「会社都合で語られる生産性という言葉が嫌いです」JINS MEMEが切り拓く働き方の未来[後編]

2017.09.06 ライター: SmartHR mag. 編集部

この記事は 「経営者が“なぜ”を語れなければ、働き方改革は失敗する」JINS MEMEが切り拓くHRの未来[前編]の続きです。

後編となる今回は、「人事労務の未来に求められること」をテーマにお話をお伺いしました!

株式会社ジンズ 井上 一鷹
慶応義塾大学理工学部応用化学卒業後、新卒でADLに入社。大手製造業を中心とした事業戦略、技術経営戦略、人事組織戦略の立案に従事。現在は株式会社ジンズにて、JINS MEMEグループマネジャーを務める。2017年7月、「JINS MEME」を活用したアイデア・ソリューション「JINS MEME OFFICE BUSINESS SOLUTIONS」で、「HR-Solution Contest ―働き方改革×テクノロジー―」のグランプリを受賞。

「会社のやるべきこと」と「従業員のやりたいこと」をリンクさせるべき

今後の「人事労務」を考える上で、どのようなことが求められるかについて、見解をお聞かせいただけますでしょうか。

井上さん
まず、そもそもの話で、「生産性向上」を求めるのって「会社」であることがほとんどだと思いますが、でも実際にそれに取り組むのって「従業員個人」なんですよね。

会社視点だけで考える「生産性」って、「個人の働き方」「個人の幸せ」とはリンクしないものです。これらのリンクなくして、生産性向上は成しえないのではないでしょうか。

ですので、正直なところ会社視点の都合で語られる「生産性」という言葉は嫌いですし、ジンズとしても「集中」という言葉には強いこだわりを持っています。

生産性向上を支える「インセンティブのエコシステム」は必要不可欠

井上さん
次に考えられるのは、「インセンティブのエコシステム」をどう築いていくか、というのがポイントになると思います。

これは今回のソリューションにおける課題でもありますが、単に残業時間を削減しようとしたところで、「残業代」がインセンティブになっていたこれまでの状況を踏まえると、単純に考えれば「残業時間ゼロ → インセンティブの消滅」となりますから、残業時間削減に対するモチベーションが上がるのは難しいと考えられます。

ではどうすべきか?

これまで、ダラダラと働いた人のほうが恩恵に預かれる芳しくない仕組みだったものを、テキパキ働いて迅速に帰宅する人を評価しインセンティブを与える仕組みへと変える必要があります。

― テキパキ働けば早く帰れてインセンティブが貰える、しかもテキパキ働いて早く帰っているので過労などの問題も避けられそうです。

井上さん
なので、このような「インセンティブのエコシステム」は生産性向上を図るには必要不可欠だと考えています。

もちろん「JINS MEME OFFICE」でもインセンティブを導入できないか検討しています。

提供:JINS MEME OFFICE BUSINESS SOLUTIONS

改善が得意な日本人だからこそ「人のコンディション」も改善活動にしてあげればイイ

― 井上さんがおっしゃるように、従業員自ら主体的に改善へと取り組むエコシステムができれば理想的と言えそうです。

井上さん
焼け石に水では意味がありませんし、循環すべく仕組みは欠かせません。そのためにも「生産性向上」自体を改善活動として仕組み化してあげるとよいのではと考えています。

これは、「トヨタ生産方式」に代表されるように、改善を得意とする日本人にも適しているのではないでしょうか。

20世紀の経済は、アウトプットの主体が「設備」である第二次産業によって支えられてきました。つまり、生産性を維持あるいは向上させるには「設備コンディションのメンテナンス」が必要でした。

このメンテナンスに対するコストがかけられたのは、生産に欠かせない設備だからということに加えて、例えば「●●をすることで▲▲%と改善する」ということを、定量的に把握できるからと考えても良いでしょう。

一方、21世紀に台頭した第三次産業では、第二次産業でいうところの「設備」は「人」が該当します。

では、第二次産業同様、アウトプットの主体たる「人のコンディションのメンテナンス」が行われているかといったら、そうではないはずです。

これは「コンディション」を定量的に定義できていなかったからでしょう。

じゃあ、「HRテックで見える化させ、改善活動にしてあげればイイじゃん」、というワケです。「JINS MEME」が集中度を計測するのも、そのひとつです(前編参照)。

パフォーマンスを引き出すための投資を惜しまないことが大切

― つまり「人のコンディション」がこれからの経済を左右するということでしょうか。

この点について少し思うところがありまして、人事労務全般で考えた時に、「採用」ばかりに重きが置かれ入社後の「人のコンディション」があまり重視されていないという。

井上さん
確かにそうだと思います。これの何が問題か?

まず、労働人口が減少する時代において、限られたパイの中から自社に適した人材を見つけるには、1人あたりの採用コストの高騰も避けては通れないでしょう。折角コストをかけて採用したはいいものの、人材流出が続けば、人も資産も垂れ流しになるだけです。

また、100を期待して100のバリューを出すのは当然です。しかし、これは最大限の成果を出しているとは言えません。

100以上のパフォーマンスを発揮するための施策が行われていたでしょうか?

例えば、ある一流の技術者がパフォーマンスを最大化させると、300倍の生産性となる可能性を秘めているとして、それであるにも関わらず個人のパフォーマンスに目を向けないのは非常にもったいないことです。

― 「組織のやるべきことと、従業員のやりたいことのリンク」とも繋がりそうです。

井上さん
従来の常識を捨て、21世紀の産業では、個のパフォーマンスが会社としてのパフォーマンスに大きく関わるということを認識すべきではないでしょうか。

その施策の成果を表すインジケーターが無いなら、まずは定義してしまえばいい。

そこからが「働き方改革」のスタートだと思います。

 

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