マタハラの定義を理解しよう! 防止措置として適切な取り組みとは?


マタハラに苦しむ女性

私は2016年6月に「ハラ・ハラ社員」が会社を潰す(講談社+α新書)を出版しました。その中で、「聞いたこともないようなハラスメントがいつの間にか増えている」ということを書きました。

ジェンダー・ハラスメント
ブラッドタイプ・ハラスメント
エアー・ハラスメント
カラオケ・ハラスメント
マリッジ・ハラスメント

上記には定義が曖昧なものもありますが、「ハラスメント」と呼ばれる言葉が、さまざまな場面で使われていることがわかります。

そんな中、今回は「ハラスメント」の中でも話題に上ることの多い「マタニティハラスメント(以下:マタハラ)」についてご紹介します。

国で強化しつつあるマタハラ対策

マタハラとは、妊娠・出産に伴う就業制限や産前産後休業・育児休業を取得することによって業務上支障をきたすという理由により、精神的・肉体的な嫌がらせを行う行為のことを指します。

妊娠時や時短勤務時の社員に対し、

「子育ては大変だから退職したら?会社としても人手が足りないので採用しないといけないし。」
「Aさんが早く帰るから私たちに仕事の負担がかかっているのよね。いつまでこの状況を続けるの?」

などと言うことはマタハラとなります。

日本では、少子高齢化が進んでいるのにも関わらず、出生率は低下しています。

いろいろな要因がありますが、国としては「働いている女性が子供を産みにくい環境」を解決していかなければならない課題と考えています。

それを受け、2017年の1月1日から男女雇用機会均等法と育児・介護休業法の改正で事業主は法律に基づき、娠・出産、育児休業、介護休業等に関する上司・同僚からの職場でのハラスメントの防止措置を講じなければならなくなりました

このことによって、今まで表面化していなかった問題が多く出てくるかもしれません。

企業でのマタハラを取り巻く現状

マタハラ問題は今に始まったことではなく、昔からあった問題です。

大企業ではパワハラ、セクハラを含めたハラスメントに対する意識は高く、安全配慮義務やコンプライアンスの観点から、管理職を中心にハラスメント研修を行っていることが多いです。

だから、多くの人はマタハラについての基本的な知識を身につけているはずです。

しかし、中小企業はハラスメントに対する意識はそれほど高くはありません。社員教育まで行き届いていない企業が多いため、ハラスメントに関する研修を実施している企業は少数だと思います。

セクハラ、パワハラはなんとなくイメージがつくと思いますが、マタハラと言われても何のことか分からないという人は比較的多いと思われます。そのため、「何をやってはいけないのか」を知らずに、無意識でマタハラが行われているケースも少なくありません。

中小企業では人数ギリギリの経営を行っていて、採用したくても応募がないという状況の企業は多いと思います。

そんな中で「育児休業で長期間抜けられたら困る」というのは分かりますが、これからはそうであっても、何とかして対応せざるを得ない状況へと変わってきています。

企業が「マタハラ対策」として取り組むべきことは何か?

今回の法改正で事業主に義務付けられたのは以下の4点です。

・事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
・相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
・職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントにかかる事後の迅速かつ適切な対応
・職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置

今回の法改正において、経営者はマタハラへの認識を深める必要性に迫られました

どんなに規程を整備したり、対応のスキームを構築したりしても、「そもそも会社はどのような考えや姿勢なのか?」が決まっていなければ、絵に描いた餅になってしまいます。

マタハラ問題は会社だけの問題ではなく、少子高齢化の問題と言っても過言ではありません。妊娠、出産した女性が安心して働ける環境を作ることが、経営者に求められることだと思います。

特定社会保険労務士 野崎 大輔

日本労働教育総合研究所所長。サービス業におけるプロフェッショナル人材育成の仕組み構築と紛争予防解決コンサルタントとして労働問題対応を行っている。問題が起きたら解決するのではなく、問題が起きないように根治療法の重要性を提唱し、組織の風土改革、人材育成を実施している企業は労働問題の発生率が低下する一方で社員の定着率向上、業績向上といった成果が出ている。【公式サイト】「ハラ・ハラ社員」が会社を潰す(講談社)
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