><p>次に、割増賃金の対象となる残業時間を確認します。<mark><strong>残業の種類によって割増率が異なるため、労働時間の内訳を正確に把握することが重要です。</strong></mark></p><p>残業の種類は、次の3つです。</p><ol><li><strong>時間外労働</strong><ul><li>法定労働時間である1日8時間または週40時間を超えた労働</li></ul></li><li><strong>法定休日労働</strong><ul><li>労働基準法で定められた週1回の法定休日における労働</li></ul></li><li><strong>深夜労働</strong><ul><li>22時〜翌5時の労働</li></ul></li></ol><p>なお、<strong>これらが重なる場合（深夜の時間外労働など）は、割増率が加算されます。</strong></p><h4>計算例（ステップ1の続き）</h4><p>基礎賃金1,875円の従業員が、月間20時間の時間外労働をした場合で解説します。</p><ul><li><strong>基礎賃金：1,875円</strong></li><li><strong>割増対象の残業時間：20時間</strong></li></ul><h3>【ステップ3】割増率をかける</h3><p>最後に、ステップ2で確認した基礎賃金と残業時間に割増率をかけて、残業代を算出します。</p><p>残業の種類ごとの法定の最低割増率は、次のとおりです。</p><ol><li><strong>時間外労働</strong>：25％以上（月60時間を超える部分は50％以上）</li><li><strong>法定休日労働</strong>：35％以上</li><li><strong>深夜労働</strong>：25％以上</li></ol><p>これらの割増率が重なる場合は、加算されます。<mark><strong>たとえば、時間外労働＋深夜労働は50％以上、法定休日労働＋深夜労働は60％以上となります。</strong></mark></p><h4>計算例（完成）</h4><p>ステップ1で算出した基礎賃金1,875円、ステップ2で確認した時間外労働20時間に、割増率25％をかけて残業代を計算します。</p><p><mark><strong>残業代 = 1,875円 × 20時間 × 1.25 = 46,875円</strong></mark></p><h2>残業代計算の基礎となる賃金の考え方</h2><p>ここでは、残業代の計算基礎となる「基礎賃金」について、含める賃金と除外できる手当の考え方を整理します。</p><p><mark><strong>残業代の計算では、「基礎賃金に何を含めるか」が実務上、とくに誤りやすいポイントです。</strong></mark></p><p>基本給だけを計算の基礎としている場合がありますが、法律上は多くの手当を基礎賃金に含めなければなりません。一方で、法律上除外が認められた手当も一部あります。</p><h3>残業代計算に含める賃金と除外できる手当</h3><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2GuWWihCEGP7KgDs3ryxJj/971a3c52d4766daa1aa515ddb819f2d7/%E6%AE%8B%E6%A5%AD%E4%BB%A3%E3%81%AE%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%96%B9%E6%B3%95_1%E6%9E%9A%E5%9B%B3%E8%A7%A3__2_.png" alt="null" /></figure><p>残業代の計算基礎（基礎賃金）には、原則としてすべての賃金が含まれます。例外として、<a href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023#Mp-At_21" target="_blank">労働基準法施行規則第21条</a>が定める次の7種類の手当のみ、除外が認められています。</p><ol><li><strong>家族手当</strong>（扶養家族の人数に応じて支給されるもの）</li><li><strong>通勤手当</strong>（通勤距離や実費に応じて支給されるもの）</li><li><strong>別居手当</strong></li><li><strong>子女教育手当</strong></li><li><strong>住宅手当</strong>（住宅費用の実額に応じて算定されるもの）</li><li><strong>臨時に支払われた賃金</strong>（結婚祝い金など）</li><li><strong>1か月を超える期間ごとに支払われる賃金</strong>（年4回以下の賞与など）</li></ol><p><mark><strong>上記7つに該当しない手当（役職手当・資格手当・皆勤手当など）は、すべて基礎賃金に算入しなければなりません。</strong></mark></p><h3>判断に迷いやすい除外賃金</h3><p>除外できる手当かどうかは、「名称」ではなく「<strong>支給の実態</strong>」で判断します。とくに次の3つの手当は誤りやすいため、注意が必要です。</p><h4>1. 家族手当</h4><p>扶養家族の人数に応じて支給額が変わる場合は除外できますが、<strong>全員に一律で支給している場合は除外できません。</strong></p><h4>2. 通勤手当</h4><p>実際の通勤距離や交通費に応じて支給される場合は除外できますが、<strong>全員に一律で支給している場合は除外できません。</strong></p><h4>3. 住宅手当</h4><p>実際の住宅費用（家賃）に応じて支給額が変わる場合は除外できますが、<strong>賃貸・持家・金額に関係なく一律で支給している場合は除外できません。</strong></p><p>「月〇万円の住宅手当」として全員に同額を支給している企業は多いですが、この場合は除外できず、基礎賃金に含めなければなりません。</p><p>なお、<mark><strong>一律支給の手当を誤って除外していた場合、未払い残業代として遡及して請求されるおそれがあります。</strong></mark>手当の支給根拠と実態を、いま一度確認しましょう。</p><h2>残業の種類と割増率</h2><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/11UDnkDgu6m5r6486qeXo5/1a76ae7c028c2f29cb1471d9c987d76a/%E6%AE%8B%E6%A5%AD%E4%BB%A3%E3%81%AE%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%96%B9%E6%B3%95_1%E6%9E%9A%E5%9B%B3%E8%A7%A3__3_.png" alt="null" /></figure><p>ここでは、残業の種類ごとの割増率と計算の考え方を解説します。残業の種類によって割増率は異なるため、それぞれの内容を正確に押さえましょう。</p><h3>（1）時間外労働の割増率（25％以上）</h3><p><strong>法定労働時間（1日8時間・週40時間）を超えた時間外労働には、25％以上の割増賃金が必要です。</strong>「1日8時間」「週40時間」のいずれかを超えた時点で、割増賃金の対象となります。</p><p>なお、所定労働時間が法定労働時間より短い企業（たとえば1日7時間）では、7時間を超え8時間以内の労働は割増賃金の対象になりませんが、<mark><strong>8時間を超えた部分から25％以上の割増賃金が必要となります。</strong></mark></p><p>ただし、就業規則や労働協約で「所定労働時間を超えた時点から割増賃金を支払う」と定めている場合は、その規定が優先されます。自社の就業規則もあわせて確認しましょう。</p><h3>（2）月60時間を超える時間外労働の割増率（50％以上）</h3><p><strong>1か月の時間外労働が60時間を超えた場合、60時間を超えた部分の割増率は50％以上に引き上げられます。</strong></p><p>この規定は、<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf" target="_blank">2023年4月から中小企業にも適用</a>され、現在は企業規模に関係なくすべての企業が対象です。</p><p>なお、<strong>引き上げ分の支払いに代えて「代替休暇制度」を活用する方法もあります。</strong>代替休暇制度とは、労使協定を締結した場合に、月60時間を超える時間外労働に対する割増率50％のうち、引き上げ分にあたる25％相当を有給休暇で代替できる制度です。</p><p>ただし、<mark><strong>通常の25％分は有給休暇に代えられず、現金で支払う必要があります。</strong></mark></p><h4>計算例</h4><p>基礎賃金2,000円の従業員が、1か月に時間外労働を70時間（うち60時間を超える部分が10時間）実施した場合の計算例は、次のとおりです。</p><ul><li>60時間分：2,000円 × 60時間 × 1.25 = 150,000円</li><li>60時間超の10時間分：2,000円 × 10時間 × 1.50 = 30,000円<ul><li><strong><p><mark>合計：180,000円</mark></p></strong></li></ul></li></ul><h3>（3）深夜労働の割増率（25％以上）</h3><p><strong>22時〜翌5時の時間帯に労働した場合は、深夜労働として25％以上の割増賃金が必要です。</strong></p><p>深夜労働がほかの労働と重なる場合は、割増率が加算されます。</p><ul><li><strong>時間外労働＋深夜労働<br></strong>25％（時間外）+ 25％（深夜）= 50％以上</li><li><strong>法定休日労働＋深夜労働<br></strong>35％（休日）+ 25％（深夜）= 60％以上</li></ul><p>深夜労働の割増賃金は、残業か所定内労働かを問わず、22時〜翌5時に労働した場合に発生します。夜勤シフトなど所定内労働であっても対象となるため、注意が必要です。</p><p>さらに、<mark><strong>通常は残業代の支給対象外となる管理監督者であっても、深夜労働の割増賃金は支払う必要があります。</strong></mark></p><h3>（4）法定休日労働の割増率（35％以上）</h3><p><strong>「法定休日」（労働基準法が定める週1回以上の休日）に労働した場合は、35％以上の割増賃金が必要です。</strong></p><p>一方、「法定外休日」（企業が就業規則などで任意に設けた休日）への出勤は、その週の労働時間が40時間を超えた場合に時間外労働（25％以上）の割増賃金が必要となります。ただし、<mark><strong>休日割増（35％以上）は適用されません</strong></mark><mark>。</mark></p><p>なお、就業規則で「日曜日を法定休日とする」などと明示しておくことで、法定休日と法定外休日を区別しやすくなります。</p><h3>割増率が重なる場合の計算</h3><p>複数の条件が重なる場合、割増率は加算されます。実務上の主なパターンは、次の3つです。</p><h4>1.時間外労働＋深夜労働</h4><p>平日の22時〜翌5時に、法定労働時間を超えて働いた場合の割増率。</p><p><strong>25％（時間外）＋ 25％（深夜）＝ 50％以上</strong></p><h4>2.法定休日労働＋深夜労働</h4><p>法定休日の22時〜翌5時に労働した場合の割増率。</p><p><strong>35％（休日）＋ 25％（深夜）＝ 60％以上</strong></p><h4>3.