1社あたり最大150万円支給の「職場意識改善助成金(テレワークコース)」とは?


大きな社会問題になっている過重労働。

長時間労働により、心身に悪影響を及ぼすリスクがあることは皆さんもご存じでしょう。

メンタルを病んでしまうことはもちろん、心臓疾患の危険性もあります(*1)。

長時間労働の抑制や職場環境の整備は、従業員の健康確保にも繋がります。しかし、各企業で置かれる状況は異なり、それらの推進にリソースを割くに割けないなどで困っている方も多いことでしょう。

そんな中、労働時間等の改善に取り組む中小企業を支援する助成金として「職場意識改善助成金」があります。本記事では、この助成金について取り上げます。

「職場意識改善助成金」とは?

「職場意識改善助成金」とは、中小企業における労働時間等の設定の改善を通じた「職場意識の改善」を促進するため、職場意識改善に係る計画を作成し、計画に基づく措置を効果的に実施した中小企業に支給されるものです。

この助成金は、「職場環境改善コース」をはじめ、「勤務間インターバル導入コース」「所定労働時間短縮コース」「時間外労働上限設定コース」、そして先日発表された「テレワークコース」を加えた5つのコースに分かれます。

本記事では、「テレワークコース」を取り上げます(*2)。

そもそもテレワークとは?

平成29年3月28日に政府が発表した「働き方改革実行計画」では、テレワークについて、次のように指摘しています(*3)。

テレワークは、時間や空間の制約にとらわれることなく働くことができるため、子育て、介護と仕事の両立の手段となり、多様な人材の能力発揮が可能となる。

IT技術の発達等により、在宅でもパフォーマンスを落とすどころかむしろ上げながら仕事ができる可能性を秘める時代です。

もちろん各企業には業界やサービス形態などにより、その特性は様々であり、すべての企業で一様に実施できるというわけではありません。

しかし、少なくとも活用できる余地があるのであれば、検討しない手はないでしょう。

「テレワークコース」の支給額は1企業あたり最大150万円

厚生労働省より発表された「職場意識改善助成金(テレワークコース)」では、後述する成果目標の達成状況に応じて、経費の一部が支給されます。

成果目標を達成することで、 MAXで1人あたり15万円・1企業あたり150万円が支給されますので、心強い制度であることに違いないでしょう。

出展:厚生労働省「職場意識改善助成金(テレワークコース)」より抜粋(*2)

テレワークコースの申請方法

そんな、時流にあった魅力的な制度である「職場意識改善助成金(テレワークコース)」ですが、具体的にどのように申請するのでしょうか?

「事業実施承認申請書」の提出

まずは、「事業実施承認申請書」の提出が必要です。

労働時間等の設定の改善を目的として、在宅またはサテライトオフィスにおいて、どのような事業を実施するかを検討しなければなりません。

取り組み事例としては、テレワーク用通信機器の導入・運用クラウドサービスの導入などがあげられます。

ちなみに、パソコン、タブレット、スマートフォンの導入は対象外となります。

自社の事業内容やそれに紐づくタスクを洗い出し、どのような仕事であれば在宅やサテライトオフィスで遂行することができるかを考えてみましょう。

平成29年12月1日までに提出を!

申請書が受け付けられた後、審査が行われ、承認・不承認に関わらず会社宛に通知書が届きます。

通知書が届いてから、実際に承認申請書に沿って事業内容を遂行することとなります。

なお、事業実施承認申請書は、平成29年12月1日までに提出する必要がありますので注意するようにしましょう。

支給対象となる「成果目標」は?

支給対象となる取り組みは、次の「成果目標」を達成することを目指して実施します。

1. 評価期間に1回以上、対象労働者全員に、在宅またはサテライトオフィスにおいて就業するテレワークを実施。

2. 評価期間において、対象労働者が在宅またはサテライトオフィスにおいてテレワークを実施した日数の週間平均を、1日以上とする。

3. 年次有給休暇の取得促進について、労働者の年次有給休暇の年間平均取得日数を前年と比較して4日以上増加させる。または所定外労働の削減について、労働者の月間平均所定外労働時間数を前年と比較して5時間以上削減させる。

長時間労働が常態化しており、有給休暇取得率も低いのであれば、これらの成果目標は達成できるでしょう。

自社の現状を正しく把握することが重要です。

テレワークの活用で事業継続を

テレワークの推進は、単に生産性の向上や多様な働き方を認めるだけに留まりませんし、助成金受給のために実施すればいいでもありません。

ご存じのとおり、日本は地震大国です。近い将来、南海トラフ地震や首都直下型地震の発生が懸念されています。

万が一大災害が起こって、本社が被災し事業がストップしてしまったとしても、エリアによって在宅就業またはサテライトオフィスが機能していれば、会社機能の一部を継続できる可能性もあります。

もちろん大地震だけでなく、もっと頻繁に起こりうる例として、人身事故やこれからの季節ですと台風、冬以降は大雪などで、大幅に交通網が乱れることもあります。

そのような際でも、テレワークを上手く活用することで、滞りなく仕事に臨めるかもしれません

持続可能な事業モデルを構築する上でも、重要な手立てとなる可能性を秘めていると言えそうです。

【参照】
*1:脳・心臓疾患の労災認定 – 厚生労働省
*2:職場意識改善助成金(テレワークコース) – 厚生労働省
*3:働き方改革実行計画 – 首相官邸

社会保険労務士 倉橋 和之

社労士事務所に約1年勤務を経て平成23年11月開業。専門分野は、助成金申請業務を起点にした人事労務支援や資金調達支援。自身の開業経験を活かして事業計画書や経営改善計画の策定をメインに、起業者支援も行っている。


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