企業イメージを悪化させる「下請けイジメ」はれっきとした違法行為

2017.08.08 ライター: 弁護士 浅野 英之

こんばんは。弁護士の浅野 英之です。

最近、自動車安全システムメーカーである「タカタ」が、下請けイジメで公正取引委員会から勧告を受けたというニュースが各メディアで報じられ、話題になりました(*1)。

この「下請けイジメ」とは、事業者同士の取引において、一定の力関係の差がある事業者が、不利な取引を強要する行為などをいいますが、ひとたび「下請けイジメ」を行ったと報道されれば、企業イメージの低下は避けられません。

今回は、「下請イジメ」の概要や違法性、そしてどのようなデメリットがあるのかを解説していきます。

「下請けイジメ」は紛れもない違法行為

「下請けイジメ」とは、事業者関係の力の差を利用して、親事業者が下請事業者に対して自社の不利益を転嫁したり、下請事業者にとって不利な取引をさせたりすることをいいます。

この「下請けイジメ」は、法律で禁止された、れっきとした違法行為です。

具体的には、下請けイジメは、「下請法」「独禁法(独占禁止法)」といった法律で禁止されており、公正取引委員会によって、厳しく監督、取り締まりをされています。

「下請いじめ」に該当するケース

どのような場合に下請けイジメとなるのかについては、下請法違反となるかどうかの基準が参考になります

下請法では、「会社の規模について」、「禁止行為について」の2つの側面から、どのような場合に下請法違反となるかを判断するものとされています。

(1)下請法が適用される会社の規模

下請けイジメがなぜ禁止されているかというと、力関係の格差を利用した不当な取引を行うためです。

下請法が適用されるかどうかは、親企業と下請事業者の資本金の規模と取引内容によって決まります

公正取引委員会によると、具体的な線引は下記のとおりです。

( 画像出典:公正取引委員会HP「下請法の概要」より抜粋

(2)下請法で禁止される行為

また、会社の規模だけでなく、下請法には、親事業者の禁止行為として、次の11項目が規定されています。

( 画像出典:公正取引委員会HP「親事業者の禁止行為」より抜粋

なお、以上の禁止行為にあたる場合には、例え下請事業者の同意があったとしても下請法違反となる恐れがあります

「下請けイジメ」の制裁やデメリット

下請法に違反した親事業者に対しては、さまざま制裁(ペナルティ)やデメリットがありますので、注意が必要です。

例えば、以下のようなものです。

・ 公取委の指導や勧告
・ 報告命令や立入検査
・ 罰金
・ 下請事業者からの損害賠償請求

更に、上記の制裁のようなデメリットだけでなく、冒頭で説明した例のように、「下請けイジメ」と報道されることによって、企業イメージが大きく低下し、顧客や取引先を逃す恐れも十分あります。

中には、禁止行為が長期に渡って慣習化するなど、悪気や意識がない中で抵触しているようなこともあるかもしれません。

「下請けイジメ」は会社間の法的な問題にとどまらず、泣きを見るのは何より従業員です。その「下請けイジメ」があなたの会社の従業員を苦しめるかもしれません。

今回の解説をお読み頂き、「自社は下請けイジメをしてしまっているのでは」「自社は下請けイジメをされてしまっているのでは」といったような不安を感じた方は、「下請けイジメ」に該当しているかどうか、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

【参照】
*1:「下請けいじめ」公正取引委、タカタに勧告 – 日テレNEWS24

弁護士 浅野 英之

浅野総合法律事務所、代表弁護士。企業側労働問題を得意とする石嵜・山中総合法律事務所にて、労働問題に関する数多くの相談対応、顧問先企業の労務管理を行ってきた経験を活かし、浅野総合法律事務所を設立。以降、「労働問題に強い弁護士」として、企業側はもちろん、労働者側の相談にも対応し、労働問題のスペシャリスト弁護士として活動中。特に成長中のベンチャー企業、中小企業の人事労務のコンサルティングに定評がある。 【企業向けメディア】ビズベン!
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