欺くのは不可能? 「かとく」こと「過重労働撲滅特別対策班」とは何なのか


最近、電通の過労自殺問題や居酒屋チェーン店の残業問題などのニュースで、しばしば「かとく」による違法残業調査を耳にしたことがある人は多いと思います。

「過重労働撲滅特別対策班」と聞くと仰々しく、労務管理をする責任者としても、どのような場合に立ち入り検査が行われるのか、どういった検査が実際されるのか、気になることと思います。

そこで今回は、「かとく」こと「過重労働撲滅特別対策班」がどのような組織なのかについて解説します。

専門の労働基準監督官「かとく」

「かとく」とは、厚生労働省の「過重労働撲滅特別対策班」の通称で、東京労働局と大阪労働局に設置されています。

組織は、労働基準監督官から構成されており、労務管理データの改ざんにも対応できるように、専門知識も持ち合わせた組織です。

違法な長時間労働の是正が主な目的です。

立ち入り調査対象は「月の残業80時間超」が疑われる事業所

「かとく」は、事業所への立ち入り調査をすることがあります。

以前は月100時間超の残業が疑われる事業場を対象としていましたが、現在は重点監督対象となる事業所を月80時間超の疑いがあるところまで拡大し、調査の対象にすることとされています。

過労死ラインを1つの基準として、調査対象を選定しています。

立ち入り調査の内容

立ち入り検査では、労務管理のデータを元に、

・36協定などの残業上限を遵守しているか
・違法な長時間労働がないか

といった調査が行われます。

近年は、意図的に労務管理データまで改竄する悪質な企業もあり、「かとく」では専門家がデータの改ざん等もないかどうかも含めて、チェックされます。

調査の結果により罰則も

悪質な違法残業の事実が認定される場合は、検察に事件が送致され、刑事罰が課されることもあります。

もっとも、「かとく」は悪質かつ違法な長時間残業を撲滅する趣旨で設立された組織であり、当然、通常の適法な範囲内の残業をさせる分には違法ではありません。

従って、「かとく」の立ち入り調査を怖がる必要もありません。

データ改ざんで欺こうとしても、かえって損失を招きかねない

とはいえ、残業時間が恒常的に長い職場状況の場合は、違法残業とならないように、残業上限時間をしっかり管理しておくことが重要です。

また、過重労働を隠蔽しようと労務管理データを改ざんしても、「かとく」によって、ひとたびその事実を暴かれれば、実態を隠す「悪質なブラック企業」として知れ渡ることになるでしょう。そうなると、上手くやり過ごそうとした結果かえって甚大な損失を招きかねません。

読者の皆様におかれましても、残業上限を遵守し、過重労働を避けることはもちろん、嘘偽りなく管理し、必要に応じて真摯に改善を図ってほしいと願います。

弁護士 星野 宏明

大手法律事務所勤務を経て、東京都港区で星野・長塚・木川法律事務所開業(共同パートナー)。企業顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中国法務、外国関連企業、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件、国際案件等が専門。中国語による業務可能。
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