通勤手当は含まれる!「報酬月額」の計算で注意するべき3つのポイント


社員が入社したら、短時間勤務など一定の例外に該当する場合を除き、社会保険に加入させなければなりません。

SmartHRを利用すれば、社員から入力してもらった住所氏名や基礎年金番号をもとに、ほぼ自動で社会保険の加入申請書類が出来上がります。しかしながら、現時点においては手入力が必要で、少なからずの会社様が頭を悩ませている入力項目があります。

その項目は、「報酬月額」です。

社会保険資格取得時、「報酬月額」を記入する際の3つの注意点

「報酬月額」の欄に入力された金額をもとに、その社員の方の健康保険と厚生年金の保険料が決まるのですが、基本給だけで「まあいいや!」と申請をしてしまうと、後日、年金事務所の調査があった際などに「誤った金額で資格取得がされている」と問題になり、遡っての訂正や保険料の精算を求められてしまうことがあります。

そうすると、社員の方からも遡って社会保険料の不足分を徴収しなければならず、社員の方に負担や迷惑をかけてしまうことになってしまいかねません。

そこで、この記事では社会保険の資格を取得する際にミスが起きないよう、報酬月額を計算するに当たり、とくに間違いやすい点や迷いやすい点を、3項目ピックアップして説明したいと思います。

注意点その1:通勤手当を含める

実務上、よく質問を受けるのは「通勤手当を報酬月額に含めるべきか」ということです。

所得税の計算では通勤手当は一定額まで非課税なので、社会保険の報酬月額にも含めなくて良いと勘違いされることが多いようですが、この点、「含める」が正解です

また、「通勤手当として一定額を払うのではなく、実費で経費精算という形なら報酬月額に含めなくても良いのか」という質問を受けることもありますが、自宅から職場までの往復のために発生する交通費は、定期代の支給であれ、実費精算であれ、定期券の現物支給であれ、報酬月額に含まれるべき金額となります。

なお、入社時に6か月分の定期代をまとめて支払うような場合は、6分の1の金額を報酬月額に加える形になります。

注意点その2:割増賃金を含める

割増賃金の見込み額を報酬月額に加えるのを忘れてしまうことも、実務上少なからず発生しているミスです。

残業が何時間、休日出勤が何日くらい発生しそうなので、割増賃金は〇〇円くらいであろう、というような予測に基づいて割増賃金の額を決め、報酬月額に加算することになります。

この点、あくまでも「見込み」ですから、実績がズレる分には問題は無いのですが、割増賃金を全く報酬月額に含めずに社会保険の資格取得をしてしまったのに、恒常的に残業が発生しているような場合は、年金事務所の調査において指摘を受けやすいチェックポイントになります。

なお、基本給に「みなし残業代」が含まれていて、残業が通常は「みなし残業代」の範囲で収まる見込みの場合は、別途割増賃金を上乗せしなくても大丈夫です。

注意点その3:時間給の方の報酬月額

パートタイマーの方でも、正社員の所定労働時間の4分の3以上、かつ、所定労働日数の4分の3以上を勤務する方については、社会保険の加入義務があります。

パートタイマーの方の場合、基本給が時間給で支払われていることが多いので、どのように報酬月額を計算すれば良いか質問を受けることがあります。

この点、具体例に説明しますと、時給1,000円、1日7時間勤務、月平均18日勤務の方ということであれば、1,000円×7時間×18日=126,000円が基本給相当額になります。

ここに、通勤手当や割増賃金が発生する場合は、月給制の方と同様に加算して、報酬月額を決定するという流れになります。

 

SmartHRなどのサービスによって人事労務手続きはどんどん便利になっていきますが、頭を悩ます計算や手続きはまだまだあります。

些細なミスが大きな問題となることもありますので、注意してくださいね。

特定社会保険労務士 榊 裕葵

東京都立大学法学部卒業後、上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。独立後、ポライト社会保険労務士法人を設立し、マネージング・パートナーに就任。「社員から信頼される会社作りをサポートする」を経営理念として、顧問先の支援に当たっている。執筆活動にも力を入れており、WEBメディアへの掲載多数。
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