社員の無断欠勤が続くとき「懲戒解雇」や「自然退職」の前にするべき大切なこと


こんにちは。社会保険労務士の篠原宏治です。

ゴールデンウィーク後、まだ間もない5月中旬、“5月病”に苛まれてもおかしくない時期です。

筆者も、顧問先などから「社員が突然出社して来なくなった。」というご相談を受けることは決して少なくありません。

社員が突然出社して来なくなった場合、会社の労務担当者はどのような点に留意して対応するべきなのでしょうか。

社員 無断欠勤 対応

社員と連絡が取れる場合は「無断欠勤の理由」を確認して対応

無断欠勤した社員と連絡が取れる場合は、「出社して来なくなった理由」を確認して対応を検討します。

私がこれまでに受けたご相談で出社して来なくなった理由として最も多いのは、うつ病を発症したことによる無断欠勤です。一般的にもこのケースが多いのではないでしょうか。

社員本人からすれば「出社しない」というより「出社できない」と言ったほうがよいかもしれません。

前日まで元気だった社員が、いきなりうつ病を発症して無断欠勤するということは考えにくく、「最近落ち込んでいた」、「仕事のミスが増えていた」、「遅刻や欠勤が増えていた」などの前兆があることがほとんどです。

無断欠勤するレベルですと、うつ症状が進行している可能性がありますので、無理に出勤させることはせず、会社の産業医や診療内科医の受診をさせるとともに、必要に応じて会社規定に従って病気休職の手続きなどを行いましょう。

社員の労働時間が日頃から長時間に及んでいる場合や会社内でのパワハラが疑われる場合など、うつの原因が業務上によるものと考えられるときは、労働条件や職場環境の改善も必要となります。

社員と連絡が取れない場合は「早急な安否確認」を

無断欠勤した社員と連絡が取れない場合は、心筋梗塞や脳梗塞などの急性疾患を発症していたり、事件や事故に巻き込まれていたりする恐れもあり、まずは早急な安否確認が求められます。

もちろん、ただの寝坊や一時的な病気の可能性もありますが、出社して来ない社員の自宅を上司や同僚が訪ねて、事件や事故が発覚したというケースも少なくありません。

ですので、電話やメール、家族や身元保証人への連絡、自宅訪問など、可能な限りの方法で社員と連絡を取るように努めてください。

そのためにも普段から、複数の連絡手段を確保することを心掛けましょう。

無断欠勤が続いても懲戒解雇でなく「自然退職」に

手を尽くしても社員と連絡が取れない場合や、正当な理由がないにも関わらず出勤督促に応じない場合は、退職の手続きを行うことになります。

多くの会社では、就業規則に、無断欠勤が14日以上におよび出勤の督促に応じない場合は、懲戒解雇する旨の規定が定められています。

しかし、解雇通知は社員本人に到達しなければ効力が生じないため、社員と連絡が取れない場合は解雇が成立しません。

この場合は、簡易裁判所で公示送達を行って2週間経過すれば、本人に解雇通知を行ったのと同じ効力が認められますが、多くの手間と時間を要することになります。

そのため、無断欠勤が続いた場合は「懲戒解雇」ではなく、無断欠勤を退職の意思表示とみなした「自然退職」とするように定めておくとよいでしょう。

無断欠勤が業務に起因するものでなくとも「復帰支援」を

ただし、出勤督促に応じないことを理由に安易に退職手続きに進めるのは、無用な労使トラブルを招きかねません。

無断欠勤の理由がうつ病である場合などは、それが業務に起因するものではない場合であっても、適切な休職期間の設定やカウンセリングの斡旋など、まずは積極的な「復帰支援」を行いましょう。

それでも職務復帰できるほど回復しないなどのやむを得ない場合に限り、退職手続きを進めるようにしてください。

特定社会保険労務士 篠原 宏治

社会保険労務士事務所しのはら労働コンサルタント代表。元労働基準監督官。特定社会保険労務士。労働基準監督官として残業代不払いや長時間労働などの労働問題に関する数多くの相談対応、監督指導(臨検)、強制捜査などを行ってきた経験を活かし、「労働問題に強い社会保険労務士」として、労使双方からのご相談に対して実務的な助言やコンサルティングを行っています。社会保険労務士事務所しのはら労働コンサルタント
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