月60時間超の時間外労働＋深夜労働</h4><p>1か月の時間外労働が60時間を超えた後の深夜労働の割増率。</p><p><strong>50％（60時間超の時間外）＋ 25％（深夜）＝ 75％以上</strong></p><h3>実務上での注意点</h3><p>なお、実務でミスが起きやすい点として、次の2つに注意が必要です。</p><ol><li><strong>法定休日労働と時間外労働は重複しない</strong><ul><li>法定休日労働は時間外労働の通算対象にならないため、法定休日に労働した場合は休日割増の35％以上のみ</li></ul></li><li><strong>法定休日労働の時間は、月60時間のカウントに含まれない</strong><ul><li>法定休日に何時間労働しても、月60時間超の50％割増の対象にはならない</li></ul></li></ol><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/1q4ZtV8B5hnc3N3SjVXYui/d33b3ad3123e7ab916fd09efc25a921d/%E6%AE%8B%E6%A5%AD%E4%BB%A3%E3%81%AE%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%96%B9%E6%B3%95_1%E6%9E%9A%E5%9B%B3%E8%A7%A3__4_.png" alt="null" /></figure><h3>副業・兼業（ダブルワーク）の残業代計算</h3><p>ここでは、副業・兼業（ダブルワーク）をしている従業員の残業代計算について、労働時間通算のルールと事業主の支払い義務を解説します。</p><p><strong>副業・兼業をしている従業員については、複数の事業所での労働時間が通算されます</strong><a href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_4-At_38" target="_blank"><strong>（労働基準法第38条第1項）</strong></a><strong>。</strong></p><p>労働時間の通算は、次の順序で実施します。</p><ol><li><strong>所定労働時間の通算</strong><ul><li>労働契約の締結が先の事業所（本業先）から順に通算</li></ul></li><li><strong>所定外労働（残業）の通算</strong><ul><li>所定外労働が発生した順に通算</li></ul></li></ol><p>割増賃金の支払い義務は、<mark><strong>通算によって法定労働時間を超える労働をさせた事業主が、それぞれ負う点に注意が必要です。</strong></mark></p><p>たとえば、所定労働時間8時間のA社と先に労働契約を締結し、その後、所定労働時間4時間のB社と労働契約を締結した場合の取り扱いは、次のとおりです。</p><ul><li><strong>A社での8時間<br></strong>法定労働時間内のため、割増賃金は不要</li><li><strong>B社での4時間<br></strong>通算で法定労働時間（1日8時間）を超えるため、<mark><strong>B社が4時間分の時間外労働の割増賃金（25％以上）を支払う</strong></mark></li></ul><p>なお、この労働時間通算のルールは、A社・B社の事業主が互いに他社での労働時間を把握していなくても適用されます。そのため、<strong>副業・兼業を容認している企業は、従業員の他社での労働時間を把握・管理する仕組みを整備しましょう。</strong></p><p>また、深夜労働が生じた場合は、深夜労働の割増賃金も各事業主が自社の労働時間分を支払う必要があります。</p><p>参考：<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000964082.pdf" target="_blank">「副業・兼業の促進に関するガイドライン」Q&amp;A - 厚生労働省</a></p><h2>給与形態や制度別の残業代の計算方法</h2><p><strong>月給制・時給制・日給制・年俸制など、給与形態によって「1時間あたりの基礎賃金」の算出方法は異なります。</strong>また、固定残業代制を導入している場合は、別途確認が必要です。</p><p>ここでは、給与形態（月給制・時給制・日給制・年俸制）や固定残業代制ごとの残業代の計算方法を整理します。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6owqqgPjzDpRYnIcZ9QhI/e9bf3f2f89849015002891c4103c2917/%E6%AE%8B%E6%A5%AD%E4%BB%A3%E3%81%AE%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%96%B9%E6%B3%95_1%E6%9E%9A%E5%9B%B3%E8%A7%A3__5_.png" alt="null" /></figure><h3>残業代と税金・社会保険料の関係</h3><p>残業代は給与（賃金）の一部として、所得税・住民税の課税対象となるとともに、雇用保険・健康保険・厚生年金などの保険料の計算基礎にも含まれます。そのため、<mark><strong>残業代の全額が手取りとして受け取れるわけではありません。</strong></mark></p><p>とくに注意が必要なのが、毎年4〜6月の残業です。健康保険・厚生年金保険・介護保険の保険料は「標準報酬月額」をもとに計算されており、4〜6月の3か月間の報酬（残業代を含む）の平均によって、1年間の保険料が決まる「<strong>定時決定（算定基礎届）</strong>」が実施されます。</p><p>そのため、<mark><strong>4〜6月に残業が集中すると標準報酬月額が上がり、9月から翌年8月までの社会保険料が高くなる可能性があります。</strong></mark>従業員から「残業したのに手取りが減った気がする」と相談を受けるケースもあるため、仕組みを正確に説明できるよう準備しておきましょう。</p><h3>（1）月給制の残業代の計算方法</h3><p>月給制の場合の計算式は、次のとおりです。</p><ul><li><strong><p>1時間あたりの基礎賃金 =（月給 - 除外賃金）÷ 1か月平均所定労働時間</p></strong></li><li><strong><p>1か月平均所定労働時間 =（365日 - 年間休日数）× 1日の所定労働時間 ÷ 12か月</p></strong></li><li><strong><p>残業代 = 1時間あたりの基礎賃金 × 残業時間 × 割増率</p></strong></li></ul><h4>計算例</h4><p>基本給300,000円・手当なし（除外賃金なし）、1か月平均所定労働時間160時間、時間外労働15時間の場合の計算例を紹介します。</p><ul><li><strong>基礎賃金 = 300,000円 ÷ 160時間 = 1,875円</strong></li><li><mark><strong>残業代 = 1,875円 × 15時間 × 1.25 = 35,156円</strong></mark><ul><li>※25銭の端数は50銭未満のため、切り捨て</li></ul></li></ul><p>なお、時間外労働のうち月60時間を超えた部分には、50％以上の割増率が適用されます。</p><h3>（2）時給制（パート・アルバイト）の残業代計算</h3><p>時給制の場合、基礎賃金は原則として時給額がそのまま基礎賃金になります。</p><p><strong>残業代 = 時給 × 残業時間 × 割増率</strong></p><p><mark><strong>パートやアルバイトにも、法定労働時間（1日8時間・週40時間）を超えた部分には、割増賃金の支払い義務があります。</strong></mark>所定労働時間が短くても、法定労働時間を超えた部分は割増賃金の対象です。</p><h4>【計算例】</h4><p>時給1,500円・所定労働時間1日6時間の従業員が、当日に9時間勤務した場合の計算は、次のとおりです。</p><ul><li>6〜8時間目（法定内残業2時間）：1,500円×2時間 = 3,000円（割増なし）</li><li>8時間を超えた1時間（法定外残業）：1,500円×1時間×1.25 = 1,875円<ul><li><strong><p><mark>合計残業代：4,875円</mark></p></strong></li></ul></li></ul><h3>（3）日給制の残業代計算</h3><p>日給制の場合は、日給を1日の所定労働時間で割り、1時間あたりの基礎賃金を算出してから残業代を計算します。</p><ul><li>1時間あたりの基礎賃金 = 日給 ÷ 1日の所定労働時間</li><li><strong><p>残業代 = 1時間あたりの基礎賃金 × 残業時間 × 割増率</p></strong></li></ul><h4>【計算例】</h4><p>日給12,000円・所定労働時間8時間の従業員が、2時間の時間外労働を行った場合の計算は、次のとおりです。</p><ul><li>基礎賃金 = 12,000円÷8時間 = 1,500円</li><li><strong><p><mark>残業代 = 1,500円×2時間×1.25 = 3,750円</mark></p></strong></li></ul><h3>（4）年俸制の残業代計算</h3><p><mark><strong>年俸制であっても、残業代の支払い義務がなくなるわけではありません。</strong></mark>年俸を月額に換算し、1時間あたりの基礎賃金を算出してから残業代を計算します。</p><p><strong>1時間あたりの基礎賃金 = 年俸 ÷ 12か月 ÷ 1か月平均所定労働時間</strong></p><p>なお、年俸制で毎月の給与部分と賞与部分を合計して、あらかじめ年俸額が確定している場合、その賞与部分は「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」には該当しません。そのため、<strong>確</strong><mark><strong>定した賞与部分は基礎賃金の算定から除外できず、年俸全体を12で割った金額を基礎として計算する必要があります。</strong></mark></p><h4>【計算例】</h4><p>年俸6,000,000円（賞与なし）・1か月平均所定労働時間160時間の従業員が、20時間の時間外労働を行った場合の計算は、次のとおりです。</p><ul><li>月額 = 6,000,000円 ÷ 12 = 500,000円</li><li>基礎賃金 = 500,000円 ÷ 160時間 = 3,125円<ul><li><strong><p><mark>残業代 = 3,125円 × 20時間 × 1.25 = 78,125円</mark></p></strong></li></ul></li></ul><p>年俸に残業代をあらかじめ含めて支払うとする定めは、通常の労働時間に対する賃金部分と残業代部分が明確に区別できることなど、一定の要件を満たさない限り認められません。</p><p>要件を満たさない場合は、別途残業代を支払う必要があります。</p><h3>（5）固定残業代制の残業代計算</h3><p><mark><strong>固定残業代制（みなし残業代制）とは、一定時間分の残業代をあらかじめ賃金に組み込む制度です。</strong></mark>固定残業代制を採用している場合でも、<strong>固定時間を超えた残業については、別途残業代を支払う必要があります</strong>。</p><p>固定残業代制が有効に機能するためには、次の要件をすべて満たす必要があります。