短時間労働者が社会保険に加入できる「5つの要件」とメリット・デメリットとは?


こんにちは、社会保険労務士の篠原宏治です。

平成28年10月の法改正により、短時間労働者(パート労働者)であっても、一定の要件を満たす場合には会社の社会保険(健康保険と厚生年金保険)に加入することになりました。

今回は、短時間労働者が社会保険に加入する要件のポイントと社会保険に加入するメリット・デメリットを整理してみたいと思います。

短時間労働者が記入

短時間労働者が社会保険に加入する5要件

社会保険における「短時間労働者」とは、以下の基準を満たした労働者を言います。

「1週間の所定労働時間または1ヵ月の所定労働日数が通常の労働者(=正社員)の4分の3未満である」

この基準は、「4分の3基準」と呼ばれ、正社員の週所定労働時間は40時間のことが多いため、一般的には、週所定労働時間が30時間を下回る場合に短時間労働者に該当します。

今回の法改正では、短時間労働者であっても、

①1週間の所定労働時間が20時間以上であること
②1年以上継続して雇用されることが見込まれること
③月額賃金が8万8千円以上であること
④学生でないこと
⑤常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めていること

の5要件すべてを満たした場合には、会社の社会保険に加入することになりました。

雇用期間や月額賃金などは採用時の雇用条件で判断されますので、雇用契約書の内容がこれらの加入要件を満たしていれば、採用時から社会保険の適用となります。

また、雇用契約書の内容が加入要件を満たしていなかったとしても、勤務実態が加入要件を満たしていると認められる場合、例えば、雇用契約書では週の所定労働時間が15時間ですが、実際の勤務では常に20時間以上の勤務を行っている場合は、社会保険の適用対象となりますので注意してください。

短時間労働者が社会保険に加入するメリット

短時間労働者が社会保険に加入するメリットには、主に次のようなものがあります。

(1)将来受け取れる年金額が増加する。
(2)障害を負ったときに年金が支給される範囲が広くなり、支給額が増加する。
(3)障害年金の対象より軽度の障害で一時金が支給される。
(4)遺族年金が支給される遺族の範囲が広くなる。
(5)病気や出産による休業期間中の収入補てんとしての給付が受けられる。

社会保険は、将来受け取れる年金ばかりが注目されがちですが、それ以外にも生活に伴う様々なリスクに対する保障が受けられるようになります。

特に(5)は、病気や出産による休業期間中に賃金額の3分の2程度の保険給付(傷病手当金・出産手当金)が受けられます。休業によって一時的に収入が途絶えてしまうことを避けることができ、そのメリットは大きいと言えるでしょう。

病気やケガで会社を休んでも安心。 傷病手当金の支給要件や計算方法を学ぼう – SmartHR mag

社会保険加入のデメリットは「手取り賃金」が減ること

一方、デメリットとしては、社会保険料の負担分だけ手取り賃金額が減少することが挙げられます。

しかし、これは、現在、配偶者の被扶養者となっていて社会保険料を一切負担していない短時間労働者の場合となります。

誰の被扶養者にもなっておらず自分で国民年金保険に加入している場合や、親などの配偶者以外の被扶養者となっていて国民年金保険料を負担している場合は、会社の社会保険に加入することで社会保険料の負担額が少なくなる可能性があります。

会社に社会保険に加入するメリットとデメリットを正しく理解し、制度を上手く活用しましょう。

特定社会保険労務士 篠原 宏治

社会保険労務士事務所しのはら労働コンサルタント代表。元労働基準監督官。特定社会保険労務士。労働基準監督官として残業代不払いや長時間労働などの労働問題に関する数多くの相談対応、監督指導(臨検)、強制捜査などを行ってきた経験を活かし、「労働問題に強い社会保険労務士」として、労使双方からのご相談に対して実務的な助言やコンサルティングを行っています。社会保険労務士事務所しのはら労働コンサルタント
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