「Jアラート」発令時の遅刻は免除される? それとも減給?

2017.09.20 ライター: 弁護士 星野 宏明

こんにちは、弁護士の星野 宏明です。

8月29日そして9月15日と、半月あまりの間に2回のJアラートが発令されましたが、どちらも通勤中の人も多かった朝の時間帯でした。

Jアラートでは付近の頑丈な建物や地下への避難を促されますが、「対象地域」に住んでいるあるいは通勤している場合、万が一実際の被害がなかったとしても、避難の影響による遅刻や欠勤を免除してもらえるのでしょうか?

また、万が一その遅刻・欠勤によって減給などされた場合は何かしらの対処ができるのでしょうか?

以上のポイントについて、法律上の観点からご説明します。

Jアラートによる遅延でも、原則は「ノーワーク・ノーペイ」

Jアラートに限らず、通勤で電車など公共交通機関を使用している多くの方は、人身事故や車両故障などで想定外の遅延に巻き込まれ、出勤に遅刻してしまった経験があるかもしれません。

一般的には、会社の内部規則で、公共交通機関の遅延の場合は、遅刻扱いとせず、減給措置もとらないことが多いと思います。

しかし、実は、減給にしないこのような会社の扱いは、会社側の好意によるものであり、法的には「ノーワーク・ノーペイの原則」により、減給となるのが原則です。

特別規定がない限り「遅刻・欠勤の免除」は請求できない

また、民法536条1項では、

「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない」

として、危険負担の債務者主義を規定しています。

この民法の規定は、労働契約において労務提供する債務者(労働者)が、当事者双方の責によらない事由(公共交通機関の遅れ)により、労務提供できなかったときは、債務者(労働者)は反対給付(賃金)を受ける権利を有しない、という結論を導き出します。

したがって、会社内部での特別規定がない限り、労働者側から遅刻・欠勤の免除を求めることはできません

ミサイル発射や天災による公共交通機関の遅延・欠航も、基本的には使用者・労働者双方の責によらない事由により労務提供できなくなるものですから、法的には原則として遅刻時間分は減給となります。

使用者側で気をつけるべきこと

会社が就業規則や内部規定で、公共交通機関の遅延については遅刻減給扱いとせず、給与減額をしない扱いとすることは問題ありませんし、そのほうが一般的でしょう。

これをJアラート発令時で考えても、法律上の原則があるとはいえ、(賛否こそ議論されていますが)Jアラートでは避難が勧められますし、減給までしてしまうと従業員の士気にもかかわるかもしれません。

個別事案での実情に応じた柔軟な取扱いが必要となるでしょう。

※ 弾道ミサイル落下時の行動については下記サイトをご参考ください
内閣官房 国民保護ポータルサイト

弁護士 星野 宏明

大手法律事務所勤務を経て、東京都港区で星野・長塚・木川法律事務所開業(共同パートナー)。企業顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中国法務、外国関連企業、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件、国際案件等が専門。中国語による業務可能。


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