</p><ol><li><strong>明確区分</strong><ul><li>基本給と固定残業代を明確に区分し、金額・対象時間数を就業規則・雇用契約書などに書面で明示すること</li></ul></li><li><strong>法定割増額以上</strong><ul><li>固定残業代の金額が、対応する時間数分の法定割増賃金額以上であること</li></ul></li><li><strong>超過分の追加支払い</strong><ul><li>固定時間を超えた残業には、追加で残業代を支払うこと</li></ul></li><li><strong>最低賃金の遵守</strong><ul><li>固定残業代を含む賃金全体が最低賃金を下回らないこと</li></ul></li></ol><p>残業代の計算では、基本給部分のみを基礎として、1時間あたりの基礎賃金を算出します。</p><p><strong>1時間あたりの基礎賃金 =（月給 - 固定残業代）÷ 1か月平均所定労働時間</strong></p><h4>【計算例】</h4><p>月給300,000円（うち基本給250,000円・固定残業代50,000円、固定残業時間30時間分）・1か月平均所定労働時間160時間の従業員が、1か月に40時間の時間外労働を行った場合の計算は、次のとおりです。</p><ul><li>基礎賃金＝250,000円÷160時間＝1,562.5円</li><li><mark><strong>固定残業代に相当する法定割増賃金＝1,562.5円×30時間×1.25＝58,594円</strong></mark></li></ul><p>ここで、<mark><strong>固定残業代50,000円 &lt; 法定割増賃金58,593円となるため、この設定では上記「2.</strong></mark><strong>法定割増額以上</strong><mark><strong>」の要件を満たさず、固定残業代が無効となるリスクがあります。</strong></mark></p><p>仮に上記「2.」の要件を満たしている前提で計算すると、固定時間を超えた10時間分の追加残業代は、次のとおりです。</p><ul><li><mark><strong>追加残業代 = 1,562.5円 × 10時間 × 1.25 = 19,531円</strong></mark><ul><li>25銭の端数は50銭未満のため、切り捨て</li></ul></li></ul><h2>労働時間制度別の残業代の計算方法</h2><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/INybURumWytRAUmpVNZej/454237d9921431e5023a9f781991ad45/%E6%AE%8B%E6%A5%AD%E4%BB%A3%E3%81%AE%E8%A8%88%E7%AE%97%E6%96%B9%E6%B3%95_1%E6%9E%9A%E5%9B%B3%E8%A7%A3__6_.png" alt="null" /></figure><p>ここでは、フレックスタイム制・変形労働時間制・裁量労働制ごとの残業代の計算方法を整理します。</p><p><strong>フレックスタイム制・変形労働時間制・裁量労働制など、特別な労働時間制度を採用している場合は、残業（時間外労働）のカウント方法が通常と異なります。</strong></p><h3>（1）フレックスタイム制の残業代計算</h3><p>フレックスタイム制は、就業規則などへの定めと労使協定の締結を要件として導入できる制度です。<mark><strong>清算期間（最長3か月）を単位として、実労働時間が「清算期間における法定労働時間の総枠」を超えた部分が時間外労働となります。</strong></mark></p><h4>1. 清算期間が1か月の場合</h4><p><mark><strong>実労働時間が「1週平均40時間 × 清算期間の暦日数 ÷ 7」を超えた部分が時間外労働です。</strong></mark></p><h4>2. 清算期間が1か月を超える場合（最長3か月）</h4><p>次の2つを合算した時間が時間外労働となります。</p><ol><li><strong><p><mark>1か月ごとに集計する時間外労働</mark></p></strong><ul><li>1か月ごとに、週平均50時間を超えた労働時間</li></ul></li><li><strong><p><mark>清算期間全体で集計する時間外労働</mark></p></strong><ul><li>清算期間を通じて法定労働時間の総枠を超えて労働した時間（「1.」でカウントした時間を除く）</li></ul></li></ol><p>参考：<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/001140964.pdf" target="_blank">フレックスタイム制のわかりやすい解説＆導入の手引き - 厚生労働省</a></p><h3>（2）変形労働時間制の残業代の計算</h3><p><mark><strong>変形労働時間制は、一定の期間内の労働時間の総枠を守ることで、特定の日・週に法定労働時間を超えて労働できる制度です。</strong></mark></p><h4>1.「1か月単位」の変形労働時間制</h4><p>シフト制などで導入されることが多く、1か月単位で労働時間を変形します。時間外労働の判定は、次の3段階で行います。</p><ol><li><strong><p>日単位</p></strong><ul><li>1日8時間を超える所定労働時間を定めた日は、その所定労働時間を超えた時間。所定労働時間が8時間以下の日は、8時間を超えた時間</li></ul></li><li><strong><p>週単位</p></strong><ul><li>1週40時間を超える所定労働時間を定めた週は、その所定労働時間を超えた時間。所定労働時間が40時間以下の週は、40時間を超えた時間（「1.」でカウントした時間を除く）</li></ul></li><li><strong><p>1か月全体</p></strong><ul><li>1か月全体の法定労働時間の総枠（40時間 × 暦日数 ÷ 7）を超えた時間（「1.」「2.」でカウントした時間を除く）</li></ul></li></ol><h4>2.「1年単位」の変形労働時間制</h4><p>小売業や製造業など、季節変動のある業種で活用されます。所定労働時間を1日10時間・1週52時間以内で設定でき、対象期間を1か月超〜1年以内の範囲で定めます。</p><p><mark><strong>時間外労働は、1か月単位の場合と同じく「日単位 → 週単位 → 対象期間全体」の3段階で判定します。</strong></mark></p><ol><li><strong><p>日単位</p></strong><ul><li>1日8時間を超える所定労働時間を定めた日は、その所定労働時間を超えた時間。所定労働時間が8時間以下の日は、8時間を超えた時間</li></ul></li><li><strong><p>週単位</p></strong><ul><li>1週40時間を超える所定労働時間を定めた週は、その所定労働時間を超えた時間。所定労働時間が40時間以下の週は、40時間を超えた時間（「1.」でカウントした時間を除く）</li></ul></li><li><strong><p>対象期間全体</p></strong><ul><li>対象期間全体の法定労働時間の総枠（40時間 × 対象期間の暦日数 ÷ 7）を超えた時間（「1.」「2.」でカウントした時間を除く）</li></ul></li></ol><h3>（3）裁量労働制の残業代の計算方法</h3><p><mark><strong>裁量労働制（専門業務型・企画業務型）では、実際の労働時間にかかわらず、労使協定や労使委員会の決議で定めた「みなし労働時間」を労働したものとして扱います。</strong></mark></p><p>みなし労働時間が法定労働時間（1日8時間）を超えて設定されている場合は、超えた分に対して割増賃金の支払いが必要です。</p><p><mark><strong>残業代 = 基礎賃金 × （みなし労働時間－8時間） × 1.25（時間外割増）</strong></mark></p><h4>【計算例】</h4><p>みなし労働時間10時間・基礎賃金2,000円の従業員の場合の計算は、次のとおりです。</p><p><mark><strong>残業代 = 2,000円 ×（10時間 - 8時間）× 1.25 = 5,000円／日</strong></mark></p><p>なお、みなし労働時間の設定にかかわらず、次の場合は別途割増賃金の支払い義務があります。</p><ul><li><strong>深夜労働（22時〜翌5時）が発生した場合</strong><ul><li>実際に深夜時間帯に労働した時間に対して、25％以上の深夜割増賃金が必要</li></ul></li><li><strong>法定休日労働が発生した場合</strong><ul><li>実労働時間に対して、35％以上の休日割増賃金が必要</li></ul></li></ul><h2>残業代計算のルールと注意点</h2><p>残業代の計算では、誤解されやすい論点が多くあります。計算ミスは未払い残業代トラブルや労働基準監督署への申告につながるため、次の注意点を確認しておきましょう。</p><h3>残業代は1分単位で計算するのが原則</h3><p><mark><strong>残業時間の端数処理（いわゆる「まるめ」）は、原則として1分単位での把握・計算が必要です。</strong></mark>「15分単位」「30分単位」での切り捨て処理は、原則として労働基準法違反となります<a href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_3-At_24:~:text=%E7%AC%AC%E4%B8%89%E7%AB%A0%E3%80%80%E8%B3%83%E9%87%91-,%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E5%8D%81%E5%9B%9B%E6%9D%A1%EF%BC%88%E8%B3%83%E9%87%91%E3%81%AE%E6%94%AF%E6%89%95%EF%BC%89,-%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E5%8D%81%E4%BA%94%E6%9D%A1" target="_blank">（労働基準法第24条・賃金全額払いの原則）</a>。</p><p>たとえば、17時15分まで働いた場合、15分を切り捨てて17時に退勤したものとして計算することは認められません。</p><p><mark><strong>まるめ処理が常に労働者に不利な方向（切り捨て）で実施されていると、未払い残業代として遡って請求されるリスクがあります。</strong></mark></p><p>なお、労働者に有利な方向（切り上げ）でのまるめ処理は問題ありません。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/trouble/kintai_marume_risk/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/65g1YqxII7wuPJKhugGG1k/857ba98fdbe7ebb02063f563f1539e2c/image5.png" alt="" /><p><b>違法な「まるめ」で会社が危機に？リスクと対策を社労士が解説</b></p><p><time dateTime="2024-10-08">2024.10.08</time></p></a></div></div></figure><h3>月単位の合計時間に対する端数処理は例外的に認められる</h3><p>残業時間の端数処理は1分単位が原則ですが、<mark><strong>1か月の残業時間の合計に生じた端数については、例外</strong></mark></p><p><mark><strong>的な処理が認められています</strong></mark><a href="http://www.joshrc.org/files/19880314-001.pdf" target="_blank">（昭和63年3月14日基発第150号）</a>。