賞与(ボーナス)を支給するときに注意するべき3つのポイント


はじめまして、社会保険労務士の佐佐木由美子です。

今回から、人事労務・社会保険の実務を行っていくうえで気をつけたいことを、わかりやすくお伝えして参りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、6月から7月にかけて賞与を支給される会社は多いことと思います。賞与でおさえておきたいキーワードを3つ挙げるとすれば、次の3つ。退職者、休業者、転職者がいる場合の対応です。

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退職者と賞与の関係

就業規則において賞与の支給基準に、「支給日在籍要件」を設けている会社はあるのではないでしょうか。一般に、賞与の支給日に在籍していることを要件に課すことは不合理といえず、賞与の不支給は有効であると解されています。

ただし、年俸制で年俸額を給与と賞与に案分して支給するような場合は、期間に応じた差額の支払いが必要とされますのでご注意ください。

また、賞与を支払った月に退職する従業員がいる場合、退職日によって賞与から社会保険料を徴収する場合としない場合があります。ポイントは、月の途中で退職するか、月末退職か、ということ。

たとえば、賞与支給日が7月1日で、7月15日に退職する場合。資格喪失月は7月となり、資格喪失月に支払われた賞与は保険料徴収の対象とならないため、賞与から徴収する必要はありません。一方、7月31日に退職すると、資格喪失月は8月となり、7月に支給する賞与や給与から社会保険料を徴収する必要が生じます。資格喪失日は、「退職日の翌日」となることを、今一度ご確認ください。

 

産休・育休取得者がいる場合

次に、休業者がいる場合。産前産後休業中および育児休業中の被保険者(3歳まで)については、申請により毎月の社会保険料が免除されます。賞与も免除されるため、社会保険料を徴収する必要は原則としてありません(産休・育休開始日の属する月から終了日の翌日の属する月の前月まで)。

介護休業や、病気など社内の休職制度に基づいて仕事を休んでいる場合は、社会保険料は免除されません。賞与の支給がある場合は、社会保険料をもれなく徴収するようにしましょう。

 

転職者がいる場合

賞与額から千円未満の端数を切り捨てた額を「標準賞与額」といいます。標準賞与額には上限が設けられており、健康保険は年度(4月1日から翌年3月31日まで)の累計額が573万円、厚生年金保険は1か月あたり150万円です。

同じ年度内で転職や転勤によって、被保険者資格の取得・喪失があった場合、標準賞与額の累計については、協会けんぽまたは各健康保険組合等の保険者単位で算出することになっています。

転職をして同一年度内に複数の被保険者期間がある場合は、それぞれの被保険者期間中に決定された標準賞与額累計します。

 

賞与支払届を忘れずに

健康保険では、資格喪失月であっても、資格喪失日の前日までに支払われた賞与については、標準賞与額の累計額に含めます。該当する被保険者がいる場合、賞与から社会保険料を天引きしていなくても、賞与支払届に賞与額を記入するように気を付けましょう。

育児休業等による保険料免除期間に支払われた賞与についても、標準賞与額として決定し、年度の累計額に含めることになっています。保険料を徴収していなくても、賞与支払届の記載は必要です。

なお、賞与支払届は、賞与支払日から5日以内に年金事務所等へ提出することになっていますので、速やかに届出ができるようにご準備ください。

 

社会保険労務士 佐佐木 由美子

グレース・パートナーズ社労士事務所代表。中小・ベンチャー企業を中心に就業規則、人事労務・社会保険面をサポートし、親身なコンサルティングで多くのクライアントから支持を得ている。著書に「採用と雇用するときの労務管理と社会保険手続きがまるごとわかる本」 (ソーテック社)、日経ウーマンオンライン連載「ワークルールとお金の話」ほかメディア取材多数。 グレース・パートナーズ社労士事務所公式サイト 
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