「タバコ休憩はずるい!」喫煙者と非喫煙者とで「不公平感のない職場環境」を整えるには?

2017.06.06 ライター: 弁護士 浅野 英之

こんにちは。浅野総合法律事務所 代表弁護士浅野英之です。

タバコに対する風当たりが厳しい昨今、企業においても「タバコ休憩」がやり玉に挙げられることが多く、仕事やプライベート問わず、喫煙者にとってはつらい時代となりました。

とはいえ、通常の休憩以外に「タバコ休憩」を頻繁にとっている喫煙者がいるとしたら、非喫煙者からすれば、「仕事をしないのに同じ給料をもらって・・・」と不公平感、不満の対象となるのも、無理はありません。

そこで今回は、「喫煙者」と「非喫煙者」とで、「不公平感を抱かない労働環境を整えるための対策」について、解説していきます。

「タバコ休憩」は休憩?それとも労働時間?

喫煙を、昼休みのうちに行うことは、何も問題がありません。というのも、休憩は、「自由利用の原則」というルールに守られており、休憩中は、基本的には何をしていても構わないとされているからです。

これに対して「休憩」とはいっても、本来の休憩とは別に業務時間中に行われる「タバコ休憩」は、労働法の考え方でいう「労働時間」にあたるのでしょうか?

「労働時間」とは、「使用者の指揮命令下にある時間」をいうとされています。裁判例の考え方では、タバコ休憩中であっても、上司から命令をされたり、緊急時にはすぐに戻って対応したりしなければならない場合には、「労働時間」にあたると考えられます。

これに対して、デスクを離れ「タバコ休憩」をとり、休憩中は指示を受けないというのであれば、「休憩時間に当たる」と考えて良いでしょう

「不公平感のない制度・環境」を整えるにはどうしたらよいか?

以上のように、タバコ休憩について、喫煙者と非喫煙者の考え方が違うため、不公平感が生まれます。

それでは具体的に、会社としてはどのような対策を検討すべきなのでしょうか?

(1)タバコ休憩を「休憩」とみなし、喫煙者の賃金を控除する

まず、「喫煙者の賃金を控除する」という方法ですが、この方法は、さきほど解説したとおり、タバコ休憩が「労働時間」にあたらない場合に限って有効な方法です。

タバコ休憩が「労働時間」にあたる場合には、タバコ休憩の時間分だけ賃金を引くことはできず、「あまりにひどいタバコ休憩に限って、評価に影響させる」という程度にとどまります。

(2)非喫煙者へ「タバコ休憩と同等の休憩」を与える

次に、「非喫煙者にも、タバコ休憩と同等の休憩を与える」と言う方法です。

非喫煙者であっても、業務時間中に適度な休憩があった方が仕事が捗るという人もいますから、非喫煙者の不公平感をなくすとともに、業務効率を上げる効果も期待できます。

ただし、「既に休憩時間として充分であり、自分には必要ない」という意見もありうるので、注意が必要です。

(3)非喫煙者へ「非喫煙手当」を与える

上記2点では、「不公平感のない環境・制度」を整えるのが難しいと考えられる場合、こちらの手段が有効な策のひとつとして考えられます。

近年、社員の禁煙や健康増進を促す一環として、「非喫煙手当」を付与する企業が増えつつあるようです。「タバコ休憩」による不公平感をなくすばかりでなく、喫煙者から非喫煙者という、健康努力も後押しできる効果的な策ですね。

「SmartHR mag.」の運営元・株式会社SmartHRでも、「たばこ吸わない手当」を毎月支給しているようです。

喫煙者・非喫煙者どちらの立場も尊重する対策を

喫煙の有無や拘束時間が成果の良し悪しを決定するわけではない点も踏まえると、「タバコ休憩」に対する一方的な締め付けは非現実的であり、喫煙者・非喫煙者どちらの立場も尊重するような対策が必要といえるでしょう。

そういった観点からすると、タバコ休憩や喫煙者を押さえつける制度を設けるより、健康増進のための制度によって公平感ある環境づくりを目指すほうが、より効果的なのではないでしょうか。

弁護士 浅野 英之

浅野総合法律事務所、代表弁護士。企業側労働問題を得意とする石嵜・山中総合法律事務所にて、労働問題に関する数多くの相談対応、顧問先企業の労務管理を行ってきた経験を活かし、浅野総合法律事務所を設立。以降、「労働問題に強い弁護士」として、企業側はもちろん、労働者側の相談にも対応し、労働問題のスペシャリスト弁護士として活動中。特に成長中のベンチャー企業、中小企業の人事労務のコンサルティングに定評がある。 【企業向けメディア】ビズベン!
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