会社の健康診断は義務? 事業者が押さえるべき4つのポイントとは


 

健康診断での血圧検査

こんにちは、社会保険労務士の篠原宏治です。

皆さんの会社では、きちんと定期健康診断(定期健診)が実施されているでしょうか。

労働安全衛生法で実施が義務付けられている定期健診は、従業員の健康管理の基本とも言えるものです。長時間労働による健康障害が問題となっている昨今では、その重要性がさらに増しています。

会社が定期健診を実施する際に押さえておくべきポイントを確認しておきましょう。

「定期健診」を実施する際に押さえておくべき4つのポイント

①実施方法

定期健診の実施方法は、

・会社で集団健診を実施する
・会社指定の病院で受診させる
・従業員各自に健康診断を受診させてその結果を提出させる

などがあります。

それぞれメリット・デメリットがありますので、従業員数や業種に応じて、最も適した実施方法を選択しましょう。複数の方法を併用しても構いません。

ただし、従業員各自に健康診断を受診させてその結果を提出させる場合は、検査項目に気をつけましょう。

病院が行う健康診断には様々な種類があり、中には定期健診として必要な検査項目が不足しているものもあります。

特に、多くの病院で40歳~74歳の人を対象に実施している「特定健康診査」という健康診断は、一部検査項目が不足しています。「定期健診」と「検査項目」が似ているため、従業員が誤って受診してしまうことが多く、注意が必要となります。

②費用負担者

定期健診の受診に要する費用は、会社が全額負担しなければなりません。

ただし、従業員各自に受診させてその結果を提出させる方法とした際に、従業員が人間ドックなどの高額の健康診断を受診するケースも想定されます。

この場合、定期健診費用に相当する部分のみを会社が負担し、差額を自己負担としても差し支えありません。

あらかじめ近隣の病院の定期健診費用を基準に会社負担の上限額を決めておき、従業員に通知しておきましょう。

③実施時期

定期健診の実施時期に制限はなく、従業員ごとに実施時期が異なっても構いません

ただし、定期健診の趣旨に鑑みても、年によって実施時期が大きく変わるのは望ましくありません。出来る限り毎年同じ時期に受診できるように、計画的に実施してください。

④受診時間に労働時間を含めるか否か

法律上、受診時間中の賃金支払い義務はありませんが、労働時間として取り扱い、賃金を支払うことが望ましいとされています。

実際、ほとんどの会社では、定期健診に要する時間は労働時間として取り扱っています。

従業員が不満を感じやすいところでもありますので、特段の理由がない限りは、労働時間として取り扱ったほうがよいでしょう。

従業員には「定期健診」を受診する法律上の義務がある

定期健診は、会社へ法律上の実施義務が課されている一方、従業員にも会社が行う定期健診を受診する法律上の義務が課されています。

受診を拒否しようとする場合は、自分で受診した健康診断の結果を会社に提出しなければなりません

そのため、会社が指示した定期健診の受診を拒む従業員がいる場合は、自分で受診した健診結果を提出するよう指示するとともに、その経緯を記録に残しておきましょう。

自分で人間ドックを受ける等の理由で、会社の定期健診を受診しない従業員の場合も同様です。

なお、会社に従業員が指定する健康診断を受けさせる義務があるわけではないので、その受診費用を会社が負担する義務はありません。

会社と従業員の双方が納得できる定期健診ルールを定めるように心掛けましょう。

特定社会保険労務士 篠原 宏治

社会保険労務士事務所しのはら労働コンサルタント代表。元労働基準監督官。特定社会保険労務士。労働基準監督官として残業代不払いや長時間労働などの労働問題に関する数多くの相談対応、監督指導(臨検)、強制捜査などを行ってきた経験を活かし、「労働問題に強い社会保険労務士」として、労使双方からのご相談に対して実務的な助言やコンサルティングを行っています。社会保険労務士事務所しのはら労働コンサルタント
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