こんな求人はNG! 意外と多い「違法なアルバイト募集」とは


こんにちは、社会保険労務士の佐佐木由美子です。

先日、都内にある近所のパン屋さんの前を通りかかったとき、アルバイト募集の広告が出ているのを見かけました。

「笑顔がステキな30歳以下の女性募集中! 時給880円~」

これを見て、あなたはどう感じましたか? エプロンをした笑顔の可愛い女子高生を連想しているようでは、いけません(笑)。

この短い募集の中には、3つの問題点があります。人事担当者であれば、すぐにピンときて欲しいところですが、わかりましたか?

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性別を限定してはいけない

まずひとつめは、「女性」と性別を限定している点。一方の性のみを限定する合理的な理由がない限りは、男女雇用機会均等法に違反します。「女性は手先が器用だから」「これまでずっと女性だったから」という理由はNG。

たとえば、警備や守衛等、防犯上の要請から男性に従事させることが必要な職務のような場合は、違法となりません。

なお、均等法に基づく指針の改正が昨年行われ、それぞれの役職でみて、その役職に占める労働者の割合が4割を下回る場合、特例として女性のみを対象としたり、有利に取り扱うことが認められています。

 

年齢制限もNG

2つ目は、「30歳以下」と年齢制限をつけていること。雇用対策法により、労働者の募集・採用時に年齢制限を設けることは、原則として禁止されています。

これには例外もいくつかあり、たとえば長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等(おおむね40歳未満、特に35歳未満)を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合は認められています。

 

最低賃金に注意

3つ目は、時給。東京都の場合、880円は最低賃金法に違反します。使用者は、最低賃金法に基づき国の定める最低賃金額以上の給与を労働者に支払われなければならないことになっています。

最低賃金には、各都道府県に1つずつ定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。

東京都の場合、907円(2016年7月現在)となっており、今回の募集は、最低賃金を27円下回ることになります。最低賃金は毎年改定が行われますので、時給が下回ることのないようにチェックしましょう。

ちなみに、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、罰則(50万円以下の罰金)が定められていますので、ご注意ください。

アルバイトというと、正社員と比べて募集・採用の基準が緩く、その後の労務管理も適切に行われていないケースが多く見受けられます。アバウトな対応でトラブルとならないように、募集・採用フローをしっかりと確認しておきましょう。

 

※タイトルを修正いたしました(2016/8/8)。

社会保険労務士 佐佐木 由美子

グレース・パートナーズ社労士事務所代表。中小・ベンチャー企業を中心に就業規則、人事労務・社会保険面をサポートし、親身なコンサルティングで多くのクライアントから支持を得ている。著書に「採用と雇用するときの労務管理と社会保険手続きがまるごとわかる本」 (ソーテック社)、日経ウーマンオンライン連載「ワークルールとお金の話」ほかメディア取材多数。 グレース・パートナーズ社労士事務所公式サイト 
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