トータル7万人の受け皿確保を目指す「企業主導型保育所」は女性の働き方を変えるか?


みなさんは覚えていますか?

保育園落ちた日本死ね!!!

何なんだよ日本。
一億総活躍社会じゃねーのかよ。
昨日見事に保育園落ちたわ。
どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。
(以下略)

昨年大きな話題を呼んだこの書き込みは、「一億総活躍社会」を掲げながらも、実際のところは待機児童にあふれ「活躍したくてもできない」という日本の問題を色濃く映したものでした。

政府の一億総活躍社会の実現に向けた取り組みの中で、待機児童問題解消に向け、平成28年度から「企業主導型保育所」の設置が推進されました。

近頃受け皿拡大なども話題になっている、この「企業主導型保育所」とはどういったものなのでしょうか? また、今までの保育所と何が違うのでしょうか?

そもそも「保育所」ってどんな種類があるの?

保育所は大きく、「認可保育所」と「認可外保育施設」に分かれます。

「認可保育所」と「認可外保育施設」の違い

認可保育所とは、自治体に認可された保育所のことで、自治体から補助金が支給されます。

認可保育所に入所するには、自治体の入園審査(保育認定)を受けなければなりません。希望するひと誰もが入所できるというわけではありません。

では、認可外保育施設とは、どういったものでしょう?

こちらは「無認可保育所」とも呼ばれます。

自治体からの設置許可を受けることなく設置できます(届出は必要です)。自治体からの補助金は出ませんが、サービス内容や保育料は自由に設定できます。

「企業主導型保育所」は認可外保育施設に当たる

「企業主導型保育所」は、この認可外保育施設にあたります。

しかし、今までの認可外保育施設とは違い、自治体の認可がなくても、国から運営費・施設整備費の補助金が出ます

さらに、次のような特徴もあります。

  • 子どもを預ける親の様々なニーズに対応できる自由なサービスが可能。
  • 複数企業で共同設置が可能。
  • 自社従業員の子どもだけでなく、地域の子どもの受け入れも可能。
  • 利用者と施設が直接契約を結ぶ。

そのほか、夜間労働や休日労働、パートさんのための短時間保育などに柔軟に対応できます。ショッピングモールなどの商業施設では、各店舗共同で設置することも可能です。

地域のお子さんを受け入れることで、地域貢献やCSR(企業の社会的責任)向上にもつながります。

企業主導型保育所のメリット

では、この企業主導型保育所の、働く女性にとってのメリットはどのようなものでしょう?

今まで国や企業が打ち出した施策のほとんどが、女性に長く働き続けてもらうためのものでした。

「育児休業を長く取れるようにする」「子育ての負担にならない働き方が出来るようにする」といったものばかり。

しかし実際は、そのためにキャリアコースを外れたり、出世が遅くなったりして選択肢が狭まっています。キャリアを積みたい女性にとっては、早期に復帰し、バリバリ働きたいと考える人もいます。

彼女たちにとって、企業主導型保育所の存在によって、育休からの早期復帰が可能になるなど、キャリアアップを断念せずに済みます。

また、自社に保育所があることで、安心して出産することができます。「保活」の苦労もありません。

男性社員の育児参加も期待できます。

このような従業員へのメリットはもちろん、企業にとっても大切な人材の流出を防ぎ中長期での活躍を期待できますし、優秀なメンバーの早期職場復帰によって業務の滞りを防ぎ、持続可能な成長を目指すことができるといえるでしょう。

「企業主導型保育所」の実際の設置状況は?

このようにメリットの多い企業主導型保育所ですが、実際の設置状況はどうなっているのでしょう?

平成28年に始まったこの事業ですが、平成29年5月の時点で3万9,000人分の受け皿が整備されました。

政府は、2年間で5万人分の受け皿確保を目指していましたが、さらに2万人上積みして、平成29年末までにトータル7万人の受け皿確保を目指すとしています(*1)。

それだけ、政府も企業もこの制度について活発に動いているということになります。

この企業主導型保育所、女性活躍が進んでいない企業にとっての切り札になるかもしれない注目すべき制度です。

【参照】
*1:企業主導型保育所、受け皿を年度内7万人に 少子化相 – 日本経済新聞

社会保険労務士事務所いいだ  飯田 弘和

社会保険労務士事務所いいだ 飯田弘和
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