22時以降の飲み会禁止? 会社は社員のプライベートを制限をできるのか

2017.08.04 ライター: 弁護士 星野 宏明

こんにちは。弁護士の星野 宏明です。

近年、社員の不祥事対策などを理由に、一部で勤務時間外の社員の行動についてのルールを設け、制約することがあるようです。

例えば、銀行では「22時以降の飲酒が禁止」などの制限を設けられることがあるという話も聞かれます。

このように、会社は「社員のプライベート」を制限することは可能なのでしょうか?

勤務時間外のプライベートを制限することはできない

結論からいうと、勤務時間外に社員がどうすごすかは社員の自由であり、会社が勤務時間外や休日の行動を拘束することはできません

そもそも、労働契約は、「従業員が労務提供する代わりに、労務提供の対価として賃金の支給を受けるもの」ですから、従業員が使用者の指揮命令に服するのは、労務提供を行う義務がある勤務時間に限られるのが当然となります。

逆からいうと、形式的には勤務時間とされていない時間であっても、実質的に行動の自由がなく、業務待機を強いられるなど、使用者の指揮命令に服している状態である場合には、実体は勤務時間に他ならず、賃金(休日賃金・時間外割増賃金)の支払が必要となります。

従って、勤務時間外の行動の制約は基本的に無効であり、ルール違反があったとしても、それだけで懲戒処分の理由とはなりません。

プライベートの制約に違反しても、懲戒処分を下すことはできない

実際には、一定時間帯の飲み会にいってはならない、怪我の恐れのあるフットサルなどのスポーツをしてはならない、副業をしてはならないといったルールを設ける例があるようです。

勤務時間外の飲み会やスポーツは、まさに社員の勤務時間外の自由行動であり、これを制約しても、違反を理由に懲戒処分を下すことはできないと考えられます。

もっとも、飲酒などに起因して勤務時間外の問題行動により会社に損害を与えるケースは想定され、そのような場合には、会社に損害を与えたことを理由とした懲戒処分は可能です。

ただし「副業の禁止」は一定範囲で認められる

副業についてはどう考えられるでしょうか?

副業の禁止については一定の範囲で認められます。

まず、憲法上の職業選択の自由との兼ね合いや、休日などの行動を縛ることまではできないことから、全面的に副業を禁止することは合理性が認められません。

しかし、これまでの裁判例では、会社の企業秩序を乱し、労務提供に支障を来たすおそれのある副業の禁止は有効とされています。

例えば、労務提供に支障を来たす程の長時間の副業について、解雇が認められた例もあります。

とはいえ、労務提供に影響がなく、職場秩序にも何ら影響を与えることが想定されない場合には、就業規則で副業禁止規定があっても、解雇は認められないケースが多いでしょう。

「働き方改革」が推進される中で、副業・兼業なども後押しされつつありますし、これを機に労使双方にとってプラスとなる仕組みをつくれないか、会社の特性と照らした上で検討してみるのも良いかもしれません。

弁護士 星野 宏明

大手法律事務所勤務を経て、東京都港区で星野・長塚・木川法律事務所開業(共同パートナー)。企業顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中国法務、外国関連企業、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件、国際案件等が専門。中国語による業務可能。
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