社労士が解説! キャリアアップ助成金「正社員化コース」の申請方法


こんにちは。社会保険労務士の倉橋 和之です。

最近、助成金申請についての問い合わせが増えていると実感している今日この頃です。

特に、「キャリアアップ助成金」は2017年4月1日から概要が変更され、追加されたコースや助成額が増えているコースもあり、現在助成金を申請していない企業でも、今一度この制度について知って損はないでしょう。

今回は、そんな「キャリアアップ助成金」の中でも、最も取り組みやすい「正社員化コース」の申請方法について取り上げたいと思います。

「キャリアアップ助成金」とは?

キャリアアップ助成金とは、有期契約労働者、短時間労働者や派遣労働者などに対して、正社員化や人材育成、労働時間の延長などの取り組みをすることにより、非正規労働者の処遇改善を目的とする助成金です。

非正規労働者が多い会社であれば、キャリアアップ助成金は、是非積極的に活用したい助成金と言えるでしょう。

「キャリアアップ計画書」を提出しよう

キャリアアップ助成金は、「正社員化コース」、「人材育成コース」等の8つのコースに分かれています。

1つのコースだけに絞るのもよいですし、複数のコースを選択するのもよいでしょう。

どのコースを選択にするせよ、まず「キャリアアップ計画書」を作成し、管轄の都道府県労働局に提出する必要があります。

キャリアアップ計画書の作成

キャリアアップ計画書には、自社の非正規労働者等のキャリアアップに向けた取り組みについて、「対象者」「取組目標」「期間」等を設定します。

このキャリアアップ計画書では、「キャリアアップ管理者」を定める必要がありますが、代表取締役の方を定めればよいでしょう。

ただ、キャリアアップ管理者は事業所ごとに定めるものであるため、1人で複数の事業所のキャリアアップ管理者を兼ねることができません。その点は注意が必要です。

キャリアアップ計画書の提出は、都道府県労働局雇用助成室に対して行いますが、内容に問題がなければそのまま受け付けられます。

キャリアアップ計画書には、計画期間が設けられていますので計画期間開始の1か月前に提出することが望ましいでしょう。

「正社員化コース」の申請方法

まずは、キャリアアップ計画書が受け付けられた後、就業規則等の社内規定に、正社員等への転換に関する規定を定めることが必要です。

その場合、転換に関しての手続き内容や正社員等に転換する要件、転換試験の実施時期などを必ず規定するようにしましょう。

ちなみに、キャリアアップ計画書を提出する前に転換規定を定めていても問題はありませんが、前述の転換に関しての手続き内容や正社員等に転換する要件、転換試験の実施時期などは明記するようにしてください。

就業規則を労働基準監督署へ忘れずに提出しよう

これを規定をした就業規則は、労働基準監督署に届け出ることも忘れずに行ってください。

その後、規定に従って、対象者を正社員等に転換するための試験を実施します。

転換前と後の「雇用契約書」「労働条件通知書」も必要

転換の際には、転換後の雇用契約書や労働条件通知書を、対象者に交付することを忘れないでください。

また、従前の転換前の雇用契約書や労働条件通知書も申請時に必要となりますので注意しましょう。

申請にかかる時間はどれくらい?

助成金申請の取り組みには、かなり長い時間を要します。

正社員化コースの場合は、正社員等に転換して6か月を経過し、そこから支給申請ができることになります。

実際に支給決定され、会社に対して助成金が振り込まれるまでは支給申請から約半年を要しているケースがほとんどです(各都道府県労働局ごとに異なる場合があります)。

助成額は1人あたり57万円

有期契約雇用者から正社員へ転換した場合の助成額は1人あたり57万円です。

更に、助成金を申請する事業所の生産性伸び率が「生産性要件」を満たした場合は、1人あたり72万円の支給に増額されます。

何のために助成金申請するのかという目的を明確に

厚生労働省は、助成金を、「会社が雇用に対して行う取り組み(採用や定年年齢の引き上げ、教育訓練、作業能率の改善のための設備投資など)に対するインセンティブ」と捉えています。

ですから、何のために助成金申請に取り組むのかという目的を明らかにすることを強くお勧めします。

なお、キャリアアップ助成金の不正受給は、非常に厳しいペナルティを負いますので、絶対に行わないようにしましょう。

社会保険労務士 倉橋 和之

社労士事務所に約1年勤務を経て平成23年11月開業。専門分野は、助成金申請業務を起点にした人事労務支援や資金調達支援。自身の開業経験を活かして事業計画書や経営改善計画の策定をメインに、起業者支援も行っている。


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