</p><p>具体的には、次の3つの端数処理が例外として認められます。</p><ol><li><strong>1か月の残業時間の合計の端数処理</strong><ul><li>30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げ</li></ul></li><li><strong>1時間あたりの賃金の端数処理</strong><ul><li>50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げ</li></ul></li><li><strong>残業代の総額の端数処理</strong><ul><li>1円未満の端数について、50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げ</li></ul></li></ol><p><mark><strong>いずれも「1か月単位の合計」に対してのみ適用されるものであり、日々の残業時間への適用はできません。</strong></mark></p><p>参考：<a href="https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/content/contents/001856612.pdf" target="_blank">賃金計算の端数の取扱い（昭和63年3月14日基発第150号） - 厚生労働省愛知労働局</a></p><h3>管理監督者の残業代は実態で判断する</h3><p>労働基準法上の「管理監督者」は、時間外労働・休日労働の割増賃金規定の適用対象外となります。ただし、<mark><strong>深夜労働の割増賃金（25％以上）は管理監督者にも適用されます。</strong></mark></p><p>管理監督者と認められるためには、次の3つの要素を実態として満たす必要があります。</p><ol><li><strong>経営者と一体的な立場</strong><ul><li>労働条件の決定や労務管理について、経営者と一体的な立場にある</li></ul></li><li><strong>労働時間の自律的裁量</strong><ul><li>自分の労働時間を自分の裁量で決定できる</li></ul></li><li><strong>地位にふさわしい待遇</strong><ul><li>管理監督者の地位にふさわしい給与・賞与などの待遇を受けている</li></ul></li></ol><p>実務でよく問題となるのが「名ばかり管理職」です。管理職の肩書きがついていても、残業の命令を断れない、労働時間の裁量がない、管理職にふさわしい待遇を受けていないなど、<mark><strong>実態が一般従業員と変わらない場合は管理監督者とは認められず、割増賃金の支払い義務が生じます。</strong></mark></p><p>管理監督者の認定は実態で判断されるため、要件を満たしているか慎重に確認しましょう。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr-management/hr-development/nabakari_kanrishoku_checklist/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/634gQ3urau3G9N56mLyzY6/ab0511cd70b507c790ff8feaa383dcc1/iStock-178116142.jpeg" alt="" /><p><b>「名ばかり管理職」とは？ 判定チェックリストと対応手順4ステップ</b></p><p><time dateTime="2017-06-15">2017.06.15</time></p></a></div></div></figure><h3>残業代請求の時効は3年</h3><p><mark><strong>未払い残業代（賃金請求権）の消滅時効は、現在3年です（</strong></mark><a href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_12-At_115:~:text=%E9%87%91%E3%81%AE%E6%94%AF%E6%89%95%EF%BC%89-,%E7%AC%AC%E7%99%BE%E5%8D%81%E4%BA%94%E6%9D%A1%EF%BC%88%E6%99%82%E5%8A%B9%EF%BC%89,-%E7%AC%AC%E7%99%BE%E5%8D%81%E4%BA%94%E6%9D%A1" target="_blank"><strong>労働基準法第115条</strong></a><mark><strong>、</strong></mark><a href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#322AC0000000049-Sp-At_143:~:text=%E7%99%BE%E5%9B%9B%E5%8D%81%E4%BA%8C%E6%9D%A1-,%E7%AC%AC%E7%99%BE%E5%9B%9B%E5%8D%81%E4%B8%89%E6%9D%A1,-%E6%94%B9%E6%AD%A3%E9%99%84%E5%89%87" target="_blank"><strong>附則第143条第3項</strong></a><mark><strong>）</strong></mark>。改正前は2年でしたが、2020年4月の改正法施行により、当分の間は3年とされています。</p><p>なお、<a href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049/20250401_506AC0000000042?occasion_date=20250401#322AC0000000049-Sp-At_143:~:text=%E7%99%BE%E5%9B%9B%E5%8D%81%E4%BA%8C%E6%9D%A1-,%E7%AC%AC%E7%99%BE%E5%9B%9B%E5%8D%81%E4%B8%89%E6%9D%A1,-%E6%94%B9%E6%AD%A3%E9%99%84%E5%89%87" target="_blank">改正労働基準法第143条</a>により、施行後5年を経過した2025年4月以降に時効期間を再検討することとされており、将来的に5年へ延長される可能性があります。そのため、法改正の動向には引き続き注意が必要です。</p><p><mark><strong>時効が3年のため、3年前に遡って未払い残業代を請求される可能性があります。</strong></mark>計算ミスが長期にわたって続いていた場合の遡及額は大きくなるため、定期的な確認・見直しが重要です。</p><p>また、未払い残業代があった場合、労働者の請求により、裁判所が未払い額と同額を上限として「<strong>付加金</strong>」の支払いを命じることがあります<a href="https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049/20250401_506AC0000000042?occasion_date=20250401#Mp-Ch_12-At_114:~:text=%E5%91%BD%E4%BB%A4%E3%81%AE%E5%88%B6%E5%AE%9A%EF%BC%89-,%E7%AC%AC%E7%99%BE%E5%8D%81%E5%9B%9B%E6%9D%A1%EF%BC%88%E4%BB%98%E5%8A%A0%E9%87%91%E3%81%AE%E6%94%AF%E6%89%95%EF%BC%89,-%E7%AC%AC%E7%99%BE%E5%8D%81%E4%BA%94%E6%9D%A1" target="_blank">（労働基準法第114条）</a>。</p><p>未払い残業代の発覚は、<strong>遡及支払いと付加金の両方のリスクを伴う</strong>点に注意が必要です。</p><h3>表計算ソフトでの計算には限界がある</h3><p>従業員数が少なくても、表計算ソフトや手計算での残業代計算には、次のリスクがあります。</p><ol><li><strong>法改正への対応漏れ</strong><ul><li>割増率の変更などの法改正のたびに計算式の修正が必要となり、修正漏れが発生しやすい</li></ul></li><li><strong>計算式の崩れ</strong><ul><li>シフトや深夜労働・法定休日労働が複雑に絡む場合に、計算式が崩れやすい</li></ul></li><li><strong>勤怠データの入力ミス</strong><ul><li>勤怠データとの連携が手作業になり、入力ミスが起こりやすい</li></ul></li></ol><p>たとえば、2023年4月の月60時間超の割増率引き上げ（中小企業への適用）のように、法改正のたびに表計算ソフトの設定を変更する対応は、実務的に限界があります。</p><p><mark><strong>計算ミスが長期にわたって放置された場合、3年分の未払い残業代として遡及請求されるリスクがあります。</strong></mark></p><p>勤怠データが正しく残業代計算に反映される体制を整えるためにも、勤怠管理システムや給与計算ソフトの導入の検討を推奨します。</p><h3>計算が合わない・未払いの可能性がある場合の確認方法</h3><p>残業代の計算結果が合わない、または過去の計算に誤りがあるかもしれないと気づいた場合は、次の手順で確認・対処しましょう。</p><ol><li><strong>就業規則・雇用契約書の確認</strong><ul><li>所定労働時間、除外賃金の定め、固定残業代の有無などを再確認する</li></ul></li><li><strong>勤怠記録と給与明細の照合</strong><ul><li>実際の残業時間と支払われた残業代を突き合わせ、差異がないか確認する</li></ul></li><li><strong>計算式のダブルチェック</strong><ul><li>基礎賃金の算出方法（除外賃金の処理、1か月平均所定労働時間の計算など）を見直す</li></ul></li><li><strong>社会保険労務士への相談</strong><ul><li>計算方法や過去の誤りの修正方法について、専門家に確認することを検討する</li></ul></li><li><strong>労働基準監督署への相談</strong><ul><li>違法な残業代未払いが疑われる場合は、管轄の労働基準監督署への相談も選択肢となる</li></ul></li></ol><p>未払いが発覚した場合は、できる限り早期の遡及支払いが、トラブルの拡大防止につながります。</p><h2>残業代の計算ミスをなくして残業トラブルを未然に防ごう</h2><p>残業代の計算は<strong>「1時間あたりの基礎賃金 × 残業時間 × 割増率」が基本</strong>ですが、基礎賃金に含める手当の判定、給与形態・労働時間制度による計算方法の違い、端数処理のルールなど、実務では判断を要するポイントが多くあります。</p><p>計算ミスは、<strong>未払い残業代として遡及請求されるリスクがあるだけでなく、従業員との信頼関係を損なうことにもつながります</strong>。</p><p>定期的に計算方法を見直し、法改正へ欠かさず対応することで、残業トラブルを未然に防ぎましょう。<mark><strong>就業規則の整備や勤怠管理システムの活用も、正確な残業代計算を支える重要な基盤</strong></mark>となります。</p><p>残業代の計算ミスを防ぐ仕組みづくりにお悩みの場合は、勤怠管理から給与計算までを一気通貫で対応できる<a href="https://smarthr.jp/labor-management/function/payroll/" target="_blank">「SmartHRの給与計算」</a>の導入もぜひご検討ください。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/22kniuMMM8QyPPYnOH4CFW/392e9a7adbc4a7c8df1cf283bd5e5c98/3%C3%A5__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%AF__%C3%A7%C2%B5_%C3%A4__%C3%A8__%C3%A7___h1.png" alt="" /><p><b>3分でわかる！SmartHRの給与計算</b></p><p></p><p><a href="https://smarthr.jp/know-how/ebook/ebook_320-20/" target="_blank" rel="noopener">いますぐダウンロード</a></p></figure>]]></content:encoded>
