労働時間を適切に把握しよう! 新ガイドラインに基づいて使用者が講ずべき措置とは?


労働時間の適切な管理

こんにちは。社会保険労務士の篠原宏治です。

相次ぐ違法な長時間労働を問題視した厚生労働省は、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を新たに策定しました。これまでの「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」を拡充する形となります。

そのため、今後の労働時間管理に関する行政指導は、新ガイドラインを基準に行われることになります

今回は、こうしたガイドラインに対応するために、使用者が心がけるべき内容を解説いたします。

「労働時間の考え方」と「労働時間に当たる時間例」を明記

新ガイドラインでは、労働時間の考え方が明記されました。

具体的には、「労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる」とされ、労働時間に当たる時間として次の3つの例が記載されています。

・業務に必要な準備行為や後始末を事業場内で行った時間(制服への着替えや清掃)
・指示があった場合には即時に業務に従事するため、 労働から離れることが保障されていない状態で待機している時間(手待時間)
・業務上義務づけられた研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間

よく似た事例として、私が労働基準監督官として監督指導を行っていたときに、朝礼時間を労働時間に含めていないケースが多々見受けられましたが、朝礼時間も通常は労働時間に含まれます。

これらの時間が労働時間に当たることは、これまでも通達などによって示されており、新しい考え方が改めて示されたわけではありません。

今回、周知徹底を図るために新ガイドラインに明記することにしたものと考えられます。

「パソコンの使用時間の記録」も、労働時間の客観的な記録になる!

使用者による始業・終業時刻の確認・記録は、原則として客観的な記録を基礎として行うこととされています。

客観的な記録の方法としては、従来、タイムカード、ICカードなどがその具体例として挙げられていましたが、新ガイドラインでは、これらに「パソコンの使用時間の記録」が追加されました。

労働時間を確認するための方法として、パソコンの使用時間を重要視していることの表れと言えるでしょう。

自己申告制による時間管理で気をつけるべきこと

タイムカード等を利用した原則的な方法によらず、自己申告制で始業・終業時刻を確認する場合には、自己申告時間と実働時間との間に乖離が生じないよう、一定の措置を講じることが求められます。

新ガイドラインでは、自己申告制の際に会社が講じなければならない措置が大幅に追加されました。

・労働時間管理者に、ガイドラインに従って講ずべき措置を十分説明すること
・自己申告時間と入退場記録やパソコンの使用時間の記録との間に著しいかい離がないか実態調査を行い、所要の補正をすること
・自己申告時間を超えて事業場内にいる労働者にその理由などを報告させる場合には、その報告が適正に行われているか確認をすること
・36協定の延長可能時間を超えて働いているにも関わらず、記録上これを守っているようにすることが慣習的に行われていないかを確認すること

自己申告時間と実働時間との乖離が生じた場合の責任は会社にあることが、これまで以上に明確にされた措置拡充となっています。

今後、労働時間管理に対する指導は一層厳しくなるものと予想されます。新ガイドラインに則った労働時間管理を心掛けましょう。

特定社会保険労務士 篠原 宏治

社会保険労務士事務所しのはら労働コンサルタント代表。元労働基準監督官。特定社会保険労務士。労働基準監督官として残業代不払いや長時間労働などの労働問題に関する数多くの相談対応、監督指導(臨検)、強制捜査などを行ってきた経験を活かし、「労働問題に強い社会保険労務士」として、労使双方からのご相談に対して実務的な助言やコンサルティングを行っています。社会保険労務士事務所しのはら労働コンサルタント
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