問題社員の適切な対応方法とは? 解雇までに必要な3つのプロセスを知ろう


ある会社でこんなことを相談されました。

「入社したばかりの社員で何かあると『前の会社ではこうしていた』と言って会社のやり方に従いません。何回注意しても言うことを聞かないので周りの社員も関わるのが嫌になっています。こういう社員はどうすればいいでしょうか?」

このような漠然とした質問を受けることはよくあります。

まず最初に私が確認するのは、辞めてもらいたいのか、それとも改善させて雇い続けたいのかということです。ここを決めてから対応策を考えていきます。

問題社員

辞めて欲しくても辞めさせることは非常に大変

今までの経験上90%以上の確率で辞めて欲しいという回答が返ってきます。しかし、辞めて欲しいといってもそんなに簡単に辞めさせることはできないことはお分かりだと思います。

日本では企業は雇った社員の能力が低かったとしても教育して使えるようにしていかなければならないという風潮があるため簡単に解雇できません。

一度雇った以上は責任を持ってしっかりと面倒を見なければならない!ということですが、現実的にはそうは言っていられません。

人数の少ない中小企業の場合は問題社員が一人いるだけで社内の空気がおかしくなってきます。

何もせずに放っておけば周りの社員にも悪影響を及ぼし、問題社員に感化されてしまう社員も出てくることもあります。だから改善が難しいと思うようであれば辞めてもらうことを視野に入れていく必要があるのです。

会社としてはいられると困る、一方で問題社員は会社から厄介者扱いをされるのでお互いにとって良いことはありません。だから辞めてもらうことは必ずしも悪いことではないのです。

労働契約法16条には何が書かれている?

解雇に関しては労働契約法16条がカギとなるのでこちらを基に解説していきます。

労働契約法 第16条(解雇)

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

客観的に合理的な理由を欠くというのは、解雇するに値する事実要件がないということです。言い換えると第三者が当該社員に関する経緯や証拠などを見て「これは解雇されても仕方ない」と判断できるかどうかということです。

社会通念上相当であると認められないというのは、当該社員の行為は問題があるけれど、解雇するのはやり過ぎではないかということです。

このような視点から何をしなければならないかというと、問題社員に注意指導をしなければなりません。会社は問題社員を改善させるために注意指導をしたけれど、本人に改善した結果が見られないという事実が必要なのです。

よくあるのは、あまり関わりたくないので誰も関わらずに放置しておくということです。これでは会社は何もしていないということになるので争いになった時に不利になります。

ちなみに解雇の有効・無効の判断をするのは労働基準監督署ではなく、裁判所になります。解雇の争いで裁判までもつれこむことは滅多にありませんが、最悪の事態を想定して準備しておく必要があります。

実際に解雇が有効となるパターン

問題社員にもいろいろなパターンがありますが、例として能力不足の問題社員の解雇が有効と判断されるポイントは3つあります。

① 会社は問題社員に対して指導教育を行ったか
② 教育指導をしても改善の見込みがない
③ 他の社員と比べても能力が著しく低い

どのような問題社員でも共通しているのは①と②です。ここを意識して準備を進めていく必要があるのです。基本的な考え方は以下の流れになります。

① 問題行動に対して注意指導をして改善するように伝える。
② 定期的に面談をして改善状況の確認をする
③ 注意指導をしても改善が見られないので解雇もしくは退職勧奨をする

やり取りは全て書面で記録を残しておくことが重要です。口頭だけでは後で言った、言わないの議論となってしまいます。

注意指導のポイントは何が問題でどのように改善して欲しいかを具体的に本人に伝えることです。日常業務の中で問題行動を見かけたらその都度注意することも大事です。

お伝えしたことはシンプルですが、実際にやるとなると時間と労力がかかり、けっこう大変です。

次回は問題社員との面談時の注意点についてお伝えしてきます。

特定社会保険労務士 野崎 大輔

日本労働教育総合研究所所長。サービス業におけるプロフェッショナル人材育成の仕組み構築と紛争予防解決コンサルタントとして労働問題対応を行っている。問題が起きたら解決するのではなく、問題が起きないように根治療法の重要性を提唱し、組織の風土改革、人材育成を実施している企業は労働問題の発生率が低下する一方で社員の定着率向上、業績向上といった成果が出ている。【公式サイト】「ハラ・ハラ社員」が会社を潰す(講談社)
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