「もしかしてマタハラされてる?」そう思った時に確かめたい具体的該当ケース

2017.09.25 ライター: 弁護士 寺林 智栄

この夏、某航空会社の女性社員が、会社をいわゆる「マタハラ」で訴え、最終的に和解したことが話題になりました。

上司らによるハラスメント行為として、最近「セクハラ」や「パワハラ」とともに、この「マタハラ問題」が話題に上ることが増えています。

今回はこの「マタハラ問題」について、考えていきたいと思います。

マタハラとは?

「マタハラ」とは、企業で働く女性が出産や妊娠をしたことを契機として、会社側が精神的肉体的ないやがらっをしたり、出産・妊娠を理由とする解雇、異動、降格などの措置をしたり、あるいは自主退職を強要する場合を指します。

2015年の厚生労働省の調査では、正社員でおおよそ5人に1人、派遣社員で2人に1人がマタハラ被害を受けたというデータが出ています(*1)。

マタハラがもたらす危険

妊婦は身体的にも精神的にも通常の状況よりも、外部の刺激に過敏になるともいわれています。

そのため、精神的嫌がらせや肉体的嫌がらせが、切迫早産や流産に繋がるリスクもあり(*2)、もたらされる被害は世間で考えられているよりも、よっぽど深刻であると考えられます。

マタハラに該当するケース

平成28年3月には男女雇用機会均等法が改正され、マタハラに関して事業主に対してハラスメント防止措置義務が新設され、本年1月1日から施行されました(*3)。

では、具体的にどのような場合が「マタハラ」に該当するのでしょうか?

「妊娠したから解雇」、「妊娠したから異動ね(望まない異動)」は、当然マタハラに該当します。

「お宅は経済的に困ってないんでしょ? 女は子供ができたらやめて家庭に入るべき」などという発言も当然マタハラに該当します。

さらに、つわりなど妊娠時特有の体調不良で苦しんでいる場合に「君にはがっかりしたよ」、「こんなこともできないの?」などという場合、更には体調不良や通院で仕事を休んだ場合に「この忙しい時に休まれて迷惑だ」などという場合もマタハラです。

妊娠後の時短勤務になっているにもかかわらず、長時間労働を強いられる場合も当然マタハラに該当します。

他にもマタハラに該当する例はたくさんありますが、よく見られるものとしてはこのようなものが挙げられるでしょう。

「これってマタハラ?」と思ったら。

自分がマタハラ被害に遭っているのではないかと考えた場合には、自分1人で悩まず、しかるべき機関に早い段階で相談しましょう。

まず、厚生労働省の雇用環境・均等部(室)は、匿名で無料の電話相談ができます。

また、日本労働弁護団ホットラインでは、労働問題の専門家である弁護士が電話で無料相談を行っています。

労働組合がない会社の場合には、ユニオンに加入していれば、そちらでやはり無料の電話相談が可能です。

その他、東京都郎労働相談情報センターも無料電話相談ができます。

さらに、TECC東京圏雇用労働相談センターでは、予約なしでも予約ありでも面談で弁護士や社労士に無料相談ができます。

いずれもWEBサイトがありますので、気になる問題がある方は、アクセスしてみるとよいのではないでしょうか。

妊娠出産は、実に喜ばしいことであり、追い詰められるべきことではありません。追い詰める方がおかしいのです。

自分が悪いのではないか、会社に迷惑をかけているのではないかなどと思わず、是非多くの方に幸せな出産をしてもらいたいものです。

【参照】
*1:マタハラ、派遣の48%「経験」 正社員は21% 厚労省調査 – 日本経済新聞
*2:日産婦誌59巻11号 – 日本産科婦人科学会
*3:雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために – 厚生労働省

弁護士 寺林 智栄

日本橋の片隅でたった一人の小さな事務所を営んでいる弁護士です。2007年弁護士登録。法テラス愛知法律事務所、法テラス東京法律事務所などを経て、2014年10月にともえ法律事務所を開業しました。一般民事事件、家事事件の他、最近では、契約書作成等にも力を注いでおります。趣味は、フィギュアスケート観戦。ブログ「弁護士テラバヤシは本日も晴天なり」もよろしくお願い致します。


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