      </item>
    
      <item>
        <title><![CDATA[社会保険の扶養とは？被扶養者の条件や130万円の壁、法改正をわかりやすく解説]]></title>
        <link>https://mag.smarthr.jp/hr/labor/shakai-hoken-fuyo/</link>
        <pubDate>Thu, 21 May 2026 00:00:00 GMT</pubDate>
        <category><![CDATA[人事・労務]]></category>
        <category><![CDATA[労務管理]]></category>
        <guid isPermaLink="true">https://mag.smarthr.jp/hr/labor/shakai-hoken-fuyo/</guid>
        <dc:creator><![CDATA[こしみず社会保険労務士事務所　代表・HR専門のコンテンツマーケティング「人事ライター」所属  小清水 春香]]></dc:creator>
        <description><![CDATA[社会保険の扶養とは、被扶養者が保険料なしで健康保険に加入できる制度です。被扶養者の条件・収入要件（130万円の壁など）・同居要件・扶養から外れるケースと手続き、最新の制度改正まで解説します。]]></description>
        <content:encoded><![CDATA[<div><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6ETs6NGwd9nmDsv2YfgudK/8971a554cec1face8ee5b9c75def1c16/AdobeStock_512630880.jpeg" alt=""></div><p>社会保険の扶養に入ると、被扶養者は保険料を負担せずに健康保険の給付を受けられます。</p><p>従業員から「家族を扶養に入れたい」「扶養から外れるタイミングはいつか」といった問い合わせも多く、人事労務担当者は制度の正確な理解が必要です。</p><p>本記事では、社会保険の扶養制度の基本から、税制上の扶養との違い、被扶養者の条件、収入要件、扶養から外れるケース、必要な手続きまでを解説します。</p><h2>社会保険の扶養とは</h2><p><mark><strong>社会保険の扶養とは、健康保険の被扶養者制度を指します。</strong></mark></p><p>被保険者（社会保険に加入している人）に生計を維持されている家族が、収入要件や生計維持関係などの条件を満たすと、被扶養者として認定されます。</p><p>社会保険の制度全般については、次の記事でくわしく解説しています。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/procedure/syakaihoken-toha/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2oQbZEPvkQAxGexNbH1rnQ/c464fc5c6b19d86baa46950a83aa929c/syakaihokentoha.png" alt="" /><p><b>社会保険とは？加入条件や手続きの基本から、扶養判定や任意継続の仕組みまで解説 </b></p><p><time dateTime="2026-04-27">2026.04.27</time></p></a></div></div></figure><h3>社会保険の扶養の仕組み<br></h3><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/732o4OZkXbxpbujAXkluXD/b60465cff0f3fea06f0512146fc4a3d6/zuhan001_shakihoken_fuyo.jpg" alt="社会保険と労働保険の扶養制度の違いを示す図。社会保険のうち「健康保険」には被扶養者制度があり（保険料負担なし、被保険者と同じ健康保険に加入）、厚生年金保険には扶養制度はなく第3号被保険者制度が該当。労働保険（雇用保険・労災保険）には扶養制度がないことを説明している。" /></figure><p>家族が社会保険の被扶養者認定されると、<mark><strong>その家族は保険料を負担せずに、健康保険の保険給付が受けられます。</strong></mark>家族を何人扶養に入れても、被保険者本人の保険料は変わりません。</p><p>なお、<mark><strong>社会保険の制度で扶養の概念があるのは健康保険に限られます。</strong></mark>雇用保険や労災保険（労働保険）には、扶養の概念はありません。</p><p>厚生年金には扶養という制度はありませんが、<strong>被保険者の配偶者で20歳以上60歳未満の場合は、国民年金の第3号被保険者となり、保険料の負担なく国民年金に加入できます。</strong></p><h3>税制上の扶養と社会保険上の扶養の違い</h3><p>「扶養」には、<strong>税制上と社会保険上の2種類があり、制度の目的や収入の判定方法などが異なります</strong>。</p><table><tbody><tr><td><p><strong>項目</strong></p></td><td><p><strong>社会保険上の扶養</strong></p></td><td><p><strong>税制上の扶養</strong></p></td></tr><tr><td><p>対象</p></td><td><p>健康保険</p></td><td><p>所得税・住民税</p></td></tr><tr><td><p>メリット</p></td><td><p>被扶養者（家族）が保険料を負担せずに健康保険に加入できる</p></td><td><p>扶養者（本人）の税負担を軽減する</p></td></tr><tr><td><p>収入要件の判定方法</p></td><td><p>今後1年間（労働契約上の賃金）の見込み収入</p></td><td><p>所得税：その年の合計所得金額の見込み（年末調整で確定）</p><p>住民税：前年の所得</p></td></tr><tr><td><p>収入の算入範囲</p></td><td><p>通勤手当・遺族年金・障害年金・失業給付なども含む</p></td><td><p>通勤手当・遺族年金・障害年金などは含まない</p></td></tr><tr><td><p>主な提出先</p></td><td><p>勤務先（日本年金機構・健康保険組合）</p></td><td><p>勤務先（年末調整）または税務署</p></td></tr><tr><td><p>同居要件</p></td><td><p>家族の範囲によって必要な場合あり</p></td><td><p>原則不要</p></td></tr></tbody></table><p><mark><strong>税制上の扶養はその年の確定所得をもとに遡及的に判定されますが、社会保険上の扶養は労働条件通知書や雇用契約書をもとに1年間の見込み収入で判定します。</strong></mark></p><p>たとえば、年の途中で就職して月収が基準を超えた場合、それぞれの扱いが異なります。</p><ul><li><strong>税制上：</strong>その年の合計所得が基準内であれば、年内は扶養に留まれる可能性がある</li><li><strong>社会保険上：「継続的に基準を超える見込み」となった時点</strong>で、速やかに扶養から外れる手続きが必要</li></ul><p>なお、社会保険と税制度いずれかの扶養に認定・削除されても、<mark><strong>もう一方の制度へ自動的に反映されません。税と社会保険、それぞれで個別の手続きが必要です。</strong></mark></p><p>以下の「年収の壁」の記事でも、税制上・社会保険上の扶養違いについてくわしく解説しています。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/labor/nenshu-no-kabe/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/x92ug721hVjgvhlmjtxwV/a1cf881dd29fabe24575c77a66c208d1/%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3___%C3%A5__%C3%A5__%C3%A3__%C3%A5__-4-0814gcc%C3%A6__%C3%A6__.png" alt="" /><p><b>【2026年最新版】年収の壁を徹底解説！106万・130万・136万・159万・169万・178・180万の壁とは？</b></p><p><time dateTime="2026-04-21">2026.04.21</time></p></a></div></div></figure><h3>パートの社会保険加入条件と社会保険の扶養制度</h3><p>家族が扶養に入れるかどうかは、以下の2ステップで判定します。<mark><strong>重要なのは「本人が社会保険の加入対象かどうか」を先に確認する点です。</strong></mark></p><h4>ステップ1：自身の勤務先で「社会保険」に入るか</h4><p>その家族がパート先などで社会保険の加入要件を満たしているかを確認します。</p><p><strong>1. 4分の3基準を満たすか</strong></p><p>1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が、<mark><strong>同じ事業所で同様の業務に従事する通常の正社員の4分の3以上の場合、被保険者となります（企業規模を問わず）。</strong></mark></p><p><strong>2. 上記を満たさない場合、次の要件をすべて満たすか</strong>&nbsp;</p><ul><li>厚生年金の被保険者数51人以上の事業所に勤務している（特定適用事業所）</li><li>週の所定労働時間が20時間以上</li><li>所定内賃金が月額88,000円以上（いわゆる106万円の壁）</li><li>2か月を超える雇用見込みがある</li><li>学生でない</li></ul><p><mark><strong>加入対象なら本人が「被保険者」となるため、扶養には入れません。</strong></mark>加入対象外の場合のみ、ステップ2へ進みます。</p><h4>ステップ2：被扶養者の認定基準を満たすか</h4><p>ステップ1で対象外だった場合のみ、被扶養者の認定基準（年収130万円など）に照らして、扶養に入れるかどうかを判定します。