「働き方改革」はメリットだけではない? 経営者が考えるべき重要なこととは


「働き方改革」に関連する動きが連日報道されています。

昨年12月に、同一労働同一賃金ガイドライン案が公表されたことは記憶に新しいところです。3月には、残業時間の上限を100時間を基準とすることで労使双方が合意したことも報道されました。

長時間労働の是正や様々な人が活躍できる社会を目指すなど、良いことばかりのように感じるかもしれませんが、企業にとってはメリットだけではなくデメリットもあります。

本記事では、これら政府が推し進める「働き方改革」についての現状や、企業が対応するべきこと、メリット・デメリットについてお伝えしていきます。

働き方改革の背景は「一億総活躍社会」の実現

現在、内閣官房において、安倍総理を議長とする「働き方改革実現会議」が設置され、

  • 「長時間労働の是正」「テレワーク/副業等の推奨」
  • 「女性活躍の環境整備(子育て・介護等の補助も含む)」
  • 「高齢者の就業促進」等について

これまで10回にわたり議論が行われたところです(平成29年5月20日現在)。

そもそも我が国において「働き方改革」が提唱された背景は、社会構造上大きな問題である少子高齢化に向き合い、「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」の「新・三本の矢」を確立し、「一億総活躍社会」を実現させるということにあります。

働き方改革のメリット・デメリット

働き方改革のメリットとしては、働き方改革の実行計画によりますが、短い労働時間で多様な働き方を実現している企業が、「公的な支援を受けられるようになること」や「税制上の配偶者控除制度が見直されること」によって、これまで働きたくても働けなかった人材が、労働市場に登場しやすくなることが期待されます

逆にデメリットとしては、先述の「同一労働同一賃金ガイドライン案」に基づき、労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の改正が今後予想され、企業活動に一定の影響を与えるものと考えられます。

従業員の「キャリア観を把握」することが重要

企業文化や従業員のライフスタイル・意識は、そう簡単には変わらないものです。

イギリスの社会学者、キャサリン・ハキム氏は、現代の女性のキャリア意識について以下のように定義付けています。

「仕事優先タイプ」「家庭優先タイプ」「外部環境に応じて柔軟に変えるタイプ」の3つに分類され、どのタイプに属するのかは、本人の育った環境や教育、性格などで決まると述べています。これは男性でも同じことが言えるのではないでしょうか。

男性の場合は「仕事優先タイプ」「自由優先タイプ」「外部環境に応じて柔軟に変えるタイプ」と言えるのかもしれません。

いずれにしても、従業員本人が持つキャリア観を把握することが非常に重要です。

3〜5年の中長期的な「経営計画・人事計画」の策定を

そして、そもそも自社において、働き方改革が必要かを検討し、もし必要であるならば経営課題の解決のために取り組むべきでしょう。

より具体的には、中長期的な経営計画、人事計画の策定が望まれます。これらの計画では、3~5年後の自社の将来像やビジョン、目標を明確にし、トップダウンで発信していく必要があります。

実際にその実現を進めるためには、従業員に対して対話を通じ浸透させていく努力が必要です。

また、それらの改革が目に見える形で効果が現れるのは、先の話でもあることも理解すべきです。新しい取り組みが従業員に受け入れられ、定着していくためには相応の時間がかかります。

まずは、自社での経営課題は何か、労働生産性はどのようになっているのかなど現状把握を行うことが大切です。

働き方改革は、経営課題の解決のためであることを明らかにし、従業員の声を経営に活かす仕組みがあって、初めて効果が生まれるものです。

社会保険労務士 倉橋 和之

社労士事務所に約1年勤務を経て平成23年11月開業。専門分野は、助成金申請業務を起点にした人事労務支援や資金調達支援。自身の開業経験を活かして事業計画書や経営改善計画の策定をメインに、起業者支援も行っている。


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