やらなきゃ損!? 会社員なら知っておきたい「年末調整の仕組み」を解説

2017.10.23 ライター: 副島 智子

こんにちは。SmartHRの副島(そえじま)です。

今年も残すところあっという間にあと数ヶ月ですね。この季節になると聞こえてくるのが「年末調整」という言葉。

全国のすべての会社員が行っているこの年末調整ですが、一体なんのためにやっているかご存知でしょうか? なんとなく会社から書類の提出を求められているからやっているという方も多く、実は労務担当者の方も、あまり良くわからないまま書類だけ一生懸命回収しているという方も多いようです。

そこで今日は、何のために行われているのか? 書類を提出するとどうなるのか、について解説します!

年末調整で行われている2つのこと

年末調整では、ざっくりいうと2つのことが行われているんです。

  1. 1年分の所得税の再計算を行う。
  2. すでに控除された所得税の合計との過不足の調整を行う。

実はこんなことが行われているのですが、でもこれを聞くとこんな疑問が湧いてきます。

なんで年末に所得税を再計算するの?

毎月の給与から所得税は控除されているのに、なぜ再計算が必要なのでしょう?

これは、例えて言うならば、毎月の給与から控除されている所得税は「仮」の金額が控除されているからなんです。

1年間の給与収入額が決まらないと本来の所得税が計算できない

では、なぜ「仮」の所得税が控除されているのか?

それは、1年間の給与収入額が決まらないと本来の所得税が計算できない仕組みとなっているからなんです。仮の所得税控除を行わず、1年分の給与収入額が決まってから所得税を控除してしまうと、年末のこの季節にドバっと所得税が控除されることになってしまいます。

そうすると「え!? いきなりこんなに持っていかれたら困る!!」となってしまいますよね。

なので毎月の給与からは「仮」の所得税を控除しておき、年末に本来の所得税との過不足を調整することになっています。

「年末に調整」、だから「年末調整」なんですね。

所得税の仕組み

もう少し具体的に所得税の仕組みを見ていきましょう。

1年分の所得税は、給与収入額合計から次のような「控除」を差し引いて残った「所得額」に対して、所得額に応じた税率を乗じて決定されます。

1月〜12月の所得額合計 ✕ 所得税率 − 住宅ローン控除 = その年の所得税

給与所得控除は給与収入額によって金額が変動するため、年間収入額が決まらないと控除額も決まらないという状態となります。

「年末調整」で集めている情報とは?

以上のことから、年末調整では収入額から差し引く「控除額」の情報を集めている(申告している)んです。

「所得額」の金額が小さくなれば所得税の金額も少なくなる。なので必ず書類の提出が必要ですし、提出しないと損なんです!

※ 給与所得者の扶養控除等申告書(マル扶)を提出しなければ年末調整が行えないため、給与所得控除、基礎控除はマル扶による申告としています。

過不足の調整

このように再計算が行われた結果、例えば次のような状態となった場合は還付が行われます。

  • 1月〜11月までの給与で控除済みの所得税合計 13万円
  • 年末調整により再計算された年間の所得税合計 10万円

→ 3万円を多く支払っている状態となるため、3万円が還付されます。

申告において注意したいこと

支払った金額の申告ならわかりやすいのですが、申告書に記載する扶養家族の情報はいつの時点を申告するのでしょうか?

答えは、「その年の12月31日時点」の状態です。扶養家族の情報は年の途中がどのような状態であっても、12月31日時点の状態がその年の扶養情報となります。

例えば、6月まで配偶者を扶養していたが就職により年の後半は扶養家族ではなくなった場合、その年は「1月から扶養家族ではなかった」という状態となります。そして1月〜6月までは「配偶者を扶養している場合の所得税」が控除されていたはずなので、これが年末調整で「扶養していなかった」として調整が入ります。

もし、7月以降も扶養情報が更新されておらず「配偶者を扶養している場合の所得税」が控除され続けていた場合は、かなりの調整が入ります。

こういった場合は還付ではなく、「徴収」が行われる場合があります。

徴収とならないようにするには?

多くの会社では、年末調整の時期に「来年分の給与所得者の扶養控除等申告書」の提出を求めているところが多いかと思います。

これは、その年の最初の給与支給までにその年分の書類が必要であることが理由なのですが、もし、来年の12月31日時点で扶養家族から外れる方がいることがわかっている場合は、はじめから扶養の削除の申告をしておきましょう。

例えば、大学4年生のお子さんが4月から就職することがわかっている場合や、当年の後半で再就職をして来年は税扶養にできないことがわかっている配偶者さんなどが該当します。

 来年分の給与所得者の扶養控除等申告書の記載で気をつけたいこと

来年2018年に、配偶者控除の改正が行われます。

詳細はまた別途解説したいと思っていますが、来年分の給与所得者の扶養控除等申告書に記載できる配偶者の条件が変わります。

給与収入額が1,120万円を超える方は、配偶者の方が無職でも「来年分の給与所得者の扶養控除等申告書」には記載することができないことになりました(つまり毎月の給与から控除される所得税が高くなります)。

給与収入額が1,120万円を超えることがわかっている場合は、申告書に記載しないようにしましょう。

まとめ

毎年ちょっとメンドウだと感じる年末調整ですが、何のためにやっているかを知ると書類提出のモチベーションも変わるのではないでしょうか。

労務担当者の方も、従業員の生活を支えるイベントであることがわかれば、業務の取り組み方もちょっと変わるかも。

全国の会社員を巻き込んだ大変な業務であることには変わりありませんが、正しい申告で納税・還付を受けましょう。

副島 智子

20人未満のIT系ベンチャーや数千人規模の製薬会社、外食企業など、さまざまな規模・業種の会社で人事労務の経験を持つ。前職のEC系スタートアップでは経営管理の役員を歴任し、2016年にSmartHRにジョインしプロダクトマネージャーに就任。従業員、労務担当者、経営者の3つの視点を持ち、年末調整機能の企画、電子証明書取得方法の解説など、メンドウで難しいものをわかりやすくカンタンにしてユーザーに届けることを得意とし、2017年カスタマー・エクスペリエンスチームを発足。


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