雇用保険制度は失業手当だけじゃない! 企業は「教育訓練給付金」を活用しよう


こんにちは。アクシス社会保険労務士事務所の大山敏和です。

労務担当者にとって、昨年末からの政府動向に目が離せない展開となっています。雇用保険制度の見直しが始まり、教育訓練給付制度においても専門実践訓練生向けの給付が2016年10月から拡充されました。

今回は、「教育訓練給付金」の理解する上で欠かせない内容を解説いたします。

教育訓練給付

政府における雇用保険制度の動向

厚生労働省は、雇用保険積立金の増加を背景に、雇用保険制度の見直しを開始しています。

雇用保険積立金は、残高が過去最高の6兆4000億円を超えており、

・賃金日額上限の引き上げ
・給付日数の拡大
・保険料率の引き下げ

ができる環境になっています。厚労省では、この他に職業能力を開発することの重要性が増していることから、教育訓練給付の拡充も行う予定です。

早ければ、政府は次期通常国会に法案を提出し、平成29年度から実施する方針です。

教育訓練給付制度における「専門実践教育訓練給付金」の拡充

従来からの「一般教育訓練給付」において、平成26年10月からは、「専門実践教育訓練給付」が追加され、中身が充実されてきています。

これら「教育訓練給付」は、労働者や離職者が一旦自己負担で厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し修了した場合、その教育訓練受講のために支払った経費の全部または一部が支給される制度のことを指します。

特に「専門実践教育訓練給付」の場合、複数年(最長3年間)にわたる専門教育受講期間に対して、費用負担金の40%が支給されます。

離職者が当該の教育を修了後に資格に合格するなどして1年以内に就職し、雇用保険の一般被保険者になった際には、さらに20%が支給されます(教育訓練修了時に既に雇用されている方も同様)。

なお、給付額の上限は受講期間の年数によって変化します。下限額はいずれも4,000円となり、期間ごとの給付額は以下になります。

・1年間の場合:48万円
・2年間の場合:96万円
・3年間の場合:144万円

さらに、「受講開始時に45歳未満で離職している」など一定の条件を満たす場合には、「教育訓練支援給付金」が追加で支給されます。

この給付金は、失業中に受講に専念して失業手当が受給できない場合などに「失業手当に代わるもの」として支給されます。しかも、失業手当の受給期間より長い期間(受講修了時)まで受給できるので、知っておくべきでしょう。

社内教育の一環としても有用可能な教育訓練給付制度

今回紹介した教育訓練給付制度は、就業中の社員にも適用されます。この制度を活用することによって、会社が求める教育訓練コース(支給対象コース)を社員に示し、彼ら彼女らの方向性を明確化することができます。会社が求める人材育成の一環として取り入れることは、1つの選択肢として考慮してみるのも良いでしょう。

少し手間は必要となりますが、こうした取り組みによって社員は受講に専念でき、業務での相乗効果が得られるのではないでしょうか。

「労働者への失業給付」以外の雇用保険制度への理解を

雇用保険制度の今後の動向には注目していきたいと思いますが、一般的に雇用保険は「労働者の失業給付」として理解されていて、「失業したらいくらもらえるのか」にばかり関心があるように思います。

しかし、雇用保険には、その他にも多くの制度があります。

雇用保険全般は「一般企業が積極的に社員教育をするテーマ」ではありません。個々の労働者が「失業給付」以外の制度への理解を深め、権利としての給付制度をもっと活用すべきであると思います。

社会保険労務士 大山 敏和

神奈川県央、厚木市に事務所を構えるアクシス社会保険労務士事務所代表。東名厚木インター至近につき他都県にも対応可能。中小および創業間もない企業の人事労務、労働・社会保険のみならず、人材育成コンサルティングに至るまでカバーし企業の成長をサポートします。助成金受給は人事面での優良企業の証として積極的に提案し、長期間にわたる社内環境の整備と受給手続きに対応します。
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