「仕事始めの有給取得」で最大10連休も可能・・・! ただし、ご利用は計画的に


こんにちは、社会保険労務士の吉田 崇です。

ついこの間まで、「暑い! 暑い!!ビール! ビール!!」と言っていたと思ったら、いつの間にか街はすっかりクリスマス一色です。本当に1年が立つのは早いものです。まあ冬でもビールは美味しいんですけどね。

クリスマス過ぎれば待ち遠しいのはお正月ですが、もうすでに年末年始の旅行の予定などを立てておられる方もいるのではないでしょうか。

工夫次第では10日間の大型連休、でも仕事始めの出社は強制的・・・?

官公庁や、一般的な企業などでは1月3日までがお休みで、4日から仕事始めというところが多いですが、2018年の場合、4日が木曜日ですので、4日、5日と有給をとれば、6日、7日が土日となり、さらに月曜日の1月8日が成人の日で祝日ですので、どこまでも正月ボケを引き摺ってしまいそうなほどの、長期休暇にすることが可能です。仮に12月30日から休みだとすると、実に10日間にわたります!

しかし、会社によっては仕事始めには従業員全員が絶対に出社し、社長の新年の挨拶を聞き、その後「人間50年〜、下天の内をくらぶれば〜」と毎年恒例、信長のコスプレをした社長の舞を見なければならない、という会社もあるでしょう。

ただ、果たして本当に、従業員からの正月明けの有給取得の申し出を会社が拒否し、強制的に出社させることは、法的に許されるのでしょうか?

仕事始めの日といえど出社の強制はできないが「時季変更権」もある

まず、基本的に会社は有給取得の申し出を拒否することはできません。もちろん仕事始めの日の出社も強制できません。

ただ、例外的に会社が従業員からの有給請求を拒否できる場合があります。

労働基準法において「使用者は、年次有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」とされています。

これを有給休暇の時季変更権といい、従業員からの有給の申し出を認めると、事業の正常な運営ができなくなる場合に、会社は有給の取得を拒否することが可能なのです。

時季変更権の「事業の正常な運営を妨げる」ケースとは?

では、どういったケースが「事業の正常な運営を妨げる」ケースとして認められるのでしょうか?

それは、「労働者の有給希望日において、その日の労働内容が、会社の運営に必要不可欠であり、かつ代わりとなる人員を確保することが困難な場合」となります。

具体的には、Aさんから有給取得の希望があった日に、Aさんにしかできない大切な仕事があり、その仕事をその日中に行わないと、会社にとって大きな損害となる。といった場合に「申し訳ないけど、別の日に有給を変更してもらえないか?」と言うことができるのです。

とはいえ時季変更権のハードルは高い。

ただし、その仕事がBさんでもすることができ、Bさんに代わりにやってもらうことが可能であったと言う場合や、Aさんにしかできない仕事を、他の社員でもできるようにするための、適切な社員教育を会社が長期間怠っていた場合には、時季変更権は認められません。

また、慢性的な人員不足を理由に、「いやー、今の時期は繁忙期だし、人も足りないから有給は取らないで。」といったことも認められません。

つまり、会社にとって「時季変更権」を行使するハードルはかなり高いと考えてよいでしょう。第三者から見て、会社は従業員から申請のあった有給を取得させるために最大限に努力をしたが、やはりどうにもならず、その日の有給を認めてしまうと、会社にとって大きな損害となる。ということが明確な場合にのみ、「時季変更権」は認められるのです。

もちろん、新年の挨拶で“社長の舞”を見ないことが、「事業の正常な運営を妨げる」わけがありませんので、時季変更権は認められません。当たり前です。

というわけで、日頃忙しく海外旅行に行ったり、家族水入らずでゆったり過ごす時間がないという方は、この大型連休の実現が可能なチャンスを活用し、さっそく1月4日と5日の有給を申請して、年末年始の長期休暇に心を踊らせてみてはいかがでしょうか。

とはいえ、上記はあくまでも法に則ったお話。実際の業務進捗やチーム環境、顧客との関係などなど、状況は各社・各人で当然異なってきますので、無用なトラブルを招かぬよう状況をふまえて、ご利用は計画的に!

社会保険労務士 吉田 崇

よしだ経営労務管理事務所代表。関西を中心に、社長と従業員が安心して働ける職場環境作りをモットーに多くの事業所と顧問契約し、 労務管理で成果を上げる。通常の社労士業務の他に、集客、ブランディングコンサルタントとしての実績も多数。一級カラーコーディネータの資格を有し、ポスターやロゴ等のデザイン業務やWeb制作も行う個性派社労士。よしだ経営労務管理事務所 公式サイト


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