被扶養者の認定基準については次章でくわしく解説します。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/yMcpaIhqA1yqEYf7aPPBr/920d45d525b51f401164b0efe78b7d3b/zuhan002_shakihoken_fuyo.jpg" alt="パートの社会保険加入条件（106万円の壁など）と社会保険の扶養制度（130万円の壁など）の判定フロー。まず「本人が勤務先の社会保険に加入するか」を短時間労働者の加入要件で確認し、満たす場合は健康保険・厚生年金に加入（扶養から外れる）。対象外の場合にのみ、次のステップとして「家族の社会保険の扶養（被扶養者の認定基準）に入れるか」を判定する流れ図。" /></figure><h2>社会保険の扶養に入る条件</h2><p>社会保険の扶養に入るには、<mark><strong>原則として次の4つの要件をすべて満たす必要があります。</strong></mark></p><ol><li><strong>年齢</strong>：75歳未満</li><li><strong>家族の範囲</strong>：三親等以内の親族であること</li><li><strong>居住地</strong>：日本国内に住民票があること（原則）</li><li><strong>収入</strong>：年収130万円未満（例外あり）</li></ol><p>また、家族の範囲によっては被保険者との同居が必要です。それぞれの要件をくわしく解説します。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/3KtCirJp4axOkSUa9B7XQo/81ff16944c53f6f126b7f6d21d1fa4a9/zuhan003_shakihoken_fuyo.jpg" alt="社会保険の扶養認定基準の4つの要素。1：年齢（75歳未満か）、2：家族の範囲（三親等内か、同居が必要な範囲か）、3：居住地（日本国内に住民票があるか）、4：収入（年収が130万円未満か、例外あり）を網羅した図。" /></figure><h3>（1）年齢：75歳未満</h3><p>被扶養者になれるのは、75歳未満の方に限られます。<mark><strong>75歳になると、すべての人が「後期高齢者医療制度」に加入し、それまで加入していた健康保険からは脱退することになるためです。</strong></mark></p><h3>（2）家族の範囲：三親等以内の親族・同居が必要な範囲</h3><p>対象は「三親等内の親族」です。また、続柄によって「同居」が必須かどうかが決まります。</p><table><tbody><tr><td><p><strong>同居要件</strong></p></td><td><p><strong>家族の範囲</strong></p></td></tr><tr><td><p>別居可</p></td><td><ul><li>配偶者（事実婚・内縁関係を含む）</li><li>子・孫</li><li>兄弟姉妹</li><li>父母・祖父母などの直系尊属</li></ul></td></tr><tr><td><p>同居必須</p></td><td><ul><li>伯叔父母（おじ・おば）</li><li>甥・姪とその配偶者など上記以外の三親等内の親族</li><li>内縁関係の配偶者の父母および子</li></ul></td></tr></tbody></table><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/540B7nt5S7egr0TWP9umre/9222a1dcffc416f370c859abff39a3dd/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88_2026-05-20_16.20.51.png" alt="被扶養者の範囲における、同居要件の有無を示した相関図。四角（網掛け）は「被保険者と同居していなくてもよい人」で、配偶者、子、孫、兄姉弟妹、父母、祖父母、曾祖父母が該当。丸（白抜き）は「被保険者と同居していることが要件の人」で、曾孫、甥・姪（およびその配偶者）、伯叔父母（およびその配偶者）、子・孫・兄姉弟妹・父母・祖父母・曾祖父母の配偶者が該当する。" /><figcaption><p>（出典）<a href="https://www.kyoukaikenpo.or.jp/about/business/dependent_status/001/index.html" target="_blank">事業主・加入者のみなさまへ「令和7年度被扶養者資格再確認について」 - 協会けんぽ</a></p></figcaption></figure><h4>同居の考え方同居とは、<strong>住居および家計を共同にすること</strong>を指します。同一戸籍内である必要や、被保険者が世帯主である必要はありません。</h4><p><mark><strong>つまり、住民票の住所が同じでも生計が別の場合は、同居とみなされないことがあります。</strong></mark>同居の判断に迷う場合は、加入先の保険者（協会けんぽまたは健康保険組合）に個別に確認してください。</p><h3>（3）居住：日本国内に住民票があること（原則）</h3><p>原則として国内居住が必要ですが、<strong>留学など一定の条件を満たす場合は例外的に認められることがあります。</strong>一方、国内に住所があっても在留資格の種類によっては対象外となるため、判断に迷う場合は加入先の保険者に確認してください。</p><h3>（4）収入：年収130万円未満（例外あり）</h3><p><mark><strong>社会保険の扶養に入るには、原則として年間収入130万円未満</strong></mark>、かつ同居・別居それぞれで次の要件を満たす必要があります。</p><ul><li>同居の場合：収入が被保険者の収入の<strong>半分未満</strong></li><li>別居の場合：収入が被保険者からの<strong>仕送り額未満</strong></li></ul><p><mark><strong>年収130万円未満の基準にはさまざまな例外があるため、注意が必要です。</strong></mark>社会保険における4種類の年収の壁について、後の章でくわしく解説します。</p><h4>何を年収とするのか？年収の判定方法</h4><p><mark><strong>社会保険の扶養における年収とは、過去の収入実績ではなく、労働条件通知書や雇用契約書に記載された労働契約段階の見込み収入で判断されるので注意しましょう。</strong></mark></p><p>2026年4月1日から、年収130万円の扶養認定ルールにおける取り扱いが変更になりました。これまでは「残業代を含めた見込み額」で判断されていましたが、労働条件通知書などに記載されている「契約上の基本収入」で認定されます。</p><p>また、扶養の収入判定では、<strong>課税・非課税を問わず継続的に生じる収入</strong>が対象です。<mark><strong>給与や賞与はもちろん、失業等給付や公的年金なども収入に含まれる点に注意が必要です。</strong></mark></p><table><tbody><tr><td><p>収入に含まれるもの</p></td><td><p>収入に含まれないもの</p></td></tr><tr><td><ul><li>給与・賞与（残業代を除く）</li><li>雇用保険の失業等給付</li><li>公的年金（老齢・障害・遺族年金）</li><li>健康保険の傷病手当金・出産手当金</li><li>事業収入・不動産収入など継続的に生じる収入</li></ul></td><td><ul><li>残業代</li><li>退職金</li><li>宝くじの当選金</li><li>生命保険の一時金</li><li>相続・贈与による収入</li></ul></td></tr></tbody></table><p>（参考）<a href="https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20141202.html" target="_blank">従業員（健康保険・厚生年金保険の被保険者）が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き - 日本年金機構</a></p><h4>夫婦ともに収入がある場合</h4><p>夫婦ともに収入がある場合、子などの被扶養者は原則として年間収入の多いほうの被扶養者として認定されます。夫婦の年間収入がほぼ同程度（年収が多い方の1割以内）の場合は、主として生計を維持しているほうの扶養に入れます。</p><p>なお、最終的には加入先の保険者（協会けんぽまたは健康保険組合）が判断します。迷う場合は、加入先の保険者へ確認してください。</p><p>（参考）<a href="https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc5892&amp;dataType=1&amp;pageNo=1" target="_blank">夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について - 厚生労働省</a></p><h4>【例外】収入が被保険者の「半分」を超えても認められるケース</h4><p>原則として「被保険者の収入の半分未満」というルールがありますが、これを超えてしまった場合でも、以下の条件を<strong>すべて</strong>満たせば扶養に認定される可能性があります。</p><ol><li><strong>収入の逆転がない：</strong> 家族の年間収入が、被保険者の年間収入を上回っていないこと</li><li><strong>生計維持の中心的役割：</strong> 日本年金機構などが世帯の状況を総合的に判断し、「被保険者がこの世帯の生計を支える中心人物である」と認めること</li></ol><h3>個人事業主の扶養条件</h3><p>フリーランスや個人事業主として働く家族は、収入要件を満たせば被扶養者として認定される場合があります。<strong>収入は売上収入ではなく事業収入から直接的な必要経費を控除した後の金額で判断されます。</strong></p><p>必要経費とは、税務上の定義よりも範囲が狭く、売上原価・修繕費・消耗品費など事業に直接必要な経費に限られます。減価償却費・広告宣伝費・接待交際費・青色申告特別控除などは対象外となり、税務上の所得とは異なる場合があります。</p><p>必要経費の範囲は各組合の基準で判定されるため、加入先の保険者に確認しましょう。</p><h2>社会保険における4種類の年収の壁</h2><p>社会保険の扶養における収入要件は年収130万円未満ですが、短時間労働者の加入条件のひとつである「106万円の壁」など例外もあります。ここでは、4種類の年収の壁について解説します。</p><table><tbody><tr><td><p><strong>壁の種類</strong></p></td><td><p><strong>関連する制度</strong></p></td></tr><tr><td><p>106万円の壁</p></td><td><p>短時間労働者の社会保険加入条件（2026年10月撤廃予定）</p></td></tr><tr><td><p>130万円の壁</p></td><td><p>社会保険の扶養（一般）</p></td></tr><tr><td><p>150万円の壁</p></td><td><p>社会保険の扶養（19歳以上23歳未満、配偶者を除く）</p></td></tr><tr><td><p>180万円の壁</p></td><td><p>社会保険の扶養（60歳以上、または障害厚生年金を受給する程度の障害者）</p></td></tr></tbody></table><p>（参考）<a href="https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20141202.html" target="_blank">従業員（健康保険・厚生年金保険の被保険者）が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き - 日本年金機構</a> 、<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html" target="_blank">年金制度改正法が成立しました - 厚生労働省</a></p><h3>（1）106万円の壁（2026年10月撤廃予定）</h3><p>106万円の壁とは、短時間労働者の社会保険加入義務が発生する要件のひとつです。