「月額変更届」の基礎知識! ポイントとなる「提出時期」と「提出先」を押さえよう


月額変更届の提出

社会保険料は、毎年定期的に改定されます。しかし、昇給や降給により固定的賃金が変動した場合には、年1回の改定前に届出を行う必要が生じます。その届出を「月額変更届」と呼びます。

また「月額変更届」は、現在Smart HRで対応している手続のうち、ユーザー様にとって最も難易度が高いものだと思っています。

本稿では、どのようなときに月額変更届の提出が必要になるのかを解説いたします。

月額変更届は「社会保険料が変更になる場合」に提出すべき書類

最初に、「そもそも月額変更届とは何か?」という確認をしておきます。月額変更届は「臨時に社会保険料が変更になる場合」に提出すべき書類だと覚えておきましょう。

社会保険料は毎年7月に提出する「算定基礎届」という書類に基づいて決定され、原則として1年間固定です。

しかし、賃金に「大幅な変更」があった場合は、年度の途中でも「月額変更届」を提出し、保険料額が見直されるのです。

「大幅な変更」とは、具体的に言えば、社会保険料は一定の賃金幅で区切られた等級ごとに決められているのですが、この等級が2等級以上変更になる場合を指します。

ただし、難しいのは、2等級以上変更になった場合の全てが月額変更届に該当するわけではありません。

①固定給が2等級以上変動
②「①の状態」が連続して3か月間続いた(3ヶ月ルール)

上記の2つを満たした際に、はじめて月額変更届の対象となるのです。それぞれのケースを、順に確認していきましょう。

「固定給が2等級以上変動」とは、どういうことか?

まず、固定給が2等級以上変更になるということですが、これには「基本給のアップ・ダウン」や「新しい固定的手当が付き始めたこと」が含まれます。

そのため、残業代、歩合給、臨時的手当など、一過性の影響のみで2等級以上賃金が変動した場合は、月額変更届に該当しません。

ただし、間違いやすいので注意いただきたいことは、「基本給のアップだけでは2等級以上変動しないが、残業代や歩合給も含めたら2等級以上変動した」という場合です。このような場合では、基本給が1円でもアップしていたら、月額変更届の対象となります。

月額変更届の提出における「3か月ルール」

気をつけるべきなのは、固定給が2等級変動したからといって、月額変更届は直ちに提出するものではないということです。固定給が2等級以上変動した状態が3か月続いて、初めて提出できるのです。

たとえば、1月に支払われた賃金で固定給が2等級以上変動した場合は、「1月」「2月」「3月」の3か月の賃金が支払われた後のタイミングで、速やかに月額変更届を提出するイメージです。

なお、新しい保険料は4月分(5月末日納付分)から反映されることになります。

月額変更届の提出先は「年金事務所」と「健保組合」

月額変更届の提出先ですが、協会健保に加入している会社は所轄の年金事務所です。

ITS健保などといった組合健保に加入している会社は、年金事務所加入先の健保組合の2か所に提出する必要があります。忘れないように注意してください。

「月額変更届」の正しい知識を身につけよう

月額変更届の提出を忘れたり、間違えたりすると、社員の給与計算も間違ってしまうことになり、社会保険料の控除不足や控除しすぎが生じてしまいます。

給与計算をやり直したり、後日精算するのは会社にとって手間ですし、「会社は本当に正しく給与計算をしてくれているのかな?」と社員も不安や不信を感じてしまうものです。

そのようなことにならないよう、正しく月額変更届を提出したいものです。

特定社会保険労務士 榊 裕葵

東京都立大学法学部卒業後、上場企業の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。独立後、ポライト社会保険労務士法人を設立し、マネージング・パートナーに就任。「社員から信頼される会社作りをサポートする」を経営理念として、顧問先の支援に当たっている。執筆活動にも力を入れており、WEBメディアへの掲載多数。
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