「所定内賃金が月額88,000円以上」の条件があり、これを年間換算すると約106万円となるため「106万円の壁」とよばれてきました。</p><p><strong>短時間労働者の社会保険加入条件</strong></p><ul><li>厚生年金の被保険者数51人以上の事業所に勤務している（特定適用事業所）</li><li>週の所定労働時間が20時間以上</li><li>所定内賃金が月額88,000円以上（いわゆる106万円の壁）</li><li>2か月を超える雇用見込みがある</li><li>学生でない</li></ul><p>前述したとおり、扶養認定の収入要件を判断する前に、扶養家族が社会保険加入条件を満たすかどうかを確認します。上記の要件をすべて満たす場合、社会保険に加入が必要となり、<mark><strong>年間収入が130万円未満であっても扶養から外れます。</strong></mark></p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6pQCl2YO3XbNQRKkI9ysnl/24ee7fbb0a850d4c7f4eca5592c30ac0/001497022.png" alt="社会保険（厚生年金・健康保険）の短時間労働者に対する加入要件見直しのロードマップ。従来の「給与が月額8.8万円以上」「週の勤務が20時間以上」「51人以上の企業」という要件から、賃金要件（いわゆる106万円の壁）の廃止、および企業規模要件の段階的撤廃（現在の51人以上から、2027年10月36人以上、2029年10月21人以上、2032年10月11人以上、2035年10月10人以下へ拡大）が示されている。" /></figure><p><mark><strong>また、「所定内賃金が88,000円以上」は2026年10月に撤廃予定です</strong></mark>。撤廃後は、週20時間以上働く方の多くが「130万円」に届く前に自身で加入するケースが増える見込みです。</p><p>くわえて、<strong>企業規模要件も段階的に撤廃予定</strong>で、2027年10月から36人以上、2029年10月から21人以上、2032年10月から11人以上、2035年10月から10人以下の事業所へと対象が順次拡大されます。</p><p>（参考）<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001633788.pdf" target="_blank">短時間労働者の社会保険（健康保険・厚生年金保険）の加入拡大のポイント - 厚生労働省</a></p><h3>（2）130万円の壁</h3><p><mark><strong>年収130万円の壁は、社会保険の扶養にとどまるための基準となる年収ラインです。</strong></mark>原則として年収130万円未満が条件ですが、現在は運用の柔軟化が進んでいます。</p><p>人手不足による労働時間の延長など、<strong>一時的な収入増により年収が130万円を超える見込みとなった場合でも、事業主の証明により被扶養者認定される例外的な措置があります（原則として連続2回まで）。</strong>この措置は2025年10月より恒久的な制度として運用されています。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/15Vnj0fxIT3KjuDapVPOau/9a2ba02cd0a9d6ef368a91735395bc74/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88_2026-05-20_16.21.55.png" alt="「130万円の壁」への対応として、一時的な収入増における事業主の証明による被扶養者認定の円滑化スキーム。例として、年収120万円見込みのパート労働者が人手不足で一時的に20万円の残業が発生し、年収140万円となった場合でも、パート先の「事業主の証明」を提出することで、引き続き被扶養者として認定される流れを時系列で説明している。" /><figcaption><p><a href="https://www.mhlw.go.jp/content/001162154.pdf" target="_blank">（出典）「１３０万円の壁」でお困りの皆さまへ - 厚生労働省</a></p></figcaption></figure><p>（参考）<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/001163139.pdf" target="_blank">事業主の証明による被扶養者認定Ｑ＆Ａ - 厚生労働省</a>、<a href="https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9347&amp;dataType=1&amp;pageNo=1" target="_blank">「年収の壁・支援強化パッケージ」における事業主の証明による被扶養者認定の円滑化の取扱いの恒久化について - 厚生労働省</a></p><h3>（3）150万円の壁</h3><p>2025年10月1日以降、<mark><strong>19歳以上23歳未満の扶養家族においては、扶養認定の年収基準が150万円未満へと引き上げられました。</strong></mark></p><h4>1. 対象となる条件</h4><ul><li>扶養認定日： 2025年10月1日以降の認定</li><li>対象者：<strong> 認定日が含まれる年の12月31日時点で、</strong>19歳以上23歳未満</li><li>関係性： 被保険者の子や兄弟姉妹など（配偶者は除外）</li></ul><h4>2. 判定における注意点</h4><ul><li>年齢は「扶養認定を受ける日」の年齢ではなく、認定を受けた年の12月31日時点の年齢で判定します。</li><li>除外対象となる「配偶者」には、法律婚のほか内縁関係（事実婚）の夫・妻も含みます。</li><li>対象年齢であれば、学生であるかどうかは問われません。</li></ul><p>（参考）<a href="https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2025/202508/0819.html" target="_blank">19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります - 日本年金機構</a></p><h3>（4）180万円の壁</h3><p>60歳以上の方や障害厚生年金を受給できる程度の障害がある方は、<mark><strong>社会保険の扶養条件が年収180万円未満（月額15万円未満）に緩和されます。</strong></mark></p><p><mark><strong>注意が必要なのは、老齢年金や遺族年金も収入に含まれる点です。</strong></mark>年金も含めて年収が180万円以上となる場合は、被扶養者として認定されません。</p><p>（参考）<a href="https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20141202.html" target="_blank">従業員（健康保険・厚生年金保険の被保険者）が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き - 日本年金機構</a></p><h2>社会保険の扶養から外れる条件とタイミングとは？</h2><p>被扶養者認定された後も、次のいずれかの事由が生じた場合は扶養から外れる手続きが必要です。</p><ol><li>収入が増額したとき</li><li>扶養家族自身が社会保険に加入したとき</li><li>離婚・別居など扶養関係がなくなったとき</li><li>失業手当が「収入要件（年収130万円など）」を超えるとき</li></ol><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/6WAkcfprXYDDsAMHFYGkck/b1ef6e5343c7a6f750b5e7f845aada76/zuhan004_shakihoken_fuyo.jpg" alt="社会保険の扶養認定から外れる4つのタイミングと注意点。1：扶養家族の年収が扶養認定要件以上の見込みとなったとき（例外あり）、2：扶養家族自身が社会保険に加入したとき（年収130万円未満でも外れる可能性あり）、3：離婚・別居など扶養関係がなくなったとき（同居要件がある場合は別居で外れる）、4：失業手当が収入要件（年収130万円など）を超えるとき（基本手当の日額が3,612円以上）。" /></figure><h3>（1）扶養家族の年収が扶養認定要件以上の見込みとなったとき</h3><p>収入要件は見込みで判定するため、<strong>扶養家族の年収が130万円以上など、継続的に扶養認定要件以上の見込みとなった時点で扶養から外れる手続きが必要です。</strong>ただし、繁忙期や一時的な残業による収入増の場合は、事業主の証明の添付により扶養のまま継続できる例外的な措置があります（原則として連続2回まで）。</p><h3>（2）扶養家族自身が社会保険に加入したとき</h3><p>家族が就職したり、パート先で「短時間労働者の社会保険加入条件」を満たし、自ら社会保険の被保険者になった場合、年収額に関わらず扶養から外れます。</p><h3>（3）離婚・別居など扶養関係がなくなったとき</h3><p>離婚や別居によって「親族関係」や「生計維持関係」がなくなった場合、速やかに扶養から外れる手続きが必要です。</p><ul><li><strong>離婚：</strong> 離婚日（受理日）をもって扶養から外れる</li><li><strong>別居（同居必須の親族）：</strong> 別居開始日をもって扶養から外れる</li><li><strong>別居（同居不要の親族）：</strong> 配偶者、子、孫、兄弟姉妹、父母などは別居後も継続可能。ただし、「被保険者からの仕送り」が不可欠</li></ul><h3>（4）失業手当が「収入要件（年収130万円など）」を超えるとき</h3><p>雇用保険の基本手当（失業給付）も、社会保険の扶養判定では「収入」に含まれます。パート代などほかの収入と同様に、失業手当が「収入の壁（年収130万円など）」を超える場合は、扶養から外れる手続きが必要です。</p><ul><li><strong><p>基本手当の日額の目安</p></strong><ul><li><strong>原則（130万円の壁）：</strong> 月額108,334円以上（日額3,612円以上）</li><li><strong>19〜23歳未満（150万円の壁）：</strong> 月額125,000円以上（日額4,167円以上）</li><li><strong>60歳以上など（180万円の壁）： </strong>月額150,000円以上（日額5,000円以上）</li></ul></li></ul><p><mark><strong>なお、受給待期期間や給付制限期間中は基本手当が支給されないため、収入要件を満たせば被扶養者として認定されます。</strong></mark></p><p>（参考）<a href="https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20141202.html" target="_blank">従業員（健康保険・厚生年金保険の被保険者）が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き - 日本年金機構</a></p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/procedure/shitugyo-hoken/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7bEFq1WMaLL9WdnahddylL/23918bdc0f23a72d6314cc72a88fb6ef/%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3___%C3%A5__%C3%A6__%C3%A4__%C3%A9_%C2%BA.png" alt="" /><p><b>【シミュレーション付き】失業保険（失業手当）はいつから、いくらもらえる？受給要件・計算・手続き方法を解説</b></p><p><time dateTime="2026-05-08">2026.05.08</time></p></a></div></div></figure><h2>社会保険の扶養の手続き</h2><p>被扶養者の追加・削除はいずれも「健康保険被扶養者（異動）届」を使用します。</p><p>手続きの詳細は「社会保険 加入手続き」の記事もあわせてご確認ください。</p><figure><figcaption><b>あわせて読みたい</b></figcaption><div><div><a href="https://mag.smarthr.jp/hr/procedure/syakaihoken-procedures/"><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2GtlOwu5zjeupEHMFnGHSE/5fe4d3da4443e04595780c19a9dca7e2/image1.jpg" alt="" /><p><b>社会保険の加入手続きとは？必要書類・期限・手続きの流れを人事向けに解説</b></p><p><time dateTime="2026-05-07">2026.05.07</time></p></a></div></div></figure><h3>扶養に入れるときの手続き</h3><p>被扶養者を追加する場合、事業主を経由して「<strong>健康保険被扶養者（異動）届</strong>」を日本年金機構へ提出します。<mark><strong>提出期限は事由発生から5日以内です。</strong></mark></p><p>手続き前に従業員から次の情報・書類を回収しましょう。</p><ul><li>被扶養者の氏名・生年月日・続柄・マイナンバー</li><li>続柄を証明する書類（戸籍謄抄本または住民票）※1</li><li>収入要件を確認する書類（退職証明書、雇用保険受給資格者証または雇用保険受給資格通知の写し、年金額改定通知書など）※2</li><li>別居の場合は仕送りの事実と金額が確認できる書類（通帳の写しなど）※3</li><li>内縁関係の配偶者の場合は、両人の戸籍謄抄本および被保険者の世帯全員の住民票</li><li>事実発生から60日以上経過の場合は、扶養の事実を確認できる書類</li></ul><p>※1：被保険者・被扶養者双方のマイナンバーを届書に記載し、事業主が続柄確認済みの旨を記載した場合は省略可<br>※2：税法上の控除対象配偶者・扶養親族の場合は事業主の証明で代替可<br>※3：16歳未満または16歳以上の学生は不要</p><h3>扶養から外れるときの手続き</h3><p>被扶養者を削除する場合も、同じく「<strong>健康保険被扶養者（異動）届</strong>」を日本年金機構へ提出します。手続き前に従業員から次の情報・書類を回収しましょう。</p><ul><li>扶養から外れる事由と発生日（就職日・離婚日・収入が要件を超える見込みとなった日など）</li><li>新しい勤務先の社会保険加入日（就職の場合）</li><li>資格確認書（発行している場合）</li></ul><p>（参考）<a href="https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20141202.html" target="_blank">従業員（健康保険・厚生年金保険の被保険者）が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き - 日本年金機構</a></p><h2>社会保険の扶養にまつわる法改正</h2><p>社会保険の適用拡大により、これまで被扶養者だった家族が社会保険に加入するケースが増えています。本章では直近の改正内容を整理します。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/7z5CJRHx6FkKA6TXj9Kpqj/3b39e95b65203d7583a9935a57becb85/zuhan005_shakihoken_fuyo.jpg" alt="社会保険の扶養に関する法改正のタイムライン。2025年10月改正「19〜23歳の扶養収入基準を130万円から150万円未満へ引き上げ、学生バイトの扶養外れを減少」、2026年4月改正「扶養収入判定を実績から労働契約ベースへ変更、残業など契約外賃金は原則含めない」、2026年10月改正「短時間労働者の社会保険拡大による106万円の壁（月88,000円）の撤廃、多くのパートが社会保険加入へ」、2027年以降順次「短時間労働者の加入条件である企業規模要件を段階的に撤廃」の4ステップを示した図。" /></figure><h3>（1）2025年10月改正｜19歳以上23歳未満の被扶養者の収入基準が150万円未満に</h3><p><strong>2025年10月1日</strong>以降、<strong>19歳以上23歳未満</strong>の場合（被保険者の配偶者を除く）は、年収の基準が130万円未満から<strong>150万円未満</strong>に引き上げられました。これは所得税の特定扶養控除の基準額と足並みをそろえたものです。</p><p>対象となるかどうかは、扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢で判定します。すでに被扶養者として認定されていれば改めて手続きは不要です。</p><p>（参考）<a href="https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2025/202508/0819.html" target="_blank">19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります - 日本年金機構</a></p><h3>（2）2026年4月改正｜収入判定が「労働契約ベース」に変更</h3><p>2026年4月1日より、被扶養者認定の年収判定方法が変わりました。<mark><strong>改正後は労働条件通知書等にもとづく契約上の賃金で判定され、時間外労働など労働契約に規定のない賃金は収入見込みに含まれません。</strong></mark>認定時は労働条件通知書等の添付が必要です。これにより、残業による収入増を理由とした就業調整は不要となりました。</p><p>（参考）<a href="https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/jigyosho/2026/202605/0501.html" target="_blank">労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて - 日本年金機構</a></p><h3>（3）2026年10月改正予定｜「106万円の壁」の見直し</h3><p>2026年10月より、短時間労働者の社会保険加入要件から「月額賃金88,000円以上」が撤廃される予定です。これにより、週20時間以上勤務する短時間労働者の加入対象が広がります。<strong>ただし、130万円未満の被扶養者の収入要件は変わりません。週20時間未満の勤務でも、年間収入が130万円以上になれば扶養から外れます。</strong></p><p>（参考）<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001633788.pdf" target="_blank">短時間労働者の社会保険（健康保険・厚生年金保険）の加入拡大のポイント - 厚生労働省</a></p><h3>（4）2027年以降順次改正｜企業規模要件は撤廃</h3><p><mark><strong>短時間労働者の社会保険加入要件のうち従業員数要件も、今後10年間かけて段階的に引き下げられ、最終的に撤廃される見通しです。</strong></mark></p><ul><li>2027年10月から：36人以上の企業</li><li>2029年10月から：21人以上の企業</li><li>2032年10月から：11人以上の企業</li><li>2035年10月から　10人以下の企業（従業員数要件撤廃）</li></ul><p>（参考）<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001633788.pdf" target="_blank">短時間労働者の社会保険（健康保険・厚生年金保険）の加入拡大のポイント - 厚生労働省</a></p><h2>扶養制度の基本をおさえ、個別ケースに対応できる体制を整えよう</h2><p>社会保険の扶養制度は、被扶養者の家族の範囲や収入要件、同居要件など、確認項目が多岐にわたります。また、昨今の制度改正により、これまでの運用の見直しが必要な場面も増えています。</p><p>人事労務担当者として、従業員からの問い合わせへの適切な対応には、制度の基本をおさえたうえで、個別のケースに応じた判断ができる体制が重要です。</p><p>判断に迷う場合は、加入先の保険者（協会けんぽまたは健康保険組合）に確認し、正確に手続きを進めましょう。</p><figure><img src="https://images.ctfassets.net/tfio2c4e6qit/2dlW7MnRB7xZlXrKfQf4Cn/0835fa4becae73411a8574927f55dede/%C3%A3__2025%C3%A3__2026%C3%A5__%C3%A7__%C3%A4%C2%BA%C2%BA%C3%A4%C2%BA_%C3%A3__%C3%A5__%C3%A5__%C3%A5__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A6__%C3%A6__%C3%A6__%C3%AF__%C3%A5__%C3%A5__%C3%A5__%C3%A5__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__%C3%A3__.jpeg" alt="" /><p><b>2026年版人事・労務向け「法改正＆実務対応カレンダー」</b></p><p><a href="https://smarthr.jp/know-how/ebook/ebook_401-20/?utm_source=mag&utm_medium=link" target="_blank" rel="noopener">いますぐダウンロード</a></p></figure>]]></content:encoded>
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